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小野不由美

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屍鬼

屍鬼

05'03'24 屍鬼 一
 未だに土葬の習慣の残る、森に囲まれた外場村。外界から隔絶したこの村に、一軒の家族が引っ越してきた。その時以降、この村に徐々に死が迫って来た。この現状を目前に、兼業小説家の住職静信と、村一軒の医者敏夫は何らかの解決を探していくが…
 実は随分前に1〜2巻は読んでいたのだが、日常描写部分ばかりで今ひとつと言う印象でしかなかった。それで何年か経過して、ついこの前3巻目を読んだ途端、評価がまるで変わってしまった。それで振り返って1巻からレビューし直してみよう。
 一巻目の本作は、とにかく全編が日常描写のみで展開する。ここまで徹底的に、長々と日常描写だけやる作家なんて日本には滅多にいない。類型を求めるなら、やっぱり海外。結局キングくらいだろう…と思ったら、本作の副題って「To 'Salem's Lot」(邦題「呪われた町」上)…なるほど。キングへのオマージュかたっぷり含まれてるってことね。
<A> <楽>
05'03'25 屍鬼 二
 外場に徐々に忍び寄る死の影。原因不明の疫病により次々と死者が出るのみならず、謎の引っ越しも相次いでいた。死を食い止めようと必死の敏夫、次々に行われる葬儀に追われる静信は、その目の回るような忙しさの中で原因究明に奔走する。そんな静信の前に現れる少女がいた…

 日常が徐々に浸食されていく過程が描かれる話だが、本当にこれは徐々に徐々に話は進んでいき、物語自体はほとんど進んでないのでは?と思えてしまうこともしばしば。日常描写部分が多すぎる上に、大変長い作品なので、読んでいて疲れてしまった…しかし、このタメこそがこの後の展開の伏線になってるんだけど。
<A> <楽>
05'03'26 屍鬼 三
 次々に姿を消す外場の住民達。だが死んだはずの住民達が何故か目撃されるという事件も続発していた。原因究明を図る敏夫と静信の他に、独自に謎の究明に乗り出した夏野は、時同じくしてほぼ同じ結論に達する…死者が生き返っているのだ!だが、そんな夏野にも屍鬼の手が伸びる…

 1、2巻は日常描写ばかりで、はっきり言って面白いとは思えなかったのだが、数年ぶりに続きを読んでみたら、無茶苦茶面白くなって来た。と、言うかこの作品が様々なメディアに与えた影響というのが分かったのが大きい。押井守氏が描いた「獣たちの夜」で書かれていた吸血鬼の説明と思い切りかぶってるし(ちなみにこちらの方が早い)、なによりタイトルの屍鬼とは、“シキ”なのね(意味不明?)。色々な意味で設定とかがパクられてるんだな。メディアへの影響は馬鹿にならない。さて、じゃ次も楽しませてもらおうか。
<A> <楽>
05'05'18 屍鬼 四
 外場は死に覆われていた。次々に住民は消えていく。だが一夜にして住民が丸ごと入れ替わってしまう家もあり、実質的に外場の人工は変わっていない。医師の敏夫は自らの妻の死体を監察することによって、今この村で何が起こっているのかを知ることになるが、それを説明することも出来ず、更に住職の静信も、このまま手をこまねいていてはいけない事が分かっていながら自分では何も出来ない自分に苛つくだけだったが…
 人間社会と屍鬼の世界の双方が描かれるようになり、ぐっとおもしろさは増してきた。屍鬼の世界というのもなかなか興味深いところがあり、こういう異常な社会構造を考えてみるというのなかなか面白い。
<A> <楽>
05'07'27 屍鬼 五
 徐々に屍鬼の群れに覆われていく外場。しかし敏夫の機転により、人間による反撃がついに開始された。昼に動くことが出来ないという不利点を最大限に突き、次々と屠っていく人間達。しかしその時、静信は既に屍鬼たちのただ中にあった…
 屍鬼の最終巻。四巻の時点で、これからどうなっていくのか?と思わせておいて、この展開とは驚かされる。これまで色々と伏線としてあった物事がきちんと消化されているので、丁寧な作品としてよく分かる。副題のTo Salem's Lotが良く活かされていたし。かなり長い作品だけど、きっちりと全部をコントロールして物語を作り上げているので、全部通してみるとやっぱり良作。
<A> <楽>
 

 

  

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