シマロン
Cimarron |
1930〜31米アカデミー作品賞、脚色賞、主演男優賞(ディックス)、主演女優賞(ダン)、監督賞、撮影賞、美術賞 |
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ウィリアム・ルバロン(製)
ハワード・エスタブルック(脚) |
リチャード・ディックス |
アイリーン・ダン |
エステル・テイラー |
ナンス・オニール |
ウィリアム・コリアー・Jr |
ロスコー・エイツ |
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★★★ |
物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
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1889年、オクラホマで土地の分割占有権を巡る抽選が行われた。若く正義感に溢れた青年ヤンシー=クラヴェット(ディックス)はここで新聞社を立ち上げるべく活動を開始する。反対する家族を押しきり、妻セイプラと息子とセイプラの屋敷を逃げてきたイザイヤだけを連れてオクラホマに乗り込んでいく。危険な土地柄ながら、持ち前の度胸で様々な危機を乗り越え、順調に新聞社を大きくしていくヤンシーだったが…
当時最高の製作費を投じて作られたハリウッド初期の大作映画で1930年のアカデミー賞の受賞作。
物語は破天荒な男の一生を描いた作品で、夢が叶うと、次々に新しい夢に向かって突進していく夫と、それを支え続ける妻という構図。日本では成瀬巳喜男が好みそうな素材だが、大きく違っているのは、ここではおおらかに夫を成功者として描いていくことで、これぞアメリカの建国神話の一つと考えることが出来よう。本作のアカデミー受賞はそんなところに理由があるんじゃないだろうかと思える。アメリカという国自体が若く、世界的な戦争も未だ余波が及んでいない時代だからこそ作られた、時代が作った作品と考える事も出来よう。
新聞社を舞台としていることもあり、アメリカの歴史をしっかり捕らえているのも特徴的だろう。先住民から土地を奪い、そこでワイルドな男達が国(ステート)を作っていく。強奪した土地だけに、当然反発も食い、それに合わせて住民も粗野になって行かざるを得ない時代、男中心白人中心の時代が、法が整って行くに従い、女性を社会に受け入れていき、人種問題も真正面から取り組まねばならなくなる。
ここで描かれているのは過去の歴史ではあっても、実際にその時代の空気を吸っている時代に地続きとなっていたのだ。この映画で語られていた話自体が、これからどんどん良い方向に変わっていくだろう、アメリカの可能性を示唆しているのだから。
と言うところで、少なくとも設定と演出については文句なしの作品だし、今観ても、当時の時代の息吹いうものを感じ取ることは出来る。
ただし、そのおおらかな成功物語を除けば、話自体が飛び飛びな上に、主人公の考えてることが今ひとつ感情移入できず、物語展開はお世辞にも良質とは言えず。つらつら観てる分には、結構退屈な作品だったりする。設定と雰囲気で観る作品ってところだろうか? |
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