| 03'03'03 |
氷点
旭川で病院を経営している啓三の妻、夏枝が医師の村上と密会していた時、二人の愛娘ルリ子が殺されてしまった。夏枝の不貞をなじる啓三は復讐のつもりで何と殺人者の娘を養子にもらう。陽子と名付けられたその子を夏枝は溺愛するが、ある日夏枝は真実を知ってしまう…有名な洞爺丸事件(1954)を絡め、愛憎劇を繰り広げる著者のデビュー作。
作家は二作目を読め。と言われる。一作目は気負いこそあるが、本当に作家としての力量を発揮出来るのは、一度内にある全てを吐き出した後の二作目からなのだから。と言うのが理由らしい。だけど、処女作というのは、その作者の思いの丈全てを打ち込んだものとなっているので、迫力が違う。
著者の作品はかなりたくさん読んでるつもりなのだが、今まで処女作を読んでなかった。何せ厚いし内容も詰まってそうだったし、その内読むだろうと思って先回しにしていたのだが、いやはや。である。これはもっと早く読んでおくべきだった。本当に凄い。
人がどれ程人に対し、怨みを持つ事ができるか、どれ程嫌な人間になり得るか、克明に描かれており、読んでいて辛くなってくるほど。だけど読むのを止める事が出来ない。本作の内包するパワーに圧倒されてしまった。
著者の作品には共通して、心の奥から吹き出てくる闇が描かれる。しかし、それで終わらず、そこには「救い」が描かれるのが特徴で、それが著者を単なる悪趣味作家とは一線を画している。
処女作が持つパワーというのはこう言う事か。 |
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