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2000 | 永遠のアフリカ 監督 | |
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1981 | 炎のランナー 監督▲ | |
1980 | ||
1979 | グレート・ドライバー 監督 | |
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1940 | ||
1939 | ||
1938 | ||
1937 | ||
1936 | 8'25 ロンドンで誕生 |
タイトル | |||||||||||||||||||||||
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永遠のアフリカ 2000 | |||||||||||||||||||||||
2000ゴールデン・ラズベリー最低主演女優賞(ベイシンガー) | |||||||||||||||||||||||
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100点+ | テレビ | ||||||||||||||||||||
ヒュー=ハドソン(監) ベン=クロス、イアン=チャールソン、イアン=ホルム、ナイジェル=ヘイヴァーズ、ナイジェル=ダヴェンポート | |||||||||||||||||||||
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炎のランナー 1981 | ||||||||||||||||||||||||||||
1981アカデミー作品賞、脚本賞、作曲賞、衣装デザイン賞、助演男優賞(ホルム)、監督賞(ハドソン)、編集賞 1981英アカデミー作品賞、助演男優賞(ホルム、ヘイヴァース)、衣装デザイン賞、監督賞、脚本賞、作曲賞、撮影賞 1981カンヌ国際映画祭助演男優賞(ホルム)、アメリカ批評家賞(ハドソン) 1981NY批評家協会撮影賞 1981ゴールデン・グローブ外国映画賞 |
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ユダヤ人青年ハロルド=エイブラハムズ(クロス)とスコットランドの宣教師エリック=リデル(チャールソン)は短距離競技に天性の才能を持ち、互いに競い合いつつ、ついに100Mのオリンピック代表となる。だが、100Mの予選が日曜日に開かれる事が分かった時、神に実を献げていたエリックは… 1981年アカデミー作品賞を受賞したこともあり、アウェイであるアメリカでもヒット。1982年全米興行成績10位。 「オリンピックの歴史」という一冊の本に書かれた実話を元に、1924年のパリ・オリンピックを舞台に二人の短距離ランナーの姿を描く作品。原題を日本語に訳すと、『炎の戦車』。これでも良いタイトルになるね。 本作はこれまでに二度、劇場で観る機会があった。一度目はまだ小学生の時、叔父が連れて行ってやろうと言ってくれた時。二度目は東京に住んでいた時分に名画座でかかった時。 そのどちらにも行きたかったし、行く気もあった。けど、諸般の事情により見事二回とも失敗。本作は私にとっては「観られなかった作品」という事で強い想い出がある作品。 それから随分と時間が経過し、ようやくテレビにて鑑賞。 それで本気で後悔した。何故無理してでも劇場に観に行かなかったんだ私は。むっちゃ好みだった。完璧な感動を覚える。 走る美しさ、走る事に全てを注ぎ込んだ部分が評価された部分は確かにあっただろうけど、この作品の見所はそれだけじゃない。 本作においては二人の主人公が登場するが、その対比がなにより見事だ。 ユダヤ人であるエイブラムズは自分の実力を信じ(それがコンプレックスから来ている事を自覚もしている)、それに磨きをかける事に情熱の全てをかける。それは最早アマチュアの域を出ている程で(今では当たり前の事なのだが)、勝利に対する執念は凄まじい。彼にとって自己の存在とは、イギリス一速い。世界一速いと言う点にあり、そこにアイデンティティの全てをかけている。その為に人からどんな悪口を言われようとも、自分を孤高の存在に位置づけ、どんな人間に対しても毒舌を吐き付ける。 対するライヴァルのリデルの立脚点は全く違う。彼は宣教師であり、何よりも信仰を重んじている。自分の欲は二の次であり、何より神に身を献げたと言う点が重要になっている。彼は慎ましやかな生活に満足し、他人に対しての思いやりに溢れてもいる。 見事に好対照をなす二人だが、実はこれは表面に見えるだけではないと思う。二人の走り方を見てみると、極めて理詰めに、ストイックな情熱を燃やしているエイブラムズに対し(恋人から「あなたは繊細」と言わせているのは、確信犯的な演出だろう)、一方のリデルの方の走り方は極めてワイルド。なんせオリンピックで100Mが駄目だからと言って、400M走に出場し、見事に金メダルを得てしまうのだから、計算された走りでは決してない。傍若無人なエイブラムズが、繊細であり、対して人当たりの良いリデルが乱暴。表面に見えるのと全く別な人格がそこには現れている。自ら強いて振る舞っている部分が、極限状態でその表層を剥がし、真の二人が見えてくる辺りの演出は見事。 そして見事金メダルを取った時の二人の表情の違いにも注目すべき。エイブラムズはリデルと戦い、彼を打ち負かして世界一になる事を目指していたのに、当のリデルが出場しない100M走で世界一になった。最高の栄誉を手に入れた直後のエイブラムズの虚しい表情。一方、自分の専門でない400Mに出場していながら、最後は歓喜の表情でテープを切る時のリデル。あの表情には本気でぞくっとした。 見事な人間ドラマの演出だった。 勿論“走る”事そのものの演出も本当にしっかりしている。100M走は僅かに10秒のドラマ。その10秒をどのように演出するかで様々な工夫が用いられている。ストップモーションの用い方の巧さも際だつが、挿入される過去の話や思いなど、多彩な演出が取られていた。監督のヒュー=ハドソンは元々コマーシャル畑の人らしいから、短い時間にメッセージを詰め込むのに長けていたんだろうね。 それに音楽の素晴らしさ。オープニングからエンディングまで、心憎い音楽の使い方をしてくれる。劇中の曲も良いけど、なんと言っても特にオープニングとエンディングのテーマは耳にこびりつく。 ここまでは完全なべた褒めだが、ただ一つだけ残念だった事がこの映画にはある。 100Mは走り抜く時に一度も呼吸をしない。ところが肺の中の酸素は100M保たないので、ラスト数メートルは筋肉に溜められている酸素が使用されることになる。だから、短距離選手は酸素を身体にため込むために必然的に筋肉隆々となる(特に胸の辺りの筋肉は凄い)。ベン=クロスの走りのフォームは素晴らしいのだが、一カ所、上半身脱いで走るシーンがある。あの筋肉の付き方はどう見ても短距離走者でないというのが…(仕方ないんだけどね) 尚、劇中では最後に中国に行くことになるリデルだが、彼はそこで日本軍に捕まって、捕虜収容所送りとなって1945'5にそこで亡くなったそうだ。彼らにとっての未来が分かってから改めて観ると歴史の重さが感じられる気にさせられる。 本作はイギリスの映画で、舞台設定やてかりのある撮り方と言い、更に劇中で繰り返し「イギリスのため」が強調される事から、いかにもイギリスらしい映画なのだが、見事にこの年、アメリカ映画の『レッズ』(1981)を抑えて英米の両アカデミー賞を受賞した。アメリカでアカデミー賞をイギリス映画に取られる事は珍しくはない(これを「イギリスの侵略(English Invasion)」と呼ぶ)が、これだけイギリス国粋主義的な作品が受賞したのは珍しいのではないかな?ま、その実力は伊達じゃなかったと思うけど。 |