読書日誌
2019’4〜6月

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19'06'30 開かずの部屋
H・P・ラヴクラフト (検索) <amazon> <楽天>
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 ダンウィッチにある祖父の屋敷を継承したアブナー・ウェイトリーは、かつて精神を病み一室に閉じ込められてしまったという叔母が住んでいたという部屋を開けたところ、ネズミのような小さな生物を部屋から逃がしてしまった。その日から不可解な殺人事件が起こり始めてしまう。

 インスマスのマシュー家と並行する海に棲む者を崇める一家を描く話。古典的なホラー風の展開を見せるストレートな話だった。
<A> <楽>
19'06'28 月刊少女野崎くん9
椿いづみ (検索) <amazon> <楽天>
 瀬尾結月の家に集まった佐倉千代と鹿島遊の三人はさっそく女子会としゃれ込むが、誰も「正しい女子会」を知らず、千代は野崎にメールを送り、女子会のやり方を聞いてた。一方その野崎の家でも御子柴と若松のアシスタント組に野崎の弟真由を加え、なし崩し的にゲームなどをやって男子会になっていた。

 短編集ではあるが、今巻は前半に女子会と男子会の対比があったり、みんなにバレバレな千代の恋心をからかわれながら、肝心の野崎だけ全くそれに気づいてないとかも、安定のコメディ。連載開始から五年だそうだが、今でも笑えるギャグシーンを描けるのは凄い。
 あと、サブキャラの恋未満のストーリーが少しずつ進展してるようなしてないような?
<A> <楽>
19'06'25 爬虫類館の相続人
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 ロードアイランド州プロビデンスで売りに出されていた屋敷を格安で手に入れた“私”は、家の部屋を埋め尽くす爬虫類の研究書には辟易させられていた。そんな折、家の中に何者かの気配を感じるようになるのだが…

 ラヴクラフトの原案をダーレスが小説の形にしたもののようだが、本来この作品はオカルト調の喜劇だったようにも思われる。無理矢理ホラーの側に持ってきたことで持ち味がずれてしまった感がある。
<A> <楽>
19'06'24 聲の形2
大今良時 (検索) <amazon> <楽天>
 高校に入学はしたものの、いじめられ続けたために無気力に陥ってしまった石田将也は、過去を清算して自殺しようと心に決めた。そのけじめのため、かつて自分がいじめてしまった西宮硝子に一言謝ろうと考え、彼女のいるろうあ教室に向かう。そこで硝子の“恋人”を名乗る少年から手痛い拒絶を受けてしまうのだが…

 1巻もそうだったが、読んでいてとにかくきつい。主人公のネガティブ思想もきついけど、過去の過ちがどこまでもずっとついて回ることの息苦しさと、どれだけ謝ったとしても足りない恨みがのしかかってくる。しかしそれをきっちり読ませるところがたいしたもんだ。
<A> <楽>
19'06'21 深淵の王者
カール・ホール・トンプソン (検索) <amazon> <楽天>
 妊娠中の妻を撃ち殺した外科医ジェームズ・アークライトが死刑執行を待つ牢の中で書き綴った手記。いかにして彼が妻と出会って惹かれ合ったか、そして変質した彼女を何故撃ち殺さねばならなかったか。

 海に棲む邪神ヨス・カラの眷属に関する話。ストレートなモダンホラー調で雰囲気も良い。ところで地球の海にはどれだけたくさんの邪神がいるんだ?
<A> <楽>
19'06'19 墓場鬼太郎4
水木しげる (検索) <amazon> <楽天>
 「怪奇一番勝負」金のない漫画家の村田は金田というやくざの下で働くことになった。金田によると家に幽霊が出ると言うことで、それを二人で追い出そうとする。
 「霧の中のジョニー」吸血鬼から命を狙われているという池田首相から吸血鬼退治をお願いされた鬼太郎は首相を警護するのだが、それを知った吸血鬼の“霧の中のジョニー”は鬼太郎を拉致して仲間になるよう強要する。

 今巻は二本立て。最初の話は人間側が主人公で、鬼太郎は人間を取り殺す妖怪として描かれている。「ゲゲゲ」の方とは異なり、こういう描写があるのが「墓場」の方の大きな特徴だ。一方後編は「ゲゲゲ」の方でも何度か登場する(今期も登場した)エリートの登場話。名前は本名のジョニーだが。この話では鬼太郎がドロドロに溶かされてしまうけど、人の形を失っても生き続けるというのも鬼太郎の定番。
<A> <楽>
19'06'15 月に跳ぶ人
ロバート・A・W・ロウンデズ (検索) <amazon> <楽天>
 引退してオカルトにのめり込んでいた作家グレイスンが行方不明となり、まるで遺書のような手紙が出版社に送られてきた。そこに書かれた手記には、人間業とは思えない跳躍力を持つ者がいることがわかり、彼らを調べていると分かるのだが…

 外宇宙に関わりのある某かの眷属をモティーフにした作品で、明らかに宇宙から神がやってくるという考えがいかにも近代の神話と言った感じ。
 怪奇作家を主人公にしてるだけに、実在の作家達の名前が次々登場するのも面白いところ。
<A> <楽>
19'06'14 アオイホノオ19
島本和彦 (検索) <amazon> <楽天>
 ついに念願の連載にこぎ着けたホノオ。知識不足と実力不足を勢いで乗り切っていたが、同時に学生生活も満喫していた。一方、ダイコンIIIでの成功を元に、新たに知ろうとアニメーションを作ろうと決意する岡田斗司夫ら。

 本人はギリギリで締め切り守ってるだけと書いてるが、なんかホノオは堂々たるプロ作家になってしまっている。もはやプロ作家のマンガ道。
 ただ一方、岡田斗司夫と庵野秀明らのガイナックス前身は、いよいよあのダイコンIVを手がけるのだが、その前に「愛国戦隊大日本」のアイディア作りをしてる。これが不謹慎すぎる発言の連発で滅法面白い。そもそも「大日本」が公式にマンガになったのは初めてじゃないか?
<A> <楽>
19'06'10 Re:ゼロから始める異世界生活10
長月達平 (検索) <amazon> <楽天>
 白鯨を倒し、魔女教団からエミリアを守り切ったナツキ・スバル。だが支払った代償も大きかった。特に昏睡状態に陥って誰からも忘れられてしまったレムにショックを受けながら、それでもロズワール邸に戻ったスバルは、ロズワールが聖域と呼ばれる場所に行ったまま帰ってこないという報を受け取る。エミリアと共に聖域へと向かうことになるのだが…

 第3部の開始の話。ようやくナツキ・スバルの妙な性格がどうやって形成されたかが明らかになった。人間的に大きな父親の姿にプレッシャーを受け、いろんなコンプレックスが絡まった結果。それでも家族から愛されて育ってきたと言うことはよく分かった。
<A> <楽>
19'06'09 テラフォーマーズ21
貴家悠 (検索) <amazon> <楽天>
橘賢一 (検索) <amazon> <楽天>
 各国の保護を受け、地球に潜伏していたテラフォーマーズ達は、ある日一斉に立ち上がり、日本に向けて大攻勢をかけてくる。一方立ち向かう人類側は、戦士の数があまりに少なすぎた。絶望的な状況の中、しかし膝丸燈は半ば拉致され、地下に幽閉されているある人物に引き合わされていた。

 地球編となって、なんだか火星に行ってたキャラクターがパワーアップしてたり、異様に強い新キャラが次々に登場したりして、訳が分からない状況になってる。画面の一つ一つは見応えあるけど、全体を通したストーリーはますますぼけてしまった印象もある。
<A> <楽>
19'06'05 金色の処女 銭形平次捕物控1
野村胡堂 (検索) <amazon> <楽天>
 岡っ引きとしては新米ながら機転が利き、奉行の笹野新三郎からも一目置かれる銭形平次は、ある日特別に笹野に呼ばれ、将軍家光の暗殺計画の可能性があるため、誰にも知られないように御茶ノ水一帯を探索するよう命じられる。そこにある薬屋が怪しいと睨んだ平次は顔なじみのお静に買い物に行ってもらうのだが…

 栄えあるシリーズ第1作。まだ平次は独り身で相棒もいないが、将軍暗殺計画という大きな事件を扱う話になってる。ここに出てきたお静は後に結婚することになるのだろうけど、一般女性を囮に使うとか、かなり非人道的なことを平気でやってたりする。
<A> <楽>
19'06'04 黒博物館 ゴースト アンド レディ 下
藤田和日郎 (検索) <amazon> <楽天>
 ドルリー・レーン劇場にかつて取り憑いていたという幽霊グレイが語るクリミア戦争でのフロレンス・ナイチンゲールの裏の話。劣悪な環境にある傷病者病院をなんとか立ち直らせようという彼女の努力と、その努力をすべて握りつぶそうとする軍医長官のジョン・ホール。そしてジョンに取り憑いているデオンという幽霊との戦いを描く。

 有名なナイチンゲールの話の裏の話。幽霊を出したことで著者らしい怪奇風味の作品に仕上げた。いろいろ伏線が張ってあったが、全部すっきり収まるのも著者らしさだ。
 歴史の本などでは「クリミア戦争は悲惨」とは描いてあっても、実際に漫画化されると相当に悲惨な描かれ方をする。マンガの持つ力はこんなところにもある訳だな。
<A> <楽>
19'06'01 天地無用!GXP16
梶島正樹 (検索) <amazon> <楽天>
 ZINVと共に簾座連合の辺境惑星に不時着した西南は、本来あるはずのない体内の魔法回路が開いてしまい、肉体変化に伴って身動きが取れなくなってしまう。一方、一刻も早く西南捜索に出たい守蛇化クルーだが、簾座の高官達に難癖をつけられてしまい、外に出たければ機甲騎を用いた決闘を強いられてしまう。戸惑う霧子に送りつけられた荷物を紐解いたところ、そこには鷲羽特製の霧子用の機甲騎が入っていた。

 前半は魔法世界の説明がほとんどで、既存のファンタジー世界、いわゆる転生ものの基本設定を延々説明するだけ。あらかじめ基本を抑えておかねば話の展開について行けないという著者の思いやりなのかもしれないが、全く面白くない。一方、霧子らを中心にした話は展開方法が過去と同じなので楽しく読ませてもらえた。
 細かいところだとDr.クレーと宇宙海賊のクイス・パンタの会話が楽しい。クレー自身は知らないことだが、クイスが過去アカデミーでやりあってた朱螺凪耶だったという事実を知ってる身としては読んでいてとても楽しい。
<A> <楽>
19'05'29 サイボーグ009 1
石ノ森章太郎 (検索) <amazon> <楽天>
 「エッダ編」巨大な怪物が出没するという新聞記事を見た00チームは全員で北欧の寒村を調べることになったのだが、住民は何も喋ろうとせず、何度も殺されそうになってしまう。この村には何かがあると、調べるチームだが…
 「グリーン・ホール編」南米に生じた巨大な穴の調査に向かう009と002,003,005,006の5人。穴を下って行くにつれ、005の様子がおかしくなっていく。
 「怪奇星編」海から化け物が出るということを聞きつけた009と006は日本の小さな漁村に出向く。そこには怪物に父を殺されたという少年雄二が船を出すと申し出る。
 「ディノニクス編」ギルモア博士の旧友ロス博士がアメリカで本物の恐竜を見つけたという連絡があり、009と002、005が調査に同行することになる。

 都合四作の短編を収録した作品。この中ではエッダ編が味わい深い。怪奇ものとSFを融合するのは著者の得意とする分野だが設定がいくつもひねってあって、オチの意外性も良し。00チーム全員が出動するのはこれ一本で、後は009を中心に2,3人でチームを組むのが定番。
 でもせっかくの1巻は普通サイボーグ戦士の誕生編と対ブラックゴーストをやって欲しかったところでもある。読んでいくうちにその話も出てくるみたいだけど。
<A> <楽>
19'05'27 オーバーロード6 王国の漢たち 下
丸山くがね (検索) <amazon> <楽天>
 リ・エスティーゼ王国で暗躍する犯罪組織八本指の情報を得た王女直属騎士のクライムは、ガゼフ・ストロノームの助力で殴り込みをかけるが、そこには同じ目的で背バスがいた。主君アインズ・ウール・ゴウンの命令を無視して八本指と戦おうとするセバスだが、逆にやはりアインズの家臣デミウルゴスはそれを利用しようとしていた。

 話そのものは軽快で読みやすい作品なのだが、内容はかなりえぐい。いろいろ混乱があって主人公アインズ・ウール・ゴウンではなくデミウルゴスが全部やったことだが、やってることは完全にマッチポンプで、アインズ・ウール・ゴウンの名の下、王都を混乱に落として多数の人民を殺し、一方で英雄モモンの名声を高めて資金集めをするとか、ほとんど悪魔のような所業。主人公側が完全に悪の側にあって、それをそのまま描いているのだが、よくこんなの描いてるもんだ。
<A> <楽>
19'05'24 シドニアの騎士12
弐瓶勉 (検索) <amazon> <楽天>
 エースパイロットばかりを集めた新造艦で探査を命じられる長道ら。奇衣子(ガウナ)との小競り合いを続けつつ、抜群の連携で艦を進めていく。その果てに見るものとは…

 激しい戦闘と緩い日常の寒暖差が本作の魅力でここまで来たが、シドニアを離れて艦が狭くなったため、余計にそれが映えるようになった。しかし問題として、物語が進んでいるようで全く進んでいないという状態で、なんともジリジリさせる内容というか…
<A> <楽>
19'05'23 地球の長い午後
ブライアン・W・オールディス (検索) <amazon> <楽天>
 遙かに未来の地球。環境の激変によって肉食植物に覆われた大地で細々と生き続ける人類。死の儀式を終えて宇宙に向かった部族リーダーのリリヨーは、たどり着いた月で人類生き残りの方法を見いだす。一方、地上に残った人類の中から追放処分を受けた少年ブレンは一人彷徨いながら様々な部族と出会っていく。

 古典SFの名作だが、確かに圧倒的なセンス・オブ・ワンダーに溢れた作品である。なんせ次に来る展開が全く読めないから。ただ一方、物語の完成度は決して高いとは言えない。なんでこんな展開でこんなオチになるの?というのが多々。
 ただ、作品の完成度はともかくとして、片手で数え切れないほどの日本の小説や漫画の元ネタであることが分かる。古典SF読む醍醐味はここにあるな。
<A> <楽>
19'05'19 仮面ライダークウガ9
井上敏樹 (検索) <amazon> <楽天>
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 お互いに仮面ライダーである事を隠しつつ友情を育んでいく五代雄介と津上翔一。それぞれがグロンギとの戦いを行っていたが、良いグロンギもいるのではないかと考える五台の剣先は鈍りがちだった。そんな五代の前に現れたグロンギのメ・ガリマ・バは人を襲う気は一切ないと宣言する。彼女の言葉を信じようとする五代と、そんな彼女の変身を見てしまった津上は…

 五代雄介のクウガと津上翔一のアギトのすれ違いがメインストーリーになりつつある。お気楽脳天気な五代に対して、コンプレックス丸出しの津上という、本来の作品とはかけ離れた人間関係が展開。もはやオリジナルの番組とはかけ離れた内容になってきた。
<A> <楽>
19'05'16 Re:ゼロから始める異世界生活9
長月達平 (検索) <amazon> <楽天>
 死に戻りを経てエミリアを狙うペテルギウス・ロマネコンティが精神生命体であることがわかったナツキ・スバル。アーラム村とエミリアの脱出とペテルギウスの打倒を同時に行うためにアクロバティックな方法を使うことになる。一つ間違えれば計画そのものが瓦解する厳しい計画を進めることになるが…

 第三部終了の話。第三部はたたみ込むような物語展開だったので、全部無事に済んでほっとしたのだが、まさかの最後に再びマイナスの意味でのどんでん返し。まだまだ物語は進むらしい。
<A> <楽>
19'05'12 百万畳ラビリンス 下
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 この世界の秘密を知るゲーム開発者多神と連絡が取れた礼香と庸子は、この世界が地球ではなく異星人が乗ってきた宇宙船の中だと知らされる。少しだけ事情を知る多神にもこの状況からの脱出が思いつかない中、徐々に絶望に落ち込む庸子。一方全く違った発想をする礼香は、逆に生き生きとこの状況を楽しむ。

 この訳の分からない世界からの脱出する話。一見完全に詰んでしまった状況からの脱出行はSFマインドに溢れたものとなっている。もっと長くすることも出来ただろうけど、上下巻程度の長さだからソリッドにまとまった感もあり。ちゃんと自分を受け入れるという大切な命題もクリアしてるし。
 多少いくつかツッコミどころもあるけど、SF作品はどんなものであれ矛盾は起こるため、説明不足なだけと考えておこう。
<A> <楽>
19'05'09 幽遠の彼方に
オーガスト・ダーレス (検索) <amazon> <楽天>
 ミスカトニック大学で司書をしている“わたし”は祖父ジョサイアの危篤の報を受け、田舎の家に向かうのだが、祖父は元気であれこれ稀覯書について話すばかりだった。だが祖父は“わたし”を呼んだのは、自分がこれから行うことを見届けさせるためと語る。

 神話大系に連なる一端の話で、ここでイサカという巨人が登場する。それを次元の彼方から呼び出そうとした人間が辿る顛末。様々なキーワードはちりばめられているので、それなりに好奇心は増すが、作品そのものはよく観るパターン。
<A> <楽>
19'05'06 百万畳ラビリンス 上
たかみち (検索) <amazon> <楽天>
 大学生のルームメイト礼香と庸子はアルバイトでゲームのデバッグ作業をしている内に、不思議な建物に取り残されていることに気がついた。畳敷きの部屋が延々続き、しかも得体の知れぬ化け物まで現れる空間。そこから脱出するために二人で協力して探索を始めるが…

 「四畳半神話大系」のラストエピソードで、四畳半の部屋に閉じ込められた主人公の話があったが、その主人公を二人の女の子にして漫画にした感じの設定の話(あるいは『CUBE』か?)。
 一応命の危機にあるはずなのだが、その辺あまりに軽く考えている主人公と、慎重すぎる発言でブレーキをかける親友という立ち位置がちゃんとキャラ立ちしているし、危機の連続の中でも、ちゃんとヒントを解いて行くにつれちゃんと答えが用意されているので、さくさく読める。結構面白かった。
 著者は元々イラストレーターということもあってか、画面映えが良いし、線がすっきりしていて読みやすいのも好印象。
<A> <楽>
19'05'04 ハイドラ
ヘンリー・カットナー (検索) <amazon> <楽天>
 オカルティストのケネス・スコットに弟子入りしたロバート・ルードヴィヒとポール・エドモンドは師の禁じていた異次元の扉を開く魔術を試み、その結果として扉を閉じるために師のケネスが異次元の向こう側に行ってしまった。責任を感じたロバートはその魂を取り戻すべく、単身再び異次元の扉を開こうとするのだが…

 神話大系の中の異次元の邪神ハイドラについて描いた話。人間の浅知恵で神に挑もうとすると大きなしっぺ返しを食うといういつものパターンの話でもある。クトゥルーっぽさは高い。
<A> <楽>
19'05'01 デキる猫は今日も憂鬱1
山田ヒツジ (検索) <amazon> <楽天>
 会社ではデキる中堅女性として凜々しく振る舞う福澤幸来は、実は全くの生活無能力者だった。そんな彼女を助け、家事全般どころか生活管理まで全てこなすのは一匹の巨大な猫諭吉だった。生活全部を丸ごと諭吉に預けっぱなしの飼い主とデキつ猫の二人三脚をコミカルに描く。

 これもSNSで流行った作品で、定期的に更新されるのを毎回楽しみに読んでいたが、それをまとめて読めるのは大変ありがたい。改めて考えると、大変シュールな光景ばかりの作品なのだが、それが妙に心地良い。
 どうやら巨大猫というのは私の性癖に刺さるらしいことが分かった。
<A> <楽>
19'04'28 触手
ヘンリー・カットナー (検索) <amazon> <楽天>
 幻想文学の名手と言われるヘイワードの家に招かれた“私”ジーンと友人のビルは、実はヘイワードがある薬を用いて前世の記憶を呼び起こしてそれを小説にしていたと言うことを知る。そしてそれが元でとんでもない事態を引き起こしてしまったことを告げられるのだが…

 一軒家に閉じ込められ、周囲には得体の知れない化け物の群れという、ビジュアル的にとても映える作品で、ビジュアル要素もきちんと文字化した好作。
<A> <楽>
19'04'25 墓場鬼太郎3
水木しげる (検索) <amazon> <楽天>
 生活のため鬼太郎は妖怪から借金を取り立てることとなった。ねずみ男と組んだ物の怪には言いくるめられてしまったが、物の怪のアドバイスで残った水神を探し当てることには成功した。すっかり力を失っていた水神をビニール袋に入れて東京に持ち帰るのだが…

 水神との戦いというか、水神から逃げ回る鬼太郎の話。水神はあまりに危険すぎる妖怪で東京住を混乱に巻き込み、偽物の鬼太郎も食ってしまった。それを解決するのも人を食った話になってる。
 2巻ラスト時点でトランク永井の話が続くかと思ったら、それは放置されて勝手に解決。育ての親である水木もいつの間にかいなくなり、なんだか訳が分からないが、これはいくつもあるエピソードを無理矢理くっつけたためだろう。
<A> <楽>
19'04'22 メデューサの呪い
ゼリア・ビショップ (検索) <amazon> <楽天>
 自動車旅行をしていた“私”は雨を避けて南部の古びた屋敷で雨宿りをさせてもらうことにした。その主人が語るこの館にまつわる恐るべき話とは…

 ある意味典型的なモダンホラー。純粋な意味でのホラーとしてはとても面白かった。入れ籠構造になっている話がきちんとしてるし、物語の雰囲気も良い。ただ神話大系の中には入らない内容なので、それが難点だが。
<A> <楽>
19'04'18 うちのトイプーがアイドルすぎる。
道雪葵 (検索) <amazon> <楽天>
 10年前に家にきたトイプードルの赤ちゃん。家族にも懐かず、動物嫌いの著者も敬遠気味だったが、気がつくと家族の一員として、我が家のアイドルとして君臨するようになっていた。そんな犬と家族の日常を描くエッセイ的漫画。

 このところSNSで描かれた漫画が単行本化されることが多く、結構な数の単行本を買ってたりするのだが、これもその一冊。だいぶ前から著者はTwitterでフォローしていて、買う予定はなかったのだが、連れ合いにTwitter見せたら全部読みたいと言われて購入。
 一見手早く描かれたようでもあるが、トイプーのあるあるネタが満載で楽しい。
<A> <楽>
19'04'15 セベックの秘密
ロバート・ブロック (検索) <amazon> <楽天>
 エジプト考古学の専門家の“私”は謝肉祭の日にヘンリカス・ヴァニングという男に声をかけられる。エジプトをモティーフにした仮面舞踏会を開くというヴァニングの言葉に屋敷に赴くのだが、実はヴァニングが行おうとしていたのはパーティではなく黒魔術の儀式だった。

 巻き込まれ型のモダンホラーで、これもラヴクラフトが得意の分野だったが、著者が変わるとアクション性が大きくなってるのが特徴的。同じモティーフでも描く人によってだいぶ雰囲気が異なるな。
<A> <楽>
19'04'13 銀河鉄道999 3
松本零士 (検索) <amazon> <楽天>
 太陽系を離れ、銀河の星々を通る999は次々に新しい星に停泊していく。その中で鉄郎が見聞きする様々な人や星の模様を描く。

 機械の身体を取りに行くと言いつつ、野生のまま生きる人たちを見て羨ましがったりするところが面白い。この巻ではエメラルダスが登場するが、確か後付けの設定でメーテルとエメラルダスは姉妹と言う事になってたはず。当たり前だがここではその事は一切臭わせてない。
 テレビでは確かスペシャル版で見た記憶があったな。
<A> <楽>
19'04'11 暗黒の接吻
ヘンリー・カットナー (検索) <amazon> <楽天>
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 海辺の家を相続した芸術家のグラハム・ディーンは引っ越した夜から悪夢を見るようになる。やがて夢の中で海の中を自由に泳ぐようになっていくのだが、そこは地球の海ではなくて…

 夢を通して異世界とつながるというラヴクラフト得意のパターンfで、海の怪異を描くのもそれに準じてる感じ。残念ながらさほど完成度は高くなく、読んでいて少々ストレスが溜まる。
<A> <楽>
19'04'08 こぐまのケーキ屋さん そのさん
カメントツ (検索) <amazon> <楽天>
 いつも一緒にケーキ屋をやってるこぐまのてんちょうとじゅうぎょういんさん。てんちょうは本屋さんで買った本に夢中になったり、二人で水族館に行ったり。少しずついろんな経験を積み重ねていく。

 相変わらずほのぼのとした二人を描く話で、基本はTwitterに描かれたもので、いくつかの書き下ろしあり。てんちょうのししょうとてんいんさんが初めて出会って話をするシーンもあり。これと言って大きな盛り上がりはないが、ほんわかした気分を味わえる。
<A> <楽>
19'04'05 響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部 波乱の第二楽章 後編
武田綾乃 (検索) <amazon> <楽天>
 いつの間にか奏楽部の低音パートのまとめ役のような立場になっていた黄前久美子。個性的なメンバーも少しずつ打ち解け、まとまりつつあった。吹奏楽部は京都大会も順調に勝ち上がり、関西大会での課題曲も決まった。だがソロパートのあるオーボエの鎧塚みぞれは課題曲の『リズと青い鳥』がどうしても上手く吹けないと悩んでおり、それが久美子にも伝わり…

 基本前編が低音パートの中の出来事がメインだったのだが、後編になって大きく変化。鎧塚みぞれと傘木希美の心のぶつかりがメインとなっていく。この部分だけ抜き出して作られたのが『リズと青い鳥』(2018)だったのだが、よくこれ映画に出来たもんだ。
 いくつも伏線は張ってあったものの、後半は意外性も多く、かなり面白く仕上がってる。
<A> <楽>
19'04'02 亜人ちゃんは語りたい4
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 デュラハンである自分の体のことをもっと知りたいという町京子の言葉に、町を母校の大学に連れて行くことにした高橋。そこで自らの肉体の可能性について知る町は、更に自分について研究したいと思うようになっていく。

 基本一話完結で、話全体としては他愛のないものが多いが、亜人を受け入れる社会でのちょっとした不便さなども社会の特徴として語るので、意外に深く考えてることをうかがわせてくれる。
<A> <楽>