第七天国
7th Heaven |
1927〜28米アカデミー主演女優賞(ゲイナー)、監督賞(ボーゼージ)、脚色賞、作品賞、美術監督賞
1995アメリカ国立フィルム登録簿新規登録 |
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ベンジャミン・グレイザー(脚)
ジャネット・ゲイナー
チャールズ・ファレル
ベン・バード
デヴィッド・バトラー
マリー・モスクィーニ
アルバート・グラン |
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★★★ |
物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
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パリの水道掃除夫シコオ(ファーレル)は、いつか日の目の当たるところに出てやろう考えていた。神を信じぬ彼だが、自分の住む屋根裏部屋を“第七天国”と名付け、日々ぎりぎりの生活を続ける。そんな彼がある日仕事帰りに一人の少女が倒れているのを見かけ、かわいそうに思って自分の部屋へと連れ帰り、介抱してやった。少女の名前はディアヌ(ゲイナー)と言い、やがて二人は貧しいながらも“第七天国”と名付け”の中で結婚する。そんな折起こった欧州大戦に、兵士として召集されるシオコ…
サイレント時代の名作と呼ばれる一本。特に日本では本作の熱烈なファンが多くいて、日本映画にも多大な影響を与えた作品とされる(特に小説家の菊田一夫は本作の大ファンで、彼の小説にも多くの影響が見られるそうだ)。
確かに、貧しい中にあっても心清く、二人なら耐えていける!と言った内容は戦前の邦画には特徴的な作品だが、そのルーツはこんなところにあったのか。と思わせる内容でもある。今の目から見ると、まるで子ども用の紙芝居のような内容だが、それでも演出力と、悲恋に終わらせる一連の流れは確かに感情を揺り動かされるものもある。
ただ、本作の根底に流れるのは、清貧の思想というよりも、アメリカン・ドリーム的なところもあって、多分日本ではその上澄みの部分だけをすくい取って受け取ったのかもしれない、という気にもさせられる。
この当時のハリウッドのテーマは、あまり下卑たものを出さないのが特徴で、本作も出てくるキャラが貧乏でも夢を持った人物ばかり。そこに作品の弱さも見られるのだが、そのぎりぎりのところで、なんとかリアルさにも挑戦しようとする監督の意志も垣間見られる。更にここには明確な反戦の主張もみられており、この時代にあってはかなり野心的な作品とも言える。 |
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