| 02'11'05 |
N・P
アメリカに住む高瀬皿男という男によって描かれた97編の短編小説「N・P」。これは著者を含め、この作品に関わった者は次々に自殺していくという曰く付きの作品だった。かつてこの作品の翻訳にあたり、自殺した庄司という男を昔の恋人としていた風美は、時が経ち、高瀬の双子の遺児、咲と乙彦が同じ町に住んでいることを知る。二人と、乙彦の恋人の萃と知り合いになった風美の不思議な日常を描く作品。
著者の作品とはご無沙汰だったが、とにかくこの人、日本語の使い方が巧い。決して正しい日本語というわけではなく、むしろ簡略化したような文体なのだが、これが不思議なほど見事に場面を描写しており、誰にも真似が出来ないバランスを持っている。
本作はかつて読んだ作品と較べ、随分と雰囲気が変わった感じだが(今までのような透明感が無くなり、かなりドロドロした人間関係を描いている)、相変わらず著者にしか描けない見事な文体は健在で、傑作と言って良い作品だと思う。 |
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| 24'07'06 |
ある体験
かつて同じ男を同時に愛し、憎み合った“私”と春。その後時が流れ、“私”は新しい恋に生き始めていた。そんな折、時折春の気配を感じるようになっていく。気になって調べたところ、やはり春は死んでいたことが分かる。
著者特有の、人と人との境界線がとても曖昧な話。性的なものだけでなく生死に関わるものを平気で乗り越えるところが面白い。 |
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| 06'01'23 |
とかげ
主に普通とはほんの少しだけ違う体質を持つ女性の恋愛物語を描く短編集。「新婚さん」「とかげ」「らせん」「キムチの夢」「大川端奇譚」「血と水」の6編を収録する。
心地よく染み入ってくるような作品群で、清涼剤を飲んだ気分にさせてくれる。著者の作風は独特なのだが、そのユニークさが不思議な感じで迫って来るという感じ。これまでのもそうだったけど、時折読み返したくなる作品だ。こうやって読むべき著者作品がどんどん増えていって、いつの間にか読まなくなるというパターンが多くなってるな。 |
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