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日本映画[監督・俳優]論 ~黒澤明、神代辰巳、そして多くの名監督・名優たちの素顔~萩原健一 _(書籍) |
2009 | ||
2008 | 蛇にピアス 監督・脚本 | |
2003 | 嗤う伊右衛門 監督 | |
青の炎 監督・脚本 | ||
1992 | きらきらひかる 出演 | |
1988 | 敦煌 出演 | |
1986 | チェッカーズ SONG FOR U.S.A 出演 | |
1984 | Wの悲劇 出演 | |
1981 | 海よお前が -帆船日本丸の青春- 監督 | |
魔性の夏 四谷怪談より 監督 | ||
上海異人娼館/チャイナ・ドール 出演 | ||
1976 | 愉快な極道 出演 | |
1971 | あらかじめ失われた恋人たちよ 出演 | |
1968 | 盛り場ブルース 出演 | |
樹氷のよろめき 出演 | ||
1967 | 剣<TV> 出演 | |
1966 | とべない沈黙 出演 | |
1965 | かも 出演 | |
1963 | 彼女と彼 出演 | |
1962 | からみ合い 出演 | |
1960 | 赤坂の姉妹 夜の肌 出演 | |
1935 | 10'15 埼玉で誕生 |
蛇にピアス 2008 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
2008日本アカデミー新人俳優賞(吉高由里子) 2008ブルーリボン新人賞(吉高由里子) 2008日本映画批評家大賞新人賞(吉高由里子) |
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何か満たされぬものを思いつつ、東京の夜の町を歩く少女ルイ(吉高由里子)は、蛇のように割れた舌スプリット・タンを持つ男アマ(高良健吾)と出会った。アマと生活を共にしながら、自分にも入れ墨とスプリット・タンの手術をしてくれるという彫り師シバ(ARATA)とも関係を持つようになっていく… 同名の金原ひとみの2003年下半期芥川賞受賞作の映画化作(ちなみに同時に受賞したのは綿矢りさの「蹴りたい背中」だった)。 本作の物語は暴力やエロスに彩られるが、これまでの作品とは異なり、とても耽美的なもので、これを10代の女性が描いたということでえらく話題になったものだ。 私も一応受賞年に原作を読んだのだが、どうにもしっくりこないというか、やっぱり自分自身耽美的な描写が苦手だってことを再認識しただけで終わる。はっきり言ってしまえば嫌いな小説だった。 そんなものの映画化だってことなら、最初から合わないのは分かってたんだが、なんでだか、ついテレビで予約を入れてしまい、観てしまった。それで別段なんということもなくするっと観て、こんなもんだと思っただけ。 唯一この作品で評価されるべきは、耽美描写の上手い蜷川監督がその手腕をしっかり発揮したという事。ただ、監督自身に特別な思い入れはないのか、物語に起伏をつけず、淡々と描写をこなすだけって感じだ。 そして耽美描写はやはり全く合わないという自分自身の性癖を再確認しただけ。 |
嗤う伊右衛門 2003 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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真面目な生活を続ける浪人の伊右衛門(唐沢寿明)に婿入りの縁談話が来た。その相手というのが、顔の右側が崩れてしまっても、凛とした佇まいを崩すことなく自分の生き方を続けている民谷お岩(小雪)だった。夫婦となった二人は表面上喧嘩が絶えないが、実はお互いを理解し合っていた… 京極夏彦版の新解釈の「東海道四谷怪談」の映画化作品。私は一応京極夏彦作品は大好きだが、本作に関してだけはどうにもはまりきれなかった。昔、何故だか(本当に何故だかよく分からないのだが)「四谷怪談」に凝って、色々文献を読んだり、歌舞伎を観たりもして、イメージが完全に固まってしまっていて、それを崩すことは出来なかったようだ。しかもこれはかなり異様とは言え、伊右衛門とお岩のラブストーリーになってるから、それもちょっと好きにはなれなかった。 その映画化作品。しかも蜷川幸雄が監督かあ。この監督、人物描写がくどすぎるし、特にこの監督が前に作った、やっぱり四谷怪談の映画化作品である『魔性の夏 四谷怪談より』は私にとっては最悪の作品だったし… んで、拝見。 …やっぱり思った通り。 出来としては、原作のダイジェスト版でしかなく、しかも演出が人物のアップばかりの上、照明が暗すぎ。観てるのがきつい。はっきり言ってこの作品を映画化しようとした時点で負けてると思うぞ。 それでも、唐沢寿明と言い、小雪と言い、演技に関しては無茶苦茶素晴らしいんだよなあ。だからこそ、更にやりきれない気分にさせてくれる。珍しく映画で汚らしさも演出できてたし。 後一つ。どーでも良いことだが、「嗤う」って言葉は「嗤笑」って言うくらいだから、相手を見下して鼻で笑うようなことを言うはずなんだけどなあ。ラブストーリーには無粋すぎる題じゃないの?(つーか、だからこそ楽しみに原作読んで、肩すかしを食ったわけだが) |
青の炎 2003 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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湘南の高校に通う櫛森秀一(二宮和也)は母の友子(秋吉久美子)と妹の遥香(鈴木杏)との慎ましやかな生活を送っていた。だがある日、かつて母が再婚し、すぐに離婚した曾根隆司(山本寛斎)が現われ、家に居座ってしまう。傍若無人に振る舞い、母ばかりか妹にまで暴行を働こうとする曾根に殺意を覚えた秀一は完璧な計画を立て、曾根を殺害する。それは完璧だったはずだが… 貴志佑介原作小説の映画化。プロットとかオチとか前年に公開された『完全犯罪クラブ』(2002)とどことなく似てる気もするが、質はこっちの方が上。緊張感や感情移入度もかなり高い。何より演出が上手く、観ていて引き込まれる。 この二つの作品を観比べて思うのだが、こう言ってしまうと語弊があるだろうけど、殺人と言うのは、畳の上で、薄暗い状態でやるのがよく似合う。 本作は主人公の秀一の心情に入り込んだ演出が傑出した作品。 ところでこの秀一の心情描写が面白い。彼はとても頭が良く、外の世界に対し如才なく振る舞っているが、実はかなりの内向的な人物であり、自分自身だけの世界を心の中に持っている。思春期の人間は誰しもそのような特別な世界を持ってるものだが、なまじ頭が良すぎるため、彼の世界は特別だった。 義父の隆司がやってきて、壊されたのは自分の家族という外面的な世界だけではなかった。自分の内面世界をも侵食してしまったのだ。自分だけの秘密の世界に他者の圧迫を受けるというのは、容易に精神的な危機を引き起こしてしまう。 内向的な人間だったら、そこで精神的防護機能が働く。いくつか手はあるだろうが、その一つには外面世界を拒否し、ひたすら内面に逃げ込むパターン。つまり肉体を持つリアルな自分と内面的な自由な精神を分離させてしまう(要するに思春期の頃の私がやってたことだ)こと。 他にも物理的に逃げてしまうとか、あるいは短絡的にイチかバチかで特攻をかけるなんて手もあるだろうが、ここでは違った形で防護機能を働かせた。つまり自分の世界は完全に無事なまま、全て悪いものを排除しようとした。こういう事を考えさせた過程を丁寧に描いてくれたことが嬉しい。二宮和也なんて所詮アイドルだろ?とか思っていたが、その考えは改めるべきだったか。 他のキャラクターも微妙なはまり具合を見せ、キャラクターで言えば、文句言えないところ。 ただ、それ以外がちょっと軽すぎたかな?丁寧さにムラがあったため、バランスはあまり良くない。それでちょっとマイナスか。 |
魔性の夏 四谷怪談より 1981 | |||||||||||||||||||||||
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