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巨神兵東京に現わる


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樋口真嗣(監)
 現代東京。ある避難の予兆もなく唐突に現れた巨大な人型。何のためらいもなく口から吐く光線によって東京はあっという間に壊滅する…
 『風の谷のナウシカ』(1984)に登場する巨神兵が現代東京に現れたら?というコンセプトをベースに、特撮のノウハウを駆使して作られたショートフィルム。元は庵野秀明と監督が企画した特撮博物館のために作られたものだが、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』(2012)の公開に合わせ、リサイズされたものが劇場公開された。
 この作品、やはり特撮ファンとしては外すことが出来ないものとして、特撮博物館まで行って見に行ってきた訳だが(その時に丁度足を怪我していて、ここまで行くのが本当に大変だった)、これを観るだけで往年の特撮ファンには感涙もの。特に特撮技術を知っていればいるほど、ここに使われているテクニックがどれだけ手の込んだ、そしてどれだけの苦労の上に作られているのかを知ることが出来るから。
 でも同時にこの作品は、とてももの悲しい。
 現在はCG技術が発達しており、CGで作るなら、手間も金もここまでかけずに作ることが出来る事は分かっている。そして作り手も又、その事を良く知っていて、今だから作れる、否今しか作る時がない、ちょっとした焦りのようなものも感じられてしまう。実際、この作品のメイキングを観たのだが、これだけの金を遣えて、最後の仕事が出来たと言う職人のインタビューが心に沁みた。
 これまで培ってきた特撮のテクニックと、おそらくはここでしか使うことの出来ない新しいテクニックを駆使し、東京という街を一度完膚無きまでに叩きつぶしたい。そんな思いがビンビンに伝わってきた。

 それには確かに特撮ファンとして大いに溜飲が下がるというか、頷ける部分なのだが、大きな問題が一つある。
 根本的にこの作品の脚本を庵野秀明に任せたのが問題だった。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』であれほどの屑っぷりを見せつけたそのまんまの感覚で物語ではなくポエムにしてしまったため、何というか、頭を抱えたくなるようなものになってしまった。まあいわゆる「中二病全開」そのまんま。これが残念。いっそモノローグなしでただ街を破壊するだけで充分だったのになあ。

 

巨神兵
【きょ-しん-へい】
 突如東京に現れた巨大な人型兵器。一瞬にして首都を消失させた後、七日かけて世界を破滅させる。 甘崎
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火の七日間
【ひ-の-なのか-かん】
 巨神兵が世界を滅ぼしたこと。 甘崎
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