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アンドロメダ(1st)

アンドロメダ事典
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 2000'10'2〜2001'5'14

 『スター・トレック』の生みの親ジーン・ロッデンベリーの原案を元に作り上げたTVシリーズ。
 複数の銀河が統合した連合が治めている遙か未来。ニーチアンと呼ばれる肉体改造種族の反抗によって連合が滅んだ後、銀河に唯一残った巨大戦艦アンドロメダ号を舞台にした物語が展開する。

主な登場人物
ディラン (役)ケヴィン・ソルボ。「ふたりは最高! ダーマ&グレッグ」などいくつかのテレビシリーズに出演。主役は本作のみ。
 連合国家に属するアンドロメダ号艦長。罠にはまり、アンドロメダ号と共にブラックホールの止まった時の流れに取り残されてしまう。300年後に救出され、今は無き連合国家の再建のために仲間達と共にアンドロメダ号を駆る。
ベカ (役)リサ・ライダー。映画『ジェイソンX』のKM役。
 レベッカ・ヴァレンタイン。サルベージ船ユーレカ・マル号船長。ディランと出会い、行動を共にする事となる。経験だけで言えばディランよりも上で、その判断の違いが時として反発に変わることもあり。
ティア (役)キース・ハミルトン・コッブ。本作が代表作。
 元ジェレンテクスに雇われたニーチアンの傭兵。ディランに命を助けられ、連合国家再建に手を貸す事になる。戦う事が存在理由と考えている節があり、平和主義のディランとは度々衝突する。
レヴ (役)ブレント・ステイト。いくつかのテレビシリーズ、特にSF作品に良く登場する。
 顔の怖いマゴーグ人のクルー。平和を愛する僧侶で、他のマゴーグ人とは異なり、菜食主義者。最初からディランを信用している珍しい存在でもある。
トランス (役)ローラ・バートラム。
 トランス・ジェミニ。サルベージ船ユーレカ・マルの乗員の一人。紫色の肌と尻尾を持つエイリアンで、アンドロメダ号の医療担当。その生体は謎だらけで、本人もよく分かっていないらしい。
シーマス (役)ゴードン・マイケル・ウールベル。
 地球生まれの人間で天才エンジニア。伝説のハイガード船アンドロメダ号に惚れ込み、頼まれもしないのに数々の改造を施す。アンドロメダを実体化させたのも彼のお陰。
話数 タイトル コメント
第1話 長い闇があける時
“Under the Night”

  監督:アラン・クローカー
  脚本:ロバート・ヘイウット・ウルフ
 3つの銀河系が統合した連合国家で人々が平和に暮らす未来世界。ディラン艦長が駆る高性能宇宙船アンドロメダ号はその治安に当たっていたのだが、ニーチアンに攻撃されてしまう。クルーを全員脱出させる事は出来たものの、ディランはアンドロメダ号と共にブラックホールに突入してしまった。それから300年後。サルベージ船に助けられるまで、ディランは止まった時の流れの中で生き続けていた。その300年の間に連合国家は崩壊。宇宙は無法地帯と化してしまったのだ…
 海外SFシリーズの常で、1話目に登場する固有名詞が山ほど出てくるので、追いかけるので手一杯。特にこの話は前半と後半でがらっと話が変わるし、前半でかなりの人数も死んでしまうため、それも倍。観るのがかなり疲れた。流石に全部は描写不可能で、話は「次回に続く」
 シリーズ第1話。冒頭から宇宙戦争が始まったかと思ったら、突然話はふっとんでしまった。高性能戦艦を個人で使うという説得作りだろうか?
 前半が連合国家の崩壊に居合わせたアンドロメダ号が描かれ、後半はそれから300年後の世界で、アンドロメダ号に乗り込んできた者達との折衝が描かれる。前半と後半でがらっと雰囲気が変わってしまうのだが、少なくとも掴みはこれでOKって所だろう。
 アンドロメダ号をサルベージしようとするユーレカ・マル号のクルーはアンドロメダ号を“ホーリー・グレイル”と称していたから、これはやっぱり未来の話になるのかな?
 
「連合の弱点は卓越した士官たちの存在だったかもしれない」イン・マン・ウェイ「宇宙連合の興亡」より。
<やっぱりアンドロメダ号はエンタープライズっぽいデザインのように見えるけど、やっぱりそのイメージがあったのかな?
 サルベージの方法はフック引っかけて引っ張り上げる…未来でもやっぱりこういう力業が有効なのか?
 昔からこの手のSFを観ると気になるのが、なんでアフリカ系の人間だけドレッドヘアなんだろうね?>
第2話 希望の光
“An Affirming Flame”

  監督:ブレントン・スペンサー
  脚本:ロバート・ヘイウット・ウルフ
 アンドロメダ号を乗っ取るために乗り込んできたサルベージ船ユーレカ・マル号のクルー達。それに対しディランは相手を傷つけないよう次々に無力化していく。その戦法に気づいたベカは、逆に自分たちの依頼主ジェレンテクスに不信の念を抱き始める。反抗的な態度でジェレンテクスに殺されたトランスの命を救うディラン… 
 アンドロメダ号を巡る攻防戦が描かれる話で、ユーレカ・マル号のクルー達はむしろディランの方にシンパシーを持つようになっていく。ちょっと話は単純だが、仲間を早く作るための措置だろう。ディランの人の良さもあるけど仲間の命を救ったってのがやっぱり大きい。結果的にメインキャラは全員揃う事になった。
 再びブラックホールに飲み込まれそうになるアンドロメダ号を救うため、最後に取った行動はノヴァ爆弾をブラックホールに向かって全弾発射して、その爆発でホワイトホールを造ってしまうと言う豪快な方法。確か「宇宙戦艦ヤマト2」で同じような脱出方法があったはず。
 そして最後、ディランの目的が語られる。連合を再建するというのがそれだが、良く聞いてみると、ディランにも連合再建後のビジョンは全然無いように見える。
 ユーレカ・マル号のクルー達の個性がよく分かる話で、あくまで冷静なベカとトランス。顔はともかく、とても優しく僧侶のようなレヴ。コンピュータの天才で、アンドロメダ号もハッキングしようとするシームス。残酷ながら戦士としての節度をわきまえているティア。それぞれに個性あり。女性の方が冷静だって言うのが現代的だろうか?
 
「ニーチアンの裏切りがなくても連合は滅びたというのは、どちらに対しても過小評価である」イン・マン・ウェイ「宇宙連合の興亡」より。
<手に入りにくいとなったらあっさり諦めてしまうジェレンテクス。お宝船なのに、諦めが良すぎるよ。
 この世界でのワープというのは樹木のようなものがいっぱいある空間を、枝を避けながら航行するって奴。テーマパークのコースターっぽいね。>
第3話 死の閃光
“To Loose the Fateful Lightning”

  監督:ブレントン・スペンサー
  脚本:マット・キエネ
      ジョー・レインケメイヤー
 物資の補給のためにガードステーションに立ち寄るアンドロメダ号。そこには「閃光の日」を待つ子ども達がマゴーグと戦い続けていた。放射能漏れのため、大人になる前に死んでしまう子ども達を救うため、放射能漏れの元であるノヴァ爆弾を処理しようとするのだが…
 子ども達しかいないというステーションが舞台の話。彼らは口伝で情報を伝え続けてきたが、最後の教えが破壊を命じるものだったため、もの凄く過激な存在になってしまった。同じ人間であっても、ほとんどファースト・コンタクト作品となっている。人間同士のコンタクトが一番難しいという事を端的に示した作品だろう。特に子ども達は純粋だけに、一旦過激化すると手が付けられない存在になってしまう。こういう場合、なんとなく放っておけばいいって気もするんだが、そうはいかないのが「大人」の対応だ。暴力ではなく、言葉できちんと分からせる事の難しさなのだが、これを怠ってはいけない…その過程が観ていてきついんだが。
 シーマスはマゴーグに対し激しい憎しみを持っている。家族を食われて卵を産み付けられたという過去を持つためで、虐殺を行っている子ども達の気持ちを共有している。
 一方、マゴーグであるレヴはなんとかマゴーグが悪の存在だけではない事を分からせようとするのだが、命を的にしてやってるだけに、本当に聖人らしい存在になってる。
 あと、これまでホログラムだけの存在だったアンドロメダが肉体を持った。ガードステーションからシーマスが持ち帰ったロジックチップのお陰だが、その理由は「彼女が大好きだから」だそうだ。オタクの最たる存在だね。一方ディランは、長くつきあってきたアンドロメダが肉体を持ったお陰でとても初々しい反応を見せていた。
 
「歴史を学ばぬ者は愚かにもそれを繰り返す。正しき歴史を学ばぬ者は、単に愚かなだけである」アケム・ドローム「歴史的事実の錯覚」より。
<物語そのものは『続・猿の惑星』(1970)ではないのかな?
 ところで子ども達は初めて戦闘艇を見たはずだが、自在にそれを操ってるのはどういう事か。
 ツッコミではないが、現実世界で言葉でいくら言っても分からない奴らを相手にしてる状況なので、本作は観ていてほんとにきつかった。>
第4話 DマイナスD
“D Minus Zero”

  監督:アラン・イーストマン
  脚本:アシュレイ・ミラー
      ザック・ステンツ
 正体不明の巨大な宇宙船から攻撃を受けるアンドロメダ号。逃げ回りあくまで平和的解決を試みるディランに対し、他のクルーは反発を隠す事が出来なかった。追いつめられて太陽のコロナに身を隠すが、太陽の放射線のためシーマスは瀕死の状態に陥ってしまう。
 謎の宇宙船からの遠距離攻撃と、ディランに対する反発が描かれる話。未だ信頼とはほど遠いクルーだけに、必ずこういう事は起こってくる。ディランの優柔不断さが強調されてしまった。特にティアの反抗は深刻で、以降の物語に影響を及ぼす事も考えられる。ティアによればディランは「太古の化石」だとのこと。艦長が無茶すると、クルーが苦労するのは常の話か。
 一方、シーマスは体が弱く、何かあるとすぐに体調を崩してしまう。これは彼が地球の難民出身だからという説明が付いている。
 ただ、謎の宇宙船は本当に最後まで謎のままで、どんな宇宙人であるかさえも分からないまま。ほとんどコックピットのみで展開する物語はオリジナルとなった「宇宙大作戦」の構造と同じ。
 
「戦争とは誰かが勝ち負けるもの。元の姿に戻るものは何もない。」コンスタンツァ・スターク提督。
<トランスの勘定に合わせて尻尾も動くのだが、合成が上手くいかなかったか、時折そこにあったはずの尻尾が消えたりもする。>
第5話 二重らせん
“Double Helix”

  監督:マイク・ロール
  脚本:マット・キーン
      ジョー・レインケメイヤー
 ニーチアンの船に襲われているタンの偵察艇を救出するアンドロメダ号。タンがニーチアンのオルカ一族と長い間敵対関係にある事を知ったディランは二つの種族を和解させ、連合の仲間にしようとするが…
 連合国家を破滅に導いたニーチアンの一族との折衝が描かれる話。同じニーチアンであるティアがその仲介役となるのだが、流石同じ種族だけあって、お互い全く信用していない所が笑える。それでその用心深さと強さを買われ、オルカ一族に迎えられる。それで裏切るのか?と思わせておいて…という物語。前回でティアがディランに敵意を持っているように見えたのは良い伏線になっている。
 ティアの出自が明らかになった。ニーチアンはいくつかの族に分かれていて、ティアはコディアックという一族の出自だが、これはニーチアン同士の戦いで20年前に滅ぼされてしまった。ニーチアンの行動原理は自分のDNAを残す事。そのために強さと勝利を求め続ける所にあるという。つまり、極端な個人主義に陥るという事なので、たくさんの種族に分かれるというのは説得力がある。
 一方、かつてニーチアンのラーデを信用して裏切られた経験のあるディランはかなり複雑な思いのようだ。それをおして和平を主張するのだが、心の奥では信用できないことを感じているようだ。だからこそ命を賭けて交渉している姿があった。ディランは今回ほとんど行動してないが、その覚悟のほどは充分伝わってくる。
 終わり方がちょっとすっきりしないけど、これでティアが意外に真面目な性格している事が分かった。
 
「マキャベリの思想は基本的にニーチアンと同じである。ただ残念なことに、彼は楽観主義者だったが」セルブス・クメール。
<ニーチアンのオルカ一族ってアングロ・サクソン系に見えるのだが、和太鼓を叩いてたりする。どんな一族だよ。
 本作は大人向きに作られた事がよく分かる話で、ティアの濡れ場まであり。しかもねっとりとした。このシーン抜いても問題ないんじゃないかな?>
第6話 闇の天使 光の悪魔
“Angel Dark,Demon Bright”

  監督:アラン・イーストマン
  脚本:ロバート・ヘイウット・ウルフ
 アンドロメダ号の操縦を習っているトランスは、ワープ航行に失敗。なんと300年前の連合国家滅亡の現場にたどり着いてしまう。連合国家の最後の戦いを前に、ディランの取った行動は…
 300年前の事件の現場にやってくるという話。結局あるべき所に話は落ち着くのだが、これは本来だったらもう少し遅くなって出すべきじゃないかとも思うのだが、そのお陰でなんかストーリーの方もちょっと方向修正が行われたっぽい。
 この手のタイムトラベルものは手軽だが、設定上の矛盾を抱え込む事になるため、あまり好ましくはない。それを見越した上での話だったのかどうかは、後で分かってくるはず。
 戦争の当事者3種族がアンドロメダ号には乗っている。ディランとしてはこれで未来を変えたいのだが、変えるとますます状況が悪くなる事も指摘される。一方ニーチアンのティアは、自分の種族がこの戦いの勝利の後に分裂した事を知っているので、それをただしたいとも思っているようだ(アンドロメダが死の天使である事を彼一人知っていた)。一方マゴーグのレヴは、とても複雑な思いでこれを見ており、彼は戦争の介入を否定的に捕らえているのだが、歴史を変えないように攻撃を指示する。
 他のクルーもそれぞれ意見を持ってる。シーマスはマゴーグに占領され、その後ニーチアンに支配された地球を知っているため、マゴーグとニーチアンを一緒に滅ぼそうと自爆を考え、アンドロメダ自身は人間を救いたがっている。それぞれの意見がごちゃごちゃ。なんの意見も持ってないのがベカとトランスだけど、やっぱり他の意見に影響されてるようだ。
 300年前の出来事は連合国家にとっては悲惨だったが、連合を滅ぼしたニーチアンにとってもやっぱり悲惨になった。種族の数が激減してしまい、泥沼の同族抗争。そしてマゴーグを抑えきれなかった。しかしこれらは全て実はアンドロメダがやった事だという。これも又悲惨な話。
 なんとウィリアム・ブレイクの詩を口ずさむレヴ。「Tyger! Tyger! burning bright, In the forests of the night, What immortal hand or eye Could frame thy fearful symmetry?」。これはアルフレッド・ベスターの「虎よ!虎よ!」の冒頭で用いられた台詞でもあり。
 
「天が燃え星々が叫んだ。無限の灰の下で希望、傷、血が終末を迎えた」ウラテンパの詩人「連合のための挽歌」
<機械オンチのトランスに船を動かせるなど、無茶苦茶な事をさせているが、実体化したアンドロメダもそれを見ている。止めろよ。
 300年前に戻った事を知ったシーマスは早速株屋に電話をかけてる。ちゃっかりしてるけど、口座がないだろ?
 このまま300年前に残って歴史をただすことも出来たのだろうが、それを考えたキャラが誰もいないのは何でだろう?あっけなく300年後に戻ってしまうのもあっさりしすぎ。>
第7話
“The Ties That Blind!”

  監督:デヴィッド・ウォーリー=スミス
  脚本:エスリー・アン・ベイル
 救援信号を受け取ったアンドロメダ号は救難ポッドを回収する。そこに乗っていたのはレヴの尊敬するウェイストのカルサ殿下でだった。大怪我を負っているカルサだが、機械治療を拒否する。そしてそのカルサと共にアンドロメダ号にやってきたのは、ベカの兄レイフだった。かつての乱暴な兄を知っているベカは彼の事をどうしても信じられないのだが…
 70年代のSFは宇宙的宗教を題材とするものが多いのだが、本作はそれに則り、ウェイストという宗教を設定し、そのウェイストの教えに帰依しているレヴが中心の話となる。レヴ自身は平和主義者だが、そのウェイストの実態は…という話。そしてもう一人、ベカが兄のレイフと邂逅。レイフは元々乱暴者で家族をも傷つけ続けていたらしい。それでベカも当初兄を信じようとしなかったが、本当にウェイストに帰依したと思いこむ。
 一方、ティアは相変わらず疑心暗鬼の塊。カルサを胡散臭い存在としか見ていないが、今回はそれが正しい事が分かる。
 シーマスがサーフィンのマニアでもある事が分かる。銀河系内でもトップクラスの実力を持つらしい。
 今回はあんまり活躍はしてないけど、要所要所でコミカルな演技が光る。
 実体化したアンドロメダは感情を持つらしいが、そのお陰でホログラムのアンドロメダと口論するという面白い描写がある。ディランによれば、それは「独り言」だそうだが。
 無法地帯となっている銀河系では、信じるという事自体が危険な行為になってしまう。しかし信じてないと何も出来ない。この見極めが考えられていく事になるのだろう。今回は最後まで騙されてしまったよ。結局一番のタヌキはディランだった。平和を主張するなら、信じるものは信じるが、お人好しであってはいけない訳だ。ディランの考えそのものはティアと同じでも、それを誰にも悟らせず、すべき予防策はきちんとやっていたと言う性格が心憎い。
「戦火の中生きるのは困難と言われる。だが眠るのは?目覚めるのはどうなのか?」ヴィクラム・シン・カルサ。
<結局最後まで分からなかったんだが、カルサって何者だったの?レヴも変わってなかったようだし。>
第8話 思い出への橋
“The Banks of the Lethe”
 銀河連合復活に協力的なペルセウス星人の協力を得、シーマスはアンドロメダとブラックホールを利用した転送装置を作り上げる。その最初の通信で、ディラン耳に聞こえてきたのは、なんと300年前に残してきた恋人のサラの声だった…
 300年前と今の交信が可能となり、恋人達の話が展開する。お互いにどうしても逢いたいと思ってる二人だからこその話。
 これまで名前だけは出ていたディランの恋人であるサラが登場。夫婦と思ってたけど、婚約者だったそうだ。
 サラの出現で、落ち着きを失ってしまったディラン。「連合復活とどちらが大切?」というロミーの問いに「サラが大切だ」と即答してた。いや、こういう人間性があってこそ、本当に連合復活を語れるのだろうけどね。サラと出会えて、こちらの世界に連れ帰る事が出来ないとなったら、一人で300年後に戻ってしまったことから、責任感は強いのは分かるのだが。一方のサラも又、そんなディランだからこそ好きになったと言ってる。悲しい別れだが、だからこその作品だろう。
 シーマスは危険な実験を嬉々としてディランに行おうとしてる。こいつマッドサイエンティストの資格あるな。
 前回はシーマスがお休みだったが、今回はトランスが登場してない。経費の節約なのかな?
 なんだか妙に苛ついてるベカの姿もあり。
 コックピット内の火花と横揺れという、「宇宙大作戦」以来の伝統は今回最も映えていた。これだけで宇宙船を表現してるんだから面白いね。
 
「原子は弱い力で引き合っている。そしてこれも真実だ。宇宙は愛で結ばれている。」ミチオ・フォン・カー
<テレポーターが登場…これって「宇宙大作戦」のあれだよね?エフェクトまでそっくりだよ。この世界ではまだ出来てなかったんだ。今のところ生物を送ると必ず爆発するんだが。
 感動的な話には違いないのだが、とんでもない低い確率の恋人同士の逢瀬。これを簡単に言うと「奇跡」だが、一般には「番組の都合」という。>
第9話 灰の中のバラ
“A Rose in the Ashes”
 連合への加盟を求めようと惑星アラジアを訪れたディランとロミー。だがかつての連邦に反発を覚えていたアラジアの評議会は二人を反逆罪で捕らえてしまう。更正センターに送られてしまった二人を捜し出すため、残されたアンドロメダ号クルーは囚人惑星を探す事となる。
 連合再建のための果てしない探索の旅が続けられる。その過程でこんな目にも遭う訳だ。こちらは誠実に交渉してるつもりでも、相手にそれが通じないと、命の危険さえもあり。今回ディランとロミーは囚人惑星に送られてしまい、ロミーは充電出来ずに命の危機を迎える。こんな所は趣味ではないディランの苛つきがよく出ている。
 それで今回は地上に貼り付けになった二人が出会った人たちとのドラマとアンドロメダに残ったクルー達のドラマの二面進行。ディランの方は所長と結託して囚人達を統率している姉と、出来る限り隠れ住んで姉に反発している妹の確執が中心で、アンドロメダの方は、そんな二人を捜す努力。
 ディランを一番心配しているのがトランスである事もよく分かる。まあ、彼女の場合感情表現がストレートなだけなんだが。これを好機にアンドロメダを乗っ取るかと思ったティアもおとなしい。
 アンドロメダはいくつもの分身を持つが、その中でもロミーは特別な存在。それで画面のアンドロメダとホログラムのアンドロメダが口論してる姿もあり。本人同士の口論はコメディだね。
 後、今回で崩壊する前の連邦は1002万345もの惑星があったことが分かる。
 
「高齢者やペットや囚人の扱い方に社会の真価が表れる」信条第7に関する展望の番人。
<ディランの捕らえられている星を探すのに、シーマスは統計学を元にして特定しようとするが、結局はトランスの直感が一番頼りになると言うオチ。本人に言わせると、「星がきれいだから」だそうだ。>
第10話 海の民
“All Great Neptune's Ocean”
 ディランは連合加盟のため水の民カスタリア共和国の要人を招く。アンドロメダ号では用意万端に整えるのだが、彼らがかつてニーチアンの大量虐殺を行ったという情報を得たティアは、彼らに対し憎しみを露わにする。一気に不穏な空気が流れるのだが…
 連合加盟が徐々に増え始め、前回から明確に加盟国の増加とトラブルが描かれる話になってきている。今回も又、国を治める人間のなす行いに対し、誤解と反感が描かれる話になっている。友好なふりをして近づいてくる人間には大概下心があるのだが、結局それを込みにしてその妥協が連合を作っていくことになる。国を運営していくための心構えと、理想から外れた時の対処法がディランを見ているとよく分かる。この姿がかつてのアメリカが持っていた理想像なのかも知れない。
 そう言う背後はあるものの、話そのものは殺人事件とその犯人特定というサスペンス仕立てになってる。二人きりの室内で、気絶しているティアと殺されたカスタリア共和国の大統領。観ている側はティアが犯人でない事は分かるのだが、この状態でどのような殺人が行われたか。お互いにかばい合うアンドロメダクルーの薄っぺらいいい訳が笑える。
 ここで重要になるのがリーを殺したとされるフォースランスの存在。シーマスの説明で随分色々な機能が付いている事が分かった。特に最大限に伸ばすとリンボーダンスが出来るのだとか…あんまり笑えないけど。
 ベカはドレスが嫌いらしい。本人曰く「銃撃戦になった時動けないから」だそうだが、女性の格好そのものに嫌悪感を持っているらしい。
 ティアは暗殺者である事に誇りを持っていて、一々暗殺の方法を挙げてるけど、それが全部毒殺ってのがニーチアンらしくないところ。
 
「民主主義は無秩序状態とたいした違いはないかもしれないが穏やかではある」タンの覇権者「星明かりの中の戴冠」より。
<今回出てきたヤウは長目のボブカットだけど、これって「謎の円盤UFO」からか?>
第11話 父の宝
“The Pearls That Were His Eyes”
 補給のため寄港地エルドラドへと向かうアンドロメダ号の元にベカ宛のメールが届いた。ベカの父の友人シドからのものだったが、発信はなんと3年前。ベカは5日間の休暇をもらい、メールの発信地ディフダへと向かう。しかしシドはサムと名前を変え、銀河系最大の貿易会社トランスキャンティック社の社長になっていた。かつてのシドとはまるで違う姿に驚くベカだが…
 又してもベカの家族の話。前回の7話では兄の話だったが、今回は父親の関係する話になってる。ベカの家庭もなかなか複雑らしく、犯罪組織なんかとも繋がりがあった事が示唆されているが、果たしてそれは本当か?と言う話。ベカの気丈さは、この運命に逆らおうとしての事らしい。
 今回トランスはベカのお供で惑星へと向かう。はしゃぎ廻って単なるお荷物のように見えたが、彼女が意外に役に立ってる。なんと尻尾を武器のように使える事が分かった…やっぱりCG合成丸分かりだが。
 補給のための金がないディランは、なんと備品を骨董品として売る事に。なるほど300年前だったらそれでも結構売れるものがあるか。今回はあんまりアンドロメダ号内部は落ち着いてる感じ。
 ベカの髪は特殊性で、色が自在に変えられるのが分かったが、他にも結構秘密があるようだ。
 
「富とは富者に委ねるにはあまりに高価すぎるものだ」ヴェドランの格言
<フラッシュ中毒になると目の光彩が消えて目全体が真っ白になる。この目になったベカが怒ると無茶苦茶怖い。ホラーっぽい。
 レヴはいつも落ち着いたキャラだが、顔が怖いので凄まれるとそれだけでみんな萎縮してしまう。今回はそれが役立ってる。>
第12話 A.I.の涙
“The Mathematics of Tears”
 トランスが置き手紙を残して勝手に休暇を取ってしまう。激怒するディランだったが、ベカはそんな彼に“幽霊船”と呼ばれる金色のハイガード艦探しを提案するのだった。連合の戦力となるかも知れないと、幽霊船探しを許可するディランは、本当にその艦パークスマジェラニック号を見つけてしまう。なんとその中では時が止まっており、300年前そのままの姿のクルー達が…
 幽霊船の話。300年前に行方不明になったはずのハイガード艦の中でクルーが歳を取らずに生きていたという、言わば怪談話。一応それには説明が付けられているが、話自体がどんどん胡散臭くなっていき…という展開。最終的にこの生存者はみんなアンドロイドであることが発覚する。そしてその成仏のために破壊…本当に怪談っぽいな。
 アンドロメダ号の風紀は乱れていて、生粋の軍人であるディランはどうにもそれが我慢出来ない。そんな時に軍隊の鏡みたいなパークスマジェラニックのクルーを見たディランは凄く落ち着いて見える。この対比が面白い。こう見えてやることはきっちりやってるアンドロメダ号の方がバランスが取れてるのかも知れない。
 アクションもふんだんにあるが、狭い船の中での立ち回りは本当に「宇宙大作戦」を彷彿とさせる。
 一応姉妹艦ということで、ロミーの家族の話の側面もあり。姉であるマジェラニックが狂ってしまっているので、なんとかコンタクトを取ろうとしている姿が見られる。ロミーは機械の癖にえらく人間っぽく、すごく頑固なことが分かる。一方パークスマジェラニック号のA.I.も感情を持っていたらしいが、それが暴走してしまったらしい。ロミーもいつかそうなるかも知れない。という含みもあるんだろうか?
 今回はトランスがおらず、いつもはトランスがやってる生態調査をレヴがやってるが、そのために真実の発見が遅れてしまったらしい。
 
「希望が魂のエンジンであるなら、義務はナビゲーターであり、愛が燃料である」ハイガード最高司令官サニ・ナック・リファティ。
<突然ジルとキスしてしまうディラン。突然の話だが、シリーズものでこういう事をするキャラは大概悪人ばかり。
 ジルは300年前惑星にクルー全員が降りてしまったと言ってたけど、そんなことあり得るんだろうか?>
第13話 遥かなるドラムの音
“Music of a Distant Drum”
 ある惑星に不時着してしまうユーレカ・マル号。そこに乗っていたティアはショックで一時的に記憶を無くしてしまうのだが、彼を自分たちの主人であるドラゴ・カゾフ一族と勘違いしたそこの住民イヴェインとブレヨンによって助けられるのだった。ネモと仮に名付けられ、記憶を探るためユーレカ・マル号の情報にアクセスするが、その記憶は改竄されていたが、何故かユーレカ・マル号には巨大な棺が置いてあった。それを守らねばならないと心に決めるティアだったが…
 ティアが中心となった話で、ニーチアンの部族抗争や彼の先祖のことなどが描かれる。話は結構複雑。前提条件として何故ティアがユーレカ・マル号に乗っていたか。と言うことからして最初は謎。更にそこにある棺も謎。実際はその棺こそがニーチアン一族の始祖のもので、これを守るのがコディアックのティアの使命だと言うことが分かる。コディアックがたった一人になっても彼は守り続けている。
 惑星マッデンはニーチアンの一族ドラゴ・カゾフによって支配されているが、その抵抗組織も存在している。結果的に住民はそのどちらからも搾取されることになるのだが、まるで戦争後にヴェトナムに迷い込んだアメリカ兵みたいな話だ…きっと脚本自体は大分古いんだろうな。なんかやってることが
『ランボー 怒りの脱出』(1985)っぽい。
 この手の宇宙ものだと何話か地上オンリーの話が出てくるもの。おそらくはこの間に壊れたセットを修理しているのではないかと思われる。金も節約出来るし。今回はクルーは四人しか出ていない。
 アンドロメダ号を貨物船に改造しようと提案するベカ。確かにこれが一番金を儲ける手だし、現実主義者のベカらしいが、こういうのがいてこそこの話も面白いんだろう。
 
「クラッジ〜遺伝子的な修正を加えられていない人間に対する侮蔑的な呼称」コンサイス「スラング&婉曲語辞典」
<ツッコミじゃないけどイヴェイン役のリナ・シャープルスって、ジェイミー・リー・カーティスに結構似てるかも。>
第14話 ハーパー2.0
“Harper 2.0”
 物資調達が完了しアンドロメダ号に帰還途中のユーレカ・マル号の緊急ハッチが突然開き、その中には緊急ポッドが飛び込んできた。ポッドの中には死にかけたペルセウス星人が入っていたのだが、彼と接触したシーマスに異変が…
 題目の通りシーマスが中心になった話。元々能力が高いキャラではあるが、ペルセウス星人のデータを強制的に転送されることによって、本物の超天才になってしまう。しかしながらこういうドーピングは本人に大きな負荷をかけてしまう。2.0というのはおそらくバージョンのことと思われる。知識を求めすぎると幸福にはなれないという60年代のSF的描写になっているのだろう。
 そして一方ではイェーガーという超能力を持つ賞金稼ぎとの戦いも描かれる。このイェーガーというのは見た目通りのマッチョマンで、体術はティアよりも強い上に、体の密度を変えることが出来、あらゆる壁を通って姿を現す。
 ペルセウス星人に襲われるシーマスの姿はどことなく『スペース・バンパイア』(1985)っぽくあり。あるいは『JM』(1995)かな?一瞬で数百ギガバイト以上が転送されたらしいが(この時代でも単位はバイトなんだろうか?)、流石未来社会だ。
 シーマスの言葉の中にマゴーグ語らしい言葉が出てくるが、金切り声を上げてるだけのように聞こえる。そしてそれを聞いたレヴは怒り狂う。一体何を喋ってるんだ?
 結局今回はイェーガーの目的と、彼を雇った妙な影のような存在の正体は分からないけど、あるいはこれはシリーズ中重要な存在かも知れない。トランスとの関わりも暗示されている。
 
「一人の頭脳では全ての分別を網羅することは出来ない」オルドゥバイ・サイクル。
<ディランの記憶力もたいしたもので、ペルセウス星人の指輪をほんのちょっと見ただけでその模様を克明に覚えている。これくらいでないと艦長にはなれないのか?…単に話の都合だけだろうが。
 ロミーはコンピュータだけにあらゆる言語が話せるらしい。フランス語で話しかけていたけど、発音はモロ英語訛り。そこまで精巧にすること無いのに。
 「ミュータントX」のジェシーもそうだけど、肉体を原子に変えて移動する場合、重力があるところでは必ず下に落ちるはず。イェーガーはそんなの頓着無しに移動してるけど、どういう原理だろう?
 イェーガーの乗る宇宙船にミサイルを放つアンドロメダ号。射軸上に惑星があるように見えるのだが、その惑星のことは考えなくても良いの?>
第15話 “未来の開拓”
Forced Perspective
 ユーレカ・マル号で部品の調達に出かけたディランは、その帰り道に何者かの襲撃を受けて身柄を拘束されてしまいメビウス星に連れて行かれてしまう。実はディランは300年前ディランのフェリン大統領殺害の実行犯として指名手配されていたのだった。無理矢理法廷に立たされるディランだが…
 300年前の事件のお陰で危機に陥るディランの姿が描かれる。300年間探していたとは気の長い話だが、話としてはSF要素を持った推理劇と言った趣。その過程で数々の拷問と、捏造された過去の記録を延々見せつけられることになる。そのシーンがやたらと多いため、純粋に推理を楽しむよりはそっちの痛々しい描写にげんなりしてしまう。
 最終的に300年前ディランがやったことは、確かに褒められる事ではなかった。それを非と取るか是と取るかというだけに過ぎない。歴史とはこういう事実の積み重ねで出来ていくものだ。
 300年間も姿が変わらないベネトリの理由はクローン技術によるもの。
 今回も活躍したのはトランス。手に入れたものからあらゆるものを追跡するチェイサーとしての力もあるらしい。しかしメビウス星の牢屋にいるディランの前にひょっこり現れるのは無理がないか?これも特殊能力か?
 話が話なので登場人物はかなり限定され、これもあんまり金がかけられてないみたい。一応留守番役として何にもしないベカとティアの姿はあり。ティアは哲学書を読み、料理も作って万能さを印象づけていたが、ニーチアン以外の女性には全く興味がないと、ベカに責められてしまう。一方レヴとシーマス、ロミーの三人は全く登場なし(ロミーは声だけ登場)。
 
「地獄への道は善意で舗装されていると人は言う。この世に悪意が不足しているとでもいうのか?」カームラク・パン・クー「明快な快楽」より
<300年前のフェリン大統領誘拐に関わったメイというコードネームをもつ男は、後のアンドロメダ号副長ラーデ。すぐに人を殺そうとする短絡家。こんなのを極秘任務に就けるとは、連邦もよっぽどの人材不足か。
 二人とも精神的にはダメージ受けてるんだけど、ラストでお互いに「全く何も無し」と報告し合うディランとベカ。この辺の苦いジョークはアメリカ製であることをよく示してる。>
第16話 部品の力
“The Sum Of Its Parts”
 航行中のアンドロメダ号を突如取り巻く機械の破片。やがてそれは組み合わさってロボットの姿を取った。HGと名乗ったそのロボットはディランに部品同盟にアンドロメダ号を組み込めないか。と交渉を持ちかけてくる。その申し出を拒否した所、HGは分解してしまうのだが…
 機械生命体とのコンタクトが描かれるが、それが内部からの破壊工作へと変わっていき、アンドロメダ号は大ピンチを迎える。
 最初に現れた機械生命体のHGは人間の好意を得られるように作られているので、その死はなかなか感動的なものだが、それが実は大きな罠になっていたというなかなか巧妙な話。絶体絶命の危機に対し、意外な方法で危機を脱するのはSF作品の醍醐味で、この話はSF短編の良さをよく表している。
 最後、瞬間的だがHGのお陰でアンドロメダ号はパワーアップ。暗くてちょっとわかりにくいしちょっとゴツゴツしてるけどなかなか格好良い。
 肉体派のティアが言葉の有効性を言うようになった。意外な一面だが、やっぱり物語が進むに連れ変わってきてるのかな?
 HGが残した部品からどんどんコードが伸びていくが、これはまるで植物の根のよう。この辺の描写が面白い。
 最後は機械生命体が自分の意志で進化していく事が描かれていく。これは後々問題になるのかどうか?
 
「生と死の狭間には欲望が横たわる。そしてこれがあらゆる苦悩の元となるのだ」廃棄部品第17集合体
<最初にロミーの容姿について語り合うベカとトランス。この辺は女性だってことか?特に唇にこだわってるけど、なんかコンプレックスでもあるの?
 ロミーに入り込んだHGとコンタクトを取ろうとするシーマスはドライバーのようなものでロミーの顔をいじってるが、まるで口の中を覗いてるみたい。
 シーマスがディランに提案した武器の名前はミス・パック。シーマスによればゲームの名前だそうだが、やっぱりこれはパックマンから?いつの時代だよ>
第17話 銀河に漂う恐怖と憎悪
“Fear and Loathing in the Milky Way”
 銀河連合の親善のために、連合の証であるタンドラフラワーを惑星に配っていたシーマスとトランス。そんな彼らの前に現れたのはかつてユーレカ・マル号の雇い主ジェレンテクスだった。リーパーという賞金稼ぎに追われるジェレンテクスは二人を脅迫し、自分の探索の手伝いをさせる。彼が探していたのはペルセウス星人のハスチュリという冒険家の残した日誌だったのだが…
 今回はユーレカ・マル号が舞台の話で、シーマスとトランスの話となる。具体的にはお宝探しになるのだが、最初に出てきた悪人ジェレンテクスがちょっと丸くなったお陰で三人の話は漫才っぽくなってしまった。話も二転三転だが、その時々でコロコロ変わる人間関係が楽しめる。ややまとまりのない印象もあるが、やっぱりジェレンテクスが結構良い奴になってるのが面白い所だろう。まあ、又なんかやらかしてくるとは思わせてくれるところも良い。
 一方折角連合に入ることを同意したペルセウス星人が、連邦を抜けると言い出し、頭を抱えるディランの姿も見られる。
 特に今回は調子の良いシーマスだけに、お宝と聞いただけで反応するのが面白い。まあ、それが彼らしさって奴なんだろうけどね。ちなみにカフェイン中毒であることが今回発覚。一方トランスはギャンブルの才能があることが今回分かる。
 あんまり金の話が出てこないこのシリーズだが、出されても比較のしようがないので、金額を提示されてもどれだけの金額か分からないのがネック。
 
「スパーキー・コーラを飲んだ後、宇宙船の操縦やワープ航法はおやめ下さい」スパーキー・コーラ
<ユーレカ・マル号の感知システムはあんまり精度が良くないようで、ミサイルがぶつかる直前に警告を発してる。>
第18話 「悪魔の力
“The Devil Take the Hindmost”
 水棲が衝突した惑星タンを救うために発進しようとしていたアンドロメダ号。だがその時レヴの師匠であるタデウス・ブレイクから緊急通信を受信する。人身売買をやっている闇商人から民衆が襲われているというのだ。ディランとレヴの二人はユーレカ・マル号でその惑星ハジーラへと向かうが…
 惑星が舞台の話で中心となるのはレヴとディラン。惑星ハジーラを脅かす人身売買組織との戦いが描かれている。タデウスによれば、レヴでさえ好戦的なのだが、そうなるとディランは危険に見えるらしい。それに合わせるように、今回のディランは実際好戦的に見える。報復が報復を呼び、やがてシャレにならなくなっていく。まるで冷戦構造の縮図のようだ。ただ、実際銃弾の飛び交う中で非暴力を訴えても簡単に殺されてしまうという事実もあり、そう言う意味では残酷な話でもある。
 1960年代のSFはこういった宗教との親和性が高いので、脚本は随分前に書かれたものではないかと推測される。話自体は結構安っぽいヒロイズムものに陥っているのは確かなのだが。
 レヴの過去が語られる話でもあり、過去彼はマゴーグ人以外に育てられたという。求道者のような彼の性格はその時に培ったものらしい。そしてレヴの師匠タデウスは極端な非暴力主義者。彼からすれば、レヴさえも好戦的な存在に見えるらしい。それでなんと強制的にハジーラの女性によって子供が作られてしまった。なんか凄い描写。
 一方、アンドロメダ号ではティアが反乱を起こそうとしていることも臭わされている。今回は失敗したらしいが、事前にそれを知ったベカは未遂で終わらせてしまう。
 自分の遺伝子を残すことを最大の目的とするニーチアンにとっては、ハジーラのような惑星は実は最も理想的な場所なのかも知れない。これも暗示で終わっているが。
 前回大活躍だったシーマスとトランスは今回登場していない。
 
「生まれながらの罪人のみが真の無垢とは何かを知っている。これは希であり最も尊いことだ」聖者「道を見つけし者」より。
第19話 戦略結婚
“The Honey Offering”
 ニーチアン一族のサブラとジャガーが戦略結婚による同盟を計画していた。サブラはティアを通して花嫁をジャガーへと送り届けるようアンドロメダ号に依頼し、それを受けるディランの元にサブラの長の娘エルゼベットがやってくる。ニーチアンこそが最高であり、他の種族を見下すエルゼベットに戸惑いを覚えつつ、ジャガーの治める星系へと向かうアンドロメダ号…
 物語を通して関わることになるニーチアンとの折衝が描かれる話だが、今回は敵としてではなく交渉の場として描かれるので、なかなか凝った作りになっている。ニーチアンは一族ごとに激しく対立しており互いを信用してないため、その間の関係調整だけで大変なのが分かる。特に今回は二つの一族の結婚に危機感を持った宿敵ドラゴ・カゾフまで出てくるため3部族が登場で苦労も倍増しになってる(ジャガーは名前だけだが)。
 今回の中心となるのはサブラの王女エルゼベット。唯我独尊な性格だけに他のクルーはみんな苛ついてる。ただ一方エルゼベットはニーチアンの典型として非常に割り切った考えを持っていて、自分が政略結婚に用いられ、殺されることも戦略的にはあり得ることをよく認識している。身勝手さもそこから来ているらしいが、悲しい女性でもある。徐々に女性っぽくなっていく姿がこの話の見所。
 少ない情報から真相を暴き、最終的に利用するディランの頭の良さも特筆すべきか。この人が連邦再建のしがらみを捨てて中心になると安定した物語になるね。
 アンドロメダ号のそれぞれのクルーの性格も良く出ている。
 ニーチアンの王女が来て、それが美人なものだから早速口説き始めるティア。ニーチアンは子孫を残すことが目的だから、血のなせる業なのかな?
 ニーチアンとも互角近く戦えるディランだが、その力は母が重力の大きな星の出だからだとか。
 ユーレカ・マル号で脱出するディランとエルゼベットを応援するため、ディランと恋人同士である振りをするベカ。保証なのか本音なのか…結局エルゼベットとディランはしっぽりしてるから、やったことは無駄って感じがするが、ひょっとしてそれこそが目的だったのかな?
 ロミーはどんどん人間っぽくなっていき、CGのアンドロメダと口論始めるシーンまであり。一人漫才みたい。
 アンドロメダ号のデザインがちょっと変わった感じ。CGの進歩によるものと思われるが、ちょっと全体的に白っぽくなった。
 
「敵の敵も敵である」ドラゴ・ムセヴェニ
<シーマスはアンドロイドを作り上げた。二体で1トンの荷物を運ぶほどの力持ちだが、コントロールはアンドロメダがやっているらしく、シーマスが偉そうにすると文句たらたら。
 これを言ってしまうと仕方ないのだが、この世界でも銃は短銃と長銃に分かれているらしい。遥か未来でも銃は進化しないのだろうか?>
第20話 悲恋
“Star-Crossed”
 レストリアンに襲われている客船の救助に向かったアンドロメダ号。だが努力の甲斐無く乗客の大部分は殺されてしまった。唯一救命ポッドを発見してアンドロメダ号に収容するのだが、そこにいたのはガブリエルというアンドロイドだった。そして彼と出会ったロミーは同じアンドロイドとして一目惚れしてしまう。これを危険な兆候としてディランとアンドロメダは止めるのだが…
 ロミーが中心となった話。アンドロメダ号以外無くなったと思われた連合軍戦艦が登場し、その頭脳体との恋愛劇が描かれる。ただし、その頭脳体ガブリエルはアンドロメダ号を乗っ取ろうとしていた。
 話自体は派手ではあるが、実質的にはディランとガブリエルの知恵比べのような様相を呈している。どっちが優位に立っているのか、容易に分からないため大変緊張感があり。結局は伏せたカードが多い方が勝つというのはこのパターン。後はそれを活かす度胸。本当にポーカーっぽい。
 結果、なんとユーレカ・マル号がバランス・オブ・ジャッジメントを破壊するという結果に。これが伏せたカードだったか。
 バランス・オブ・ジャッジメントは連合崩壊後、敵を倒すことのみプログラムされており、戦い続けてきたそうだが、それが何故レストリアンの手先になっているのか。本人はそれを対等な立場だと主張しているが、それは結局「寂しさ」によるものだったらしい。
 アンドロメダとロミーは別人格になってしまったことをうかがわせる物語で、ロミーとアンドロメダが口論している姿も観られる。しかもインターフェイスとコンピュータという三つどもえの口論になってたり…ほとんどジョークの世界だが、確か「エヴァンゲリオン」でも三つのコンピュータの折衝があったが、未来的にはこれが正しいのかも。ロミーの性格は随分勝手になってしまい、その結果、とんでもない危機を引き起こしてしまう。
 色々あったが、最終的にはディランとの絆が深まり、最後は涙まで流している。
 連合が存在していた時はAIは人格として認められていたそうだが、今では完全なマイノリティに落とされているとのこと。ロミーとガブリエル同士の好意はそのためだったのか?
 
「なぜ艦のコンピューターに感情を与えるのか?戦艦が忠誠心を持てなくても良いのか?愛情を持てなくても良いのか?」ハイガード・フリゲート艦人工知能「揺るぎなき忠誠」
<ロミーとガブリエルが愛し合うシーンがあるが、コンピュータ内の接触だったら、肉体的な接触を描く必要はなさそうだが…サービスシーンかな?
 アンドロメダにバランス・オブ・ジャッジメントの危険性を告げに来たシュラはあっけなく殺されてしまった。これが何かの伏線かと思ったのだが、本当に消えてしまうとは。
 それでバランス・オブ・ジャッジメントもあっけなく破壊されてしまった。シリーズを考えるとたった一話で終わってしまうのは勿体ない話だが、連合の戦艦がこんなあっけなく壊れてしまって良いものやら。
 12話に出てきたAIの名はパークスとされていたが、ここではパックスになってる。こっちの方が正しいような気もするな(「パックス」はラテン語で「平和」のこと。>
第21話 心地よき光射す
“It Makes A Lovely Light”
 ディランの誕生日を迎え、アンドロメダ号クルーの面々はディランのためにサプライズ・パーティを用意する。それでベカの贈ったプレゼントはディランの故郷ターン・ベドラの航路図だった。そしてベカは一度みんなでターン・ベドラに行ってみようと提案するのだが、そこは幾度もワープを使わなければ行けない危険航路だった…
 ディランの故郷へと向かう話だが、むしろ中心はベカの方。彼女の方がターン・ベドラに執念を燃やし、何としてもそこにたどり着こうとする。ちなみにターン・ベドラは17話でも言及されており、ここにお宝が眠るとされている。その海図は17話でシーマスが手に入れている。
 今回はこれまでの話の色々な伏線が消化されているのが特徴。ターン・ベドラもそうだが、11話でベカが無理矢理服用させられたフラッシュは、やっぱりベカを中毒にしていたことも発覚。瞬間的に反応速度を速めるために使用していたらしい。
 それでどんどん凶暴化していくベカ。この人イッチャった演技が実に上手い。
 アンドロメダ号は動力室でも使い方によっては操作出来るのだが、これも1話で伏線が張られてる。
 ターン・ベドラという名前自体がひょっとしたら壮大な伏線なのかも知れないけどね。
 
「激しき雨が我が心から何より悲しき言葉を洗い流していった。故郷という言葉を」ウラテンパの詩人「追放の歌」
<フラッシュは目薬のように目に付けるのだが、これを使うと光彩が真っ白になるので、かなりホラー風味になってしまう。ベカが怖い。それにスポイトがとても長いので、目に刺してしまいそうな感覚を覚えてしまう。
 薬は人間を駄目にする。とか行ってたティアだが、設定ではニーチアンって薬とかで肉体改造した人種じゃなかったっけ?
 フラッシュ中毒中のベカはよく鼻を鳴らす。これってコカイン中毒の症状じゃなかったっけ?>
第22話 時めぐりくれば
“Its Hour Come”
 アンドロメダ号のメンテナンスをしていたシーマスは誤ってバックアップを発動してしまった。そのためアンドロメダ号はフォーマットされてしまい、ディランと出会う前にもどされてしまう。クルーを侵入者と見なして攻撃しようとするアンドロメダ号。その説得に当たるディランだが、その時マゴーグの大艦隊に包囲されてしまう…
 最終回。なんとアンドロメダ号の反乱…とまではいかないが、融通の利かないコンピュータになってしまったアンドロメダ号との交渉が主な話。一方、これまで話だけで出てきたマゴーグとの直接対決。勿論ここで重要になるのはマゴーグであるレヴになる。レヴ自身は隠しているが、マゴーグの重要人物らしい。
 一方、マゴーグの登場で、マゴーグにトラウマがあるシーマスの成長話にもなってる。
 ロミーはどうやらスタンドアローンらしく、アンドロメダ号がフォーマットされても元のままだった。三人のアンドロメダが口論するシーンもあり。ロミーがいない状態でもホログラムとコンピュータが口論してるシーンまであり。
 マゴーグは連合の時代でも連合と敵対していた種族でその描写はまさしく獣。人類とは延々と戦い続けてきたらしい。そう言う意味ではレヴがどれだけ特殊かが分かってくる。
 マゴーグには特殊能力があるらしく、宇宙空間を通してでさえ近づいてくると臭いを感じ取るらしい。どういう能力なんだ?
 マゴーグは自身の肉体で敵を倒すことを生き甲斐としているらしく、アンドロメダ号クルーが武器を使用しても、ひたすら押し寄せてくるばかり。これではあんまり強いようには見えないのが難点。
 この手の作品はシーズン終了で謎を残すのが常套手段だが、この話のラストでは14話に登場した謎の影がマゴーグの母星で登場しているのと、レヴが凶暴に変化していること。そしてアンドロメダ号そのものの破壊…てんこ盛りだな。
 
「10億もの破壊された星々の叫びが夜の静寂に虚偽をせめる。我々は世界という名のまあるい石にしがみつく」探検家第一人者ハスチュリ。
<ベカが楽観的でも悲観的でも否定的なことを言うディラン。それが艦長の役割か。どちらも艦長なんだけどね。
 最後に「命ある限り希望がある」と絶叫するティア。諦めの良いティアにしては珍しい言葉だ。シーマスに聞かせるためだろうか?
 マゴーグの母星は20の惑星がワイヤ状のもので結びつけられている巨大なもの。しかし、重力干渉を起こすので物理的には無理のはずだが?>