Avalon

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Avalon 2001

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伊藤和典(脚)
マウゴジャータ・フォレムニャック
ヴァディスワフ・コヴァルスキ
イエジ・グデイコ
ダリュシュ・ビスクプスキ
バルテック・シヴィデルスキ
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 近未来。若者達は仮想戦闘ゲームに興じていた。時としてゲーム内の死が現実のものとなり兼ねない危険なゲーム。これを英雄の眠る地、Avalonと人は呼ぶ。アヴァロンの優秀なソロ・プレイヤー、アッシュはビショップという奇妙なキャラクターからの挑戦とも取れるメッセージを受け取る。ビショップの情報を探るアッシュだが、彼女の生活が徐々に不可解な浸食を受けるようになる。そこにかつてのゲーム・パートナー、マーフィーの影を見るアッシュは、ついにビショップの誘いに乗り、最も危険なゲームに挑むことになる。
 
久々の押井作品!と言うことで、多大な期待を持っていた作品。だが、まるで劇中を思わされるようにネットの情報に飲み込まれてしまい、ストーリーの大部分は肝心な映画観るより先に分かってしまうと言う事態を生んでしまった。そう言う意味で映画そのものが本当に楽しめたのかどうか、かなりの疑問である。
 ストーリー的には押井守の映画を貫くテーマ、「現実と虚構」の対立が遺憾なく発揮されており、複雑且つ難解なストーリーとデジタル映像による、暗い雰囲気と相まって、面白い作品に仕上がっている。
 私見ながら、この作品のタイトル
「Avalon」(アーサー王が幼少の頃住み、且つ臨終の地で、霧のアヴァロンと呼ばれる)は、より説得力を増すなら、「ヴァルハラ」(北欧神話の神々が住むアースガルドにあるオーディンの館。死んだ英雄の魂が集い、ラグナロークの日まで毎日戦いを繰り返す)とすべきではないかと思うのだが…
 私としては一本の映画にこれほど金をつぎ込んだ作品は初めてで、その意味では記念的作品とも言える。
 この作品はフル・デジタルの映像でばかり喧伝されていたが、肝心なストーリーの方がかなりお粗末な紹介になっている。押井作品としてもう少し突っ込んだ意見を伺いたいものだ。
 ちなみにこの作品に置いて、私が一番好きなシーンは、押井映画に特徴的とも言える食事のシーンだった。飼い犬のためにあれだけ手間をかけて料理をする一方、自分はズブロッカを片手にサプリメントだけで済ますシーン。洗面器のような容器に入れられ、いかにも不味そうな配給所の食事。スタンナの犬食い…ほとんどモノクロの映画で、何故か食事だけ色が付いていたことにも注目すべきだと思う。
 OPに使用された映像は基本的に実際に撮られたものをフルディジタル処理したもの。元々は幻の企画となった
『G.R.M.』のために開発されたものだが、この紙芝居的手法は後に『立喰師列伝』という形で完成を見ることになる。

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アサルトガールズ 2009

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押井守(脚)
黒木メイサ
菊地凛子
佐伯日菜子
藤木義勝
イアン・ムーア
★★☆
物語 人物 演出 設定 思い入れ
アサルトガールズ(書籍)押井守
 経済的に停滞した世界。ここでは人々の欲求を満たし、代替え品ではあっても生きる気力を与えてくれるものとして仮想空間を舞台としたリアルなゲーム「Avalon」がもてはやされていた。そんな中、Avalonのシステムの一部を使い、モンスター狩りを行うAvalon(f)と言う空間が新しく生まれた。そんなAvalon(f)に集うハンターの面々。彼らはこの空間の最終目的である”マダラ”と呼ばれるモンスターを倒すため、一時的に手を結ぶことにしたが…
 かつて押井守が作り、映画ファンにはかなり物議を醸した『Avalon』(2001)の世界観を用い、『真・女立喰師列伝』(2007)『斬 〜KILL〜』(2008)に登場した面々を主人公に据えて作り出した作品。
 過去、私を映画の席に引き込み、常に楽しませていただいた押井監督の最新作。最後の最後まで見捨てないつもりではいるのだが、近年作る作品というのが、常に「微妙」な評価になってしまう。特に『機動警察パトレイバー2 THE MOVIE』(1993)以降、吠えることをやめてしまった感があり、それがかなり寂しいところ。
 『Avalon』の続編となる本作は、その意味で完全に吠えることを放棄してしまった作品で、三人の女優を徹底的に凝ったアングルで映すことに特化した作品になってしまっている。物語性も低く、映画的快感を得るにはかなり困難を覚える作品だ。
 強いて良い部分を言えるなら、それぞれ三人の女優が凛々しく撮影できたと言うことくらい。それで良いと言えば良いのだろうけど、
これで普通の映画館の入場料取るにはかなりきつくない?女優それぞれが銃器に慣れてないのもばればれだし(だから結果として一番はまってるのが武器持たない菊池凛子になってしまう)、物語も一本調子。
 一方、文句の方はかなり言えてしまう。
 そもそも本作は『Avalon』の続編的位置づけにあるのだが、『Avalon』の目指していた事って、仮想空間に現実を持ち込む事だったはず。アッシュが最後に迷い込んだリアルな空間は、それまでの空疎なリアルワールドや、ポリゴンで彩られたゲームの世界から切り離され、現実以上のリアルな空間を作っていた。物語上名前以外は出てこないが、九姉妹と呼ばれるゲームマスターが目指していたのは現実を越えたリアリティにあったんじゃないのか?その部分を匂わせるなり、無理矢理整合性を持たせるくらいのケレン味はあっても良かっただろう。それくらいの時間は充分にとれたはず。過去に作り、しかも話半ばで終わってしまったのだから、どういう形であれその決着を付けるべきだっただろう。
 更に出てくるモンスターと言うのがリアリティとはほど遠い、CG丸だしってのも気分削がれる。今どき普通のゲームでもこれよりは生物感出てるよ。
 一言もしゃべらず、しかも他のキャラとは異なり”魔法”を使う菊地凛子演じるルシファーも、する気になればいくらでも設定突っ込めたのに、それすらしない。
 せいぜいリアルと言えば、ゲーム内であるに関わらず、何故か食うシーンがあることくらいだが、今の押井に考えられるリアルってのがそれだけじゃあんまりにも寂しい。

 私自身、ここまで悪くは言いたくないのだが、冷静に観たらこうなってしまうだろう。

 そうそう。一応劇中出てきたベーコンエッグを食パンと共に食べるシーンは妙に美味そうに見えたので
(ツレは「気持ち悪い」と明確に言っていたが)、自分でも作ってみたが、確かに美味かった。私にとって本作から得た成果って言うのはそのくらいかな?

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