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ロビン・ハーディ
Robin Hardy

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鑑賞本数 1 合計点 4.5 平均点 4.50
書籍
_(書籍)
2009
2008
2007
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1999
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1993
1992
1991
1990
1989
1988 サイレント・ダンス/青い果実の毒 製作総指揮・脚本
1987
1986 霧のダブリン/殺しの透視図 監督・脚本
1985
1984
1983
1982
1981
1980
1979
1978
1977
1976
1975
1974
1973 ウィッカーマン 監督
1972
1971
1970
1969
1968
1967
1966
1965
1964
1963
1962
1961
1960
1959
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1954
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1949
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1944
1943
1942
1941
1940
1939 ロンドンで誕生

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ウィッカーマン 1973
<A> <楽>
アンソニー・シェイファー(脚)
エドワード・ウッドワード
クリストファー・リー
ダイアン・シレント
ブリット・エクランド
イングリッド・ピット
リンゼイ・ケンプ
ラッセル・ウォーターズ
オーブリー・モリス
アイリーン・サンタース
★★★★☆
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 スコットランド・ヤードのハウイー警部(ウッドワード)は行方不明となった少女ローワンを捜すためスコットランドの孤島サマーアイル島にやって来た。独特な宗教感を持ち、猥雑な行動を取る島の住民に、敬虔なキリスト教徒であるハウイーは嫌悪感を持ちつつ操作を続けるのだが、少女の行方はようとして知られなかった。そんな中、島の統治者サマーアイル卿(リー)の知己を得たハウイーは、サマーアイルの言葉から、翌日に行われる豊作祈願の祭りで生け贄に捧げられるのではないかと推測するのだが…
 一応ホラー映画にカテゴライズされる作品で、オカルトジャンルの中では極めつけのカルト作とされた逸品。脚本は後に
『探偵 スルース』でブレイクすることとなるアンソニー・シェーファー。
 実の話、本国イギリスでもなかなか上映の目処は立たず、公開されてもあっと言う間に打ち切り、輸出されたアメリカでは出演者のクリストファー・リーがほとんど手弁当で上映館まで赴いて宣伝活動を行ったと言う経緯まである。ましてや日本においては編集されたテレビ放映版だけで、ソフト化もされずと言う、なかなかに不遇な扱いを受けていた作品だった。だがリーが惚れ込んだという脚本、反キリスト教的な内容
(だから上映館に恵まれなかったらしいが)、衝撃なラストシーンと、知られざる名作として後にブレイク。リメイクまで作られるに至り、ようやくソフト化された(一時期はこれを観た。と言うだけで羨ましがられた時代もある)。それが今やDVDで安価に買える。良い時代になったもんだ。

 内容的にも大満足な作品となっていた。ストーリーの端々に笑える演出が多い牧歌的な雰囲気なのだが、それが雰囲気を全く変えないまま、主人公を今日のどん底に叩き込むと言う妙にシュールな恐怖演出がなされている。

 本作は特に主人公の設定が良い。主人公が敬虔なキリスト教徒と言うことは、結婚まで女性と性交渉を持ってはいけない。と言う教えをしっかり守っていると言うことだし、とりわけ生真面目な性格をしているため、こういう人というのはとかく周囲から敬遠されがちで、それでもそんな自分を受け入れている。しかし、そういう人こそが魔力的な意味で力を持っているとするのは、いわば
童貞力と言うのを全面に押し出したことになる。童貞力を設定に取り入れた作品は結構珍しく、その視点がとても面白い(あんまり童貞をこじらせると、連れ去られてしまうよ。と言う教育的な側面は…ないか)。これは一面では大変な美徳でもあるので、それ故にラストの悲劇は全く予測がつかず、視聴者の思いを完全に裏切ってくれる。(実はオチ部分はある映画評で分かってしまっていたが、その上でうまく作っていると感心できる)。
 物語の雰囲気もイギリス映画らしい階虐趣味、根底に横たわるユーモアセンス、そしてメタフィクショナルな設定と、大変質は高く、一見無知な田舎の恐ろしさもよく出ていた。
 そして最後に登場するウィッカーマンの迫力と、その下で踊り狂う住民の陽気な歌声は見事な対比になっていて、本当に見事!と言うしかなかろう。なんとなくこのシーンは『第七の封印』(1956)っぽくもあり。
 ニコラス・ケイジのリメイク版がクソだった事が、逆に本作を輝かせてもいる。ジャンル映画ファンだったら是非一度鑑賞をお勧めしたい
(特にリメイク版を先に観てしまった不幸な人は、買ってでも本作を観てほしい)
 ちなみにボンド・ガールのブリット・エクランドも裸で踊っているので(ちなみに当時妊娠中だったため、ヌードシーンは吹き替え)、そちらの方で楽しめる人もいるだろう。

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