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寺山修司

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鑑賞本数 3 合計点 13.5 平均点 4.50
allcinema Walker ぴあ IMDb CinemaScape
wiki キネ旬 eiga.com wiki(E) みんシネ
書籍
(書籍)
1983 5'4 死去
1982 さらば箱舟 監督・脚本
1981 上海異人娼館/チャイナ・ドール 監督・脚本
1980 アフリカ物語 原案
1979 くるみ割り人形 作詞
1978 サード 脚本
1977 ボクサー 監督・脚本
書見機 演出・台本
消ゴム 演出・台本
二頭女-映画の影 演出・台本
一寸法師を記述する試み 演出・台本
マルドロールの歌 演出・脚本
1976
1975 審判 演出・台本
迷宮譚 演出・台本
疱瘡譚 演出・台本
1974 青少年のための映画入門 監督
ローラ 監督
蝶服記 監督
田園に死す 監督
オズの魔法使い<TV> 監修
1973
1972 高校生無頼控 企画
1971 ジャンケン戦争 監督
書を捨てよ町へ出よう 監督
1970 トマトケチャップ皇帝 監督・台本・編集
無頼漢 脚本
1969
1968 初恋・地獄篇 脚本
1967 母たち 詩
1966 非行少女ヨーコ 出演
わが心のかもめ<TV> 脚本
1962 涙を、獅子のたて髪に 脚本
1961 わが恋の旅路 脚本
夕陽に赤い俺の顔 脚本
1960 みな殺しの歌より 拳銃よさらば 脚本
乾いた湖 脚本
1935 12'10 青森県弘前市で誕生

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さらば箱舟 1982
1985カンヌ国際映画祭パルム・ドール
1984キネマ旬報日本映画第5位

1984男優主演賞(山崎努)
1984ヨコハマ映画祭第7位

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寺山修司
岸田理生(脚)
山崎努
小川真由美
原田芳雄
三上博史
新高けい子
高橋洋子
高橋ひとみ
石橋蓮司
若松武
天本英世
蘭妖子
小松方正
宮口精二
江幡高志
斎藤正治
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
田園に死す 1974
1975カンヌ国際映画祭パルム・ドール
1975キネマ旬報日本映画第6位
<A> <楽>
高野浩幸
八千草薫
春川ますみ
新高恵子
斎藤正治
原田芳雄
小野正子
高山千草
原泉
サルバドール・タリ
蘭妖子
ミスター・ポーン
三上寛
中沢清
粟津潔
木村功
菅貫太郎
★★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
田園に死す <A> <楽>
寺山修司 (検索) <A> <楽>
 恐山のふもとの寒村に母一人子一人の生活を送っている少年(高橋浩幸)。隣の地主の家にやってきた嫁(八千草薫)にあこがれの目を投げ、恐山の口寄せに亡くなった父の霊を呼び出してもらうことを楽しみにしながら毎日の閉塞した生活を送っていた。村にやってきたサーカス団の空気女と一寸法師の夫婦から遠い町のことを聞いた少年は、東京に憧れ、隣の嫁とともに家出して東京に出ることにしたのだが…
 様々な分野で活躍する才人寺山修司が監督・脚本・製作と全て自分で作り上げた自伝風の創作映画。
 はっきり言ってこれは私にとっては
“衝撃”そのものの作品だった。これを観た時、私の求めていた映像世界はすべてここに入っている!と思えたほど。レンタルビデオで観終えた後、すぐにビデオを買い、DVDも出ると同時に購入した。観るにはそれなりに精神的な余裕が必要だが、未だ観る度に新しい発見がある。私にはかなり貴重な作品の一本だったし、寺山修司の最初の出会いとしては最高のものだった。
 寺山修司と言えば、70年代に思い入れがある人には避けて通れない人で、この人の作り上げた独特の世界観は日本の生んだポップカルチャーに多大な影響を与え、当時は至る所に彼の息吹を感じたものだし
『あしたのジョー』のOPソングで今も触れることが出来る)、未だに彼の世界観は新鮮な思いを持って見ることが出来る。
 私にとってもこの作品が初めての“生”の寺山修司を知った作品だが、ひどく驚かされた。何せ私がそれまで好きだった80年代に台頭してきたクリエイターのことごとくが、実は寺山修司の強い影響下にあったという事実を知らされた瞬間だったから。あの当時は
「ここに全てがある」と思いこんでいたものだ。
 もちろんその後様々なメディアを通じ、寺山修司自身が特に多くのサブカルチャーから影響を受けていたことも分かったが、日本の思想界が60年代の体系を70年代に上手くシフトできたという事でも貴重な存在。あくまでサブカルチャーに留まった人物だが、逆にそれ故にこそ遠慮なしにあらゆるものを斬ることが出来た。

 本作は監督自らの少年時代の回想でもある。これは彼にとっては
50年代から70年代に至る精神的な旅の話だったのかもしれない。閉塞感が漂い、ほんの僅か入ってくる外からの情報や、慶弔ごとにむらがる以外気晴らしの方法がない田舎と、様々な情報にさらされている現在の自分。大人の視点から少年の自分を見直し、その誤りをただそうとする今の自分。
 回想形式の物語ではそれが正しい。かつての自分の過ちを直視することで現在の自分のルーツを振り返る。言い方は悪いが、「自分はもう大人なのだ」と確認することがこのタイプの作品の例となる。自分の望む過去を剥ぎとって、ありのままの自分を受け入れることがこの場合は重要となる。
 本作も途中まではその定式のまま展開する。自分が人に対しても自分に対しても隠してきた、トラウマとなっている部分を目前にし、できればそれを少年に避けてほしいと願う。
 だが、自分の最も観たくないところに差しかかったとき、今の自分に揺さぶりがかかってしまう。果たして私はその決定的瞬間に対し何事かできるのか?優位に立っているのは本当に自分なのだろうか?その不安が始まると、今度は今の自分自身が過去にとらわれてしまう。ここからメタ的展開へと入っていくわけだが、少年時代の自分は大人の自分を超えて予測もつかない行動をするようになり、ついには自分を過去に置き去りにして去ってしまう。
物語上こんな展開はあり得ない
 結果、現在の自分は過去と決別できず、超えることもできないまま、捕われ続けて話は終わる。過去と今を並行して生きていく。その突き離しに唖然としたまま話が終わってしまう。あのラストは爆笑ものだが、同時にたまらなく不安にさせられる。

 正直こう書いてみても、はっきり分かったと言うわけではないのだが、分からないからこそまた観たくなる作品でもある。

 尤も、本作で評価されるのはそう言った物語性云々よりもビジュアル的な数々のギミックの方。意味不明なコーラスを伴うシーザーの音楽、土の色をした村の中に突然現れてくる人工的な原色、物語を暗示する寺山の詩の数々。一つ一つが不気味で、同時にとても綺麗。これらのビジュアルに浸っていることが本作の正しい観方ということなのかもしれない。
書を捨てよ町へ出よう 1971
1971キネマ旬報日本映画第9位
<A> <楽>
佐々木英明
斎藤正治
小林由起子
平泉征
森めぐみ
丸山明宏
新高恵子
浅川マキ
鈴木いづみ
川村郁
J・A・シーザー
クニ河内
チト河内
川筋哲郎
蘭妖子
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
ここはさかさまの世界
書を捨てよ、町へ出よう <A> <楽>
寺山修司 (検索) <A> <楽>
 寺山修司による初の劇場用長編映画で、実験精神に溢れた作品となっている。

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書籍
著作・対談 評伝
寺山修司の<歌>と<うた>(2021) <A> <楽>
 
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