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ジャック・ベッケル
Jacques Becker

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鑑賞本数 3 合計点 11 平均点 3.67
allcinema Walker ぴあ IMDb CinemaScape
wiki キネ旬 eiga.com wiki(E) みんシネ
書籍
1960 2'21 死去
 監督・脚本
1959
1958 モンパルナスの灯 監督・脚本
1957 怪盗ルパン 監督・脚本
1956
1955
1954 現金に手を出すな 監督・脚本
アラブの盗賊 監督・脚本
1953
1952 エストラパード街 監督・脚本
1951 肉体の冠 監督・脚本
エドワールとキャロリーヌ 監督
1950
1949
1948
1947
1946 幸福の設計 監督・脚本
1945 偽れる装い 監督・脚本
1944 赤い手のグッピー 監督
1943
1942 最後の切り札 監督
1941
1940
1939
1938
1937
1936
1935
1934
1933
1932
1931
1930
1929
1928
1927
1926
1925
1924
1923
1922
1921
1920
1919
1918
1917
1916
1915
1914
1913
1912
1911
1910
1909
1908
1907
1906 9'15 パリで誕生

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Le trou
1961英アカデミー総合作品賞、国外男優賞(ルロラ)
<A> <楽>
セルジュ・シルベルマン(製)
ジャック・ベッケル
ジョゼ・ジョヴァンニ
ジャン・オーレル(脚)
ジャン=ケロディ
フィリップ・ルロワ
ミシェル・コンスタンタン
マルク・ミシェル
レイモン・ムーニエ
カトリーヌ・スパーク
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 サンテ監獄の獄房に閉じこめられているロラン(ケロディ)、ジェオ(コンスタンタン)、マニュ(ルロワ)、ボスラン(ムーニエ)の四人はついに脱走を決意し、細心な計画がたてられた。いよいよその実行に取りかかろうとするまさにその時、5番目の収監者ガスパール(ミシェル)が入れられてくる。ガスパールに計画をうちあけるべきか否かでもめた四人だったが…
 ベッケル監督最終作。原案はジョゼ・ジョヴァンニの小説で、作家自身が関わっていた1947年の実際の脱獄が元となっている。ちなみに役者の一人ジャン=ケロディは本当の脱獄犯で本人役で出演していることも話題となった。
 脱獄ものの映画はジャンルとしても数多くあるが、これほどリアリティに溢れ、更に緊張感に溢れた作品は類がないだろう。余計なドラマを挟むことなく、ひたすら脱獄に向けての努力が描かれる(なんと四分間もひたすら穴を掘るシーンまである)作品で、ここにあるドラマは、仲間内の疑心暗鬼のみに焦点が当てられている。
 その分、穴を掘るシーンの演出は際だっており、少しずつ少しずつ掘り進めるシーンは緊張感溢れるもので、こちらも一体成功するのかどうか?と一緒になって画面に釘付けにされていく。画面見てるだけで、本当にこれが成功するのかどうか、かなり一生懸命見せられた。
 一旦成功したら成功したで、しかし今度はガスパールが本当に裏切ったのかどうか、そちらが強調されることになるのだが、実はこれが全く分からない。当たり前かも知れないけど、ガスパールはひたすらそれを否定し、一旦はそれを信じかける。
 そして事実、最後の逮捕劇に至るその瞬間にも実は本当にガスパールが裏切ったのかどうか、分からない。確かにその可能性は一番高いのだが、実際あんな脱獄の方法で、しかもあれだけ音を立てていたら、誰かに気付かれていた可能性だってある訳だし、署長はあくまで仲間内での不和を演出するためだけにガスパールを使っていたと言う可能性だってあるのだ。それを最後まで明かさないのが本作の一番面白い部分だったかも知れない。
 これまでの作品が役者の魅力と過剰な演出が目立ったベッケル監督だったが、最後の作品で極めてソリッドな仕上げ方をしたことに最大の評価をしたい。
製作年 1960
製作会社 フィルムソナー
プレイアート
ジャンル
売り上げ $34,588
原作
<楽>
ジョゼ・ジョヴァンニ (検索) <A> <楽>
歴史地域
関連
allcinema Walker ぴあ IMDb CinemaScape
wiki キネ旬 eiga.com wiki(E) みんシネ
モンパルナスの灯
Les amants de Montparnasse
<A> <楽>
ジャック・ベッケル(脚)
ジェラール・フィリップ
リノ・ヴァンチュラ
アヌーク・エーメ
レア・パドヴァニ
ジェラール・セティ
マリアンヌ・オズワルド
リラ・ケドロヴァ
リリー・パルマー ベアトリス
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 1910。モンパルナスの孤高の画家のモジリアニ(フィリップ)は毎日を苛立ちながら過ごしていた。そんな彼の前に現 れた清楚な少女ジャンヌ=エビュテルヌ(エーメ)が現れるのだった。二人は激しい恋に落ちるが、官吏であるジャンヌの父は絶対に二人の仲を認めはしなかっ た…
 画家モジリアニの死に至るまでの半生を描いた作品。当初マックス・オフュルス監督によって企画されたが、オフュルス監督の急死によってベッケル監督により完成させられた。
 私自身はあの白目が怖くてあんまり好きではないけど、最近になって脚光を浴びるようになったモジリアニの絵がどのような貧困の中で描かれていたのか、そ して彼がどのように女性に愛されたかがよく描けている。特に当時のフランスはこういう虚無的な人間を受け入れる素地があったのだろう。彼は常に幸せじゃな い。幸せじゃないからこそ魅力が出る。“孤高”としか言いようがない人間だった訳だ。それは決して自分で求めたものじゃなかったはず。周りに人がいなけれ ば生きていけない。だけど、人が自分を苛立たせる…だからこそ、彼はゴッホやゴーギャンのように外に出ようとはしない。あくまで街の中でボヘミアンとして 生きることを選んだ人間だった。
 このモジリアニ像は
現代の人間にこそ当てはまる人物像ではないだろうか?現代こそ人の中で生きることしかできないのに、孤独な時代はないのだから。
 かくいう私だってここまで酷くはなかったが、かつて長い間鬱に悩まされていた時代があり、その中で同じような思いをしたことだってある。一人でいるのがたまらなく辛い。だけど、人の中にいれば、かえって孤独感が増す…どちらがより
“良いか”ではなく、どちらがより“辛くないか”という価値観で生きるしかなかった。荒れたし、周囲の人にも迷惑をかけどんどん友人を失っていった点はモジリアニとは逆だが、少なくとも死を選ぶことがなかっただけまだましか。それに私には何の才能もないしね。
 …結局
自分が凡才でしかない事を受け入れることで、人は成長していくんだろう。それが出来ない人は多いが(特に現代は多くなっている気がする)、その中でほんの一握りだけが後世に名を残せる。時としてそれは生きている時ではなく、死んだ後になって…
 最後、モジリアニが死んだと分かった途端、ヴァンチュラ演じる画商が彼の絵を買いあさるシーンがあったが、これが本物の芸術家の行く末だったのかも知れない
(ここでエーメが「彼はどんなに喜ぶでしょう」と涙するシーンが特に素晴らしい)。死ぬ事によって売れるようになる画家は、その家族すら本当の価値を見いだすことが出来ない。後味の悪い、しかし素晴らしいラストではあった。
 こんなモジリアニを演じるのにフィリップはまさにはまり役。そもそもフィリップはこういうとんがった危うい役こそ真骨頂であることを改めて感じさせてく れた。尚、この歳フィリップは35歳。モジリアニの活動時期と同じで、奇しくも翌年モジリアニと同じ36歳で肝臓ガンで死去。映画界は惜しい人を亡くした ものだ。
 フィリップ、エーメという美男美女を配し、更にヴァンチュラが良い役をやってるけど、ただ物語そのものが極めて単純すぎるのがちょっとだけ残念。これで はモジリアニはいつも苛ついてる女好きにしか見えない部分もあり。もう少し複雑な心理まで突っ込んで欲しかった所。ラストを除けば割と物語自体が表層的で終わってしまっ た。フィリップの名演を観るためと割り切る必要はあり。
 監督と主演男優の死という事件の他、本作の脚本を書いたアンリ=ジャクソンはベッケル監督によってあまりに改変させられすぎたため、クレジットから自分の名前を削除させたとも言われている。本作はいわば呪われた作品だったのかも知れない。
製作年 1958
製作会社 アストラ・キネマトグラフィカ、パラヴィキニ、フランス・ロンドン・フィルム
ジャンル 伝記
売り上げ $
原作 モンパルナスの灯(書籍)ミシェル・ジョルジュ・ミシェル
歴史地域 パリ(フランス)
関連
allcinema Walker ぴあ IMDb CinemaScape
wiki キネ旬 eiga.com wiki(E) みんシネ
肉体の冠
Casque d'or
1952英アカデミー国外女優賞(シニョレ)、作品賞
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
製作年 1951
製作会社 ロベルト・エト・レイモンド・ハキム
ジャンル 恋愛(三角関係)
売り上げ $
原作
歴史・地域 パリ(フランス)
関連
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肉体の冠
Casque d'or
1952英アカデミー国外女優賞(シニョレ)、作品賞
<A> <楽>
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ジャック・ベッケル
ジャック・コンパネーズ(脚)
シモーヌ・シニョレ
セルジュ・レジアニ
クロード・ドーファン
レイモン・ビュシェール
ウィリアム・サバティエ
ダニエル・マンダイユ
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 1898年パリ。ちんぴらを束ねるルカ(ドーファン)は日曜日の行楽にそれぞれ情婦をつれてマルヌ河で舟遊びした。その中でrルカの部下であるローランの情婦であるマリイ(シニョレ)は、ローランとの間が気まずいものになっており、彼女はローランへのいやがらせに、行楽の途中で出会った純朴な青年マンダ(レジアニ)を誘う。怒ったローランはマンダに喧嘩を挑むのだが、怪力のマンダは逆にローランを殴り倒してしまうのだった。もとよりマリイに気があったルカは、この事件を見て二人をあおり立て、マリイを自分のものにしようと悪巧みを巡らすのだが…
 19世紀フランスで実際に起きた事件を元にベッケル監督がシニョレを中心に描いた作品(タイトルにある“冠”は、高く結わえられたシニョレの金髪を表しているのだとか)。
 ベッケル監督作品は雰囲気が良い作品が多いが、その中でも本作はキャラクタ性、町の雰囲気とも見事な演出ぶりを見せている。舞台にあっても19世紀のパリを上手く体現しているのみならず、なんと言っても本作はシニョレ。本作ではやや蓮っ葉な役どころだが、この人はファム・ファタルぶりが本当に見事にはまる…ちょっと髪の毛がおかしいけど(笑)。妖艶なだけでなく、男を殴ったり、逆に男に殴られたりと言った汚れ役のシーンもしっかりこなしている。特にこの時代でこれだけ暴力シーンが出てくるのはフランス映画ならではで、当時の優等生的ハリウッドでは到底出すことの出来ない魅力をしっかり演出していたのが心憎い所。
 美しい中に意志力があり、感の強そうなシニョレはファム・ファタル役にぴったりで、女を巡って殺し合いになる位の魅力は彼女だからこそ出せた役だ。
 ただ、こういった痴話喧嘩的な物語自体はあんまり好きじゃないので、点数はちょっと低めになるけどね。
製作年 1951
製作会社 ロベルト・エト・レイモンド・ハキム
ジャンル 恋愛(三角関係)
売り上げ
原作
歴史地域 パリ(フランス)
関連
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