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三浦綾子

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03'03'03 氷点
 旭川で病院を経営している啓三の妻、夏枝が医師の村上と密会していた時、二人の愛娘ルリ子が殺されてしまった。夏枝の不貞をなじる啓三は復讐のつもりで何と殺人者の娘を養子にもらう。陽子と名付けられたその子を夏枝は溺愛するが、ある日夏枝は真実を知ってしまう…有名な洞爺丸事件(1954)を絡め、愛憎劇を繰り広げる著者のデビュー作。

 作家は二作目を読め。と言われる。一作目は気負いこそあるが、本当に作家としての力量を発揮出来るのは、一度内にある全てを吐き出した後の二作目からなのだから。と言うのが理由らしい。だけど、処女作というのは、その作者の思いの丈全てを打ち込んだものとなっているので、迫力が違う。
 著者の作品はかなりたくさん読んでるつもりなのだが、今まで処女作を読んでなかった。何せ厚いし内容も詰まってそうだったし、その内読むだろうと思って先回しにしていたのだが、いやはや。である。これはもっと早く読んでおくべきだった。本当に凄い。
 人がどれ程人に対し、怨みを持つ事ができるか、どれ程嫌な人間になり得るか、克明に描かれており、読んでいて辛くなってくるほど。だけど読むのを止める事が出来ない。本作の内包するパワーに圧倒されてしまった。
 著者の作品には共通して、心の奥から吹き出てくる闇が描かれる。しかし、それで終わらず、そこには「救い」が描かれるのが特徴で、それが著者を単なる悪趣味作家とは一線を画している。
 処女作が持つパワーというのはこう言う事か。
<A> <楽>
02'11'18 広き迷路
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 出世のため、常務の娘と結婚するために恋人の早川冬美と別れようとした男、町沢加奈彦は、知り合った探偵、田條に彼女を殺してくれるよう依頼する。彼は首尾良く彼女を殺すことに成功したと、加奈彦に報告し、彼は幸福な結婚をしたのだが、何故か加奈彦の前に冬美によく似た女性が現れるようになった…

 著者の作品は悲惨なものが多いが、そのどこかに救いが現れるので、そこが好きなのだが、本巻は随分と気を持たせた割りに本当に悲惨なだけの作品になってしまった。テレビでやるサスペンスものの陳腐さとなんら変わるところがなかったのが残念。文章自体は巧く、引き込まれはしたけど。
<A> <楽>