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百獣戦隊ガオレンジャー

百獣戦隊ガオレンジャー事典

 2001'2'18〜2002'2'10

 スーパー戦隊第25作。21世紀最初の作品となる。モティーフは動物で、ガオレンジャーにはそれぞれ相棒となる精霊の化身パワーアニマルという動物が存在し、姿も相棒に準じている。パワーアニマル自身も喋りこそしないが感情を持っており、そちらでのドラマも展開することがあった。
 敵はオルグと呼ばれる鬼の化身で、人間が作ったものに取り憑いて鬼化させたもの。幹部は三体出てくるものの、その上の首領は存在せずという珍しい構成だった。その分部隊長となるツェツェとヤバイバという二人が個性を存分に発揮していた。
 尚、本作でガオブラック=牛込草太郎を演じた酒井一圭は、後に歌唱ユニット「純烈」のリーダーとして活躍している。

主な登場人物
獅子走
ガオレッド
(役)金子昇。『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』の主役中條義人を演じた。
 ガオレッドに変身する青年。5人の中では最後に選ばれた戦士。本職は獣医で、動物の心の声を聞くことができる。
鷲尾岳
ガオイエロー
(役)堀江慶。代表作は本作。役者よりも監督・製作者として才能を開花し、現在芸能プロデューサーとして活躍中。
 ガオイエローに変身する青年で、パートナーはガオイーグル。元航空自衛隊員で、一年前に最初にガオレンジャーとなった。その自負もあってリーダーを自認していたが、ガオレッドの登場によって、サポートへと回る。何かと走と衝突もあったが、やがて素直に自分を出し、コミカルな面を見せるようにもなっていく。
鮫津海
ガオブルー
(役)柴木丈瑠。代表作は本作。2002年に特撮番組出身俳優によるHERO730を結成している。
 ガオブルーに変身する青年。メンバーの中では最年少で、子どもっぽい発言が多かったが、戦いが進むにつれ、しっかりした姿を見せるようになる。
牛込草太郎
ガオブラック
(役)酒井一圭。子役時代には五代目「あばれはっちゃく桜間長太郎」で主演をはり、本作以降はイベントプロデューサーとして活躍。それから「純烈」リーダーとして大活躍した。
 ガオバイソンに選ばれ、ガオブラックに変身する青年。元力士で膝の怪我で引退した過去を持つ。気は優しくて力持ち。ただしキレると暴力的になることもある。鮫津海とは良き相棒だが、割と鮫津の言うことに従う事が多い。
大河冴
ガオホワイト
(役)竹内実生。本作がほぼ唯一の出演作。
 ガオタイガーと契約し、ガオホワイトに変身する女性。鹿児島から武術修行に出てきた現役高校生だが、ガオレンジャーとなったために満足に学校には行けていない。
大神月麿
狼鬼
ガオシルバー
(役)玉山鉄二。NHKドラマ「マッサン」主演。現在も多くのテレビ作品に出演している。
 千年前のガオレンジャーの一員。百鬼丸を倒すために闇狼の面を装着したことから呪いを受け、狼鬼と呼ばれるオルグと同じ思考を持つようになる。正気を失う前に仲間達に頼んで封印してもらったが、当代のガオレンジャーによって復活させられる。狼鬼として復活したが、呪いが解けてガオシルバーとなる。
ツェツェ (役)斉藤レイ。女優・声優。舞台を中心に活躍。
 「一本角」と呼ばれるデュークオルグで、ヤバイバのパートナー。その目的はハイネスデュークに仕えることで、ハイネスの言う事は何でも聞く。ラセツ配下のデュークオルグであるドロドロの罠にはまって角を失い、そこに破邪百獣剣を受けて死亡。オルグの墓場である鬼霊界に落とされたが、ヤバイバによってオルグの巫女として復活した。
ヤバイバ (声)坂口候一。特撮では主に怪人役での声が多い。代表作は本作。
 ツェツェと対となるデュークオルグ。非常に活動的で、ハイネスデュークに仕えることを生き甲斐としている。ピエロがモティーフらしいが、本人は無自覚。ツェツェほどはハイネスデュークに対しての忠義心は高くないようで、時にハイネスの意に沿わない行動を取ることもあり。特にツェツェを死に追いやったラセツをはっきりと裏切っててもいる。
シュテン (声)稲田徹。ナレーター、声優。特撮では特捜戦隊デカレンジャーのドギー・クルーガーが代表作。
 デュークオルグの上を行くハイネスデュークの一体目。非常に短気な性格で、些細なことでツェツェとヤバイバを叱責する。ガオソウルが復活したガオレンジャーによって倒され、ツェツェの杖を自らに突き立てて巨大化した。
ウラ (声)西脇保。特撮でのメインは本作のみ。
 シュテンが倒れたことで現れた新しいハイネスデューク。日本の昔の貴族のような話し方が特徴。狼鬼を復活させた張本人。狼鬼に閉じ込められていた千年の邪気を更に強力にした上で自ら取り込んで変態した究極形態を見せる。
ラセツ
話数 タイトル コメント DVD
第1話 獅子、吼える!!

  脚本:武上純希
  監督:諸田敏
 汚染によって地球の生命力が減少してしまい、その結果生じた邪気からオルグと呼ばれる鬼が現れるようになった。地球の意志を継ぐ巫女テトムによって四人の青年が日夜オルグと戦っていたのだが、ある夜戦いの中で、逃げた象を宥める若き獣医獅子走を見かける。彼こそが五人目の戦士であると予言を受けたテトムは、走を天空にあるアニマリウムへと招待する。
 敵はタービンオルグプラグマオルグ。タービンオルグは強風を作り出し、プラグマオルグは雷を作る。二体揃ってダムを破壊しようとした。
 21世紀最初の戦隊。前作「未来戦隊タイムレンジャー」が高年齢層を対象としていたのとは対照的に、今度は一気に明確な物語となっている。テーマも、動物を含めた生きものを救うと言う単純明快さで、実によろしい。
 基本レッドは特別扱いで、最初に選ばれるか最後に選ばれるかが分かれるが、この作品に関しては後者で、最強の力を持つ要の戦士として呼ばれる事になる。最初からリーダーとなることが決まっていたようで、物語も軽快に進んでいる。決めポーズもしっかり決まっているし、しっかり最初から巨大戦まで。見た目の格好良さも良し。
<やっぱり明確なヒーローものであれば、最初の話はやっぱりダム破壊だよな。わかってらっしゃる。
 始めてガオレッドに変身したのに、決めポーズと決め口上をしっかり決める走。これも分かりやすくて良い。>
VOL.1
<A> <楽>
第2話 精霊王、起つ!!

  脚本:武上純希
  監督:諸田敏
 これまで戦ってきたオルグが強力になったことに、オルグの世界でも何かが起こっていることを予見するテトム。そんな中、現れたオルグに向かっていったガオレンジャーの前に、オルグのリーダーたるデュークが現れた。
 敵はハリガネオルグ。針金が変形したオルグ。近くにあるものを針金で縛ることだけを目的としていたが、デュークオルグから力をもらい、手当たり次第に縛るようになった。
 新参者の走が、これまでのリーダーだったガオイエローの岳と衝突する話。走本人は至っておおらかな人間なので、一方的に岳の方が突っかかっていくような構図。岳は岳で背負っているものがあるらしいけど。
 動物と心を通わせる能力を持つ走は当初オルグも理解力を持つと思いこんでいたが、オルグが邪悪な念だけで生きていると言うことを知り、戦士として立つ決意を固めるという話でもある。
 徐々に敵の全貌が明らかになっていく。邪悪な念が固まって現れるオルグにも階級があり、オルグを指導するデュークオルグと呼ばれる存在と、更に上にいるハイネスデュークという存在があるとか。
 そしてガオキングが登場。一応剣を持ってはいるが、必殺技が光線技という、これまでにない特徴を持つ。
<オルグの心の声が聞こえないならば滅ぼすという単純明快な戦い方をしてるガオレッド。もう少し悩むとかしないのが本作の特徴か。
 きちんと港のセットまで作って巨大戦やってるのが好感度高いのだが、そこで怪人が爆発すると、どれだけ被害が出てるんだろう?とか考えてしまうな。>
第3話 荒鷲が消える!!

  脚本:武上純希
  監督:渡辺勝也
 オルグにハイネスデューク、シュテンが誕生した。これによりますます強力となっていくオルグ。そんなオルグに対抗するため、綿密な作戦を立てようとする走だが、そんな走に反発する岳はアニマリウムを出てしまうが、そこで姿が消えかかってしまう男を見かける。
 敵はカメラオルグ。カメラに取り憑いたオルグで、その写真で撮った人は少しずつ消えていく。最初は誰かにシャッターを押されなければ力を発揮できなかったが、シュテンからレリーズをもらうことで、自分で撮影できるようになった。
 岳が中心となった話。元々ガオレンジャーのリーダーだったが、走の登場によってその地位を追われ、更に何事も仕切ろうとする走に軽く反発し、なんとなく面白くないらしい。いいライバル関係にあるっぽい。戦いを経ることで友情を作り出していく。
 走の方も、綿密な作戦を立ててオルグに対抗しようとしてはいるものの、肝心な時には独断専行に走ってしまうが、そっちの方が似合うと言われてしまってる。リーダーとしても成長途上ってところか。
 一方、オルグの方もハイネスデュークの登場によって強力になっているが、その描写も結構しっかりしてる。
 ちなみにカメラオルグの声は、これが初怪人役となるレッドレーサー役の岸祐二。
<この時代はまだフィルムカメラが現役。これはこれで味があるが、なんか古くささも感じる。もう「フィルム」と言って分かる子どももいないだろうな。>
第4話 二人でネバギバ!!

  脚本:武上純希
  監督:渡辺勝也
 怪現象が起こるという寺にオルグがいると睨んだ海は草太郎を誘って調査に行く。だが気の弱い草太郎のお陰で調査は失敗。そんな時に
 敵はツリガネオルグ。ある寺の釣り鐘に取り憑いたオルグで、超音波を発する。敵を釣り鐘に閉じ込めて超音波攻撃することで凄まじい攻撃力を見せる。
 海と草太郎。良いコンビの二人が中心となった話。ガタイは良いが気の小さい草太郎は熱血ガキの海に振り回されっぱなし。とは言え、そんな関係をそれなりに受け止めているらしい。
 シュテンとの初対決もあり。ブルーを除いた四人だったため、全く歯が立たないが、シュテン自身違う目的を持っていたので、ちょっと攻撃しただけだった。
<坊さんが「神様」とか「オー・マイ・ゴーッド」とか言ってるとか、いくらギャグと言ってもまずい描写が…
 ツェツェに対し「おばさん」発言をする冴。それを言っちゃいけないと思う。
 崖の上に釣り鐘が置いてあるという描写だけでにやつけるのは、それなりの邦画好きかも?
 最後に捨て台詞を残して逃げてしまうシュテン。いきなり小者感が溢れたキャラになってしまった。>
第5話 山が動く!!

  脚本:武上純希
  監督:坂本太郎
 聖なる波動を発する石と巻物を手に入れたガオレンジャー。そこには新しいパワーアニマルの手がかりが隠されていたのだが、肝心な巻物が焼き焦げてしまっていた。
 敵はタイヤオルグ。タイヤに取り憑いたオルグで、タイヤに変形して暴走するのが趣味。物理攻撃をことごとくはじき返す。ただし熱には弱い。
 新しいパワーアニマル登場の話。とりあえず既に複数のパワーアニマルが存在することが明らかになっているが、今回はその一体ガオエレファントの登場の話となる。ガオキングと合体してガオキングソード&シールドとなる。
 それで今回はテトムが話の中心となった。これまで巫女としてお姉さんタイプのキャラとしてだけだったが、意外なお茶目さと天然っぷり。そして異様に強いと言う事が分かった。
 これまで必殺技が光線技だったガオキングが武器を持つようになった。とは言え、剣では無く鞭のような武器だけど。
<たまたま戦いの場所がガオエレファントの封印場所ってのは出来すぎだが、どうみてもいつもの採石場のようなんだが。そもそも「山」と言ってるけど、そこ平地だよ。>
VOL.2
<A> <楽>
第6話 牛、焦がれる!!

  脚本:武上純希
  監督:坂本太郎
 次々に女性をさらうウェディングドレスオルグを追うガオレンジャー。だがオルグは結婚式場の中で消えてしまう。そこで理想の女性を見つけてしまった草太郎だが…
 敵はウェディングドレスオルグ。ウェディングドレスに取り憑いたオルグで女性をさらってその生命エネルギーを吸い取り、女性をマネキンにしてしまう。
 草太郎を中心に、その恋心と失恋を描く。草太郎が出会った完璧な女性が、実は自分の欲望のためにオルグを利用していたと言う事が分かり、怒りに燃える。
 結婚式のスタッフ島田役は「鳥人戦隊ジェットマン」早坂アコ役の内田さゆり。若さを求める役にしては、充分若いけどね。
<結婚式場にスタッフとして潜り込むガオレンジャーだが、どうやって潜り込めたのか説得力がまるでないのだが。
 ウェディングドレスに憑依するなら女性型にすべきだったんじゃ無かろうか?おかげでかなり不気味なオルグになってしまった。いや、それよりガオブラック草太郎がウェディングドレス着てるってこと自体が…着たまま四股まで踏んでるし。>
第7話 夢が語る!!

  脚本:武上純希
  監督:諸田 敏
 海辺を調査中の海がオルグに襲われている少年に出会った。少年によれば三日前に帰ってくるはずの漁師の父が帰ってないとのこと。
 敵は帆船オルグ。帆船に取り憑いたオルグで、黄色い霧に体を変え、航行中の船を襲っていた。
 ガオブルー鮫津海の中心回。鮫のソウルを持っているだけに海での戦いがメインとなる。具体的には少年との交流を通して勇気を見せるという話で、バランスはとても良いが、さほど特徴の無いパターンと言える。
 そして新しいパワーアニマルガオジュラフの登場。パワーショベルに擬態していたが、こうやって目をくらませてるパワーアニマルもいるのかな?
第8話 犬、走る!!

  脚本:武上純希
  監督:諸田 敏
 走が持っていた写真に写っている若い女性を見た冴は、それが走の恋人では無いかと推測する。そんな時、オルグ反応が出て走と冴の二人で出動することとなったのだが、信号機がおかしくなり、事故が起こっている現場を目撃してしまう。そしてシグナルオルグによって記憶を奪われてしまった走…
 敵はシグナルオルグ。信号機に取り憑いたオルグで、無茶苦茶な信号を出して交通を混乱させることが目的。三つの明かりを使う。ちなみに緑は記憶を奪い、赤は破壊光線。
 初の冴中心回。恋に恋するというパターンで、走の恋人?を見て自分にも恋人が欲しいとか言い出している。
 一方シグナルオルグによって記憶を奪われてしまった走が町の人に大変人気があるのを見て、ガオレンジャーに復帰させない方が良いのでは?と悩む冴の姿も良い。だが、その生活を捨ててガオレンジャーになったという経緯もあり、最終的にはその使命に気づくというパターンとなる。
 これまで反発しっぱなしだった岳がしっかり走をリーダーに認めているのもさりげなくポイント高い。
 走の恋人かと思ってた女性が実は…というオチは結構パンチ効いてる。
<眠る時はナイトキャップを付けている草太郎。ナイトキャップは眠りのアイコンだが、現実に着けてる人間を見た事は無い。>
第9話 双子が微笑む

  脚本:武上純希
  監督:竹本 昇
 古文書に書かれたパワーアニマルはあと二体。それを探すテトム。一方、パトロールがてら散策を楽しむガオレンジャーの面々。その中で、故郷の町を尋ねた岳の前に携帯電話オルグが現れた。超電磁波によって変身が出来くなってしまうのだが…
 敵は携帯電話オルグ。携帯電話に取り憑いたオルグで、携帯電話を集める事を目的としている。広範囲に電波障害を発生させたり、ガオレンジャーの変身を解除する超電磁波を使う。左手から伸びたアンテナを折られると力を失う。
 今回は岳が中心となり、双子の兄弟との交流を通じて新しいパワーアニマルを得るまでが描かれる。
 変身が出来ない状態で戦わねばならないヒーローというのもある意味定番ではある。戦隊ものであれば、一番組について複数回は出てくるものだ。結果として逃げ回りつつ、作戦を立てるという形を取るが、仲間達が逃げ回っている時間に、中心となったキャラが新しい仲間を見つけるというのはかなりバランス良い。
<携帯電話オルグの必殺技はそれぞれメールパンチ、着信チョップ、着メロキック。真面目に技を叫んでると馬鹿みたいに見える。
 巨大化した携帯電話オルグの攻撃で耳を押さえているのだが、全員片手だけ。これじゃ意味ない…そもそもヘルメットの上だし。
 当時は最先端だった形の携帯電話も、今となっては、本当に一過性のものだったことを、なんかしみじみと。>
VOL.3
<A> <楽>
第10話 月が招く!!

  脚本:武上純希
  監督:竹本 昇
 連戦により力を失ってしまったガオライオン。傷ついたパワーアニマルを癒やす方法は聖なる森にある輝きのキノコを食べさせるということで、その聖なる森へと向かうガオレンジャー。だが、そこは既に宅地に帰られてしまっていた…
 敵はブルドーザーオルグ。ブルドーザーに取り憑いたオルグで、ただ木を切り倒すことだけが目的で、聖なる森に入り込んで森を伐採している。デュークオルグにより一気に巨大化して森にいるガオレンジャーを襲う。かなりのダジャレ好き。
 予言の書に書かれていたパワーアニマルは全部集まったはずなのだが、まだまだパワーアニマルは出てくる。今回はガオライオンに代わる胴体から顔となるパワーアニマルが登場してきた。
 そのパワーアニマルガオゴリラは走の宝珠となるのだが、この話ではどっちかというと海の方が話の中心になってる。
<ヤバイバとツェツェはほとんど偶然に聖なる森にたどり着いたそうだ。そんなに簡単に行けるものなの?
 聖なる森には巨大なバナナのなる木がある…ここは精霊の世界だってので、バナナの木があるのはともかく、どんなサイズだよ。
 最後に祠から戦国時代の巾着が出てくるが、まるで新品同様。>
第11話 父親上京。

  脚本:武上純希
  監督:渡辺勝也
 ガオライオンの復活にはまだしばらくかかるとテトムから告げられたガオレンジャー。そんな中、父親が上京してくると告げ、一度アパートに戻った冴。だがそんな時にオルグが現れて…
 敵は武者人形オルグ。武者人形にツェツェとヤバイバを依り代に誕生した現時点では最強のオルグ。剣を使って真っ正面から戦いを挑んでくる。
 冴を中心に、父親との関係が描かれる。家族ネタも戦隊ではよくやるパターンだな。ここでは父親は武道の達人で極めて厳しく、そんな父を尊敬しているというちょっと珍しいパターンで、ほとんど接触なしに、その姿を父に見られることでガオレンジャーのメンバーである事を認めさせた。気持ちいい話に仕上がってる。
 父に会うというメンバーのため、他のメンバーで敵と戦うってのがこう言う話のパターンだが、最初っから呼び出してるのが面白いところ。
 これまでのオルグは勝手に生まれて欲望に忠実に生き、その欲望をデュークオルグに利用される形だったが、今回から意図的に生まれるようになった。
 今回もガオライオンは復活できず、今回もガオマッスルで戦う。
<冴は高校生って事で、鹿児島時代にはセーラー服姿…いや、だからなんだとは言いたくないが。>
第12話 本物はどっち!?

  脚本:武上純希
  監督:渡辺勝也
 シュテンの怒りを宥めるためにツェツェとヤバイバはなんでもコピーしてしまうコピーオルグをスカウトした。能力を含めなんでもコピーしてしまうコピーオルグにコピーされてしまったガオレンジャーだが…
 敵はコピーオルグ。コピー機に取り憑いたオルグで、右手のスキャナーで取り込んだどんな人間にも化けることが出来るオルグ。本人だけで無く、コピーした紙を使い、複数の人間もコピー可能。
 これも一種の定番であるコピー話。過去の戦隊ものだと双子がよく使われていたが、それは使われず、その代わりに誰が偽物か?という緊張感のある展開になってる。チーム内で疑心暗鬼が始まってしまう。
 久々に走と岳のぶつかり合いが見られる。獣医ならガオライオンを治してみせろという岳に、本気で怒ってた。逆鱗ってやつか。
 どっちが本物の冴か?と言う時、花を踏んでしまった方を偽物と断定する走。それはいいけど本物の冴も花を踏んでいた。人を食った展開だが、それが良い。
第13話 産声が凍る!

  脚本:武上純希
  監督:坂本太郎
 ガオソウルを吸収したガオの卵からガオの心臓の幼体が誕生する。その愛らしい姿に舞い上がってしまうガオレンジャーの面々。一方、オルグマスターからの叱責を受けたシュテンは、ガオライオンの復活前にガオレンジャーを倒そうと自ら出動していた。
 敵はフリーザーオルグ。ガオレンジャーを倒すためにシュテンがスカウトしたオルグで、どんなものも凍らせてしまう。自爆してパワーアニマルを凍らせてしまった。
 ガオライオンを元気にさせるためには何段階も踏まねばならない。卵からやっと雛が孵ったが、それをガオの心臓にするにはまだもうちょっとかかるらしい。
 敵の方もだいぶテンパってるようで、ハイネスデュークオルグであるシュテンが自ら出動。今のところガオレンジャーでは到底かなわないが、ツェツェとヤバイバのデュークオルグとでは単体ではなんとか五分五分と言った感じ。最終回手前のような盛り上がり方なんだが、まだ全行程の1/4。
<ガオマッスルの必殺技の一つは、敵に抱きつくマッスルベアハッグ。確かに熊は使ってるし、技もベアハッグだが、なんかダジャレのように思えてしまう。>
VOL.4
<A> <楽>
第14話 魂の鳥が叫ぶ

  脚本:武上純希
  監督:坂本太郎
 ガオソウルを凍らされ、ガオレンジャーの変身が出来なくなった面々に襲いかかるシュテンとデュークオルグ。そんな彼らの前に現れたのは…
 敵はシュテン。ガオソウルが復活したガオレンジャーによって倒されるが、ツェツェの杖を自らに突き立てて巨大化した。
 一体目の中ボスとも言えるシュテンの最後が描かれる。ほぼ最終回のようなノリで、危機をはじき飛ばして復活するヒーローがフルで名乗り口上を上げるなど、燃える展開が用意されている。一方、燃えるが故に話が単調になるのは致し方ないが。
 ピヨちゃんがソウルバードに成長することでガオライオンが復活。その圧倒的パワーでシュテンを撃破している。
 だが勿論これで終わったわけで無く、新しいハイネスデュークが現れて終わる。
 シュテンを倒す際、ツェツェとヤバイバも倒されているのだが、ちゃっかりこいつらは生き返らせてるところが面白い。
<冴相手に明らかにセクシャルハラスメント的な発言をするシュテン。それを否定することが目的とは言え、だんだんこう言うのも出せなくなってきてる気がする。
 ガオソウルが蘇ると共に肉体まで復帰してるが、それはちょっと無理があるよね。>
第15話 鬼、吼える!!

  脚本:武上純希
  監督:諸田 敏
 やっとの思いでシュテンを倒したものの、新しいハイネスデュークのウラが現れた。新しいボスに自らの存在を認めさせようとツェツェとヤバイバはウラの望む“美しいもの”を掃除機オルグと共に探すが…
 敵は掃除機オルグ。目的のものはなんでも吸い込んでしまうオルグで、ツェツェとヤバイバの“美しいもの探し”に無理矢理つきあわされる。そしてロウキ。ウラが呼び出した新しいデュークオルグ。
 新しいハイネスデュークのウラは美しいものが好きだと言い、それに気に入られようと奮闘するデュークオルグのツェツェとヤバイバの奮闘と、それに振り回されるガオレンジャーの面々が描かれる。前半部はほぼコメディで、箸休めのような話になってる。これだけ自分の主人が好きな中ボスってのもなかなかない。
 戦隊ものだと戦隊の面々の七変化がある話が結構あるけど、これはそれを逆手にとって敵の方が七変化してる。
 そんな中、物語を進めているのはウラで、新たな敵を呼び出していた。圧倒的な強さを持つデュークオルグ、ロキが登場。ラストで一気にシリアスになった。
 笑わせようとする演出が多いため、ツッコミどころが逆に少ない。
第16話 魔笛、轟く!!

  脚本:武上純希
  監督:諸田 敏
 突如現れたデュークオルグ狼鬼によって完膚なきまでにたたきつぶされてしまったガオレンジャー。だが狼鬼はウラの手先にはならず、ただ恨みを晴らすためにガオレンジャーと戦うと宣言する。
 敵はデュークオルグ狼鬼。パワーアニマルまで使うことが出来ることが出来ることが発覚した。
 前回登場した狼の顔をしたデュークオルグとの戦いが中心となる。ハイネスデュークのウラにさえ不遜な口利きをする狼鬼だが、過去に何かとても哀しい過去があったかのよう。偶然それを見かけてしまった冴の心の動きが見所。敵かどうか分からないと言うことで、この辺で大体これが追加戦士である事が分かってくる。パワーアニマルを呼び出せるって事でもそれがうかがえる。
 とりあえずこの話では狼鬼との戦いになるが、5人相手に全く問題にしないとか、パワーアニマルを使えるとか、ガオレンジャーのパワーアニマルを封印できるとか、とにかく狼鬼の強さを強調している。ただ、これだけの強さを持ったキャラが、いざ味方になると空気になるという事実も…
<狼鬼の必殺技はムーンライトソニック。1000年前に封印されてたくせに英語使うのか?パワーアニマルも全員英語読みだし。>
第17話 象が消えて…

  脚本:武上純希
  監督:渡辺勝也
 パワーアニマルを使えるどころか、ガオエレファントの宝珠まで奪ってしまった狼鬼。そんな時、鬼ヶ平公園で巨大象の目撃情報を目にした冴は海と共に鬼ヶ平へと向かう。
 敵はバスオルグ。観光バスに化けて鬼ヶ平に冴と海を連れて行く。鬼ヶ平に充満する邪気を吸い込み、見かけ不死身。
 ガオエレファントを奪われて悄げてる冴がその行方を捜すという話。その弱みにつけ込んだデュークオルグコンビの罠にはまる。今回二人が中心となるが、走に言わせると「がきんちょユニット」で、まだまだ先走り気味。
 前回ガオエレファントの宝珠が奪われ、今回はジュラフとなる。最初はツェツェとヤバイバに奪われたが、結局は狼鬼が手に入れることになった。
 今回狼鬼の使う3体のパワーアニマルが合体してガオハンターが現れた。
<バスの運転手が「ヤバイタロウ」でバスガイドが「ツエノツエコ」…これで気がつかない冴と海にも問題がある。>
VOL.5
<A> <楽>
第18話 魔獣、武装!!

  脚本:武上純希
  監督:渡辺勝也
 ガオエレファントに続きガオジュラフまで奪われてしまったガオレンジャーは落ち込んでしまう。そんなガオレンジャーに追い打ちをかけるべく、狼鬼は時計オルグを連れてガオレンジャーに立ちはだかる。
 敵は時計オルグ。時を操る能力を持つオルグで、狼鬼の部下として現れる。股旅風の服装しており、しゃべり方も古風。
 狼鬼の狙いはガオレッド。そのため他のメンバーを過去に送り込んで一対一の決闘を挑むのだが、一方では古代に送られたメンバーにもちゃんとドラマが展開する。過去に送られたはずなのだが、あまりにも都合の良い展開に、これは幻の世界と気づくことになる。
 そしてガオレッドと狼鬼の一対一の戦いはやはり狼鬼に分があるが、ギリギリで持ちこたえたところを全員現代に戻ってきてなんとか互角に持ち込む。
 今回ツェツェとヤバイバは完全に味噌っかす。なんだか二人でゲーセンで遊んでたけど。
<狼鬼による攻撃で爆発が起こってから時を止める時計オルグ。口に台詞出してたら、遅すぎね?
 過去に送られたはずが、あまりに時計オルグに都合が良すぎる…と思ったら、幻だったか。
 ガオキングの必殺技の名前を叫んだ後でガオジュラフを呼び出す狼鬼。遅すぎじゃないか?>
第19話 猛牛、脱退!?

  脚本:赤星政尚
  監督:坂本太郎
 前に働いていた花屋の同僚詩織と町で出会った草太郎は、またしても恋に燃えてしまう。すっかりでれでれしてしまう草太郎に怒る海。それで拗ねてしまった草太郎はガオレンジャーの脱退を口にしてしまう…
 敵はメガネオルグ。眼鏡になって女性に取り憑き、良いように操るオルグ。草太郎の知り合いだった詩織に取り憑いて、草太郎を骨抜きにしてしまう。
 新月になると狼鬼は活動出来なくなるそうで、今回はツェツェとヤバイバが作戦を立て、そのためちょっと前までの話っぽく作られている。中心は草太郎と海。惚れっぽい草太郎はすぐに敵の罠に落ちてしまうが、その純情が痛々しい。ただ、この恋話は、後に意外な形で…
 ガオバイソンがちょっと戦線離脱したこともあって、今回はパワーアニマルが大活躍中。
 あれ?ツッコミ所がないぞ。
第20話 巫女囚わる!!

  脚本:武上純希
  監督:坂本太郎
 狼鬼はかつてガオイエローによって封印されてしまったバイクオルグを復活させた。自分を封印したイエローに激しい恨みを持つバイクオルグに襲われたテトムがさらわれてしまう。
 敵はバイクオルグ。かつて原付オルグと言い、まだ一人しかいなかったガオイエローによって封印されていた。狼鬼によって復活させられたが、その際体は原付から限定解除となった。自分を封印したイエローを目の敵にしている。
 ガオレンジャーとなった岳の過去が明らかになった。戦闘機訓練中にテトムと出会ったのがきっかけだとか。最初の敵が原付オルグだが、その衝動を消し去る事が出来ず、封印するだけで終わった。それを恥ずかしい過去にしてたようだが、別段恥ずかしいほどのことでは無い気もする。
 前回狼鬼が出なかったが、今回は出ている。その意味合いがあんまり感じられないが、今回はガオレンジャーとの相打ちとなってもいる。徐々にガオレンジャーが強くなっているのか、その逆か?
<岳の秘密に盛り上がった他のメンバー達だが、海と草太郎がキスしようとするシーンが…
 飛んでる戦闘機の上に現れたテトム。それは良いけど、コックピットにいる岳にその声が聞こえるのは何故?>
第21話 狼鬼、惑う

  脚本:酒井直行
  監督:諸田 敏
 次々にガオの宝珠を狼鬼に奪われ、落ち込みの激しいガオレンジャーだが、一方のオルグの方でも狼鬼に手柄を奪われてばかりのツェツェとヤバイバが危機感を感じ、強力なオルグを探し出そうとする。だが二人が見つけたのは、オルグ史上最弱という人体標本オルグだった。
 敵は人体標本オルグ。小学校の理科室にあった人体標本に憑依したオルグで、その力はオルグ史上最弱で、子どもからも姿を隠そうとする。
 今回はツェツェとヤバイバを中心にしたコミカルな話がメイン。きつい話とコメディが混ざり合った不思議なバランスを持った作品だ。
 二人の作戦というのが、お化け屋敷を作ってそれにガオレンジャーを誘い込み、そこで脅かして宝珠を奪おうというもの。最初からバレバレなんだけど、わざわざ怖がってみせるメンバーが良い具合。怖い怖いと叫びながらオルゲットをたこ殴りにしてる。
 一方、野良犬を大切にするとか、徐々に良い奴となっていく狼鬼の姿もあり。そして最後にちょっとだけ現れる謎の巨大ロボ。
<人体標本オルグは多彩な技を持ってるけど、「スポイト石綿金網」って、ただ単語並べてるだけでは?
 人体標本オルグは最弱とまで言われてるけど、ビル一つ破壊してる。他のオルグよりも随分破壊能力は高いようだ。
 ヤバイバによれば、「やっぱり本は純文学だよな」。こう見えて随分インテリっぽい。それにしても人類に敵対するオルグが文学を理解するのか?>
VOL.6
<A> <楽>
第22話 巨牛、壊れる!!

  脚本:武上純希
  監督:諸田 敏
 戦いの最中に突然現れたガオゴッドの影に話しかけられて混乱する狼鬼は、自分自身を知るためにウラとの取引に応じる。その作戦は、ガオバイソンの宝珠を奪うことだった。
 敵は芝刈機オルグ。芝刈機に取り憑いたオルグで、その目的はひたすら芝を刈ること。芝を傷つける人間を許さない。足下が芝刈り機になっているため、対峙してるだけで相手の脚を攻撃できる。これでガオキングの脚を使えなくした。
 これまで他のキャラは宝珠を得たのにガオブラックだけ手に入れていなかった。そしてその宝珠を得るために、まずはガオバイソンを封印させる必要があったという話。芝刈機オルグとは別に喋るサッカーボールが出ているので、これがキーパーソンだろう。
 そして狼鬼が自分自身を探すため、ウラの取引に応じるのだが、徐々に正義の記憶が戻ってくると言う話にもなっている。
第23話 狼鬼、死す!?

  脚本:武上純希
  監督:渡辺勝也
 ウラの洗脳によって身も心もオルグとなった狼鬼はガオレンジャーに襲いかかる。そんな時テトムの宝珠にガオゴッドのメッセージが届く。その内容は、狼鬼の過去にまつわるものだった。
 敵は狼鬼
 狼鬼の過去が明らかになった。かつてパワーアニマルと共にオルグと戦っていたガオの戦士の一員だったが、百鬼丸を封印した際、その邪気を体に取り込み、そのため自ら仲間たちに自らを封印するよう願ったのだという。
 それを知ってしまったガオレンジャーは、満月で力を増している狼鬼に本気で戦う事が出来ない。
 そして危機に陥ったその時、新しいパワーアニマルが登場。二体セットのパワーアニマルで、ガオライノスとガオマジロ。これによって再び脚が出来、ガオキングストライカーが誕生する。ちなみにガオマジロは初めて声を出すパワーアニマルとなった(ソウルバードは幼生体のみ声出してる)。
<先ほどまで夜に戦っていたのに、次の瞬間には昼間になってる。>
第24話 銀狼、閃く!!

  脚本:酒井直行
  監督:渡辺勝也
 ガオレンジャー達の奮闘により正気を取り戻した狼鬼=大神月麿。だが自分の手は既に汚れていると思い込んだ月麿は、自分を復活させたウラを一人で倒そうとするが…
 敵はキマイラオルグ。ウラの持つガオエレファント、ガオジュラフ、ガオベアー、ガオポーラの四体の宝珠を合体させたオルグ。それぞれのパワーアニマルの力を持っているため、多彩な攻撃が可能で、更にガオレンジャーの攻撃はほとんど通用しない。覚醒したガオシルバーによって倒され、再び宝珠へと戻される。
 狼鬼が完全に仲間になるまで。覚醒した狼鬼はガオシルバーとして蘇ることになる。追加戦士としては随分時間使ったもんだな。
 ウラの目的が明らかになった。パワーアニマルを全部集めて最強のキマイラオルグを作ることだという。ここではっきりパワーアニマルは百体いる事が明言された。
<狼鬼の時は良かったんだが、月麿になった途端滑舌が悪くなってしまった。
 それにしてもなんでガオシルバーの武器が全部英語なんだ?1000年前から復活した割にはちゃんと叫んでるし、必殺技もビリヤードだし。>
第25話 三代目鬼姫参上

  脚本:武上純希
  監督:竹本 昇
 覚醒した月麿によってウラは倒れた。つかの間の平和を満喫するガオレンジャーだが、新たなるハイネスデュークが現れ、その対応に追われることに。
 敵はオニヒメ。新しいハイネスデューク…と思われたが、実はウラの宝石を手に入れたツェツェが一時的にパワーアップしただけ。そしてカラオケオルグ。オニヒメがカラオケ機材をオルグに変えてしまった。その機材で歌った人間の声を猫のものにしてしまう。
 前回のラストでウラが倒れ、新たなハイネスデュークの誕生。と思われたのだが、実はウラはまだ生きており、その力を借りたツェツェが一時的にパワーアップしただけと分かる。えらく人を食った脚本だが、それが本作の味でもあり。
 月麿は意外にノリが良い。カラオケに誘われたのを一旦は断ったものの、又誘われたら今度は誘いに乗ろうと心に決めており、なんかウキウキしてた。ギャップが凄いな。
 そんでカラオケにやってきたガオレンジャーのオリジナルメンバーはカラオケオルグによって声を奪われてしまった。
<オルグがいるというカラオケルームに来たガオレンジャーだが、最新機種に盛り上がってすぐに歌い出していた。金は払ったのか?
 ニャーとした喋れなくなったガオレンジャーだが、変身シーンでは「ニャオアクセス」とか言ってる。ちゃんと喋れてるのでは?
 カラオケオルグの攻撃にレーザーディスクカッターなる技があり。時代を感じさせる。ディスクを破壊された時「今やディスクは貴重なんだぞ」とぶつくさ言ってるのが面白い。>
VOL.7
<A> <楽>
第26話 狼鬼、ふたたび

  脚本:赤星政尚 
  監督:竹本 昇
 月麿から分離された狼の面が邪気を取り戻して復活した。自らを捨てた月麿に復讐の牙を剥く狼鬼に、ガオシルバーは一人で立ち向かおうとするのだが…
 敵はデュークオルグ狼鬼。月麿からは分離した鬼の面が邪気を取り戻して復活した。ガオシルバーよりも遙かに強かった。
 ガオシルバーの孤独な戦いが展開するのだが、孤独と思っていたのは自分だけで、他のメンバーは全員仲間だと思っていたというオチとなった。結果として、それを受け入れて全員がガオレンジャーとなるまでがこの話の骨子。
 実はウラは死んでなかった。どうやら今回はその復活の時間稼ぎだったらしい。
<アラビア数字が読めない月麿。千年前の人だから当然かもしれないが、必殺技が英語だったり、バイクに普通に乗ってたりとするあたり、微妙な違和感がある。
 巨大化した狼鬼を倒したのはガオハンターのビリヤード技だが、ガオシルバーのポーズとガオハンターの格好に大部違いがあるんだが。>
第27話 雛がすねる

  脚本:武上純希
  監督:松井 昇
 ウラは狼鬼を封じた1000年の邪気が込められた壺を用いてツボオルグを作り出す。なんでも吸い込むツボオルグはガオキングとガオハンターを飲み込んでしまった。
 敵はツボオルグ。狼鬼が封じられていた壺が変化したオルグ。その邪気によってツェツェとヤバイバもパワーアップさせた。
 またしても(笑)最強のオルグが登場。一方怪我をしていたガオバイソンが復帰して久々にガオキングが登場したが、あっという間にツボオルグの壺に閉じ込められてしまった。ただ残された宝珠によってガオマッスルストライカーが誕生。
 封印された壺から久々にピヨちゃんが現れてる。その羽根を用いて新しいピヨちゃんが現れるが、なんだかえらく人相(?)が悪く、性格も悪い。そのピヨちゃんをおだててソウルバードにするまでの奮闘が描かれる話となった。最強の敵が登場してるのに、何故かギャグ回になってるのが人を食ってて面白い。
<フンをまき散らすヨちゃんの臭いをかがないよう鼻にクリップを付けてるテトム。鳥の糞は悪臭はあんまりしないんだけどね。
 折れたツェツェの杖を飲み込んで元に戻して返すヤバイバ。何故下半身から杖を出す?今回はなんでだかスカトロジカルな演出が目立つな。>
第28話 奥義、伝承!!

  脚本:武上純希
  監督:松井 昇
 ボウリングの玉を使い街を破壊する強力なボーリングオルグに立ち向かうガオレンジャー。だが千年の邪気を吸ったボーリングオルグは強大で、ガオレンジャーも太刀打ちできなかった。
 敵はボーリングオルグ。千年の邪気を使って誕生したボーリングの玉が変化したオルグ。
 ボーリング好きな海がボーリングオルグと戦うと言う話。その特訓が主で、昔懐かしい昭和特撮っぽさが良い。ただ、その分物語がえらく偏った感じになってる。バランスが取れてない話ってのも味はあるな。
 巨大化したボウリングオルグによって傷ついたパワーアニマル。そこでガオキングの両腕をガオウルフとガオハンマーヘッドを合体させた。こういう細かい合体が出来るのが本作も面白さでもある。
<ボーリングオルグに吹っ飛ばされ、スケキヨ状態で上半身が地面にめり込んだ草太郎。それを見て一言「あ、生きてる」…冷たい奴らだ。
 トルネードスピンというのはボウリングの玉が炎を纏ってピンを倒す。こんな技使ってたら一回でレーンが駄目になるだろう。>
第29話 鹿が癒す

  脚本:赤星政尚
  監督:渡辺勝也
 ますます強力となった千年の呪いから誕生した墓石オルグと戦うガオレンジャー。だがもはやガオレンジャーの力は届かないほどに邪気は強力となっていた。そんな時、テトムの歌が天空へと届いていた。
 敵は墓石オルグ。更に強力になった千年の邪気によって誕生したオルグで、非常に強力な防御を誇る。至近距離でガオメインバスターを受けて一旦は倒されたが、すぐに巨大化。ガオキングアナザーアームの攻撃を一切受けない。ガオマッスルストライカーの捨て身の攻撃で相打ちとなり、その後ガオディアスによって千年の邪気を抜かれた。
 新しいパワーアニマルであるガオディアスが登場。これによって千年の邪気が封じられるまで。到底かなわないほどの邪気に打ち勝つのは浄化するという流れはほとんど最終回のノリ。
 久々に走の「俺は獣医だ!」が聞ける。諦めの悪さが出ていてなかなかよろしい。
 ガオディアスは過去月麿との間にわだかまりがあって、それでなかなか仲間となれなかったが、テトムの歌によって仲間となったという展開で、仲間全員で当たるというのも最終回っぽいノリだ。
VOL.8
<A> <楽>
第30話 満月が狼を殺す!

  脚本:酒井直行
  監督:渡辺勝也
 ガオディアスによって千年の邪気は封印された。だが邪気そのものが消えたわけではないと、邪気を探しに出る月麿。だがそれをツェツェとヤバイバに襲われてしまい、囚われの身となってしまった。そして明かされるウラの真意とは…
 敵はガオハンターイビル。そして醸成された千年の邪気を全て取り込んだウラ究極体。
 ウラ編の終盤。ウラの真意がここで明らかにされるが、それは千年の邪気を自らの体に封じ込め、自らの力を増すことだった。
 再び千年の邪気を使って狼鬼にしようとするウラだったが、それが失敗することも想定の内。それら全てを伏線として、ついに自らが最強のオルグとなったという展開はなかなか凄いものがある。前話が最終回っぽかったが、それを越えたところにこの話があるのが凄い。ノリ敵には完全に最終話一話前。
第31話 百獣戦隊、全滅!!

  脚本:酒井直行
  監督:竹本 昇
 究極化したウラの前にガオレッドとガオシルバーを除く4人が倒されてしまう。ガオゴッドの力により、二人はガオズロックへと戻されたが、その頃自らの力を誇るウラは破壊活動を始めていた。
 敵はウラ究極体。巨大化戦でガオイカロスに敗北し、元の姿に戻ったところを破邪百獣剣で倒された。
 ウラ編最終話。ウラが育ててきた千年の邪気も消えてしまう。
 あっという間に仲間たちが倒されてしまい、残されたレッドとシルバーが二人が絶望的な戦いに挑んでいる。パターンとして、こういう絶望状態で新しい力が与えられることになるが、本作でもそのパターンは踏襲されている。それがちょっと軽すぎるか?
 そのために一度死んだ仲間たちががんばってるってのがちょっと違っているところか。普通だったら生き残ってる側ががんばるもんだが。死んで尚、自らの体を犠牲にすることで生き返るという展開は出来すぎかな?命がちょっと軽く扱われすぎる。
 そして新しくガオイカロスが登場。
<ウラに襲われ怯えていた子ども達がガオレンジャーを応援する時は笑顔になってた。随分現金な子ども達だ。
 ウラに対して、「お前の間違いはガオシルバーを生み出したことだ」と言い放つガオシルバーだが、実質的に今回は何にも活躍してなかったりして。>
第32話 三匹が喰う!!

  脚本:武上純希
  監督:竹本 昇
 二人目のハイネスデュークのウラが倒れ、三度目のハイネスデュークのラセツが現れた。ラセツと共に現れた二人のデュークオルグにより街が破壊されてしまう。どこに現れるか分からないラセツを待ち伏せようとするガオレンジャーだが…
 敵は三人目のデュークオルグであるラセツと、その従者であるデュークオルグのプロプラとキュララ。プロプラはプロペラ機のような姿をして空中からの銃撃を得意とし、キュララは戦車のような姿で巨砲を使った大規模破壊を得意とする。
 休息はなく、さっさと三人目のハイネスデュークが現れた。そこでの戦いの前編となる。
 新しいハイネスデュークのラセツは男と女の声を使い分けるのが特徴で、。人の絶望をごちそうとして食べる。そのため、絶望を深めるために文明社会を破壊する事を楽しんでるようでもある。
 こういう時だから、ガオレッドが話の中心となってる。他のメンバーが怖じ気づいたところを励まし、子どもと交流もしてる。ちなみにこの子、前回黄泉の国で登場した子じゃなかったか?
<なんか訳ありのような少年が登場するけど、すげえ棒読みで気持ちがそがれる。>
第33話 少年が祈る。

  脚本:武上純希
  監督:舞原賢三
 ラセツと二体のデュークオルグの圧倒的力に対抗するため特訓を開始する。街に住む少年風太郎を心配する走のため、町へと出かけたテトムだが…
 敵はラセツプロプラキュララ。プロプラとキュララはツェツェとヤバイバの力を吸収して更にパワーアップした。二人の連携を乱されて一体ずつ倒された。
 美食家のラセツは文明社会や人の絶望を好物として食べるとされているが、テトムの作った料理に興味を示すとか、普通の食べ物も食べるっぽいことも分かった。
 一方、ガオレンジャーの側では何故か宝珠の反応がなくなってしまったが、それはこの町にパワーアニマルの化石があるからだった。どうやらこれも伏線になってるっぽい。
<風太郎は石化したパワーアニマルがいるこの町を見捨てられないと言っていたが、なんで近代的な町の真ん中にまるで採石場のような場所があるのか…答えはこれが東映特撮だから。
 巨大戦は町のど真ん中で行われているが、あれだけ派手に立ち回ってるのにほとんど被害がないような?>
VOL.9
<A> <楽>
第34話 鉄人鬼(オルグ)、泣く!?

  脚本:武上純希
  監督:舞原賢三
 プロプラとキュララを失いご機嫌斜めなラセツを慰めようと料理の上手い炭火焼オルグを探すことにした。だが当の炭火焼オルグは人間に化け、社会に溶け込んでいた。
 敵は炭火焼オルグ。50年ほど前に現れたオルグで、串焼き屋台の主人としてすっかり人間社会に溶け込んでいた。こだわりの焼き鳥を出している。ツェツェとヤバイバに挑発され、怒りの感情を爆発させられてしまった。正気に戻ったが、ラセツによって殺され、感情を殺されて巨大化させられた。
 人間社会で普通に暮らしていた怪人と戦わなければならなくなったヒーローの苦悩が描かれる。これは戦隊もののパターンとしては定番の一つ。哀しい物語になってるが、最後にちょっと救いが描かれてる。
 ラセツはそんな良い奴を容赦なく殺してしまうことで、非情さというものをよく示したものともなってる。
 炭火焼オルグの人間態は諏訪太朗が演じているが、この人、同時期にやっていた「仮面ライダーアギト」でもラーメンの屋台の主人を演じていた。
<岳は人間に化けられるオルグは初めてだと言っていたが、前にコピー機オルグが化けてた。>
第35話 獣皇剣、強奪

  脚本:武上純希
  監督:諸田 敏
 前に風太郎を見た記憶があるという冴と共に風太郎を探す走だが、その前にカジヤオルグが現れた。素晴らしい金属を求めるカジヤオルグによって獣皇剣を取られてしまった。
 敵はカジヤオルグ。良い金属を使い、ラセツのために食器を作ろうとしてガオレンジャーから獣皇剣を奪う。
 久々に自分の欲望に忠実なオルグが登場。自分の理想の食器を作るためにひたすら獣皇剣を奪おうとするだけの存在。しかもそれがガオレンジャーをどうこうというのでなく、単純に良い金属だからというだけの理由。こういう話がとても良い具合。
 今回は冴が中心。子どもにおだてられて獣皇剣を奪われたのはともかく、それをからかわれて拗ねてしまい、それを宥める走の姿が面白い。ここのところハードな展開ばかりだったけど、元々こう言う話が多かったんだよな。
 またしても風太郎が物語に関わってる。
 ところで今回の話は昭和初期くらいの古い町並みを舞台としてるけど、どこなんだろう?
<カジヤオルグが獣皇剣を使って作ったのは食器。だけど手の部分が獣皇剣の持ち手のままだから、相当使いにくそう。ラセツだから良いのか?
 レッドがサモナーを使おうとした際、「飛び道具とは卑怯」というカジヤオルグだが、自分は火を吐いて飛び道具で攻撃してる。流石悪人らしい。
 獣皇剣が食器に変えられてしまったため、パワーアニマルが呼び出せないガオレンジャー。だけど次の瞬間レッド一人で呼び出してしまった。確かにファルコンサモナーには五つの宝珠入れる穴があるが、出来すぎた話だ。>
第36話 戦士踊る

  脚本:武上純希
  監督:諸田 敏
 ガオディアスのために歌うテトムの歌声を聞いたラセツは激怒。その怒りが歌を打ち消す力を持った魔笛オルグを生み出した。魔笛オルグの音波で意思とは関わりなく踊らされてしまうガオレンジャーだが…
 敵は魔笛オルグ。オカリナとサックスとフルートが合体したような姿をしたオルグ。手にした笛を吹くことで人を踊らせることが出来る。デュークオルグの力を注入され、ガオレンジャーも踊らせられるようになった。
 テトムと月麿の関係修復の話。月麿はテトムに紫の面影を見るが、当のテトムは紫と一緒にされることに腹立ちを覚える。それで関係がぎくしゃくしてるけど、喧嘩によって仲良くなるってのは定番。そしてそのために他のメンバーがコミカルに右往左往するのは定番中の定番。
 これまでのハイネスデュークと較べ、ラセツは前線で戦うのが結構好きらしい。テトムの歌を止めるためだけに現れてる。
 そしてついに実体を持ったガオゴッドが現れた。巨大化した魔笛オルグの楽器をたたき落としただけでいなくなってしまったけど。ガオゴッドのパワーアニマルは石になってたと思ってたんだが?
<魔笛おオルグの左手には4本のリコーダーがあり、そこからビームを出したと思ったら、そのリコーダーを飛ばしてミサイルにしてた。どんな原理だ?>
第37話 ヤバイバ燃える

  脚本:武上純希
  監督:竹本 昇
 ラセツに自分の存在意義を見せようと努力するヤバイバは弟分のジャグリングオルグとユニットを組んでガオレンジャーを圧倒しようと考える。風太
 敵はジャグリングオルグ。ヤバイバの弟分で、ジャグリングを得意とする。兄貴分のヤバイバと共にユニットを組んでガオレンジャーに挑戦する。
 ヤバイバが中心となり、その弟分と共にガオレンジャーに挑戦するという話。敵が中心となる話は結構面白いのが多いが、今回もなかなか良い感じ。ヤバイバは元々ピエロがモティーフだったと言う事が分かるが、本人もそれを知らなかったらしい。ソメタローソメノスケみたいな漫才もしてる。
 決死の覚悟でオルグシードを直接食することでヤバイバも巨大化してガオキングを圧倒するシーンもあって、やっぱり面白い。
 一方のガオレンジャーの方は遊園地で風太につきあう海と岳がメインとなるが、ヤバイバとジャグリングオルグの攻撃を偶然全部避けてしまって、敵に気がつかないとかコミカル描写が映える。
 ラスト。初めて月麿の素顔を見た風太郎は「懐かしい気がする」と言っている。やっぱりガオゴッドと関係があるっぽいな。
<ウサギの着ぐるみをかぶってるヤバイバだが、着ぐるみの下に着ぐるみというかなりシュールな光景が観られる。ジャグリングオルグの方は何故かパンダの着ぐるみの方が痩せてるという、なんだかよく分からない姿でもあった。
 人質に取られた風太郎は「僕のことは良いから戦って」と定番の台詞を言っているが、棒読みなのはご愛敬。>
VOL.10
<A> <楽>
第38話 精霊王頂上決戦

  脚本:武上純希
  監督:竹本 昇
 どんな猛獣も従わせる猛獣使いオルグを見つけたツェツェとヤバイバは早速ガオレンジャーに差し向ける。百獣の力を受けたガオレンジャーは、思いとは逆に猛獣使いオルグに攻撃できなくなってしまった上、呼び出したパワーアニマルまでも猛獣使いオルグに従う始末…
 敵は猛獣使いオルグ。どんな猛獣も手にした電磁鞭の一振りで従わせる事が出来る。ガオレンジャーにとっては相性最悪の敵。オルグシードを無理矢理食わされて巨大化してガオキングやガオマッスルを従わせた。
 ガオレンジャーにとっては最悪の相性の敵との戦いになるが、危機の割には全編コミカルな描写が映える話だった。ガオキング合体のナレーションまで猛獣使いオルグがやっていて、「私の出番がない」とナレーターがぼやいてた。
 物語中盤からはガオキングとガオマッスルの戦いとなってしまい、次々に合体を組み替えるガオキングをヤバイバとツェツェが解説実況してたりする。
 絶体絶命の危機に風太郎が上げた声がパワーアニマルを正気に戻した。やっぱり風太郎が何かの役割を持っていることが明らかになった。
<ガオハンターが猛獣使いオルグに操られないのは、「所詮一匹狼の集まりだから」と説明を付けていたが、「猛獣」とは全部そうではないかな?>
第39話 神が連れ去る

  脚本:武上純希
  監督:舞原賢三
 パワーアニマルを従える風太郎の姿を見たラセツは、人間に対し不信感を持ち始めた風太郎に近づき、オルグの真実について聞いて欲しいと誘いをかける。その頃風太郎を探しに行ったガオレンジャーは、モニターオルグと遭遇して戦闘になっていた。
 敵はモニターオルグ。様々な家電がくっついたような姿をしたオルグ。コンピュータやテレビのモニターを通して人間を異世界に閉じ込めてしまう。
 風太郎は本当は誰なのか?と言う事から始まり、本編の大きなテーマ。地球の浄化について真正面からぶつけた話。地球を汚す人間は果たして守るべき価値があるのか?これはいくつかの特撮で言及されているが、避けては通れない大きなテーマだ。
 オルグは人間によって廃棄された文明の利器に宿る。それは即ち人間こそがオルグを生み出す張本人であると言う事。
 風太郎は人間を守るに値しないと判断するのだが、その正体はガオゴッドそのものだった。
 そしてはっきり実体化したガオゴッドが登場するが、ラセツに操られたガオキングと正面衝突。
<かなり危険なスタントをやっているが、一発撮りを強いられてるためか、撮影が雑になってて爆薬とかが丸見え。>
第40話 天空島、滅ぶ

  脚本:武上純希
  監督:舞原賢三
 風太郎はガオゴッドの変身した姿だった。自然を破壊したのが人間である事を知ったガオゴッドはパワーアニマルを連れて地上から姿を消してしまった。パワーアニマルの言葉まで聞こえなくなってしまったテトムは天空島へと向かうのだが…
 敵はブリキオルグ。ブリキのおもちゃに邪気が宿って誕生した。珍しく人語を話さないオルグ。左手には火炎放射器、右手には回転のこぎりを装着している。
 前回からの続きで、ガオゴッドによって見捨てられてしまった人間はどうすれば良いのか?という命題だが、むしろパワーアニマルに見捨てられてしまい、自分たちがやってきたことに絶望しているガオレンジャーの姿が見所。
 たとえ全てに見捨てられようとも、人を助けると言う使命を捨てることは出来ないというヒーローの姿がここにはある。
 一方、現代の人間のためという意識が薄い月麿は、彼なりに悩んだ結果、仲間のために戦う選択をする。これも重要な意味合いだ。
 人間は捨てたものではない。という結論は単純ながら、戦隊ものでは重要な要素でもあり。
 まあでも、これが全部ガオゴッドによる試練で会ったというのはちょっと出来すぎだな。ガオゴッドが謝るような展開にした方が良かった気はする。
第41話 サンタが来た

  脚本:酒井直行
  監督:坂本太郎
 町に現れたクリスマスオルグは子ども達にプレゼントを手渡し、現れたツェツェとヤバイバにも人間とオルグの和平を訴える。その姿に感動した走は、クリスマスオルグと共にラセツの元へと向かうのだが…
 敵はクリスマスオルグ。子ども達にプレゼントを手渡す良いオルグと思われたが、実はプレゼントの靴下に子ども達を吸い込ませて子どもの夢を吸い取ろうとした。ラセツ曰く「オルグ界一の演技派」で、本当の名前はクルシメマスオルグ。下半身部分は同じだが、上半身がまるで異なる。
 敵が良い奴?と言うパターンは結構多く、それで本当に良い奴であるか、欺してるだけなのか?というところで物語が分裂する。今回はクリスマスオルグが欺してるってところで落ち着いた。ただ、今回の場合明らかにラセツの言動から、前半でこれが騙しである事が分かってしまうのだけど。
 そんな口車に乗ってしまった走の単純さが際立つ。
<自分の事を「人類の代表として」とか言ってラセツに近づく走。そんな資格あるのか?>
第42話 鬼忍者侵略!

  脚本:赤星政尚
  監督:坂本太郎
 新しいデュークオルグとしてラセツの腹心ドロドロが登場した。立場を失うことを恐れたツェツェはガオズロックの場所を探しに行くが、潜入に失敗してしまい…
 敵はドロドロ。ラセツの腹心と言う位置づけで登場したデュークオルグ。ラセツの言いつけでテトムを捕らえるため、手段を選ばずにガオズロックへと潜入する。自分の意思で巨大化出来、更にイカロスダイナマイトも通用しなかった。実はそれも幻影である事が発覚した。そして死霊オルグ魔人。ドロドロがオルグ忍法死霊傀儡によって現れたツリガネオルグ、タイヤオルグ、時計オルグ、魔笛オルグ、猛獣使いオルグの5体。
 新しいデュークオルグの登場によって、またしても立場を失うことを恐れたツェツェが奮闘する話。なにをやっても失敗続きで、それでもハイネスデュークに仕えることが最大の望みというツェツェの姿が泣ける。そのためにデュークオルグの証一本角まで切り落としてた。
 そんなツェツェを非情に切り捨て、挙げ句の果てに自分の盾として使って殺してしまう。
 これだけのことをやっておいて、ラセツの目的はテトムの手料理を食べたかったというだけ。凄いオチではある。
 ガオレンジャーの本拠地ガオズロックは移動要塞なので、動きさえすれば敵に見つかる心配はないと思われるが、それが分かってしまうと言うのが面白い。
<ツェツェは杖を地面に立て、両手を支点に回転する。これは『マトリックス リローデット』で使われたもの。前作「タイムレンジャー」でも『マトリックス』の引用シーンがあったが、スタッフのマトリックス好きが見て取れる。>
VOL.11
<A> <楽>
第43話 獅子、灼熱する

  脚本:赤星政尚
  監督:諸田 敏
 命を捨てたツェツェによりテトムが捕らわれてしまった。テトムに手料理を作らせたいラセツは脅迫のためガオレンジャーとドロドロを戦わせる。圧倒的な力を持ったドロドロに圧倒されるガオレンジャーだが…
 敵はドロドロ。影分身を使ってガオレンジャーを苦しめたが、ヤバイバの策略で自分の影分身を作ってしまい、それが倒されたことで本体も倒れた。そしてラセツ。ガオレンジャーから切り離されたパワーアニマル達が攻撃することで逃げ帰ってしまった。
 折角呼び寄せたテトムに何をさせるのかと言えば、料理を作らせるだけという強烈なオチだったが、テトム自身は勿論そんなラセツのために料理を作る気は無く、又、ツェツェを失ったヤバイバは逆上の挙げ句、なんとテトムを助けてしまう。こう言うことをするから敵ながら憎めない。それでヤバイバの機転で圧倒的力を持つドロドロを倒す事が出来た。尤も、すぐにラセツのご機嫌伺いするあたり、その性格の弱さも見られるけど。
 ガオレンジャーから切り離されたパワーアニマル達はテトムの卵焼きを食べたことでパワーを得て、異世界に行ったガオレンジャーを助けに行くのだが、その際更に巨大化したガオライオンの上にガオファルコンが乗ることで、ガオケンタウロスが誕生した。
<今回、突然Gファオズロックの中に入ってきたり、何か言いたげな表情をしたりとガオシルバーの立ち位置がやたら違和感あったが、別段伏線ではなかったらしい。思わせぶりな。>
第44話 亀岩、落ちる

  脚本:武上純希
  監督:諸田 敏
 腹心ドロドロを倒されたラセツはついに自ら立ち上がる。先に走のGフォンに仕込んだ分身を使い、Gフォンまで破壊されてしまった。素手のまま戦わざるを得なくなってしまったガオレンジャーだが…
 敵はラセツ。自らの分身を使いGフォンを破壊し、更にガオズロックを破壊。自らの力で巨大化した。
 ラセツ編の終了。前のウラの時は散々引っ張った分、割とあっけない感じに思える。
 変身出来ない状態でどう敵と戦うか?これはある意味ではヒーローものの定番。更に本拠地まで破壊され、帰るところがないという絶望的状況。
 圧倒的不利を跳ね返すという定番パターンは語り尽くされた感があって、盛り上がっているが、今ひとつという感じでもある。単純にパワーアニマル達が自らの意思で地上に降りただけで決着が付いてしまったから、あっさりしすぎだ。
<巨大化したラセツは走をフォークで掬い取るんだが、それだけの衝撃があったら、体がバラバラになりそうだけど。
 今日がクリスマスと知り、「メリークリスマス」というテトム。古くから日本にいた割には西洋のものも受け入れてたのか?>
第45話 闘い、終わらず

  脚本:中洲千恵次郎
  監督:中澤祥次郎
 ラセツを倒したガオレンジャーは、次に現れるハイネスデュークに対抗するため、破壊されたガオズロックの修復に勤しんでいた。その中でこれまでの戦いを振り返る。一方、ツェツェを失い、これから何をして良いのか悩むヤバイバだが…
 一つの山場を過ぎたため、これまでの戦いを振り返る総集編。今回は走がほかのメンバーのお荷物にされてしまうと言う話で、立場上結構珍しいパターン。
 文句を言うわけじゃないが、バンクの幕間劇がとても恥ずかしい。
 ヤバイバによれば、今の状態は社長が夜逃げした会社みたいだとのこと。間違ってないけど、むしろ社長が病死したというべきなんじゃないかな?
第46話 正月が襲う!

  脚本:酒井直行
  監督:竹本 昇
 ラセツを倒した後、全く現れないオルグにいらだちを覚えるガオレンジャーの面々は、オルグの本拠地であるマトリックスを襲おうと考える。テトムの記憶をたどる面々。一方、ようやくオルグが現れたと思ったら…
 敵は正月オルグ。二週間ぶりに現れたオルグだが、ヤバイバによれば「雑魚も雑魚」。ほとんど戦力としては役に立ってない。正月らしくヤバイバにお年玉をあげたり、ヤバイバをくくりつけた凧をあげたり。あとあんまり弱いので、ヤバイバがオルゲットにオルグシードを食わせて巨大化させた。
 お正月を迎え、いよいよラストバトル…と思いきや、へっぽこなオルグにへっぽこな上司のコンビが現れるというへっぽこ回。こんな話が出来るのもこの作品の面白さか。正月らしい遊びで勝負をするとか妙な話になってる。 
第47話 蒸気機関、爆走!

  脚本:酒井直行
  監督:竹本 昇
 オルグの地獄に落とされたツェツェを助ける方法があると知ったヤバイバはその復活のために躍起となる。一方、久々にガオズロックに現れた風太郎は残された僅かな波動が集まり、最強のオルグの誕生を告げるのだった。
 敵は蒸気機関オルグ。全国に散らばったオルグの波動が集まって誕生した最強のオルグ。風太郎によればこれが最後のオルグとなる。ツェツェを助けようとするヤバイバの妨害によってガオレンジャーに倒された。巨大化戦ではガオキングとガオハンターを圧倒したが、ガオファルコン、ガオバイソン、ガオハンマーシャーク、ガオウルフが合体したガオイカロスアナザーフット&アームによって倒された。
 最後のオルグが登場し、仲間の裏切りによって正義の味方に倒されるというのは、これまでの作品にもあった。それを逆手に取ったような物語で、大変珍しい展開となる。死んだ仲間を蘇らせるために犠牲にされてしまうと言うのがなんとも切ない。最強の敵をつなぎに使うという脚本も凄い。
 そしてラスト。ヤバイバの努力によってツェツェが復活したのだが、なんとツェツェにくっついてこれまでのハイネスデューク達が一気に復活してしまう。
<ツェツェを助けるために釣具店で道具を探すヤバイバはちゃんと代金を払ってる。律儀な悪者だ。>
VOL.12
<A> <楽>
第48話 奴らが蘇る

  脚本:武上純希
  監督:舞原賢三
 オルグの地獄からツェツェを助け出すことに成功したヤバイバ。だがツェツェと共に歴代三大ハイネスデュークまでもが復活してしまう。一方、最後のオルグを倒したガオレンジャーは戦勝パーティで浮かれていたのだが…
 敵はこれまでのハイネスデュークであるシュテン、ウラ、ラセツ。
 戦いが終わったヒーローは一体どう生きれば?と言う苦悩が描かれていくのだが、これは意識的に観ないようにしてきたこと。不完全ながら、それを突きつけてきた。
 そして最後に三人のハイネスデュークが復活。これまで散々苦しめられたのが三体まとめてなので、到底かなわない。
 そしてそのハイネスはツェツェの言葉に逆らわなくなっている。どうやら一度死ぬことで、ツェツェの方が位としては上になってしまったらしい。
第49話 鬼洞窟、閉じる

  脚本:武上純希
  監督:舞原賢三
 蘇ったハイネスデューク3人の攻撃で瀕死の重傷を負ってしまったガオレンジャー。そんな仲間の姿を目の当たりにした走は、リーダーとして自分に出来ることとはと考え続ける。
 敵はハイネスデュークシュテン、ウラ、ラセツ。鬼霊界からのパワーを受けて無敵状態だったが、その門を閉じることでパワー供給がなくなり、ガオレンジャーとのぶつかり合いで倒された。
 前回からリーダーとしてどう行動すべきか?と言う事を考え始めた走一人がどう戦うか迷う話となっている。本来初期で行うべき物語だが、最後の戦いを前にこの悩みは大変深いものとなる。強力な敵に一人突っかかって、結果として大怪我を負ってしまう。そしてそのために仲間全員が怪我を押して協力して突破口を開く。まさしく戦隊ものと言った感じ。少しずつ戦力が削がれながら、それでも目的のために戦い続けるってのも、ヒーローが多人数ならでは。
 そしていくつもの犠牲を払いつつ、ついに全てが終わった…と思った瞬間に又しても逆転劇。見せてくれる。オルグの巫女ツェツェが強すぎる。
第50話 百獣、死す

  脚本:武上純希
  監督:諸田 敏
 三人のハイネスデュークが合体し、最強のハイネスデュークセンキが誕生した。あらゆる攻撃の通用しないセンキに、ガオゴッドとガオハンターまでもが敗北を喫してしまった。
 敵はセンキ。
 そうでなくても「最強」と呼ばれた三体の敵が合体。掛け値なしの最強の敵が登場し、いよいよ最終決戦となる。一体ずつ倒されていくパワーアニマルを前に絶望を深くしていく。最終的にパワーアニマルは全部消し去られてしまい、天空島も破壊されてしまう。
<それにしても「ゴッド」の名前が冠されてるくせにガオゴッドは負けが多い。登場回の大部分が負けてるような?>
第51話 百獣、吼える!!

  脚本:武上純希
  監督:諸田 敏
 究極オルグセンキは全てのパワーアニマルを倒してしまう。全ての力を失ってしまったガオレンジャーに残された手立ては。そして地球はオルグのものになってしまうのか…
 敵はセンキ。
 圧倒的な敵に対し、「この方法しかない」と言う方法を試すのは定番だが、それが全く通用しないというのは結構面白い。結局100体に及ぶパワーアニマルが復活して、総力戦で敵を倒すという、デウス・エクス・マキナで終わってしまうのが皮肉ではあるが。
 これまでカラーでのみ呼び合っていた仲間が名前で呼び合うようになったのは結構燃える展開。
 前半で戦いは終了。後半はメンバーのその後が描かれるようになる。他のメンバーは昔の職業に戻っただけだが、意外なことに草太郎と海は別行動となり、草太郎には彼女(19話に登場した詩織)がいる。巫女であり、次の時代を守る役目を持つテトムとはお別れとなってしまう…の、だが、ラストシーンで全員集まって食事をしてたりする。
<月麿が「千年の無念晴らす時」と言っていたが、それって逆なんじゃないか?
 最後にガオジャケットをテトムに返すガオレンジャー。でもこれって、次の時代では使わないわけだから、返す必要あるのか?>