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ミラーマンREFLEX

ミラーマンREFLEX事典

2006'1'28

 1971年に放映された「ミラーマン」の続編として作られた作品。本作に思い入れの強い小中和哉監督と脚本の小中千昭兄弟によって現代に蘇る。シルバー假面同様劇場用とオリジナルビデオを同時並行して撮影。三つのオリジナルビデオを一本にまとめ、約2/3にまとめたものが劇場用作品となる。その分、OVではたっぷり時間が取ってある。
 本作の大きな特徴として、オリジナル版の科学主義を一旦白紙にし、古代倭の時代からの因縁とした事で、純和風なテイストを持たせた事にある。それが成功したのか失敗したのかは評価が分かれるだろうが、色々なお約束が使えなくなった上に、説明不足が目立った話になってしまった。全てを雰囲気作るために犠牲にしたようにしか見えないのがきつい。
 オリジナルの「ミラーマン」の鏡京太郎役石田信之が重要な役所で登場しているのはファンサービス。

主な登場人物
影山鏡 (役)唐渡亮。劇場版『仮面ライダーアギト ProjectG4』の水城史朗役。
 ミラーマンREFLEXへと変身する男。元傭兵で戦闘中に山下によって殺されてしまったが、幽世と現世の間に生きる存在として復活する。
影山百襲 (役)石田未来。本業は歌手。特撮では『仮面ライダー剣 MISSING ACE』の成長した天音役など。
 影山恭太郎の娘。9年前に死んでしまったが、恭太郎の返魂の儀式を経て審神者としてこの世に復活。影山鏡のパートナーとなる。復活は7年前だったが、それから全く歳を取っていない。
緋呂亜佐美 (役)伊藤裕子。
 城南工業大学に属する研究員。出土した鏡の解読を行っている。鏡の言霊を解読する事で蚩尤を降ろしてしまった。以降もその力に悩まされ続けるが、自分を救ってくれた鏡の武神を探し求める。
矢尻祐一郎 (役)小沢和義。
 呪術者。表向きは経営コンサルタントだが、幽世と現世をつなぐ事によって神代の日本を再興する野望を持つ。
話数 タイトル コメント DVD
第1話 帰神 KISHIN

  監督:小中和哉
  脚本:小中千昭
 魑と呼ばれる異界の生物が世界にあふれ出してきた。そこに現れた鏡を持つ一人の少女と、その鏡によって「鏡の武神」に変化した男が圧倒的な力を持って魑を追い払っていく。その頃城南工業大学では緋呂亜佐美という研究員が古代の鏡の研究を続けていたが、その過程で幽世と呼ばれる異界の扉を開いてしまう。
 敵は
蚩尤。別名アイアン2006。鏡を使って幽世の扉を開いた南部に邪仙が取り憑いてなりはてた姿。頭に銅鐸のようなものをかぶった怪獣で、鉄の鎧を身に纏っている。体の一部が切り取られても再生するが、頭を落とされて絶命。
 
「ミラーマン」の続編ではあるが、演出が科学ではなく、怨霊とかの純和風伝奇テイストに仕上げられているのが大きな特徴。1作目である本作は舞台も暗闇が多く、かなりホラーっぽく作られている。科学の行き着く先は呪術である。という古典的なテーゼに則って作られている。
 登場するミラーマンはオリジナルテイストを残しながら、顔つきなど、中世の甲冑のようになり、より鎧っぽくデザインされているのも特徴。
 ただ、そもそも劇場用に作られていたと言う割には撮影技術が今ひとつと言った感じで、ほとんどテレビ用のように見えてしまうのが難点だし、特に登場人物にウェイトが置かれる前半部分が話が間延びしてしまっているのが痛い。同じ円谷プロが作った「生物彗星WoO」と同レベルかな?
 何が悪いとは明確に言えないのだが、約1時間もの時間を使って出来たのがこれだと、ちょっと考えてしまう。雰囲気を優先しすぎたのが原因か?
<ところで矢尻は既に轡を幽界から呼び出しているのだが、それで改めて亜佐美に呼び出させる理由は?>

帰神
第2話 蟲毒 KODOKU

  監督:小中和哉
  脚本:小中千昭
 日向と名前を変えた緋呂は自分を助けた鏡の武神を探していた。そんな時、一つ所に閉じこめられた四人の男達。彼らを集めた理由は彼らを殺し合わせ、邪仙と合体させようとする矢尻のもくろみだったのだ。矢尻の暗躍に鏡が気付いた時、現世と幽世を巡る戦いが始まる。
 敵は
窮奇。別名ダークロン2006。かつて影山を殺した傭兵の山下の体を使ってこの世に現れた。全身にドリルの付いたデザインで両手に持つ剣もドリル状。
 伝奇的要素はますます高くなり、不思議な雰囲気に仕上がっている。一作目がやや科学的な要素があった分、思い切りが足りなかったのかな?物語は武上純希っぽいかな?
 鏡と百襲の関係が明らかに。と言うか、ようやくこの二人の名前がようやく分かった。鏡は元傭兵。実は二人は叔父と姪で、百襲の父恭太郎が死んだ娘を鏡の世界からこの世界へと引き戻してきた存在らしい。
 そして審神者なき状態で帰神しようとすると、邪神に取り憑かれてしまうと言う事も発覚。百襲なき状態で帰神したミラーマンREFLEXは真っ赤な目を光らせて登場する。
 窮奇とミラーマンREFLEXとの戦いは人間時代の因縁の対決でもあったが、あっけなく終わってしまったのはちょっと不満あり。
 ついでに言うなら、1話の冒頭で襲われていた男(名前は明らかにされない)が、やはり幽世との関わりを持っていた男という事は分かったが、やっぱり関係は薄い。
<最初に四人の人間を密室で殺し合わせるというのはいわゆる蟲毒法と呼ばれる呪詛だが、今にすれば、単に「SAW」のパクリ。
 1作目冒頭で襲われていた男が短波ラジオを流しているらしいが、普通ではマッシュルームカットっぽい。特徴ある人だな。
 逆神を食って雅が死んでしまったことから、前回蚩尤を亜佐美に呼び出させたのは、それが理由かと思われる…でもなんか釈然としない。
 傭兵時代の影山と山下の光景あり。もの凄くチャチい。これに関してはもうちょっと描写に力入れてくれないと、単なるサバイバルゲームの仲間にしか見えない。
 それで百襲の発見があっけなさ過ぎるのもなんだ。>

蟲毒
第3話 鎮魂 CHINGON

  監督:小中和哉
  脚本:小中千昭
 現世に邪仙は現れ続け、その度毎影山と百襲は撃退し続ける。二人はそんな生き方に疑問を持ちつつあったが、そんな二人の前に現れ、百襲を連れ去ってしまう恭太郎。一方ではその邪仙を召還し続ける矢尻は百襲を我がものにし、顕世と幽世をつなごうとしていた。
 敵は
癘鬼。別名ゴールドサタン2006。これが矢尻に付き従ってきた轡の本当の姿で、最強の邪仙。実際に操られていたのは矢尻の方だった事がわかる。
 最終回となり、最強の邪仙が登場。一方では鏡と百襲は自分の今のあり方に疑問を持ちながら、これからどうすべきか分からないという中途半端な状態に置かれている。それで轡と共に現れた恭太郎は、百襲は更に大いなる神を降ろす存在であり、鏡は百襲を護るためだけに7年前に生き返ったと語る。結果は肉親を使った罠だった訳だが。この辺が物語を複雑にしているっぽい。
 一方、日向神と名前を変えた緋呂は7年前の傷が開いた鏡を助ける事になった。
 話としては、かなり訳が分からないものになってしまったのが残念。矢尻や百襲が本当にしたかったのは何かがはっきりしない。矢尻は具体的に幽世と顕世を合わせて何を目的としていたのか、言葉では言っていたものの、ビジョンが無いので、なんで死んだのか分からず、百襲は何故矢尻に付いていって、更に彼を裏切るような真似をしたのか。最初から裏切るつもりだったのか、それとも途中で翻意したのか、その辺が全く分からない。
 これらのことがあってどうにもすっきりしない終わり方になってしまった。一応轡の目的だけははっきりしてたんだが、結局全員の望みは叶うことなく終わってしまう。
 アクション部分だけはかなり力が入っているが、基本的に暗い中で一対一の戦いが延々と続くので今ひとつ盛り上がらないのも問題。
 真面目に作られてる分ツッコミ所はあんまり無いんだけど、色々な所で説明不足が目立った話だった。
<最後の戦いは東京のど真ん中で巨大戦だったのだが、それを観ているのは関係者ばかり。それがチープさになってしまっている。
 矢尻が飼っていた審神者となるべく育てられてた少女は、結局なんの役にも立ってないってこと?一応続編考えてるって事なのかな?>

鎮魂