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吸血鬼

吸血鬼ノスフェラトゥ


吸血鬼ノスフェラトゥ
1922年
F・W・ムルナウ(監)
 ヴィスボルクに住むフッター(グラナック)は上司ノッカーの命令で家を売るためトランシルヴァニアのオルロック伯爵を訪ねる。だが、村人は恐がり、その屋敷には吸血鬼が住むと言い合っていた。元来陽気なヨナソン=フッターは噂も気にせず、オルロック伯爵の屋敷に行く。そこで体験した恐ろしい体験。一方、首尾良くヴィスボルクに着いたオルロック伯爵はそこで美しいヨナソンの妻ニーナ(シュレーダー)と出会う。
 サイレント映画の傑作。子供の頃に何かの機会に観て、その恐ろしさに目が離せなかった記憶がある。故に、本作が私が最も好きな吸血鬼映画となった。
 それで、時が流れ、再びテレビで観る機会を得たが、出来は大満足。子供の頃の記憶と相まって、しかも人物の描き方やライティングの方法など、技術的にも素晴らしい作品に仕上がっていた(特に伯爵の描き方は感動もの)。
 兎に角鬼気迫るシュレックの演技は素晴らしいの一言。言葉を用いずこれだけの不気味さを演出できたことに喝采を送りたい。
 『シャドウ・オブ・ヴァンパイア』(2000)を観て、ますます惚れ直した。
 本来本作はオリジナル通り「吸血鬼ドラキュラ」として製作されるはずだったのだが、原作者ブラム=ストーカーの遺族により著作権侵害で訴えられてしまい、仕方なく名前を変えて公開となったが、これはこれで独自の進化を遂げていったところが面白い(『ノスフェラトゥ』(1978)としてリメイクもされている)。ポップ・カルチャーに与えた影響もあり、それも又本作の優れた点として記憶されるべきだろう。

 

オルロック
【おるろっく】
 トランシルヴァニアのある村にある城の城主。実は吸血鬼だった。古城に一人で住むが、世界中に情報網を持ち、ヴィスボルクという街に興味を持って、そこに向かう。役はマックス=シュレック。 甘崎
ニーナ
【にーな】
 ヨナソンの妻。フッターの持っていたロケットに入っていた写真を見てオルロック伯爵は彼女に興味を持つ。彼女こそが自らを犠牲にして吸血鬼を退治した。 甘崎
ノスフェラトゥ
【のすふぇらとぅ】
 「不死者」を示す言葉。トランシルヴァニアで伝説となっている吸血鬼の名称。設定もストーリーもまんま「吸血鬼ドラキュラ」なのだが、原作者ストーカーの遺族から許可が下りず、この名前になったとか。 甘崎
ヨナソン
【よなそん】
 ヨナソン=フッター。ヴィスボルクという街に住む不動産屋。上司に命じられ、物件売却の契約のため、トランシルヴァニアに向かい、そこでオルロック伯爵と出会う。妻にニーナがいる。役はアレクサンダー=グラナック。 甘崎
レンフィールド
【れんふぃーるど】
 ヨナソンの務める不動産屋の社長。実はオルロック伯爵の忠実な僕で、動物を介し、オルロックの指令を受け取っていた。ヨナソンをトランシルヴァニアに送り込む。 甘崎

ノスフェラトゥ


ノスフェラトゥ
1978年
ベルナー=ヘルツォーク(監) クラウス=キンスキー、イザベル=アジャーニ、ブルーノ=ガンツ
 不動産会社に勤めるジョナサンは上司レンフィールドの命令で、妻ルーシーを置いてドラキュラ伯爵に家を売るためトランシルヴァニアに赴く。土地の者が怖がって誰も近寄ろうとしない古城に住むドラキュラと出会ったヨナタンは首尾良く家を売ることに成功するが、同時にそれはヨーロッパにペスト災害を招く事でもあった。ヨナタンのロケットに入っているルーシーの写真に一目惚れした彼女に会いに行く伯爵。
 1922年に公開された白黒作品
『吸血鬼ノスフェラトゥ』(1922)のリメイク。概ね同じストーリー展開だが、別な楽しみかたができた。
 静かに、しかし狂気を帯びたシュレックの演じたドラキュラ伯爵(前作ではオルロック伯爵)をキンスキーが演じているが、これは別種の怖さがあった。何せあの真っ白なスキン・ヘッドで特徴的な「赤」を演出した辺り、なかなか美術的センスに溢れていると言えるだろう。ただ、シュレックの演技に衝撃を受けた身としては、
 ネズミの蔓延する町の真ん中で食事をしていた人達が次の瞬間消えて、ネズミがテーブルに溢れかえっているとか、頽廃的な雰囲気は出ている。けど、やはり元が良いからこそ、の作品。
 原作or前作で異彩を放っていたヘルシング教授も今回は今ひとつ。それも残念。
 馬で失踪するヨナタンの姿は格好良いが、
その地面に明らかに自動車の轍の跡があるのはご愛敬か。

 

ジョナサン
【じょなさん】
 ジョナサン=ハーカー。ブレーメンに住む不動産屋。上司に命じられ、物件売却の契約のため、トランシルヴァニアに向かい、そこでドラキュラ伯爵と出会う。妻にルーシーがいる。しかし、ドラキュラ伯爵が滅んだ後…役はブルーノ=ガンツ。 甘崎
ドラキュラ
【どらきゅら】
 トランシルヴァニアの城に住む吸血鬼。狼や蝙蝠に変身することが出来る。ヨーロッパにペストを流行らせ、その間隙を縫って自らの勢力範囲を広げようと画策する。ジョナサンの妻ルーシーに一目惚れし、彼女を自分のものにしようとするが、そのために滅ぼされてしまう 甘崎
ルーシー
【るーしー】
 ルーシー=ハーカー。ジョナサンの妻。自らの身を挺してドラキュラを滅ぼすのだが…役はイザベル=アジャーニ。 甘崎
レンフィールド
【れんふぃーるど】
 ジョナサンの務める不動産屋の社長。実はオルロック伯爵の忠実な僕で、動物を介し、オルロックの指令を受け取っていた。ヨナソンをトランシルヴァニアに送り込む。 甘崎

ラスト・ブラッド


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2009年
クリス・ナオン(監)
 古来、人類とは異なる進化をしてきた“オニ”と呼ばれる吸血種と人間の果てなき戦い。だが応仁の乱以来オニは人間社会に溶け込み、容易に姿を現さなくなっていった。そして400年を経た1970年。日本刀を手にオニを狩り続けるサヤ(ジヒョン)という少女が駐留米軍基地に現れる。秘密組織の手引きで基地内の高校に潜入したサヤは、同級生のアリス(ミラー)をオニの襲撃から救い出す。これが二人の運命を大きく変える事を知らずに…
 かつてプロダクションIG内に“押井塾”なる勉強会のようなものがあり、そこで一本の劇場用アニメーションが作られた。
『BLOOD』という、短い作品で、国内では一部の物好きを除けばさほど話題にもならない作品だったが、海外での評価が大変高く、当時のいわゆるジャパニメーションブームの後押しとなった作品だった(押井守自身は企画協力と言った形だが、これをベースに「獣たちの夜」という半自伝的小説を書いていたりする)。同じくサヤを主人公としているが、設定とかが違うパラレルワールドを描いた『BLOOD+』というテレビ作品もあり。
 悪く言おうと思ったら、それこそいくらでも言える。サヤ役のチョン・ジヒョンの無理な若作り
(しかも、せえらあ服姿)や、まるで10年以上前のエンジンを使ってるんじゃないか?と思えるくらいのCGの稚拙さ。日本を舞台としているのに到底日本には思えない日常描写。80年代OVAレベルの設定。日本と言えば当然ニンジャの存在…実際、一歩引いて観る限り、この作品は本気でどうしようもない作品ではある
 しかしながら、悪いと思いつつも悪く言いたくない作品と言うのも確かにあるもの。
 本作のオリジナルとなったアニメ
『BLOOD』は描写こそ良いものの、短すぎるという致命的欠陥を持っていた。米軍基地にサヤが現れ、鬼を倒して去っていく。という、物語にさえなっていない実に短い作品だった。せっかく吸血種という設定を作ったんだから、それを活かした奥深い設定をもうちょっとでも出してくれれば。と常々思っていた(パラレルワールドのTVアニメ『BLOOD+』では色々動かしてはいたけど)
 その意味ではアニメ版では隠されていた設定部分がようやく見えた。という点に関しては評価すべき。少なくともアニメ版をないがしろにしているわけではなく、その膨らみをちゃんと受け止めようとしているし、どんなにいい加減なものでもきちんと設定付けをしようとしているのもわかる。

 …別段“押井守”の名前だけで評価を上げているわけではないけど、悪くも言いたくない作品でもあり。この辺心情的には結構複雑。

 

アリス
【ありす】
 アリス・パウエル。在日米軍の将軍の娘。反抗期でよく夜遊びをしては父親に怒られているが、オニと遭遇してしまったことで大きく人生が変えられる。 甘崎
オニ
【おに】
 人間とは別系統に属する知的生物。数は少なく、人間の姿に擬態して潜み、人間を捕食する。 甘崎
オニゲン
【おにげん】
 オニの起源と呼ばれるオニ。サヤの父を殺した本人であるが、実はサヤの母でもある。 甘崎
カトウ
【かとう】
 サヤの父の配下で、サヤの育ての親。オニを倒す術を全てサヤに伝授したが、オニとの戦いで落命。 甘崎
サヤ
【さや】
 オニを狩る女。少女の姿をしているが、実は数百年を生きている、実はオニと人間のハーフ。オニの始祖オニゲンを追い、オニを狩り続けている。 甘崎
マイケル
【まいける】
 オニを狩る特殊機関の一員。 甘崎
ルーク
【るーく】
 オニを狩る特殊機関の一員。 甘崎
名称
【】
  甘崎

ダーク・シャドウ

 


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2012
ティム・バートン(監)
 18世紀。メイン州コリンズポートの領主の青年バーナバス・コリンズ(デップ)は、魔女のアンジェリーク(グリーン)を失恋させてしまい、その恨みからヴァンパイアに変えられてしまい、更に村人達を扇動したアンジェリークの手によって墓に生き埋めにされてしまう。そして1972年、道路拡張工事が彼の埋められていた棺を掘り当ててしまい、解放されて自由の身となる。しかし、2世紀の間にコリンウッド家はすっかり没落してしまっていた。それを目撃したバーナバスは、再び当主としてコリンウッド家の再興を誓う。だがこの町には宿敵の魔女アンジェリークにより牛耳られていた…
 名コンビとされるティム・バートンとデップ(とカーター)コンビの最新作。なんだかんだ言ってもこのコンビ作ははずす気になれずに早速劇場へと向かった。
 このコンビの前作『アリス・イン・ワンダーランド』は大ヒットを記録してはいても私としては今一つ。この二人だったらもう少し荒削りのものが似合っているような感じはあった。
 そして本作。そうそう。こう言うのが観たかったんだ。そう思えるような作品に仕上げてくれている。確かに『アリス・イン・ワンダーランド』『チャーリーとチョコレート工場』のように話が練れているわけではない。いやむしろごつごつし過ぎだし、話もホラーでもなしコメディでもなしと、中途半端。実際受ける要素はそう多くないとは思うのだが
(まるで新人が作ったような作品でもある)、むしろ私にとっては、近年の二人のコンビ作の中では一番楽しかったと思う。
 二人のコンビ作で私が一番好きなのはなんといっても『エド・ウッド』だが、それに次いで好きなのが『スリーピー・ホロウ』。本作はその雰囲気がちゃんと継承されているのが一番うれしい。
 そしてこの作品を通して思ったことなんだが、映画に限らず、
物語というのは違う価値観を持った人間が出会うことによって始まるものだということに気づかせていただいた。
 どんな映画でも、それがなければ始まらない。それは恋愛を主題にした作品であっても、アクションであっても、登場する複数の人間が、自分の個性を主張しあいつつ、お互いを受け入れ合っていく課程が物語となっていくものだ。
 本作の場合、それが極端な形で現れた。
 200年前の価値観を持ち続けるヴァンパイアが現代に現れ、そこで自分の子孫たちと仲良く過ごしていこうとする。結果として2世紀に渡るカルチャーギャップがそこには生じることになる。
 ここでのさじ加減が難しい。ギャップを受けた人間同士のかねあいをどう描くかによって、映画は生きもするし死にもする。
 本作の場合、主人公は不死のヴァンパイアであるにも関わらず、基本的に学ぶことが大好きで偉ぶらないので、子孫に対しても下手に出て、それがコミカルさを演出していくことになる。
 このときのデップの演技が実に良い。本来はご先祖様なのだが、異邦人としてどこかここには馴染まない言動をすることになる。どこにいても、どこかしっくり馴染まない役は、かつてデップが持っていたもっとも大きな個性だったし、ブレイク前のデップが帰ってきた気分にさせられて楽しかった…これを書いていて、なぜあの当時のデップが大好きだったのか理由が分かった気になった。そうか、デップに自分を投影していたんだな。
 なんかそんなデップの姿を観ているだけで楽しさを感じさせた。
 そしてこの舞台となるのが1972年という絶妙な年だったこともおもしろい。
 1970年代はいわば、破壊の世代だった。既存の価値観を打ち壊し、破壊の末にある新しい価値観を模索していった時代と言っても良い。それがもっとも精鋭化していた時代に、それこそ過去の価値観しか持ってない人物が現れたらどうなる?
 これは2000年代にしてしまっては面白くなくなる。1972年という絶妙な年だからこそ成り立つのだ。
 ここで遠慮がちなデップの演技が実にはまっている。「昔はこうだったから、私に従え」ではなく、この時代で生きるためにはどうすれば良いのかを紆余曲折を経ながら考え続け、色々と挑戦しつつ、それでも古い価値観を捨てられない時分を受け入れていく。その辺の過程が上手く出来ているがため、本作はとても面白く感じる。
 結局本作は、一種のファースト・コンタクトものとして観るのが正しいと思う。異文化のぶつかり合いと、価値観の違いによる微妙なコメディとして観るべき。

 

アリス・クーパー
【ありす-くーぱー】
 キャロリンが夢中になっているロック歌手。本人役で登場。 甘崎
アンジェリーク
【あんじぇりーく】
 アンジェリーク・ブシャール。かつてコリンズ家に仕えていたメイドだが、実は魔女であり、バーナバスを愛するあまり、バーナバスの愛するジョゼットを殺し、更にバーナバスを吸血鬼にしてしまった。現在も尚生き残り、コリンズ家の没落を見て悦に入っている。役はエヴァ・グリーン。 甘崎
ヴィクトリア
【う゛ぃくとりあ】
 ヴィクトリア・ウィンターズ。コリンズ家にやってきた家庭教師。本名はマギーだが、幽霊を見る能力を持っていたため、親から精神病扱いされ、病院を脱走して名前を変えた。その姿はバーナバスの思い人ジョゼットと生き写し。役はベラ・ヒースコート。 甘崎
ウィリー
【うぃりー】
 ウィリー・ルーミス。コリンズ家の使用人。飲んだくれだったが、バーナバスに催眠術をかけられ、忠実な召使いとなる。役はジャッキー・アール・ヘイリー。 甘崎
エリザベス
【えりざべす】
 エリザベス・コリンズ・ストッダード。現在のコリンズ家女当主。落ちぶれてしまったコリンズ家を立て直すため、ヴァンパイアと知りながらバーナバスと手を組む。役はミシェル・ファイファー。 甘崎
キャロリン
【きゃろりん】
 キャロリン・ストッダード。エリザベスの娘。思春期真っ盛りのため家族に対し反抗的。その体には秘密が隠されている。役はクロエ・グレース・モレッツ。 甘崎
サイラス
【さいらす】
 コリンズポートの漁師の元締め。バーナバスに催眠術をかけられ、サイラス家に優先的に魚を卸すことを約束させられる。 甘崎
ジュリア
【じゅりあ】
 ジュリア・ホフマン博士。デヴィッドの心理療養のためにエリザベスに呼ばれ、家庭教師としてコリンズ家にいる。バーナバスが吸血鬼であることを知って、その治療と称し、自らの若返りを図る。役はヘレナ・ボナム=カーター。 甘崎
ジョシュア
【じょしゅあ】
 バーナバスの父親でコリンズポートを発展させた人物。アンジェリークによって妻と共に殺害されてしまう。 甘崎
ジョゼット
【じょぜっと】
 ジョゼット・デュプレ。かつてバーナバスが愛した唯一の女性。アンジェリークの魔法によって自殺させられた。その姿はヴィクトリアと生き写し。 甘崎
デヴィッド
【でう゛ぃっど】
 デヴィッド・コリンズ。ロジャーの息子。母親の死を受け入れられず、常に母の幽霊がそこにいると主張する。 甘崎
バーナバス
【ばーなばす】
 バーナバス・コリンズ。18世紀に吸血鬼にされてしまったコリンズ家当主。埋葬されていたが死んでおらず、1972年に蘇った。役はジョニー・デップ 甘崎
ロジャー
【ろじゃー】
 デヴィッドの父親。息子のことは放任し、小金を得ることばかりを考えている。 甘崎
名称
【】
  甘崎