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02'10'21 |
輝ける闇
記者としてヴェトナム戦争に参加した「私」。前線で、そしてサイゴンで見聞きした事を日記の形を取って描いた作品。毎日出版文化賞受賞作。
ちょっと前に著者の『夏の闇』を読み、その姉妹編として紹介されていた作品で、見つけ次第購入した(こんな事やってるからいつまで経っても本が減らないどころか逆に増えていく)。好みの問題だが、著者の作品は私の感性に本当にしっくり来る。これは実際にヴェトナム戦争に参加した著者の半ノン・フィクション作品だが、やはり文学者の感性は並じゃない。ほんの小さな事に臨場感を見出し、本当に怖いシーンを突き放して見る観方に、鳥肌が立つほどだった。前線と言っても実際は日常生活がその任務の大きな部分を占めるのだが、牧歌的な描写の中に、とんでもない緊張感をはらんでいることを、しっかりと描いているのは凄い。見事な作品だった。 |
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