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アーシュラ・K・ル=グウィン

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 アーシュラ・クローバー・ル=グウィン(Ursula Kroeber Le Guin、1929年10月21日 - 2018年1月22日)は、アメリカの女性小説家でSF作家、ファンタジー作家。「ル・グィン」、「ル=グイン」とも表記される。
 SF作家としては、両性具有の異星人と地球人との接触を描いた『闇の左手』で広く認知されるようになり、他に代表作にユートピアを描いた『所有せざる人々』 などがあり、SF界の女王と称される。ファンタジーの代表作は『ゲド戦記』のシリーズで、「西の善き魔女」のあだ名もある。他に『空とび猫』といった絵本作品もある。…Wikipediaより。
 
ソフト関係 映画・OVA
レイス・オブ・ヘブン −天のろくろ−(2002)
ゲド/戦いのはじまり(2004)
ゲド戦記(2006)
TV
シリーズ
ゲド戦記
空飛び猫
単発

ゲド戦記

03'04'02 影との戦い ゲド戦記1
 多島世界のアースシーの中でも魔法使いを多く輩出するゴントに一人の若者が育つ。賢者オジオンからゲドという名前を受けて教えを受け、ロークの魔法学校でも優秀な成績を収めたハイタカである。彼の力は並み居る魔法使いの中でも抜きんでていたのだが、在学中、彼は自分の力を誇示するあまり、闇から怪物を呼び出してしまう。それはハイタカの身体を自分のものにしようと追ってくるのだが…
 随分前に一度読んだ作品で、その時は確かに面白いと思ったけど、その後、大学の授業のテキストとして用いられて、非常に興味を持った(原著のペーパーバック「THE WITHERD OF EARTHSEA」をそれで買ったのだが、当然読んでない)。
 これを書くと色々言われるかも知れないけど、私にとっては「指輪物語」よりもこっちの方が好き。
 それで10年ぶりの、最終巻である5巻が出たのを機に全部購入し直した。
 先ず一巻目。じっくり読み直すと、授業ので学んだことが今更ながら思い起こされるし、それに非常に示唆に富んだ作品であるから、色々と面白く、そして参考になった。
 良い物語は読んだ通りだけの解釈には終わらない。この作品はそれを如実に表しているだろう。
 じっくり時間をかけて、2巻以降も読んでいこう。
<A> <楽>
03'05'13 こわれた腕環 ゲド戦記2
 暗黒を祀るアチュアンの墓所。そこで巫女として定められた少女アルハは自分の運命を受けいれて、そこで生きていた。だがある日、自分以外誰も入ることが許されないはずの地下迷宮に一人の男が入り込んでいるのを発見する。本来殺さねばならないその男を助けようと心に決めたアルハだったが…

 これも読み返しの「ゲド戦記」の第2巻。ここでの主人公はゲドではなく、それ故かあんまり記憶に無かったのだが、読み返してみて、これが本当に凄い作品だって事を改めて感じさせられた。凄いよこれは。とても参考になる。
<A> <楽>
03'05'31 さいはての島へ ゲド戦記3
 魔法によって均衡が維持される世界アースシー。だが、各国でその魔法の言葉が使えなくなってきた。モレド家の嫡男アレンは父王からその理由を大賢人にうかがうよう、使命を帯びて魔法の島ロークへとやって来たのだが、大賢人ハイタカはその言葉を重く受け止め、アレンを連れて探索の旅に出ることにする。

 ゆっくり読み込んでいるゲド戦記だが、この巻もとても良い。秩序を維持するのが魔法であり、魔法が消えていくというのは、世界の秩序そのものが消えていくと言うことか…いや、随分参考になったよ。仕事上でもね。
<A> <楽>
03'07'19 帰還 ゲド戦記4
 ゴントで羊飼いの妻となったかつてアルハと呼ばれた女、ゴハ。夫に先立たれ、二人の子供も巣立った後に彼女はテルーという一人の少女の面倒を看ていた。賢者オジオンの死に目に立ち会った彼女だったが、そんな彼女の前に竜カレシンに乗ったゲドが現れるのだった…

 前作が出てから16年も経った後、著された作品。ゲド戦記は3部作だと思われていた作品の続編と言うことで、当時は驚きを持って迎えられていた(私もその機会に全部読み返した。今回は5巻目が出たから1〜3巻までは3度目の読み返し、本巻は二度目の読み返しとなる)。
 1〜3巻までは一応児童書の形を保っていたが、4巻目である本巻は完全に大人向き。何せベッドシーンはあるわ、幼児虐待のシーンがあるわで、内容も極めてハード。
 アースシーというこの舞台を考えるのならば、一旦失われた魔法が再び戻った後の、混乱期を描く作品と言うことになるだろう。又、ゲドを中心とするなら、1巻が自分を受け入れるまで、2巻は人を癒すため、3巻は人を導くため。となるが、ここでは何だろう?老いの受け入れか?それとも社会的な責任を全て果たした後、その後での過ごし方を描いたのだろうか?いずれにせよ興味深い話ではある。
 いよいよ後1巻か。
<A> <楽>
03'09'02 アースシーの風 ゲド戦記V
 アースシーの伝説によれば竜人から分かれたと伝えられる竜と人とは、これまでお互いに境界を守って住み分けていた。だが、かつて死者の垣根を解放しようとした魔道師の影響のため、この秩序は崩れようとしていた。王レバンネンは竜との間に新しい秩序を作るべき時が来たことを知り、竜人アルハの助力を得、竜と人との会議を開催しようとする。丁度そんな時、ハンノキと言う男がゴントに隠棲するゲドの元を訪れる。彼は毎晩死者の垣根に引き寄せられる悪夢を見続けていたのだ。かつて死者の垣根を閉じたゲドの助力を乞うハンノキだったが…

 一応邦題はシリーズに沿って「ゲド戦記」となっているが、実際には彼は冒頭にしか出てこない。むしろここでは主人公は2話の少女アルハであり、3話の少年レバンネンであり、4話のキーパーソン、テハヌーである。それにハンノキという新しい主人公を加えて描かれた、このシリーズの総決算という観のある話だ。
 ただ、作品自体の事を言わせてもらうと、残念ながらさほどの完成度ではないような印象。主人公が多い分、話が分散してるし、焦点もぼけてる。ラストも何かしっくり来なかった気がするんだが…ただ本シリーズは一通り読んだだけでは分からないし、読むたびに印象が変わってくるから。時間をおいて読み返したら、多分評も変わってくるんじゃ無かろうか?
<A> <楽>
05'07'05 ゲド戦記外伝
 アースシー世界をめぐる、様々な伝説的物語とこの世界ならではの小さな出来事を中心に描く中編集。ロークの魔法学園を作り上げた伝説的なメドラの出来事を描く「カワウソ」。魔術師としての才能を愛のために捨てるダイヤモンドを描く「ダークローズとダイヤモンド」。ゲドの師匠オジオン(正確には“オギオン”らしい)の師匠ヘレスの活躍を描く「地の骨」。大賢人時代のゲドの戦いを描いた「湿原で」。アースシーの風にも登場した竜人アイリアンが自分に気付くまでの「トンボ」を収録する。

 今は随分読書量も減ったが、それでも年間100冊以上は読んでいて、それでも本当に満点をつけたくなるような作品というのは、年に一冊あれば良いという状況にあって、間違いなく私にとって今年のベストは本作になる。前書きから始まって最後まで、とにかくいろいろな意味で衝撃を与え続けてくれた。多分著者の年齢からしてこれが最終巻になると思うのだが、最後にこれだけのものを描いてくれたことにはほんと感謝したい(実はアースシーの風は今ひとつという印象があったので)。
<A> <楽>
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空飛び猫

02'10'05 空飛び猫/帰ってきた空飛び猫
 ゴミためのような街に生まれたセルマ、ロジャー、ハリエット、ジェームズの4匹の猫の背には何故か羽根が生えていた。羽根があるが為に得た自由と、それ故の苦しみを経、子猫たちはたくましく成長していく。
 ル・グインと言えば「闇の左手」「ゲド戦記」と言った、ハードな作品を数多く書いている女流作家。文体が実に綺麗で、人の心情に深く入り込みつつ、とても冷徹な目で登場人物を見守る彼女の作品はとても好き。
 そんな彼女が絵本の原作を、しかも猫を題材としているという。随分前にそれは知っていたのだが、それが既に邦訳されていたのを知ったのはほんの数年前。知り合いの家に偶然置いてあったので、手に取ってみた。実はその時は続編の「帰ってきた空飛び猫」の方だったので、その内に前編である「空飛び猫」も読まないといけないなあ。と思っていたら、いつの間にか時が経ってしまっていた。
 それでたまたま偶然に本屋さんで見つけたので、そのまま購入してきた。
 文字こそ多くても、やはり絵本。繰り返し読めるよう、そして時に一人(一匹)で、時に助け合いながら成長していくキャラクター。彼らに感情移入が出来やすいように書かれている。それに、本当に著者が猫好きってのがよく分かって、何かほのぼのした気分になる(このサイトは至る所に犬の絵が飾ってあるが、実は私は大の猫好き)。訳者が村上春樹ってのもなんか良いね。
<A> <楽>
<A> <楽>
11'12'16 空を駆けるジェーン
 翼の生えた黒猫ジェーンは他の空飛び猫たちと共に農家の納屋で静かな暮らしを送っていた。だが生来冒険好きなジェーンは単調な暮らしに飽き、空を飛んで街へとでかけていく。そこで彼女が出会ったのは、空飛ぶ猫に驚く人達、そしてそれで一儲けを企む者…

 空飛び猫シリーズの一冊。多分間が空いていると思うのだが、これはなんか跳ねっ返りの田舎の若者が都会生活でボロボロになりながら自分の居場所を見つけていくという、人生を語る物語のように仕上がってる。そう考えるなら黒猫というのも、やっぱりそう言う意味なんだろうな。
<A> <楽>
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単発

09'10'18 所有せざる人々
 二重惑星アナレスとウラス。長い歴史を持つアナレスから170年前、完全共産社会を目指したオドー主義者たちがウラスに植民し、過酷な自然環境の下、何とかかんとか生きていけるだけの社会を作り上げていた。この二つの星は以降ほとんど接触を持たずにいたのだが、ウラスに生まれた一人の物理学者シェヴェックが招かれ、アナレスに足を踏み入れる…

 「闇の左手」に続き、ヒューゴ賞とネビュラ賞を同時受賞した作品。しかし、これは本当にすごい作品だった。アイディアの元はおそらく、仮にヒッピーが安定した社会を作り出したらどうなるか?という観点でなかったかと思ったのだが、内包するメッセージ性、SF的設定、共に素晴らしく、その分読み切るには時間がかかった。
 先を読みたいのに、内包されるエネルギーが高すぎて読み進められないという作品を本当に久々に読んだ気がする。今年のナンバー・ワン作品となるのは間違いなかろう。
<A> <楽>
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<A> <楽>