ハリマオ 1989 |
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中沢敏明
渡辺ケン
倉田正昭(製)
井沢満(脚) |
陣内孝則 |
山崎努 |
竹下景子 |
川谷拓三 |
ジェームス・パックス |
大谷直子 |
柄本明 |
室田日出男 |
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★★ |
物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
2 |
3 |
3 |
2 |
2 |
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1931年マレーシア。日本軍の中国侵攻に対し、華僑を中心とする人々は日本人に対する反感を持ち始めていた。そんな中、この地で生まれ育った日本人谷豊(陣内孝則)は、婚約者を華僑によって虐殺された。しかも島を統治するイギリス人官憲のやる気のなさに復讐を誓った豊は“マレーの虎・ハリマオ”を名乗り、義賊を気取って華僑やイギリス人家庭から金品を奪って、現地の人々に分け与えた。そんな豊に声をかけたのは日本軍の城ヶ崎(山崎努)だった…
テレビドラマ演出家として名を上げた和田勉監督の映画デビュー作。
1960年に放映され、かつての日本人少年を熱狂させたテレビシリーズ「快傑ハリマオ」にインスピレーションを受けて作られた作品だが、この作品自体が谷豊という実在の人物を元にしたもの。そのお陰で本作は義賊というキーワード以外ではテレビシリーズとは関わりを持たなくなってしまった。
監督が挑戦しようとしたのは、正義の味方の真実というところにあったのかとは思う。弱きを助け強きをくじくヒーローも、実はコンプレックスの塊で、そしてその行為も又、何者かによって利用されているという事実を提示し、その中で自分探しを続けるヒーローの等身大の姿を描こうとした。いわば、ヒーローの脱構築を目指した作品で、『スーパーマン III 電子の要塞』(1983)あたりのヒーロー作品を日本人を主役でやってやろうとしたものと考える事が出来る。
ただ、その結果だが、思いっきり空回りに終わった。挑戦の方向性は良かったのだ。だがそれをやりすぎた。
何がまずいかと言えば、「これがヒーローの真実ですよ」と出されたものが酷すぎたのだ。
ヒーローの脱構築を目指すならば、何よりもまずヒーローの格好良さを出さねばならないのだ。それがあるから、その背後のギャップが楽しめる。それが出せないならば、単に痛々しいだけのキャラになってしまう。その部分をないがしろにしてしまったため、まさしく単なる“痛い”だけの作品に堕してしまった。
狙いは良かったんだが、もったいない。 |