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特撮事典

河崎実作品

ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発

<A> <楽>
2008年
河崎実(監)
 2008年。洞爺湖のほとりでG8先進国首脳会議が開催。各国の首相達による会議が始まった。開催国日本の伊部首相(福本ヒデ)は頼り甲斐がないため、ほぼ無視されっぱなし。そんな会議を取材するため洞爺湖にやってきた東スポの記者すみれ(加藤夏希)とカメラマンの三平(加藤和樹)は、たまたま山麓の神社で不思議な踊りを踊る集団を発見する。丁度その時、札幌に謎の宇宙怪獣が飛来、破壊の限りを尽くした。ギララと名付けられたその怪獣をめぐり、各国首相は洞爺湖に留まり対策会議を開催。地球連合軍にギララ退治を命じるのだった…
 特撮をこよなく愛し、次々にどうしようもない作品を楽しんで(?)作り続ける河崎実監督が次に選んだ素材は、何と41年前に松竹で唯一作られたギララだった。
 その当時は折しも怪獣ブームのど真ん中。松竹もギララをシリーズ化を前提として作ったのだが、哀しいかなまったくノウハウがない松竹によるものだけに、見事に失敗。ギララは封印され、以降“哀しき怪獣”として記憶に留まる作品となってしまった(ちなみに既にオリジナルビデオで
『絶対やせる 電エース 宇宙大怪獣ギララ登場!/宇宙怪獣小進撃!』という形で河崎監督自身が前年に制作してたりもする)。
 そんな哀しき怪獣にスポットライトを当てた河崎監督には敬意を表したい…がしかし、
この人が作るものがまともな作品になるはずはない。松竹もよくもまあ使用許可を与えたものだ(実際オープニングの制裁会社のロゴには特徴的な富士山は入ってない)
 それで中身は言うに及ばず。ぬる〜い話の展開と絶妙にかみ合わない会話、東宝特撮諸作品と『仮面ライダー』『ウルトラマン』から勝手に引用した数々のパクリ。政治が政治になってない話題づくりにさえならない政治的駆け引き、無意味な暗黒舞踏、クライマックスでたけし自身を引っ張り出せなかったていたらく。と、よくもここまでくだらないものを作れるものだと感心させられる作り。それでも敢えて言えば着ぐるみ格闘に関しては堪能できるレベルではあるので、この監督がこれを作りたかったのかはよく分かるのだが…
 まあ、その辺のどうしようもなさは、最初から諦めてる私に関しては
全然OK。どうせこんなもんだと頭から思っていれば問題なし(これらの問題は映画としてはすべて致命的なので、映画ファンは映画館にこれを観に行ってはいけないのは確かだが)
 だが、この映画を映画として成立させる方法もあったのだ。
この作品は三つの場面で展開する。ギララの登場する怪獣パート、各国の(どこかで見たような)首相達による政治劇、そして加藤夏希演じるレポーターが遭遇する伝奇的人間ドラマ。これらは構造的には伝統的な東宝特撮の手法に従ってもいるのだが、ここで一番大切となるのは、最後の人間ドラマのパート。実際物語として成立するのはこのパートだけなので、ここで手を抜くか抜かないかで映画の質そのものが変わってくる。ここだけは徹底的に力を入れて真剣に作らねばならなかったはずだ。加藤夏希にコマネチ(ここではネチコマだが)やらせるだけで満足しては駄目なのだよ。あそこを必然性持たせて真面目に演じさせることさえ出来ていれば、馬鹿は馬鹿なりに映画として完成させられたものを。
 後、強いて言えば、何故出ない人物をタケ魔神として登場させる必要があったのやら。久々にたけしの馬鹿な姿が観られるかと思ったんだが、肩すかしも良いところ。本人登場させられないんだったら、他の人を使えってんだ。ハヤタ役の黒部進にアマギ役の古谷敏まで出てるってのに。流石に電エースを出すわけにはいかなかったのだろうけど(既にやってる)、せめて顔出せる人を出すべきだろう。
ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一髪 オフィシャルフォトブック

 

赤い玉
【あかい-たま】
 ギララが長距離移動する際に姿を変える物体。 甘崎
伊部三蔵
【いべ-さんぞう】
 日本首相。鼻に特徴があるが、弱腰で腹が緩く、G8の面々からは全く相手にされない。 甘崎
宇宙胞子
【うちゅう-ほうし】
 地球の成層圏に浮遊してくる宇宙生物の素となる物質。これにエネルギーを与えると怪獣となる。 甘崎
AACベータ号
【えい-えい-しー-べーた-ごう】
 中国産のロケット。極秘裏に打ち上げられたが、宇宙胞子を付着させ、札幌に落下してしまう。 甘崎
大泉純三郎
【おおいずみ-じゅんざぶろう】
 元日本首相。腹痛で倒れた伊部首相に代わり、ギララ対策の指揮を執るが、実はその正体は… 甘崎
北の将軍
【きた-の-しょうぐん】
 決して名前を明かさないテロリストの親玉。サミット会場に紛れ込み、ギララを倒すために核ミサイルを日本に撃ち込もうとする。 甘崎
木村
【きむら】
 地球防衛軍参謀。役は黒部進だった。 甘崎
ギララ
【ぎらら】
 札幌に落下して暴れまくる怪獣の名称。命名はG8に潜り込んでいたどっかのガキ。 甘崎
ギララ<amazon> ギララ<楽天>
ギララまんじゅう
【ぎらら-まんじゅう】
 商魂たくましい日本人をよく表したアイテム。ちなみに売り子をしているのは電次郎こと加藤礼次郎だった。 甘崎
佐野
【さの】
 地球防衛軍嘱託の宇宙博士。ギララのことは何でも知っている。ちなみに演じるのは和崎俊也。「宇宙怪獣ギララ」の主役である。道理で何でも分かるわけだ。 甘崎
サミット
【さみっと】
 先進国首脳会議のこと。2008年には洞爺湖で開催された。 甘崎
G8宇宙怪獣対策作戦本部
【じー-えいと-うちゅう-かいじゅう-たいさく-さくせん-ほんぶ】
 宇宙怪獣来襲の報を受け、サミットの面々がその場を対策本部にした。作戦立案は各国首相となる。 甘崎
隅田川すみれ
【すみだがわ-すみれ】
 東スポの女記者。サミット取材に来た際、不思議な踊りを踊る村人を目にする。 甘崎
洗脳電波作戦
【せんのう-でんぱ-さくせん】
 イギリス立案のギララ殲滅作戦。ヘッドフォンをギララに付けて破壊音波を流し込むが、余計凶暴さを増しただけだった。 甘崎
高峰
【たかみね】
 地球防衛軍参謀。役はなんと40年ぶりに現役復帰という古谷敏。 甘崎
タケ魔神
【たけ-まじん】
 洞爺湖湖畔の村で崇められている御神体。地球の危機が来たときこれに祈りを捧げると地球を救いに現れるという伝承がある。 甘崎
タブリンVXVIII作戦
【たぶりん-う゛い-えっくす-えいと-さくせん】
 ドイツ立案のギララ殲滅作戦。毒ガスをギララに吸わせて退治しようとしたが、ギララは眠り込んでしまった。 甘崎
地球防衛軍
【ちきゅう-ぼうえい-ぐん】
 何故か日本に本拠地がある防衛組織。2008年時点で存在しているらしい。 甘崎
戸川三平
【とがわ-さんぺい】
 東スポのカメラマン。すみれと共にサミット取材のために洞爺湖を訪れた。 甘崎
鳴海
【なるみ】
 地球防衛軍長官。役は夏木陽介。 甘崎
バーガー
【ばーがー】
 G8に出席中のアメリカ大統領。超が付くタカ派で、弱腰の日本には何の期待もしていない事を言葉の端々に覗かせる。 甘崎
ハゲワシ
【はげわし】
 地球防衛軍が誇る最新ミサイル。近距離でギララに向けて発射されたが、あっけなくつかみ取られてしまった。 甘崎
ピエトロ
【ぴえとろ】
 イタリア首相。ギララ対策に「ローマ魂作戦」を展開する。 甘崎
ポテドン55号
【ぽてどん-ごじゅうご-ごう】
 北の将軍が日本に向けて発射した核ミサイル。 甘崎
ポロニウム210毒殺作戦
【ぽろにうむ-に-いち-ぜろ-どくさつ-さくせん】
 ロシア発案のギララ殲滅作戦。超強力毒薬をギララの体に打ち込む作戦だったが、打ち込まれたギララはゲップをして終わってしまった。 甘崎
ローマ魂作戦
【ろーま-だましい-さくせん】
 イタリアのピエトロ首相が提唱した対ギララ作戦。やってることは落とし穴を掘るだけ。 甘崎

 

三大怪獣グルメ

<A> <楽>
藤田浩幸
後藤明信
鈴木ワタル
大橋孝史
河崎実
河崎実
佐熊慎一(製)
右田昌万
河崎実(脚)
植田圭輔
吉田綾乃クリスティー
安里勇哉
横井翔二郎
木之元亮
黒崎澪音
伊橋剛太
小林さとし
彦摩呂
パラダイス山元
ウクレレえいじ
ケイ・グラント
泉麻人
HEY!たくちゃん
いまみちともたか
武田康廣
コレコレ
吉田照美
キュウソネコカミ
福本ヒデ
山本天心
村西とおる
きくち英一
堀内正美
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 元超理化学研究所員で、来たるべき食糧危機に備え生物を巨大化させる薬を開発した田沼雄太(植田圭輔)は、研究費の使いすぎのために研究所を首になってしまった。しかたなく実家の寿司屋を手伝っていたが、ある日神社に奉納するタコとイカとカニを何者かに盗まれてしまい、直後巨大なタコとイカの怪物が東京湾から出現する。これは自分が開発した薬品を何者かが悪用したのではないかと、防衛隊に直訴する。防衛隊隊員となっていた田沼の幼なじみ星山奈々(吉田綾乃クリスティー)は、昔田沼にネチネチと嫌がらせをされたことを覚えていて、生理的に受け付けないと田沼の主張を無視しようとする。防衛隊隊長の響指令(木之元亮)はその熱意を買い、准隊員として田沼を受け入れる。だがタコとイカに続き、今度はカニの怪物まで出現してしまう。

 昔からひたすら特撮にこだわる河崎監督の最新作。
 特撮にこだわる映画監督は他にもいるけど、基本的にそういう人たちは“映画を撮ること”を目的としてる。それに対して映画以前に“特撮を撮ること”を目的とするのが河崎監督の最大特徴。プラットフォームも物語もほぼ関係なく、とにかく特撮が作れればハッピーという人なので、ほぼゴミみたいな物語でも、それが特撮メインであれば楽しく作ってくれる。
 こう言う姿勢こそが特撮ファンにとってはとても嬉しい。真面目な話、河崎監督が作品を作り続けてくれるだけで我々には大きな勇気をもらえてる
 で、本作も見事にそういう意味で“勇気をもらえる”作品だった
 それ以上を求めてないのだからこれで良い。

 それに監督の作る作品は主人公は素人に毛が生えたようなものであったとしても、脇を固めるキャラが往年の特撮の登場人物を多数配置するので、それを発見できた時の眼福感も嬉しい。
 本作においても例えば「ウルトラマンダイナ」のヒビキ隊長役の木之元亮。ウルトラマンシリーズの常連堀内正美、「帰ってきたウルトラマン」ではウルトラマンの中の人だったきくち英一が出たり、カメオで武田康廣っぽい人がいると思ったら、本人だったりとか。とにかく昭和の時代の特撮ファンにはとても嬉しい。

 物語自体は低予算のゆる〜い特撮作品なので、その辺割り切って観る必要はあるが、昔からの特撮ファンであれば絶対楽しめる作品には違いない。

 

イカラ
【いから】
 イカの姿をした巨大怪獣。その肉は大変美味。 甘崎
海鮮丼作戦
【かいせん-どん-さくせん】
 SMATが立案したイカラ、タッコラ、カニーラの三体の怪獣を国立競技場に集め、そこで怪獣を解体して刺身にして食べてしまおうという作戦。 甘崎
カニーラ
【かにーら】
 カニの姿をした巨大怪獣。その肉は大変美味。 甘崎
ジャンボコック
【じゃんぼ-こっく】
 新見財閥が持つ河童橋にあるレストランのシンボルである巨大なコック像。実は新見善五郎がリモコン操縦が出来るロボットで、失敗しかけた海鮮丼作戦に参戦した。ちなみにその顔はジャンボマックスに、体はジャイアントロボにかなり似ていたりするが、恐らくは狙ってのことだろう。 甘崎
田沼雄太
【たぬま-ゆうた】
 元超理化学研究所員。来たるべき食糧危機を解消すべく、生物の味を良くした上で巨大化させる研究をしていたが、予算を食い過ぎたことで首になってしまい、今は実家の寿司屋で働いている。奉納しようとしていたタコとイカとエビが何者かに奪われ、それが怪獣化してしまう。 甘崎
酢砲
【す-ほう】
 田沼が立案した酢を含んだ溶解液で、イカラとタッコラに対しては威力を発揮したが、固い甲羅を持つカニーラには通用しなかった。尚、かつて円谷英二が戦中に考案した、巨大タコが出る映画に登場する酢鉄砲が元。 甘崎
SMAT
【すまっと】
 シーフード怪獣攻撃部隊(SEAFOOD MONSTER ATTACK TEAM)。現れた巨大海洋生物への対抗部隊で新設された国家組織。 甘崎
タッコラ
【たっこら】
 タコの姿をした巨大怪獣。その肉は大変美味。 甘崎
超理化学研究所
【ちょう-りか-がく-けんきゅうじょ】
 日本政府によって作られたと思しき研究施設。中で何が作られているのかはよく分からないが、相当な予算が割り当てられている。元職員として田沼雄太が、現職員として彦馬新次郎が在籍する。 甘崎
新見善五郎
【にいみ-ぜんごろう】
 田沼雄太の高校時代からの親友。田沼財団の御曹司だが、SF好きが興じてロボットまで作っている。 甘崎
【ひびき】
 SMAT司令。田沼雄太をSMATにスカウトする。 甘崎
星山奈々
【ほしやま-なな】
 田沼雄太の幼なじみで初恋の女性。類い希な運動能力を認められてSMAT実行班の一員となる。いつも憎まれ口を利く田沼はなんとも思っていなかったが、作戦上嫌々付き合っていく。 甘崎
名称
【】
  甘崎

 

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