| 09'05'03 |
スキャナー・ダークリー
麻薬囮捜査官フレッドは、スロー・デスという麻薬の取引ルートを辿るために、なんと自分自身を監視する任務を与えられた。録画されたカメラの向こう側に存在する自分自身と仲間達のただれたような薬漬けの生活を目の当たりになり、徐々に自分が誰であるのか曖昧になっていく。捜査官としてのフレッド自身の精神が麻薬に冒され徐々に均衡を失っていく…
後期の著者作品としては物語としてまとまっていて、ストーリーも設定もなかなか面白く仕上がってる。晩年の著者は精神世界に傾倒していったので、こう言うのが書けたというのが面白いが、あとがきを読んだら、なんと実体験が元になっていたのだとか。リンクレイター監督がアニメとも実写ともつかないスキャナー・ダークリー(2006)を作っているが、それもよく作られていたと改めて感心。 |
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| 06'07'04 |
聖なる侵入
メタンに満ちた外宇宙の植民惑星でハーブ=アシャーは一人の男の子の名目上の父となった。その子インマヌエルは地球へと送られて育てられ、ハーブ自身は冷凍睡眠処理を施されて6年を眠ったまま過ごした。そしてハーブが目覚めた時から、二人の運命は世界の運命へと結びついていく。
なんか昔読んだ著者のヴァリスっぽい作品だと思いながら読んでいたが、あとがきでこれが二部作だったと書かれていた。なるほど似てる訳だ。ヴァリスと較べると遥かに物語はこなれているし、エンターテインメントとしての質は上。ただし、SF的な体裁は取っているものの、実質的には著者オリジナルの哲学的、宗教的な思想が詰まった作品として読むべき作品。 |
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| 09'09'06 |
ペイチェック
著者による短編を再編成した短編集。「ペイチェック」「ナニー」「ジョンの世界」「たそがれの朝食」「小さな町」「父さんもどき」「傍観者」「自動工場」「パーキー・パットの日々」「待機員」「時間飛行士へのささやかな贈物」「まだ人間じゃない」を収録する。
時間順に約20年の時間を通して書かれたものを収録している。時間軸に従うと、徐々に著者の作風が壊れていくのが分かってくる。特に前半はSFマインドに溢れた設定重視に、中期はディストピア風、そして後期は時間と空間をねじ曲げて、なんか訳の分からないものに。ただ、どの時間軸においても、映画になりやすいものばかり。なるほどディック原作の映画が多いのは頷ける。 |
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