新しき土
Dir Tocher des Samurai |
|
|
伊丹万作(共)
アーノルド・ファンク
伊丹万作(脚) |
早川雪洲 |
原節子 |
小杉勇 |
英百合子 |
中村吉次 |
高木永二 |
市川春代 |
村田かな江 |
常盤操子 |
ルート・エヴェラー |
マックス・ヒンダー |
|
|
★★ |
物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
2 |
4 |
3 |
1 |
2 |
|
資産家の大和厳(早川雪洲)の養子となった光雄(小杉勇)が長いヨーロッパ留学から帰国した。大和はかねてからの約束通り許嫁であり自分の娘光子(原節子)との結婚を進めようとするのだが、ヨーロッパの自由な文化を経験してきた光雄は封建的な結婚を潔しとせず、婚約解消を申し出るのだった。結婚を待ちわびていた光子はその時…
山岳映画の巨匠ファンクが自分から申し出て監督した、戦前に作られた日独合作映画(ドイツ題『侍の娘』)。話自体は日本のエキゾチックな文化が強調されすぎているが、ナチスの評判も良く、日本側も、世界に誇る作品が出来たと言うことで、受けは良かったようだ。
だけど、やっぱり観ていて違和感だらけ。確かにファンクらしい峨々たる山の風景や、日本の文化などの描写はあるものの、“日本的なもの”が根本的に間違ったところを指しているのでは?という思いが終始つきまとう。やっぱりこの時代であれ、日本を描く場合、その風景を描くべきだと思うのだが、この作品の場合、自然というのが日本庭園と岩だらけの山ばかり。流石にこれを持ってきて「日本です」と言われるとねえ。ファンク監督が撮るとなんでも同じ山になってしまうみたい。
男に振られたからと言って死を選ぶ女性の姿も違和感あり。殊に女性の死ってのはこういう描かれ方をして欲しくないところ。婚約者に見捨てられたら潔く自殺するという“武士道精神”を女性に見ているため、この潔さこそが受けた要素なんだろうとは思う。ただ、ここでの大和と光子の関係って、実はヨーロッパ(と言うよりドイツ)と日本の関係なんじゃなかろうか?ちょっと放っておかれると簡単に死を選ぶ日本人に手をさしのべるドイツ。って感じで。そう考えてしまうと、なんか気持ちが萎える。
ただ、キャラに関しては文句なしなんだけど。やっぱり国際協力ってことで、日本側は最高の役者を用意してるし、それぞれ熱演してるのが分かるし。その点だけは評価出来る。
ちなみに本作が円谷英二の特撮人としてのデビューとなった(監督としては先に『小唄礫・鳥越お市』という作品でデビューを果たしているが)。
同年、アーノルト・ファンク監督の日独合作『新しき土』で共同監督に要請され、万作は「自分の本領はシナリオにあって、監督にはない」と主張して固辞するがきかれず[21][24]、共同監督を務めることになった。しかし、脚本執筆時からファンクとは意見が対立し、万作はファンクとは別に作品を撮り、結果、ファンク版(ドイツ版)と伊丹版(米英版)の異なるバージョンが完成した[25]。万作は「撮影には二倍の時間と労力を費やし、一年間の精力を意もなく浪費したのである[26]」と本作のことを語っており、彼の失敗作となった。 |
|