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田口トモロヲ

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バチカリスト(CD)

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1957 11'30 東京で誕生

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★★★★☆
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 80年代、一世を風靡したアマチュア・バンドブームに乗ってメジャーデビューしたロックバンド“SPEED WAY”は、ファーストアルバムの売れ行きも順調で、コンサートは大入りが続いていた。だが、作曲をしているギターの中島(峯田和伸)は、“売れる歌”と“ほんとうに歌いたい歌”の狭間で悩み続ける。そんなある日、中島の部屋にボブ=ディランに似た“ロックの神様”が現われる…
 折しもこの年は1980年代に青春を突っ走った二人の監督によって(しかもどちらも専業ではない)二本の映画が制作された。その内の一本が『1980(イチキューハチマル)』(2003)であり、もう一本が本作。『1980(イチキューハチマル)』は今ひとつ乗り切れなかったものだが、本作は、はっきり言って泣けた
 80年代後半になるバンドブームは、私は比較的冷ややかな眼で見ていた記憶がある。周りの人間も次々にバンドを立ち上げたり、それなりにアマチュア・バンドとして有名になっていくのも、「な〜にやってんだか」とか思っていたもんだったが、あるバンドを知ることによって(具体的に言ってしまうと筋肉少女帯のことだが)、どっぷりとはまりこむことになる。どうしようもない、やるせない自分自身の心情を、とにかく詩にして叩きつける。その姿勢が、結局何のことはない。同じ悶々とした思いを持った私自身の思いと相通じると言うことが分かったから。私は表現から逃げたが、彼らは逃げることなく正面からぶつかっていったのだ。その結果、彼らの中でも最も不器用な者たちは、20年を経った今でも自分を表現しようとしている。
 この監督は田口トモロヲ。今ではどんな映画にも出る便利な役者として有名になってるが、彼は元々は“ブロンソンズ”という(この名前はチャールズ=ブロンソンから取っている)バンドで活躍していた人で、その初監督作品。その当時を知ってる身としては、何か凄く嬉しかった。是非劇場で。と思っていたのだが、何せ地方に住んでる身としてはそれも果たせず、結局テレビで観ることになった。
 監督はその時代を駆け抜けた本人だけに、その表現は“さすが”としか言いようのない出来。自分を表現するために始めたはずのバンドが、売るためのバンドに変化した時、「俺は一体何をしたいんだ」と悩む苛立ちと、感情をぶつけるはずの歌に感情をぶつけられずに何をしても無駄に思えてしまう虚しさ。そんなものがビリビリと伝わってくる。原作者のみうらじゅんと田口監督自身がそれを通り過ぎてきたからこそ、これが表現できたのだろう。
 これを受け止めた峯田和伸も良い演技見せてくれた。どっちかというと80年代よりは70年代に近い、ダサ格好良いキャラを全身で演じていた。脇を固める中村獅童も良かったねえ。そして彼らを取り巻く計算高いオトナの人々との関わり。それらを真っ正面から捉えていることが嬉しい。
 はっきり言ってこれは、それを知る人間にとっては、観てるだけで痛々しい。ただし、その中に確かにかつての自分自身を思わせる精神が(いや、今も未だ私の中にはそれがいる)感じられたからこそ、この作品は泣けるものとなる。私にもいるんだよ。私だけにしか見えないボブ=ディランが。この作品では最後に中島の前からディランは去っていったが、彼の存在を知ってしまった以上、中島は一生を通して人生の節目節目にディランを見ることになるだろう…私のように。
 結局個人的な合う映画とは出来とかメッセージ性とかじゃなく、どれだけ私自身がその中に入っているのか。私自身が語りたかったことを語ってくれるのか。という点にこそかかっているのではないか。と言う基本的なことを再認識させてくれた。
 細かいところでいくつも不満はあるので、絶対的な満点は与えられないけど、心情的には極めて満点に近い作品だ
製作年 2003
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原作
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