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ダニエル・キイス

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(Daniel Keyes、1927年8月9日 - 2014年6月15日)
アメリカ合衆国の作家。ヒューゴー賞を受賞した中編とそれを長編化してネビュラ賞を受賞した『アルジャーノンに花束を』で知られている。オハイオ大学名誉教授。2000年、アメリカSFファンタジー作家協会はキイスに名誉作家 の名誉を授与した。
 …Wikipediaより。 
ソフト関係 映画・OVA
まごころを君に(1968)
アルジャーノンに花束を(2000)
アルジャーノンに花束を(2006)
TV
アルジャーノンに花束を
<A> <楽> 2002
アルジャーノンに花束を
<A> <楽> 2015
シリーズ
単発

単発

02'10'14 五番目のサリー
 ノラ、ベラ、デリー、ジンクスという四つの人格を有する多重人格症のサリー。彼女は自分の中に別人格があることを知らず、気を失って目が覚めるといつも厄介な目に遭わされていることに飽き飽きしていた。そしてとうとう意を決し、精神科医のロジャーを訪ねるのだが…
 短編のゴドウィン(『冷たい方程式』)、長編のキイス(『アルジャーノンに花束を』)、シリーズのセイバーヘイゲン(『バーサーカー』)。この三人の作家はかつて“SF界の一発屋”と呼ばれていた。代表作は一本だけ。しかもそれ以外の作品は殆ど人に知られていないと言う悲しい作家に付けられた不名誉な呼称だった。
 確かに『アルジャーノンに花束を』は著者にとって出世作であり、二度に渡る映画化、TVドラマ化もされる程の人気を誇る作品だった。
 実際、私はこれまでに3冊、『アルジャーノンに花束を』を買っている。最初の一冊は自分で読むため。次の一冊は当時つきあっていた女性にプレゼントするため。そして三冊目は家庭教師をしていた中学生に読ませるため…私にとって、かなり思い出深い作品だ。
 それを出して以来、キイスと言えば「アルジャーノン」という定式が出来てしまっていた。実際SF作家としての彼は他にほとんど知られることがなく、前述の“一発屋”としてのみ知られる存在となってしまった。このまま埋もれたままだろう。そう思っていた(むしろ埋もれたままの方が話のネタにはなった)
 だが、彼は大分経ってから見事にベスト・セラー作家として復活する。ただし、SFではなく精神医学分野での小説家(後にノンフィクション作家)として。
 本作はその復帰作である。
 実際読んでみると本作の質は実に高い。五人のはっきりと分かれた人格をそれぞれ魅力的に描いているのが一番の理由だが、それだけでなく起承転結がはっきりしているし、ちゃんとオチ部分であっと言わせる手法も取っている。見事な作りだったと言って良かろう。
 尚、これを今まで読んでなかったのは、買ったは良いけど押入の隅に放り込んだままだったから。と言う単純な理由。ようやく発掘(笑)できたので読み始めた。結構読み応えがあったな。
<A> <楽>
05'02'22 24人のビリー・ミリガン 上
 オハイオ州コロンバスでレイプ犯として一人の男が捕まった。だが彼は事件のことを全く覚えていない。実は彼こそがこの後、全米を騒がせることとなる多重人格の第一号として認められる事となる人物、ビリー・ミリガンだったのだ。実話を元に描かれる一人の男の数奇な運命を描く作品。

 実話と銘打っているが、描いているのが小説家だけに、半分は創作が入ってるみたい。それを差し引いても大変面白い作品だった。アルジャーノンに花束をで「一発屋」の異名を取った作者が再びブレイクした作品となり、この経験が元で新たなる小説五番目のサリーが描けたんだろうね。色々な意味で記念的な作品となった。
<A> <楽>
05'03'05 24人のビリー・ミリガン 下
 分裂したままのビリーは周り中を混乱に陥れながらも生きていたが、ようやく正式に多重人格と診断され、刑務所から精神病院へと入れられることに。無理解な人間達から中傷されつつも、少しずつ人格も統合されていくのだが…

 結局この作品ではオチは付けられないまま終わってしまった。この話ではビリーは多重人格のままだし、かえって病状は悪くなってるかのようにも見えてしまう。一体これからどのように人格が統合され、一人のビリーになっていくのか、これからが本番だということだ。そちらの方も早急に読んでおきたいところ。
<A> <楽>
05'05'10 ビリー・ミリガンと23の棺 上
 援助者の尽力にもかかわらず、ライマ精神障害犯罪病院に移されたビリー。そこは薬物と体罰が横行する恐るべき場所だった。そこでビリーの人格の分裂は激しくなり、統合者である“教師”はなんとかしてここから出る道を模索し始める…

 「24人のビリー・ミリガン」の続編。作品そのものは悪くないけど、ちょっとテンションは落ちたかな?先の作品では徐々に良くなっていったと思ったビリーの病状が、病院側の圧力によって酷くなっていく。その辺ビリーの半生そのものを描いた前作ほどのパワーは感じられず。やや間に合わせっぽい印象を受ける。多分これはビリーの人格があんまり出てこなかったこともあって、小説として見る分にパワー不足と思えたからだろう。
<A> <楽>
05'05'13 ビリー・ミリガンと23の棺 下
 繰り返される裁判の末、ライマからデイトン司法センターに移され、更に保護監察を勝ち取ったビリー。しかし、監視の目をかいくぐって脱走を図ったことが原因で、又しても彼の状況は暗転する。収監、ハンスト、訴訟を経て、ついには安定した精神を勝ち取るまでを描く。

 ビリーの生涯とは確かに波乱に満ちたものだが、ここでは分裂した人格はほとんど出てこず、その分メリハリが少なくなってしまった感じ。事実を元にしてると言うことは、リアルに書けば、こうなってしまうんだろうけど。これはただ読んだ。と言う印象のみ。
<A> <楽>
11'10'18 眠り姫 上
 ある夜、平和な家庭でその家の娘と、泊まりに来たボーイフレンドが殺害された。警察の捜査により、その犯人は、父親のロジャー・クレイとされた。その事を否定もせずにおとなしく捕まり、裁判を受けることとなるのだが、彼の精神治療に当たる事になった心理分析官のアイリーンは、彼の心の中に違和感を感じる。更に夢遊病患者のロジャーの妻キャロルを調べようとすると、その担当医コーラーはカルテを渡すことを頑なに拒む…

 心理描写には定評のある著者が今度挑むのは、夢遊病の心理のようだ。一応最初から娘殺しの犯人は特定されているのだが、それをどう膨らませるやら。
<A> <楽>
11'10'20 眠り姫 下
 娘殺しの汚名を着せられ処刑されようとしているロジャー・クレイ。彼の精神治療に当たっていたアイリーンは、彼の記憶を探る内に彼が殺人を犯していないことを確信する。だが処刑の日時は迫っており、その事を立証する手立ても限られていた。一方ロジャーの妻キャロルに睡眠療法を行っていたコーラー医師を調べる刑事のジェイソンは、コーラーから治療を受けているエリカという女性と知り合う。コーラーを調べる二人だが…

 上巻を読んだ限りはかなり現実に即した無いようかと思ったのだが、実際は心理療法をモティーフにしたSFだった。睡眠療法や前世療法といったものを題材に取ったミステリーで、これを80年代に題材にしたのは面白い。尤も、今もここまで科学は進んでないという事実もあるが。
<A> <楽>
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<A> <楽>