サボテンの花 |
1969米アカデミー助演女優賞(ホーン)
1969ゴールデン・グローブ助演女優賞(ホーン)
1970英アカデミー主演女優賞(ホーン) |
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I・A・L・ダイアモンド(脚) |
ウォルター・マッソー |
イングリッド・バーグマン |
ゴールディ・ホーン |
ジャック・ウェストン |
リック・レンツ |
ヴィトー・スコッティ |
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★★★☆ |
物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
3 |
5 |
3 |
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3 |
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独身主義のプレイボーイ歯科医ジュリアン(マッソー)は、恋人のトニー(ホーン)から結婚を迫られ、咄嗟に結婚していると嘘をついてしまった。その夜トニーが自殺騒ぎを起こしてしまうのだが、そこまで自分を思ってくれたトニーを急に愛しくなったジュリアンは、今度は正式に結婚を申し込もうとする。その際自分の妻として、美人だが男からは"軍曹"とからかわれる自分の医院の看護婦ステファニー(バーグマン)を自分の妻ということにして、トニーを説得してもらおうとするが…
中年の男女をベースにしたラブコメ。物語は50年代に流行ったソープオペラそのまんまで古い感じ。ニューシネマ流行りの真っ最中によくこれが売れたものだが、キャラの絶妙なはまり具合が好評だったためか、1970年全米興行成績7位と大健闘。
ヴェテランになってからますますフェロモン度の増してるバーグマンが、お堅い独身女性を演じてるという時点でもはや説得力はなし。よくこんな無茶な配役をやったもんだ。と呆れるのだが、不思議なことに本作については妙にそれがはまっているのが面白い。逆転の発想という意味ではとんでもない起用が見事にはまった。
だが、本作で最もはまっていたのは実はホーンの方。善意の塊なのだが、思いこみが激しく、更に天然入ってる可愛い女性…現代でこそこれはパターン的なキャラクタではあるのだが、それはここでのホーンこそがその手本となっている。これこそ最強のコメディエンヌだよ。この作品では狂言回し的な役割なのに、バーグマンを食ってしまった強烈さはたいしたものだ。ある意味本作は映画史における世代交代を示した作品なのかも知れない。
しかし、これだけ強烈な女優二人に囲まれると、男役が難しいのだが、マッソーもぴったり。この人ほど“タフガイの振りをする男”の似合う人はいない。ワルぶって体面を保とうとすればするほどドツボにはまっていく役を上手くこなしていた。
話そのものは単純なコメディなのだが、三者三様のキャラクタのお陰で話がどんどんややこしくなっていき、最後は然るべき所に落ち着く。ソープオペラとしてはかなり完成度の高い作品と言えよう。
タイトルの「サボテンの花(Cactus Flower)」というのも、ちゃんとラストシーンを予見させている秀逸なタイトルだろう。ラストシーンでそのものズバリ出てくるんだけど、棘の中に美しい花が咲くという意味で、キャラクタに当てはめて考えるときちんとはまってる。 |