Home
Book

藤田和日郎

(検索) <amazon> <楽天>
 日本の漫画家。北海道旭川市出身。本名:藤田和宏。

北海道旭川東高等学校、日本大学法学部新聞学科卒業。現仕事場は東京都豊島区。血液型はA型。

1988年(昭和63年)に「連絡船奇譚」が『週刊少年サンデー』の増刊号に掲載されてデビューし、1990年(平成2年)より『週刊少年サンデー』本誌で開始した「うしおととら」で連載デビュー。代表作に『うしおととら』・『からくりサーカス』・『月光条例』・『邪眼は月輪に飛ぶ』など。主に『週刊少年サンデー』で活躍。…Wikipediaより。
 私が著者の作品に出会ったのは「うしおととら」以来。非常に純粋で正義感の固まりのような主人公がどんな酷い目に遭わされようと力強く生きていく姿は、非常に古くささを感じるのだが、逆に最も燃える設定ではある。私にとっては非常に貴重な漫画家。
からくりサーカス
月光条例
その他

からくりサーカス 

02'08'17 からくりサーカス 24 著者の作品に出会ったのは「うしおととら」以来。非常に純粋で正義感の固まりのような主人公がどんな酷い目に遭わされようと力強く生きていく姿は、非常に古くささを感じるのだが、逆に最も燃える設定ではある。私にとっては非常に貴重な漫画家。
 この作品は「うしおととら」の流れを非常に強く受け継いでいるが、計算され尽くした設定と、緻密な描写。その中で絶望に苛まれつつも強く生き続ける主人公達の姿は本気で背筋がゾクゾクするほど。1〜3巻までは非常に単純な冒険話が語られるのだが、4巻以降、「からくり編」と「サーカス編」に分かれた辺りから物語は非常に奥深くなり、しかも伏線や設定の山が徐々に明らかにされていくのは読んでいて極めて快感。現在進行形の「からくり編」は最初の内は物語的に弱いか?と思っていたのだが、22巻からこちらも非常に面白くなってきた。明らかに「サーカス編」とのリンクもあるし、まだまだ目の離せない作品。
<A> <楽>
02'10'24 からくりサーカス25
 勝の過去への旅は続く。世界中にゾナハ病を撒いたフランシーヌと、《しろがね》エレオノールの関係、そして謎の自動人形達との戦いの果てに見たものは…
 ちょっとストレスが溜まっている時に読んだのがいけなかったか。このベタベタな展開に、目頭が熱くなってしまった。それにしても著者は本当に見事に設定を作ってくれている。色々設定とか展開とかを推測するのが好きな私の予想をことごとく外してくれるし、こういうジンっとくる話も描く。まだまだ目が離せない作品だ。
<A> <楽>
03'01'27 からくりサーカス26
 勝の過去への旅も終焉に近づいてきた。勝の父の狙いと所行とは。《しろがね》エレオノールと勝の関係とは。そして勝とは一体何者なのか。「サーカス編」全ての謎が一点に集約する。
 いやはやよく考えたもんだ。まさか1巻でここまでの伏線を引っ張ってあったなんて(恐らくこれは苦し紛れではなく、確信犯だ)、さすがだ。設定マニアとしてはここまで予想を超える設定を出してくれると拍手を贈りたくなってくるね。

 以降伏せ字での先読み(笑)
 それにしても○○には、まだ秘密があるはず。彼が××であり、△△△△△△であるとすれば、「からくり編」とのつながりが出てくるし、最後に◇◇が登場する伏線ともなる。●が○○となるのはストーリー上あり得る話で、そこから一気に二つのストーリーがまとまっていくはず…
 見苦しい点、お詫びします。次巻も楽しみ。
<A> <楽>
03'03'19 からくりサーカス27
 勝の過去への旅はようやく終わりを告げる。勝を貞義と断定し、殺そうとする正二とギイだったが、突如変貌した勝は、誰も知らぬ過去の事を話し始める…貞義(ディーン)の正体とは…
 以下は1月27日の読書日誌に書いたものだが、伏せ字を全部公開して再度書いてみよう。
 それにしても貞義には、まだ秘密があるはず。彼が白金であり、フェイスレスであるとすれば、「からくり編」とのつながりが出てくるし、最後に鳴海が登場する伏線ともなる。貞義となるのはストーリー上あり得る話で、そこから一気に二つのストーリーがまとまっていくはず…
 うーん。半分は当たってたな。「からくり編」でのフェイスレスの退場がいかにも伏線っぽかったから、つなげてみたんだけど…
 この巻では最後に絶体絶命の危機を迎えて終わったけど、今までの伏線から逆算すれば、必ず奴が出てくるはず…終わりも近いかもな。
<A> <楽>
03'06'24 からくりサーカス28
 ついに姿を現した貞義=フェイスレスの率いるしろがねO部隊により蹂躙される黒賀の人形の郷、そして身動きの出来ない??。貞義から逃げろと言われた勝だったが、踏みとどまり、その小さな手で戦うことを選択する。並み居るしろがねOとフェイスレスに対し、勝が取った方法とは…
 あらら?こういう展開なの?予想が外れてしまったよ。お陰でこの物語はまだ長続きすることになった。設定のあらかたが明かされ、後はからくり編とサーカス編が結びつくだけだと思ったのだが、これからも楽しませてもらえそうだ。その前に著者の才能が枯渇しないことを願おう(続いてしまったから駄目になった漫画家ってかなり多いしね)
<A> <楽>
03'09'18 からくりサーカス29
 「しろがねを守る」。悲壮な覚悟を決め、仲町サーカスから離れ、人形繰りの特訓を始めたマサル。マサルから拒絶されたと思いこみ、失意の底にあったしろがね=エレオノールの前に、あの男が現れた。だが、彼女を宿敵と思いこんでいた鳴海は彼女に襲いかかっていく…
 ここのところ話自体は確かに盛り上がっていた。だけどどこか乗り切れないものを感じていたのだが、本巻を読んではっきり何が足りないのか分かった。鳴海の存在感こそが、私が読みたかったものなんだな。主人公らしい存在感だよ。悲しい誤解がここには出てくるが、それでもぐっと話が締まってきたように感じる。
 いよいよ「からくり編」と「サーカス編」とが結びついた。これからの話の展開に期待したい。
<A> <楽>
03'11'20 からくりサーカス30
 人形繰りの村、黒賀村に居候している勝は、居候先の末っ子平馬と組んで大晦日の奉納人形相撲に参加することになった。並み居るライバル達をなぎ倒し、快進撃を続ける勝・平馬組だったが…
 この巻はメインの物語としては殆ど進むことなく、かなり盛り上がってきたはずの展開を敢えて捨て、展開を遅らせているように思える。なんだか一昔前のジャンプノリと言うか…しかし、そう思って読んでると足をすくわれるのが著者の特徴だったりもするからなあ(著者の場合、余計だとばかり思ってたストーリーが変にラストで絡んでくることが良くある)。まあ、しばらくは気楽に読ませてもらおうか。
 ところで、本作は主題の一つとして“笑顔”というのがあるのだが、本当に笑顔の描き方が巧い。今回はいきなり復活してゴスロリの少女姿となった(GHOST IN THE SHELLか?)コロンビーヌの不気味な笑顔が妙にはまってる。笑顔ったって色々あるんだね。
<A> <楽>
04'02'19 からくりサーカス31
 勝とトルネード・ラプソディ、平馬と五郎の戦いが同時に行われる。戦い終わり、コロンビーヌは勝に、「あの女を守って、アンタに何の得があるの?」と訊ねるのだった。一方仲町サーカスに寄宿している鳴海は、しろがねに、この8ヶ月の間に何があったのかを語り始めるのだった。
 今ひとつ盛り上がらないまま終わってしまった感じの巻だったが、勿論これはこれでいい。マンガに限らず、物語に一番大切なのは緩急なんだから。
 それにしても「あの女を守って、アンタに何の得があるの?」と言う問いは面白い。と言うより、殆どのアクション作品において、これだけ根本的な問いがストレートになされたことを評価すべきだろう。
 「何故おまえは戦う」…昔のアニメであったなあ。『海のトリトン』(DVD)とか『無敵超人ザンボット3』(DVD)とか…ありゃ?どっちも富野作品か。
<A> <楽>
04'05'20 からくりサーカス32
 しろがねに空白の8ヶ月を語り始める鳴海。それはしろがねを驚愕させるに充分な内容だった。一方、黒賀村の勝は姉の一人、れんげの家出を阻止するため、そして人形繰りの腕を高めるため、試練の洞窟へと入っていく…
 著者の作品は、思いもしない設定の展開が起こるので面白い。てっきり誤解によって鳴海はしろがねを襲ったのだと思ってたんだけど、実は全てを知った上で、しろがねを敵として認識していたと言うことが分かる。あれだけ感動させておいて、それさえも設定のなかに取り込む著者の力量に素直に感心。
 一方の勝の物語は、ストーリーが進行してるんだかしてないんだか。ただ、こういった無意味に見える物語が意外な展開することもあるしなあ。
<A> <楽>
04'07'20 からくりサーカス33
 黒賀村で夏を迎えた勝の元に仲町サーカスがやってきた。久々の再会に大喜びする勝としろがねだったが、しばしの別離は二人の間それぞれに互いには明かせない秘密を作っていた。そんな時、フェイスレスの放つ最強の刺客が黒賀村へと近づいてきていた。最古の四人と呼ばれるアルレッキーノ、パンタローネさえも歯牙にかけぬ強さを持つその自動人形シルベストリと戦うことになった勝だが…
 黒賀村の話はどうも閑話休題的で、さほど面白いとは思えないのだが、著者のこと。最終回への伏線が山ほどぶち込まれているんだろう。これからどういう展開となるのか、とりあえず楽しみにさせていただく。
<A> <楽>
04'10'19 からくりサーカス34
 陰で命をかけた戦いを続けつつも、勝にとって楽しかった黒賀村での夏も終わる。勝のお陰で、村人はだんだんと明るくなっていった、まさにその時、悲劇は起こる…
 ちょっと中だるみっぽいストーリーがこれまで続いていたが、いよいよ物語は佳境へと入っていく。幸せいっぱいな姿を映し出し、そこから絶望のどん底へとたたき落とす著者の筆は冴え渡っており、これが何と言ってもこの著者の好きなところ。しかし最終タイトル(かな?)が「デウス・エクス・マキナ(機械仕掛けの神)」とはなんともはまった題となってる。
 これから話は一挙に進んでいくのだろう。期待度満点で読ませていただこう。
<A> <楽>
04'12'20 からくりサーカス35
 ついにフェイスレスによるゾナハ病の世界的散布が始まる中、フェイスレスの言うゲエムは佳境を迎えていた。しろがね=エレオノールを狙うオートマタ「最後の四人」が迫り来る中、勝はしろがねを守ろうと奮戦するが…
 終末後の話を描く話となったが、ラストストーリーは始まったばかり。ストーリーそのものはまとまってきたと思ってたのだが、最後の最後に大風呂敷を広げたもんだ。個々の物語が盛り上がってきているが、はてさて、一体どのような展開になるやら…「うしおととら」の時は大体ラストも分かってたのに、これはマジで分からん。
<A> <楽>
05'02'20 からくりサーカス36
 かつて鳴海が訪れたアメリカのイリノイ州にあるレイ研究所でゾナハ病を撃退する機械が完成したという。しかし、今や世界中でゾナハ病が蔓延し、その研究施設も機械人形達に襲われていた。ギイやミンシアと合流した鳴海は、一路研究所に向かう。
 これまでの設定と緊張感がかみ合った話から、全編単純なアクション作品へと方向転換したお話。久々に鳴海が大暴れするのだが、話が今ひとつ単純すぎる感じがして、出来としては今ひとつと言ったところか。尤も、著者の場合、こういう話の中にもしっかり伏線が張られていたりするので、後になって意味が出てくるのかも知れないけど。
 それと、どういう訳か、自動人形たちのデザインがどうにも今ひとつのものばかりというのもなあ。
<A> <楽>
05'06'03 からくりサーカス37
 ゾナハ病を治す事が出来る機械「ハリー」をフウの元に戻すため、鳴海にとっては、子供達を守るため、オートマタとの戦いは続く。次々に仲間は倒れ、しかも続々とオートマタの増援が来る中、彼らは戦い続けていく。ミンシア、ジョージ、そして阿紫花が…
 この作品、本当にピンポイントで私の涙腺を刺激してくれる。前にあれだけ嫌な奴だったジョージがあんな死に方をするなんて事もそう。しかも最後が、本当にやりたいことを見つけたジョージが悔しそうな顔でねえ。
 鳴海はここでも強いけど、彼の取り巻く状況は本当に絶望的だというのも凄いところだ。
<A> <楽>
05'08'02 からくりサーカス38
 ゾナハ病治療機械“ハリー”を巡り、鳴海らはぼろぼろになりながらも群れなすオートマタとの戦いを続けていた。一方しろがね奪還のため、敢えてフェイスレスの張った罠にかかり、オートマタたちの本拠地に単独乗り込む勝と、その勝を追うリーゼ達。決戦の場目指して、それぞれが集結しようとしていた…
 裏扉に著者が「単行本三十何冊かけて用意してきた」というだけあって、盛り上げ方はかなり高いものとなっている。ここまで抑えながらここまで描いてくるのは本当に大変だっただろう。最終章に向け、これからどんどん盛り上がってくれることを期待度満点で待っている。
<A> <楽>
05'10'23 からくりサーカス39
 フェイスレスに捕らえられたしろがねを救うため、勝、平馬、リョーコ、リーゼの子供達は全員フランスのモン・サン・ミッシェルに集結する。彼らの前に現れたしろがねO達との戦いを通し、彼らが得たもの、そして失ったものとは…
 クライマックス前の展開で、アクション部分は全開。その中で一人一人が色々な出会いを果たしていく。そのバランスが絶妙といった所。特に中盤までの敵であったオートマタの「最古の四人」が妙な所で絡んでくる所が大変興味深い。個人的には大変お気に入りのキャラ、リーゼがいい顔してる。このキャラの無表情さがなんともツボだ。
<A> <楽>
06'01'06 からくりサーカス40
 囚われのしろがねを救いに来たはずが、フェイスレスの罠にはまり、ついに記憶のダウンロードを受けてしまった勝。勝は新しいフェイスレスとしてしろがねと共に宇宙に行ってしまうのか?そしてその勝を手助けする面々はそれぞれ最強のオートマタ“最後の四人”を前にどう戦うか…
 丁度良い所で前巻が終了し、その盛り上がりが継続された話となった。それぞれに相手が決まっているというのはやはり少年漫画の王道だが、結構意外な展開が待ってもいた。
 特にこれまで“最古の四人”として人類に敵対していたそれぞれのオートマタが人間側に与するようになり、更にその一人コロンビーヌが死んでしまうという展開はなかなか泣かせる。
 …しかし、こう見てみると、やっぱり著者が『金色のガッシュ』著者雷句誠の師匠と言うことがよく分かる。
<A> <楽>
06'03'10 からくりサーカス41
 一人宇宙に行ってしまったフェイスレスは全人類に対する怒りを露わにし、残り2週間でゾナハ病に罹った人間を滅ぼすと語る。それを防ごうと、フウは鳴海としろがねを乗せたスペースシャトルを宇宙ステーションに連れて行こうと絶望的な計画を立てる。だが、自動人形の生まれ変わりとおもわれているしろがねは生き残りの人間全てから疎まれていた。そして彼女に対する怒りを隠そうともしない鳴海…
 いよいよラストに向けて疾走する物語。私なりに本作のキー・ポイントは笑顔だと思うのだが、この巻では本当に笑顔が少ない。笑っているのは新しい顔を手に入れたフェイスレスと、ついに最後を迎えたギイの寂しそうな、そしてすべき事を全て成し遂げた満足そうな笑顔だけ…それも含め、買って良かったと思うよ。
 そうそう。前々から「これはどうなったのか?」と思ってた設定上の問題点がちゃんと明らかにされているのもチェックポイント。巧い作りだ。
<A> <楽>
06'05'28 からくりサーカス42
 宇宙にいるフェイスレスから直接ゾナハ病原体の止め方を聞き出すため、鳴海、しろがね、そして仲町サーカスの面々はスペースシャトルを乗せた列車で一路飛行場のあるロシアへと向かう。だが一方、それを阻止すべく“最後の四体”を初めとする自動人形達も又、列車を目指していた。執拗な自動人形の攻撃により、一人また一人と仲間を失っていく面々…
 長きに渡って続いてきたこの物語もいよいよ終わりが見えてきた。これまでの全ての登場人物が一堂に会し、更に次々と退場していく。それに一抹の寂しさを覚えつつも、否応なく派手に盛り上がっていく。さあ、残す所はたった一巻だ。最後までつきあわせていただこう。
<A> <楽>
06'09'03 からくりサーカス43
 片道シャトルでフェイスレスのいるステーションに登ろうとする鳴海。だが、機械人形の生き残りとの戦いの中、現れた勝は鳴海に地球に残って幸せになるようにと告げ、勝自身がシャトルへと乗り込んでしまった。鳴海としろがねの関係、そして全世界を覆うゾナハ病は根絶出来るのか…激動の最終巻。
 連載開始から9年。その間にもアシスタントが二人もTVアニメ化するようなブレイク作の漫画家になるなど、バックステージでもにぎやかな作品だったが、ほとほと感心するのは設定の回収方法。よくぞここまで細かい設定を忘れずにいて、ちゃんと辻褄合わせることが出来るものだ。しかもその中でドラマ部分もしっかり泣かせる内容になってる。総括で言っても凄い作品だった。
 特にこの巻、表紙が今まで絶対に描かなかった主人公三人の最高の笑顔が描かれている。この表紙見るだけで、なんか感無量って感じ。しろがねの笑顔がラストになると思ったのが違っていたけど、これはこれで良い。やっぱり良い作品だよ。近々全巻通して読み直してみよう。って気にさせてくれた。
<A> <楽>
 

 

月光条例

08'07'24 月光条例1
 数十年に一度真っ青な月の光がおとぎばなしに届く時、おとぎばなしの物語は狂ってしまう。その狂った物語を直すため、おとぎばなしの国から、人間界へと助力を願う「月光条例」執行者が送られてくる。今回、町の乱暴者として知られる岩崎月光がその執行者に選ばれてしまう。根っからのへそ曲がりで素直に言うことを聞こうとしない月光だが…
 「からくりサーカス」以来久々となる少年誌連載作品。いかにも著者らしい作品で、正義感だけはものすごくあるひねくれ者が主人公。今回その相棒が女性二人(?)ってのがちょっとこれまでとは異なるが、実にストレートな作品になっていて、大変好感が持てる。今回の物語は「鉢かづき姫」「三匹のこぶた」が展開。
<A> <楽>
08'10'16 月光条例2
 一寸法師の鬼が月打された。そう聞かされた鉢かづきは、物語を救うべく月光に助けを求める。だが「武器として女を振るえるか」と頑なな月光に、鉢かづきがとった方法とは…
 今回の昔話は一寸法師とシンデレラ。メインは一寸法師の方にあるが、尺が短い割にえらく色々詰まってる。これだったら丸二巻くらい使っても充分なくらい。
 これまでの著者の作品はスロースターターなのが多かったけど、これに関しては結構早い内に面白くなってるね。ただ物語の構造上細かい話の連発になるだろうから、それをどうやって大きな話につなげていくかがこれからの課題だろう。
<A> <楽>
09'02'05 月光条例4
 月打されたシンデレラが現れ、次々と道行く車に高速バトルを挑んでいく。月光と鉢かづきは、月光の悪友天道の力を借りてレースバトルを受ける事に。一方消えゆくシンデレラの世界を救うべく、王子に乞われ物語の中に入り、シンデレラの代役を務めることとなったエンゲキブ。二つの世界で物語が進行する。
 今回の話は「シンデレラ」。新キャラも増え、更にこれまでパートナーでしかなかったエンゲキブがピンで主役を得ることとなった。色々とバリエーションを増やしつつ話を膨らませているようだ。
 毎回旧作からの登場人物が出てくるが、今回は「うしおととら」から西と東の妖怪の長、「からくりサーカス」から鳴海としろがねがちゃっかり登場してる。
<A> <楽>
09'08'07 月光条例5
 月光条例の執行者月光とハチカヅキ。だがそんな二人の前にもう一組の月光条例執行者が現れた。“長靴をはいた猫”のイデヤ・ペローと、そのパートナーである“トショイイン”こと工藤。ハチカヅキを「違法執行者」と断定するイデヤに動揺するハチカヅキ…
 今回は前巻に続き「うりこひめとあまのじゃく」「ブレーメンの音楽隊」「おむすびころりん」が展開。ライバルキャラの登場となるが、ちょっと唐突な登場って感じ。テコ入れだろうか?話自体は相変わらず熱く、見応えがあるのでそれで良いんだけど。
 ところで、新登場のトショイインは明らかに著者とは違うタッチで描かれることがあるけど、それだけ個性のあるアシスタントが入ったのかな?
<A> <楽>
09'10'16 月光条例6
 次に月打されたのはあかずきんちゃん。だが、その行動には一貫性が見られ、特定の人間を殺すために動いているようだった。その事にいち早く気づくトショイイン工藤だが、相棒のイデアはそんなことお構いなしに月光条例執行を執り行おうとする。だが、そんな彼らを突然現れた月光が邪魔をする…
 主人公が変換し、一巻まるまるトショイインの視点で描かれた話になった。でもこの方が月光の考えとかが分かってくるので、かえって物語としてのバランスはこちらの方が取れているようだ。鉢かづきとかエンゲキブは割食って全然存在感無くなっちゃったけど。
 著者の言葉でこの物語はそんなに長くないとか書いていたが、一体どの程度の長さになるのやら。
<A> <楽>
09'12'11 月光条例7
 月打された「フランダースの犬」のパトラッシュに襲われかけたネロを助ける月光たち。だが、その最中、多量の海水に飲み込まれてしまう。なんとこれまた月打された「浦島太郎」の乙姫が浦島太郎を追ってきたのだ。乙姫によると、玉手箱にこそ月打の力を消し去る秘密があるとのことだが…
 今回は短編二つを置いて、かなり変則的な長編ものになった。「フランダースの犬」と「浦島太郎」がクロスオーバーする話だが、それ以外にも鉢かづきとはぐれてしまった月光が、何故か使えるはずのない執行者の力が使えているとか、設定の根幹に入り込むような物語になってる。そういえば月光とトショイインは二人とも孤児なんだよな。その二人に敢えてコンビを組ませたのも理由がありそう。
 そういえば、「フランダースの犬」の主人公は、私が子供のころ読んだ本では「ネルロ」になってた。調べてみたら、本名はニコラスで、ネロは通称だそうだから、どっちでも良いらしい。
<A> <楽>
10'03'11 月光条例8
 地球上を全て海に変えようとしている月打された乙姫を止めるべく、月光と共に乙姫の所に乗り込んだネロ。これまで何もしていなかったことを痛感したネロが叫んだ言葉は?その他、中編で「人魚姫」と、いよいよ鉢かづき姫の渾名「呑舟」の名の由来を語り始める「血のハート」篇の開始の物語。
 著者本人が「嫌い」と言っていたが、この作品の中では「フランダースの犬」と「浦島太郎」は完全に書き換えられてしまった。マンガだから良いんだろうけど、これはこれでちょっと疑問は残る。最後に乙姫が月光に向かって言った台詞「<読み手>ではあるまい」は見え見えの伏線になってる。著者の作品の場合、伏線がとんでもない結果になることもあるから、そちらは結構楽しみ。本作の場合はもう一つ。桃太郎の出てくる「血のハート」篇。こちらはどうやら鉢かづきに関わることだろうけど、最近どんどん存在感が薄れていったイデヤが存在感を見せてる。描写もなかなかに残酷になっていって、雰囲気が良い。
<A> <楽>
10'06'20 月光条例9
 月打された桃太郎が望むのは最強の武器である“呑舟”こと鉢かづきだった。そのためにツクヨミメンバーを次々屠り、鉢かづきが現れるのを待つ桃太郎。その事を知ったイデアは鉢かづきを連れ、桃太郎の前に立つのだが…
 「血のハート編」はまだ続いている。基本はイデアが試練を乗り越えるまでの話なのだが、ここまでに月打を治した赤頭巾ちゃんとシンデレラも登場。鉢かづきと月光の真実についても少しずつ明らかにされていっている。終わりもそろそろ近いのだろうか?
 ところで、設定上気になる点なのだが、月打されたキャラが物語に戻らないと物語そのものが消滅してしまい、その時キャラクタも消えるのだから、桃太郎に殺された人間達もその時点で元に戻るはずなのだが、その事については何も言及されてないのね。
<A> <楽>
10'09'08 月光条例10
 月打された桃太郎の攻撃を生身に受けながら、全くの無傷だった月光。なによりその事実にショックを受けたのは月光自身だった。自分は人間ではないのか?と悩む月光の元に、新たな事件が起こる…
 前巻で月光の出生に関するかなり重い設定が入ってきて、それで話が展開しているのだが、それで実際の物語は仲間内全員で海に行ってはしゃいでいるだけ。と言う、面白い構造を取っている。コメディ要員がどんどん増えていき、ついには正気に戻った桃太郎まで完全なギャグキャラとして再登場してる。お陰で結構楽しい作品に仕上がってた。
 多分次巻以降のハードさの箸休みなんだろうけどね。
<A> <楽>
10'12'08 月光条例11
 おとぎ話のキャラクター達を閉じ込めていると言うアラビアン・ナイトの絵本に入り込んだ月光たち。だが事前に察知されてしまっており、偵察だけの予定が逆に包囲網のただ中に入り込んでしまう。分断されてしまった仲間達は、数多くの月打されたアラビアン・ナイトのキャラ達と戦いを余儀なくされてしまう…
 物語を横断して様々なキャラ達が一堂に会するお話しで、いよいよクライマックスも近いのかも知れない。月光の過去に関しても、少しずつではあるが明らかにされていってる。
<A> <楽>
11'02'02 月光条例12
 魔法の壷の中でアラディンに対抗する魔法を使うべく特訓を開始した月光。一方、外の世界では、このアラビアン・ナイトの世界で何が起こっているのか、事情を知るもの達からその説明を聞く面々。「青い鳥」の物語にまつわる物語を…
 話は過去の回想となり、青い鳥の主人公チルチルが、いかにして月打され、全ての物語を巡るようになったのかが描かれていく。いくつもの物語を巡ると言うその構造自体が、実はキャラの悲しみをその身に負うと言う事でもある。昔話って結構残酷なものって多いから。
 しかし、月光の正体についてはここまで引くか?と言った感じ。まだ何者か分かってないのだが、チルチルの言動が月光とかぶさってるのは伏線なのだろう。
<A> <楽>
11'05'19 月光条例13
 千夜一夜物語の中で、ここにやってきて大魔法使いとなったチルチルの過去を聞く面々。一方、ランプの精の導きで、魔法修行を開始した月光。しかし、月光はこの世界に来たが決して初めてではないことに気づき始めていた…
 前回からの話の続きで、チルチル=月光という構図が明確化してきたのだが、そうすると今度は何故チルチルは二人いるのか?と言う疑問点が生じてきた。はてさてどんなオチを付けようというのやら。物語は根幹に関わる話となっているので、このまま一気に物語を畳んでしまう事もできるが…
<A> <楽>
11'08'11 月光条例14
 《昔語り》月打された「青い鳥」のチルチルはマッチ売りの少女と共にアラビアン・ナイトの世界に立て籠もり、そこで月光条例執行者達を待ち受けていた。次々に強大なチルチルの魔法によって執行者達は倒れ続けていく。
 そして、現代で、やはりアラビアン・ナイトの世界にやって来ていた月光は、自らが何者であるのかを悟っていた。
 一応過去編のチルチルの話は結論が付いた。しかし、それでは問題として何故チルチルは再びアラビアン・ナイトに戻ってきたのか、そしてその目的と、そして何故月光自身がチルチルの記憶と顔を持っているのか。その辺はまだ明らかにされていない。はてさてどんな物語展開になって行くやら。
<A> <楽>
11'11'15 月光条例15
 アラビアン・ナイトの世界でチルチルは願いキャノンの発動のため打ち出の小槌を手に入れようとしていた。それを阻止すべく、捕まっていた月光条例執行者の面々は立ち上がり、打ち出の小槌で勝手な願いを発動してしまおうと考える。だが、チルチルの魔法は強大で、少しずつ追いつめられていく執行者たち…
 なんと主人公の月光が全く出てこない巻。でもいかにも総力戦って感じでなんか終わりっぽい雰囲気になってきた。早いような気がするのだが、それでももう15巻なんだな。丸三年連載してるのか。
 そう言えば孫悟空が出てきたが、今や西遊記じゃなくてドラゴンボールをイメージしてしまうのがなんとも。
<A> <楽>
12'02'26 月光条例16
 ランプの中から現れたのは、チルチルとしての記憶を取り戻した月光本人だった。だがその前に現れたのは、アラビアン・ナイトの世界を支配するもう一人のチルチルだった。一方打ち出の小槌を奪われまいとするトショイインらの前に次々と現れる魔神たち。その攻撃の前に少しずつ削られていく仲間達だが…
 月光の方は想定通りチルチル同士の戦いとなっているが、他の面々については、なんか「金色のガッシュ」に出てきたウンコティンティンみたいな魔人との謎々合戦。なんだかなあって感じになってきた。
<A> <楽>
12'05'03 月光条例17
 月打され、自分の物語に帰ったチルチルだが、戻ろうとした彼の前に、そこには彼そっくりのチルチルが存在した。物語に戻ることが出来なかったチルチルは何故か日本に飛ばされてしまった。そこで出会ったセンセイと呼ばれる人物の家に寄宿することとなり、名前もサンキチと変え、農夫の生活を送ることになるのだが…
 本編の方は少しお休みとなり、チルチル=月光の昔話。100年近くも昔。センセイ=宮沢賢治との邂逅と、そこでの彼の活動を手伝う月光=サンキチの活躍が描かれていく。そういや宮沢賢治は出てきて然りの人物だったか。
<A> <楽>
12'07'06 月光条例18
 ランプの中で月光が見たもの。それは自らが過去どんな経験をしたのかだった。そこで出会ったセンセイと高勢露との経験を通して月光は何を見たのか。一方、打ち出の小槌を持った一寸法師はお願いキャノンへと近づいていったが…
 こういう泣ける展開はとにかく上手い著者…のはずなのだが、この話はそんなに面白いとは思えなかった。う〜ん。パワー不足というか、もうちょっと引きが必要だったというか…
<A> <楽>
12'09'15 月光条例19
 アラビアンナイトの世界で、チルチルのしようとしていたことは、全てのおとぎ話を消し去る事だった。それを阻止すべく、全ての記憶を取り戻した月光はチルチルの元へと向かう。同じ顔と能力を持った月光とチルチルの戦いの行方は…
 チルチル編のクライマックスなのだが、どうにも話が盛り上がって見えない。多分それはバトルに魔法を導入したことで、なんでもありになってしまい、しかも真っ正面からの戦いばかりなので、メリハリが感じられないというのが致命的か。とにかく早く終わって、次の作品作ってくれた方がいい気がしてきた。
<A> <楽>
13'03'29 月光条例20
 ついに激突するチルチルとチルチル。月光はもう一人のチルチルを阻止しようと激突するが、そのもう一人のチルチルは、なんとこの世界の全ての物語を消滅させようとしていた。
 何故チルチルが二人いるのか、そしてそのもう一人のチルチルがなにを目的としてきたのかが明らかにされる話。話としては盛り上がっているのだが、その“真実”ってのがたいしたことじゃなくて、割と興ざめな部分もあり。月光が今度は物語に戻されてしまう事になりそうなのだが、これが最終になるとは思えず。もう一波乱あるだろう。
<A> <楽>
13'04'05 月光条例21
 重罪人チルチルとして絵本に強制送還されることとなった月光。この世界での生活も残り僅かとなったが、そんな月光にとって、かつてセンセイとの約束であった「露を幸せにする」事が出来なかったことだけが心残りだった。だが、そんな時にも次々と絵本の物語が消え去っていく…
 著者のマンガは大好きだったが、この作品に関してはちょっとパワー不足をずーっと感じ続けていた。いつか化けるだろうと思いつつ、ここまでつきあってきた訳だが、ここに来て、ついに本当に化けた。ひょっとして、今ひとつのまま終わってしまうのでは?と思ってただけに、これは嬉しい誤算。まさかミスリードをきちんと使っていたとは思わなかった。
 さて、ここから伏線の回収に入るだろうけど、どこまで回収してくれるか、一気に楽しみになってきた。
<A> <楽>
13'06'08 月光条例22
 彼女こそがカグヤであったと分かったエンゲキブ。だが本当に彼女が月に帰れば幸せになるのか?その事を突き止めようと、月光はミチルからもらった帽子を使ってカグヤの故郷へと向かう。だがそこで見たものは、月光の想像を超えた世界だった。そこで彼女は何をやって地上に落とされたのか、そして彼女を迎えることでその世界がどのようになるのかを知らされる…
 前巻から一気に話が面白くなったが、これまで様々に張ってきた伏線が一つ一つ合致していくという、一種の快感を感じ取ることが出来る。伏線回収の名手である著者だけのことはある。本当に面白くなった。
<A> <楽>
13'08'01 月光条例23
 カグヤの両親の助力で月の向こう側の世界の企みを知った月光と天堂は地上に帰り、そこで未曾有の危機が迫っていることを伝える。だが重罪人である月光の言葉を聞く者はなく、それでも何か手がないかと探す月光…
 自分の言うことを誰も聞いてくれず、その中で僅かな仲間達が結集していくという燃える展開。著者の一番良いところが出た話になっている。ただ、このパターンは過去「うしおととら」でやってたことの焼き直しでもあり。もうちょっと違った形にして欲しかった気もする。
 さて、それで月光が打ち出の小槌を使って願ったこととは…というのがこれからの話の焦点となるだろう。
<A> <楽>
13'11'10 月光条例24
 月からの攻撃は刻一刻と近づいていた。そんな中、お尋ね者として指名手配されてしまった月光は、その事情を知るものとして、たった一人で軍勢に立ち向かおうとしていた。そのために月光が取った行動とは…
 前巻で月光が打ち出の小槌に願った内容とは、おとぎ話の住民達を月からの攻撃の間だけ逃がすこと。おとぎ話の住民全ての者に嫌われ、それでも尚おとぎ話を救おうとする月光の姿が実に良い。攻撃前に時間取りすぎてやや間延びしてた感じがあり。
 でもこの巻で一番の見所は、月からの攻撃はおとぎ話に留まらなかったと言うこと。人間の生み出した全ての創作物が消し去れてしまうと言う事態になる。著者が生み出した「うしおととら」や「からくりサーカス」まで消し去ってしまってた。その際、見開き丸ごと白紙にしてしまうという暴挙にも出ている。ここまで徹底してよくやった。
 物語に逃げ込むことが出来なくなってしまった人間の無気力ぶりも人ごとではないよな。
<A> <楽>
13'12'19 月光条例25
 月からの使者達は地上にある全ての“物語”を消し去ろうとしていた。そんな彼らの前に立ちふさがる月光。圧倒的な物量を前に苦戦する月光だが、彼には一つの考えがあった…
 前巻がタメの部分に当たり、今巻になってから一気に解放された活劇シーン。一旦アクションになってしまうと後はあんまり語ることはないのだが、見所は非常に多く、一気に溜飲を下げるような話になっているのは確か。戦いの中で誤解が解けていく要素は「うしおととら」以来かな?
<A> <楽>
14'03'06 月光条例26
 月の者シンゼツとガンドウの二人と戦い続ける月光に心強い助太刀鉢かづきが現れた。それによって戦いは優位に立てたものの、それによっておとぎ話キャラが北極にいることが月の者達にばれてしまう。北極で身動きの取れないおとぎ話キャラ達に絶体絶命の危機が訪れるのだが…
 この巻は全編激しいアクションと、どんでん返しに彩られ、実に読み応えのある話になってる。特に最後、はだかの王様の機転によっておとぎ話キャラ達が復活していくシーンは燃える。これあってこそ著者作品だな。
<A> <楽>
14'05'15 月光条例27
 おとぎ話のキャラクターが選んだ方法。それは月の光を浴びて自らを月打させて、月の軍勢と戦うことだった。だが、それは最早物語には戻れないと言う事を意味する、死を覚悟してのギリギリの選択だった。一方、月の軍勢を退けるためにはオオイミを直接狙うしかないと軍勢の中核に突っ込む月光だが…
 命を賭けた決断を描くと、やはり著者は最高の演出力を持つ。読み応えはたっぷりあるし、少しずつ少しずつキャラが倒れていく描写には、流石にこみ上げるものがある。いやはや巧いね。
<A> <楽>
14'07'25 月光条例28
 オオイミ王の元へ向かう月光と鉢かづきは、次々に現れる刺客を踏み越えていく。一方、カグヤ=エンゲキブを守る天堂とトショイインの助勢に現れたイデヤと一寸法師。
 いよいよ大詰めを迎えた物語。今巻はイデヤの独壇場みたいなもので、これまで散々月光を責めていたイデヤの本心というのが明かされていく。この描写がパターンとは言いつつ、なかなかに泣ける。
 次はいよいよ最終巻。
<A> <楽>
14'11'02 月光条例29
 オオイミ王の元へとたどり着いた月光。だが退屈な日常から刺激を求めていたオオイミはそれを求めていた。圧倒的な力の前に、それでも戦い続ける月光だが…
 ラスボスであるオオイミ王との戦いがメインで、一番盛り上がるはずの話なのだが、なんかその最後の戦いがちょっと受け入れがたいものがあって、乗り切れなかった。著者の作品の、特に最後の戦いというだけにすごく期待していたんだけどなあ。
<A> <楽>

 

双亡亭壊すべし

17'03'21 双亡亭壊すべし 1
 普通の人間には入る事は愚か見ることさえ出来ない巨大な建物が都内にあった。だがそこに入る事が出来る僅かな人間は皆その建物に“食われて”しまう。双亡亭と呼ばれるその建物に、知り合ったばかりの少年が取り込まれてしまったことを知った絵本作家の凧葉 務は、突然何者かに拉致され、双亡亭の事を聞かれる。ほとんど何も答えられない凧葉だったが、その前に双亡亭を破壊すると宣言した柘植紅という少女が現れる…

 著者の新シリーズだが、少年漫画にしては極めて不気味な雰囲気を持つ作品で、これまでの著者の作品と較べてもかなりホラー性が強くなってる。
 当初変なタイトルかと思ったんだが、なるほどちゃんとタイトル負けしてない内容だった。
<A> <楽>
18'01'25 双亡亭壊すべし 2
 絶対に双亡亭を破壊すると言う総理の肝いりで集められた妖怪退治の専門家達。その中で一人弟のために戦うと言う柘植紅。そんな彼女を見捨てることが出来ない凧葉務は、過去双亡亭に関わっていたという事実を立て、強引に行動を共にする。一方紅の弟立木緑朗は謎の少年セイイチに振り回され続けていた。

 1巻読んでから結構間が空いてしまったが、訳の分からなかった1巻と比べぐんと分かりやすくなってきたし、展開も燃える。
 霊媒師やら科学者やらが大挙して出てきたが、それぞれ個性豊かなのも良し。
<A> <楽>
18'02'24 双亡亭壊すべし 3
 ついに双亡亭への突入が開始された。だが集められた霊能力者達は次々に絵に取り込まれ、全く別人となって残された者に襲いかかってくる。一度絵に取り込まれ、トラウマに直面させられた凧葉務は自力で正気のまま戻ってくることができた。その経験を活かして他の仲間たちを救おうとするのだが…

 何の役にも立たない主人公という画期的な話だったのだが、ちゃんとここで強さを見せている。双亡亭での戦いって、現時点ではメンタルの強さが一番の武器だというのが面白い。
 著者のタッチで過去のトラウマを描くと、そのおどろおどろしさが見事にはまる。やっぱりこの人、怪奇ものが一番だな。
<A> <楽>

 

その他

04'02'23 暁の歌
 著者による短編漫画集の2巻目。「瞬撃の虚空」「空に羽が…」「ゲメル宇宙武器店」「美食王の到着」の4編を収録する。
 著者の作品って、なんか古くさいながら、非常に惹かれる。ほんとに泥臭い正義感をストレートに演出するので、ひねくれた価値観を持つからこそ、新鮮に映るのかも知れない。
 参考文献を見てみたら、私が好きな作品ばかりが出てくる…なるほどなあ。この人も精神的に色々悩んで今の作品が出来てるんだろうね。
 ただ一つ。この人、スペースオペラだけはやらない方が良いと思う。
<A> <楽>
07'11'29 黒博物館スプリンガルド
 19世紀初頭スコットランドヤードが出来たばかりの頃。ロンドンにバネ足ジャックと呼ばれる愉快犯が登場した。暗闇の中で飛び回り、出会う人々を恐怖に陥れた怪人だが、ある時ぷっつりとその行動を止めていた。そして3年後、再びジャックは帰ってきた。だが今度のジャックは平気で人殺しをする存在として。調査に当たったロッケンフィールド警部は正体に心当たりがあると言うのだが…
 知らなかったが、切り裂きジャック事件の前にもロンドンにはこういう事が起こったのか。色々勉強になったし、物語の展開そのものも、そのままハリウッド映画にしても良いくらいの見事なバランスの良さ。著者の実力はまだまだ上がっている事がよく分かる。
 ただ、なんで少年サンデーにこだわり続けてあれだけの影響を与えた著者がモーニングで?小学館は取り逃がすべきじゃなかったと思うのだが。
<A> <楽>
07'06'25 邪眼は月輪に飛ぶ
 人を見るだけで死に追いやるという邪眼を持つフクロウ。アメリカ軍によって“ミネルバ”と命名されたこの生物兵器が事故で日本に解き放たれた。アメリカから派遣されたケビンとマイケルは、13年前このフクロウを撃った日本の猟師鵜平を引っ張り出すのだが、かつて“ミネルバ”を撃った際、妻を失っていた鵜平はすっかりやる気を失っていた。そんな彼を連れ出したのは養女の輪だった。
 ストレートで奥が深い。著者の作品はみんな同じだけど、読んでいてとても燃える。本作はマンガ一冊分で、ただ一羽のフクロウを撃つというだけの話なのだが、それにまつわる話が奥深く、四人のキャラがそれぞれちゃんとキャラ立ちしているので、読み応えがあり。やっぱりなんだかんだで著者のファンだから、とても楽しませてもらった。
<A> <楽>