太陽の季節 |
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古川卓巳(脚) |
長門裕之 |
三島耕 |
清水将夫 |
坪内美詠子 |
南田洋子 |
東谷暎子 |
小野三津枝 |
市村博 |
佐野浅夫 |
石原裕次郎 |
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久場礼子 |
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紅沢葉子 |
岡田真澄 |
三鈴恵以子 |
松原京子 |
阿部幸四郎 |
石原慎太郎 |
福田トヨ |
花村信輝 |
八代康二 |
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★★★★ |
物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
3 |
4 |
2 |
4 |
4 |
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ボクシングに燃える高校生の津川竜哉(長門裕之)は、ある日遊び仲間と共に銀座に繰り出し、武田英子(南田洋子)という女性と知り合った。やがて結ばれる二人だったが、英子に対する独占欲はありながら、愛情を求める英子を同時に鬱陶しくも思うようになっていった。竜哉の子供を身籠もったという英子に対し、竜哉の取った態度は…
石原慎太郎のデビュー作であり、芥川賞受賞作を映画化した作品で、1956年邦画興行成績7位。
そもそも日本人は清貧の思想があり、特に金に関しては、金を持っていること自体に罪悪感を持つ風潮があったが、原作は、「金持ちで何が悪い」と完全に開き直っていたのが大きな特徴。今から考えると、デビュー当時から慎太郎節は健在だったって事になるんだろうけど、原作が当時の文壇に与えた衝撃は大きかった。
下から見上げるだけのものではない。上から見下げる視点でも文学は作れるのだ。何も無理に卑下することはない。この開き直りは、日本文学に大きな幅を与えた。
これは文学界だけではなく、当時の若者に大いに受け入れられる。作品には無秩序な若者のエネルギーがそこには溢れており、これが一種のあこがれとなり、石原慎太郎の髪型をまねた“新太郎刈り”とアロハシャツにサングラスで遊び回る“太陽族”なる言葉が出来て、社会現象にまでなった。
それをいち早く映画化したのが本作というわけだが、物語そのものは原作に準じていながら演出部分で失敗。むしろ今観ると、この作風は後のATG作品っぽく仕上がっていると思える。
何となく金持ちの道楽ってよりは、貧乏ったらしい青春賛歌って感じ。あれだけ金持ちを演出してるというのに、それが浮きっぱなしに見えてしまう。ラストも「分かっちゃいねえ」という長門裕之演じる主人公の方に「分かってないのはお前の方だ!」とツッコミを入れたくなる。
それでも本作と同年公開された『狂った果実』(1956)によって日本のヌーヴェル・ヴァーグが始まったと考えるならば、日本映画界にとっては充分意味があったのだろう。
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