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ウルトラマン

ウルトラマン事典
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1966'7'17〜1967'4'9

 「ウルトラQ」に続くウルトラシリーズ第2作にして、ウルトラマンシリーズの第一作。本作制作時点ではまさかシリーズものとは考えていなかったと思われるが、怪獣映画の模索が多々見られ、ここで確立した技術が後の特撮映画に残した足跡は大きい。
 大好評の内に終了した「ウルトラQ」だが、円谷英二が直接指導したためか、予算がかさみすぎ、TBS側からの要望で本作はスタッフを一新。予算も抑えがち。しかし、今の目からすれば、贅沢すぎるほどに贅沢な予算を使ってもいるのだが…
 撮影も相当に押してしまったため、第一回の放映は間に合わず、「ウルトラマン前夜祭」というものを放映。ここには円谷英二も登場している。

 尚、この作品は甘崎と荒馬大介氏の二重投稿という形で行われています。視点の違いを見てみるのも一興でしょう。

主な登場人物
ハヤタ (役)黒部進。東宝映画およびテレビシリーズではお馴染み。このハヤタ役がはまり役だったらしく、以降の作品はことごとく特撮ものになってしまった感がある。
 科特隊の養成学校を主席で卒業したエリート。第1話で赤い玉とぶつかり、命を落としウルトラマンと命を共有する。非常に真面目な性格で頭もきれるが、いざとなったらウルトラマンが出てきてくれるからか、他の隊員と較べても、はるかに無謀な行動を取りがち。どうでも良いが、あれだけやってよく正体が分からなかったもんだ。
ムラマツ (役)小林昭二。本作と「仮面ライダー」という二大特撮作品のレギュラーとして活躍。日本特撮界における重要なキャラクター。
 科特隊日本支部のキャップ。冷静沈着で、異星人や怪獣を相手にしてもてきぱきと指示を出すが、結構お茶目なところもあり。本来の設定だと、科特隊はいくつかのチームに分かれ、ムラマツの指揮するのはムラマツ班と言われる一部門に過ぎないそうだが、どう見ても、このチームしか働いてるように見えない。
アラシ (役)石井伊吉。毒蝮三太夫の本名。主にテレビ番組でタレントやリポーターとして活躍するが、映像となった作品は何故か特撮が多い。どうでも良いが、『男はつらいよ 寅次郎忘れな草』でラスト、リリー(浅丘ルリ子)の旦那の役で出た瞬間は驚くより吹き出した(笑)
 銃の名手で、性格は猪突猛進。時として命令を無視しても怪獣に突っかかっていく部分があり。スパイダーショットを使いこなせるのは彼だけで、そのことに誇りを持っている。
イデ (役)二瓶正也。その風貌故にコメディ・リリーフとして多くの映画に出演。「ケンちゃんチャコちゃん」での夢見さんの演技も印象に残る。
 科特隊一の発明狂で、自分の武器を紹介する時、本当に嬉しそうにしてる、正統なマッドサイエンティストの系譜に当たるだろう(今から考えると、初代のマッドサイエンティストである平田昭彦を差し置いて頑張ってくれた)。位置づけとしてはコメディ・リリーフの意味合いが強いが、結構ナイーブなところがあり、深刻に悩むこともある。自分自身に酔うタイプの人間なんだろうか?。そう言う二律背反を反映してか、彼は印象に残る言葉を数多く残している。
フジアキコ (役)桜井浩子。「ウルトラQ」の江戸川由利子と連続して出演した本作ですっかりウルトラマンの顔となる。
 科特隊日本支部の紅一点で主に本部で通信を担当しているが、実戦にもしばしば参加する。ハヤタには特別な感情を抱いているような言動が端々に出てくるが、結局は同僚でしかないようだ。
ホシノイサム (役)津沢彰秀。他にこれと言って出演作は無し。ただ「ウルトラQ」12話「鳥を見た」での少年役がある。
 科特隊大好きの少年で、何故か関係者以外立ち入り禁止の科特隊に自由に出入りしている。特にフジ隊員とは仲が良く、前半ではよく行動を共にしていて、科特隊に色々な形で協力していた。第17話で科特隊少年隊員となったが、後半になると登場しなくなる。
岩本博士 (役)平田昭彦。東宝映画では様々な作品に登場するが、なんと言っても『ゴジラ』の芹沢博士役がはまり役だった。そのイメージがつよいか、科学者役で出ることが多い。このマッドっぷりがたまらん。
 科特隊で兵器開発などを担当している。イデ隊員とは別な形で新兵器を投入したり、達観した意見を言ったりと、なかなかおいしい役どころだった。
話数 タイトル コメント DVD
第1話 ウルトラ作戦第1号

  監督:円谷 一
  脚本:関沢新一
      金城哲夫
  特技監督:的場 徹
 科学特捜隊のハヤタ隊員は、ビートル機でパトロール中に青い光を放つ飛行物体を発見する。その物体は湖に姿を消したが、その後に現れた赤い光を放つ飛行物体がビートル機と激突し、竜ヶ森に墜落してしまう。ハヤタはそこで死んでしまうが、赤い光に包まれ、そこから現れたM78星雲の宇宙人から自分の命を与えられる。一方救難信号を受信した科特隊の面々はハヤタの捜索を行っている内、湖から怪獣ベムラーが出現するのを目の当たりにするのだった。そして生きていたハヤタの提案で、水中と空中からベムラーを攻撃する「ウルトラ作戦第一号」を開始する。ベムラーの熱線によってハヤタの乗った特殊潜航艇が燃え上がった瞬間、光と共に巨人が現れる!
 一話目の敵は宇宙怪獣ベムラー。個性的なデザインはしてるが、ちょっと動きにくそう。しかし、“凶悪犯”と言われつつも、一体どういう罪を犯したのか、今ひとつはっきりしない。 
 テレビの特番や夏休み特集などでよく放映されるため、この第1話は何度か観ているはずだが、改めて観てみると、色々と面白いことが分かる。
 例えばウルトラマンは自分から名乗ったわけではなく、ハヤタが命名しているとか、ファーストコンタクトの怪獣に問答無用にビーム撃ちまくる科特隊の面々とか。
 中でも凄いと思ったのはハヤタと同化する前のウルトラマンの言動がかなりすさまじいこと。自分が殺した相手(ハヤタ)に向かって不敵に笑いながら登場。いきなり「フッフッフ。心配することはない」。自分で殺しておいて全然悪びれて無いじゃないか。それにこれからの戦いの日々のことを考えると、地上での活動時間に限界があるウルトラマンが自分の器を探していただけって気も…考え過ぎだろうか? 甘崎

 ベムラー登場。言わずと知れた第1話だが製作順でいくとこれは第9話「怪獣無法地帯」と一緒に撮影したのだとか。OPにいきなり「ウルトラQ」と出るので「あれ、ウルトラマンじゃないの?」と疑問を持った子供も結構多いんじゃなかろうか。当時はカラーテレビの普及率も今ほどではなく、赤い球、青い球と言われてもピンとこなかった子供も多かったらしい。話はウルトラマンとの出会いが前半3分の1で、残りは対ベムラー戦に費やされているものの、ろくに人物紹介もしていないが既にイデ隊員がコメディリリーフとして立っており、ムラマツとフジの役割分担も出来ている。残るはアラシだがこれはまた後の回にて。 荒馬大介
VOL.1
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第2話 侵略者を撃て

  監督:飯島敏宏
  脚本:千束北男
  特技監督:的場 徹
 怪電波を発していた飛行物体が東京に現れ、突如姿を消した。調査に向かったアラシは科学センターで硬直してしまった人間を発見する。そして更に内部を調査しに向かうが、謎の怪人バルタン星人が現れて怪光線を放ち、アラシの体も硬直されられてしまう。続いてやってきた科特隊の面々の前にバルタン星人に操られたアラシが現れ、核実験で故郷を失ったバルタン星人が地球を移住先に決めたことを決定したと告げる。その数なんと20億3千万人。会見を打ち切ったバルタン星人は巨大化。町を破壊し始めるのだった。
 宇宙忍者バルタン星人が初登場。ウルトラマン怪獣を代表する名悪役で、残像を使ったり、背景にとけ込んだりと、宇宙忍者の面目躍如たる活躍ぶりを見せる。ウルトラマンとの戦いも終始優勢に進める。弱点であるスペシウムがウルトラマンの必殺技であったことが災いした。
 今回も宇宙からの訪問者だが、1話目のベムラーが地球に逃げ込んだだけに対し、今回は明確な侵略目的であり、宇宙人の頭もいい。
 2話にして、いきなりイデ隊員の回想形式で語られる。なかなか構成が面白い回でもあった。
<科特隊の仮眠室がここで明らかにされるのだが、パイプベッドに全員制服のまま寝てる。どれだけ科特隊がハードな職場であるのかがわかるが、一体何がそんなに忙しいのか、語られずに終わる。これが常態というのならば、労働基準法は完全に無視…って、まだ無かったか。> 甘崎
 バルタン星人登場。製作順ではこれが第1話になる記念すべき回。OPから目の周りに痣をこしらえたイデが登場するあたり「そんなに硬くならないで観てね」という配慮が見て取れるが、演出は至って真面目。アラシが科学センターで、動かない警備員と出くわすショックシーンはなかなか怖い。分身・合体するバルタン星人の光学合成も実によく出来ている。そして、この回でウルトラマンの必殺技が「スペシウム光線」だと判明。それにしてもバルタン星人に対し、東京のど真ん中で核ミサイル(しかもネーミングが“はげたか”って何だ)を使おうとするなんて、随分物騒な防衛隊ではないか? ちなみに会議のシーンでは人数をより多く見せるため、撮影には参加しなかった人達もアテレコに参加しており、よく聴くとハヤタ=黒部進の声も混じっている。「君、はげたかは大丈夫だよ」がそれ。 荒馬大介
第3話 科特隊出撃せよ

  監督:飯島敏宏
  脚本:山田正弘
  特技監督:的場 徹
 山に行っていたフジ隊員と、同行したホシノ少年からの連絡が途絶えた事で、出動する科特隊の面々。突如起こった地震により井戸に閉じこめられていたフジとホシノ少年は無事保護されるが、その時ハヤタとアラシは、電気を吸収すると姿を現す怪獣を目撃する。ネロンガと名付けられたこの怪獣は電気をエネルギー源としていることが分かり、発電所を守る迎撃体勢を整えるが…
 3話目にしてようやく恐竜っぽいデザインの怪獣透明怪獣ネロンガが登場。あんまり言われることは無いけど、造形的にネロンガは非常に優れたデザインだと思う。最終的には角を折られた上にスペシウム光線を食らって爆発。
 この回ではホシノ少年が最初から大活躍をしているのが特徴。最初はフジ隊員と一緒に、そして中盤のネロンガとの戦いではなんとスパイダーを撃ちまくって。子供を対象にしていることをよく分からせる作品でもあった。
 ここで初めてウルトラマンの胸に付いているのがカラータイマーという名前であることが明らかにされる。
 本作が実質的に最初の怪獣同士の立ち回りが行われた話で、当初は怪獣とウルトラマンの演技指導出来る人がおらず、えらく苦労したのだとか。
 本作のネロンガに入っているのはゴジラ以来のヴェテランの中島治雄。相当に取り回しに苦労しそうなデザインを軽々と扱っているように見える動きは流石。 甘崎
 ネロンガ登場。宇宙怪獣、宇宙人と来てようやく王道を行く怪獣が現われた。着ぐるみはバラゴン→パゴス→ネロンガと改造されたもので、電気を吸う時と発射する時とで発行するギミックを変えているのがポイント。演じているのは何と中島春雄で、さぞ重そうな演技と、ウルトラマンの攻撃を食らってもんどりうつ姿はさすがと思ってしまう。ホシノ君暴走編その1というところだが、重いことを考慮して普段は力のあるアラシが携帯しているスパイダーをホイホイ持ち出すのはねぇ。物凄く機動性に欠けるぞ。 荒馬大介
第4話 大爆発5秒前

  監督:野長瀬三摩地
  脚本:南川 竜
  特技監督:的場 徹
 木星開発用原爆を積んだロケットが事故で海に墜落し、搭載されていた原爆一発が爆発。しかも一発は行方不明となってしまった。丁度その頃特別休暇をもらったフジ隊員がホシノ少年と共に海辺のホテルに滞在していたが、不審な軌跡が海から地上へやって来るのを目撃する。その軌跡の正体は原爆の影響で巨大化したラゴンだった。しかも行方不明となった原爆を身体にぶら下げて…
 「ウルトラQ」に続き登場した海底原人ラゴン。今度は原爆の影響で巨大化して登場する。しかも身体には原爆を付けて。なかなかもってこの戦いは緊迫するシーンだった。「ウルトラQ」の設定がそのまま活かされているらしく、ラゴンは音楽好きとされている。ただし、巨大化&凶暴化した彼(彼女?)には通用しなかった。
<今回、“初の休暇”をもらったフジ隊員の姿が描かれるが、ホテルでくつろぐ姿も制服姿。大変な職場だとわかる(単に面倒なだけという話もあるな)。> 甘崎
 ラゴン登場。「ウルトラQ」でも登場したラゴンは人間大だが、本作では巨大化しウルトラマンとタメを張るほどの大きさになった。しかし音楽を聞かせればおとなしくなるという性格をイデが知っているあたりに、本作の世界観が「ウルトラQ」の延長にあることを伺わせているのが面白い。それにしても、衝撃を与えると10秒で爆発する爆弾って、普段でも扱うのが凄く大変そうなのに、そんなのをロケットで打ち上げたらかえって危険な気が……。なおそのロケットの映像は東宝映画『地球防衛軍』からの流用。ちなみに本作でウルトラマンを演じた古谷敏氏は「Q」でラゴンを演じたことがある。ではラゴンには誰が入っているのかというと、後に大映でガメラを演じた方だそうだ。だからちょっとだけ太ってたのか(←違う)。 荒馬大介
第5話 ミロガンダの秘密

  監督:飯島敏宏
  脚本:藤川桂介
  特技監督:的場 徹
 東京で相次いで原因不明の窒息死体が発見された。調査を依頼された科特隊は、事故現場で不思議な緑色の物体を発見する。アラシとイデは、最初の犠牲者である植物学者・山田博士の研究室を訪ねと、博士がオイリス島調査団に参加した際に島から持ち帰ったミロガンダという花が消えており、二人の犠牲者もまたオイリス島調査団の一員であったことが分かる。調査を進める内、品種改良のための放射線によって幼生に戻ってしまったミロガンダは、オイリス島の水に含まれる特殊成分を求めて、島でそれを飲んだ隊員達を襲うのだと言うことが分かる。そして研究所員を襲ったミロガンダを科特隊はスーパーガンで撃退するが、それが逆効果となり、巨大化する…
 敵は怪奇植物グリーンモンス。食虫植物を模した風貌で、全身緑色と言うことで、いかにも植物っぽいデザインとなっている。植物だけにスペシウム光線を食らうと炎上してしまった。
 本作が制作番号としては最初に当たるため、作りはウルトラマンと言うよりは『ウルトラQ』に近い感じで、ウルトラマンも申し訳程度に戦うだけ。ただ、対峙してる時間が結構長いため、戦ってる時間そのものは決して短くない。ウルトラマンの“静”の戦いが見られると言うことで貴重な回かも。
 尚、本作はシリーズ中最低の視聴率となったそうな。それで視聴率はなんと29.0%と言うから驚き。 甘崎
 グリーンモンス登場。冒頭から恐怖描写になったり、場面が変わる時に緑色の液体が流れるあたりのホラー風味演出だが、そのせいか全39話の中でも一番視聴率が悪かった(それでも25パーセントは越えているのだが)。一応グリーンモンスは植物怪獣なのだが、よく観ると足元に眼が付いており、フト『巨大アメーバの惑星』(1959)を……って分かる人が少ないコメントだね。また、この回で“責任感の強いアラシ”というキャラが確立されている。ちなみにこの回だけスーパーガンの光線が直線なのだが、やはり製作話数の順番に関係があって、まだ光線の形状が統一されていなかったためだとか。ゲスト出演に東宝ではおなじみの若林映子さんが登場するが、今回は重沢博士も登場するので、脇を固める人達が妙に豪華なエピソード。 荒馬大介
VOL.2
<A> <楽>
第6話 沿岸警備命令

  監督:野長瀬三摩地
  脚本:山田正弘
  特技監督:高野宏一
 横浜に遊びに行ったホシノ少年は偶然から宝石密輸団のダイヤモンドキックを発見し、捕まってしまう。その科特隊では、東京湾近郊での原因不明の船の沈没事故について調査を進めていた。カカオが好きなゲスラという両生類によるものと当たりをつけた科特隊は横浜に向かうが…
 敵は海獣ゲスラ。両生類のような、あるいはカメレオンのような風貌をした緑色の海獣で、造型はとても良い。
 ホシノ少年が主人公となった回で、ダイヤモンドキックとの追い駆けっこや、ゲスラの事を聞き込んだりと大活躍する。
 ただ話の展開は割合オーソドックスな感じで、あまり語るべき部分は多くない。
 スペシウム光線以外でウルトラマンが怪獣を倒した最初の例となる。 甘崎
 ゲスラ登場。着ぐるみは「Q」のピーターの改造だが、やはりあの顔では両生類にならざるを得ないか。子供の大好きなチョコレートの原料・カカオが好きだということでストーリーにも子供が絡み、しかも事件解決までしてしまう。それにしてもホシノ君、ピッキング技術をどこで覚えたのかな(笑)。おそらく映画か何かでこういう場面があって、真似してみたのでしょう。ゲスト出演は気の優しい船員役で柳谷寛さん。ケムール人を追っていた刑事とか、早川健を「若いの」と呼んでたレストランのマスターとか、沢村いき雄よりも温和で悪っぽくない人を演じさせると上手い人。しかし冒頭にフジ隊員が言っていた“20メートルの鮫”というのも十分怪獣だと思うぞ。 荒馬大介
第7話 バラージの青い石

  監督:野長瀬三摩地
  脚本:南川 竜
      金城哲夫
  特技監督:高野宏一
 中近東に落下した巨大隕石の調査を進めていた科特隊だったが、次々に調査隊が行方不明となってしまい、パリ本部は日本支部に出動を要請した。日本支部の面々とジム隊員は隕石の落下地点に向かう。だが、隕石近くに飛んできたビートルは強力な磁力線からなる光の壁に阻まれ、不時着を余儀なくされた。そこで彼らは地図に載っていない謎の町バラージへと向かうことになる。そこで出会った女性チャータムはあの隕石はアントラーと呼ばれる怪獣であり、アントラーがバラージを襲わないのはノアの神のおかげだとも語る。そのノアの神の像を見せてもらった科特隊の面々はそれがウルトラマンとそっくりだったことに驚くのだが…
 ここでの敵は磁力怪獣アントラーだが、こいつも強い。スペシウム光線は全く通用せず、逆に磁力光線を受けてウルトラマンを串刺しにしようとする。結果的にアントラーを倒したのはウルトラマンではなくムラマツキャップが投げつけた青い石だった。
 ウルトラマンの仲間が既に古代の地球には来ていたことが明かされるエピソード。アラシは「ウルトラマンの先祖」と言っていたが、5千年前だったらウルトラマンは既に生まれていたはずなんだが。
 今回えらく力が入っていて、エキストラの数も多いと思ったら、なんでもこの回は東宝映画の『奇岩城の冒険』と同時進行して撮影していたそうで、セットやエキストラはそちらから借りていたらしい。 甘崎
 アントラー登場。蟻地獄怪獣だがデザイン元はおそらくクワガタムシのようで、必殺技のスペシウム光線が通じないほどの強敵。実は大昔から地球はウルトラマンによって護られていたという、なかなか深い設定が分かる話だが、その時も誰かの姿を借りていたのでしょうか。甘崎部長も触れているが、バラージの街は東宝映画『奇岩城の冒険』のものを使用しているんだが、さすが映画の規模の大きさは違うねぇ。それにしてもイデの「あと30秒だ」という台詞が気になるが、ウルトラマンの制限活動が3分間だなんていつ知ったんだろう?(カラータイマーが点滅すると危ないというのは作中でも周知の事実だが)既にバラージは歴史の中に消えた存在で、アントラーが死んでもかつての繁栄は蘇らない……という無常観溢れるラストが、実に切ない。 荒馬大介
第8話 怪獣無法地帯

  監督:円谷 一
  脚本:金城哲夫
      上原正三
  特技監督:高野宏一
 火山島の多々良島で定点観測の先発隊が消息を絶った。観測隊員の救出を依頼された科特隊は多々良島にむかうが、そこは怪獣の王国になっていた。怪獣同士が戦っているのを避けつつ、観測隊員を捜す科特隊の面々の前に、小さな怪獣が現れ、まるで誘うかのように飛び跳ねていた。
 タイトル通り数多くの(と言っても5体だが)怪獣が現れる話で、怪獣好きにはたまらない作品となっている。
 冒頭でどくろ怪獣レッドキング有翼怪獣チャンドラーとの豪快な戦いが繰り広げられるが、あっさりチャンドラーは片羽根をもがれて退場。次に登場するのは食肉植物の怪奇植物スフラン。こいつに観測隊員は食われてしまったらしいことが分かる。次が地底怪獣マグラで、これは科特隊のナパームで撃退。最後が友好珍獣ピグモン。人間に対し友好的な怪獣だが、弱肉強食の怪獣社会にあって、その優しさの故に死んでしまった可哀想な怪獣。
 結局ウルトラマンが戦うのはレッドキングだけだが、話が大きすぎたので、戦い自体は実にシンプル。スペシウム光線は岩を砕くためだけしか使ってないし、レッドキングを倒したのは首投げで一発。一話でやるには勿体なかった話だったと思える。
 後で知ったが、ここでのロケは私の実家の近くだったのだそうだ。行けば良かった…って、まだ生まれてなかった。 甘崎
 レッドキングチャンドラーマグラピグモンスフラン登場。さすが無法地帯だ、数が多い。それ故特撮面では結構面白いカットがあって、密林を舐めるようなアングルからそのままレッドキングとチャンドラーの戦いの場面になるとか、マグラが唸ると土埃が待ったりする細かさが嬉しい。一見すると大盤振る舞いだが、チャンドラーはペギラの改造、マグラはネロンガからの再々改造、ピグモンはガラモンの改造なので、新造したのはレッドキングとスフランだけ。なお今回は第1話とのまとめ撮りなので、よく観ると似たような地形で撮影しているのが分かる。スパイダーを携帯していたはずのアラシが、いつの間にやらスーパーガンに切り替わっているのは演出ミスか?
第9話 電光石火作戦

  監督:野長瀬三摩地
  脚本:山田正弘
  特技監督:高野宏一
 台風13号の直撃でキャンプ中の少年団が山の中で孤立してしまった。そんな時に地底から怪獣ガボラが出現。大好物のウランを求めてウラン貯蔵庫へ向かって突き進んでいった。科特隊の活躍によって何とかガボラの方向を変えることに成功したのだが、今度はガボラは少年団のバンガローに向かってしまう。こども達を救うため、ヘリにウランのカプセルをぶら下げてガボラを離れたところに誘導ようとするのだが…
 実は本作は『ウルトラQ』の18話「虹の卵」の後日譚という設定で、登場怪獣もパゴスだったらしいが、新怪獣であるウラン怪獣ガボラにバトンタッチしたと言う経緯がある(何故変わったのかは不明だが、ぬいぐるみの頭部の破損が激しかったからと言う説が有力)。パゴス自体元々が東宝映画フランケンシュタイン対地底怪獣のバラゴンの着ぐるみの流用で、このガボラもそのまま頭部を付け替えて登場してる(更にこの後でネロンガとなり、最終的に再びバラゴンに戻って怪獣総進撃で使用されたとか)。ストーリーを考え直してみると、確かに「虹の卵」によく似ていることが分かる。 甘崎
 ガボラ登場。本当はパゴス登場となるはずが、散々改造された後だったので元通りに出来ないので新怪獣になってしまったらしい。襟巻きがガバッと開いて顔が出るデザインはなかなか今観ても斬新だ。フィギュアにするなら可動式にして欲しいですね。やはり「Q」との世界観と繋がりがあるのか、既にガボラという怪獣の存在が知られているのが台詞でも分かる。登場するやいきなり「ガボラだ!」「ガボラは放射能光線を吐く怪物ですね」等。少年団のリーダー二人が仲間想いで、そこらじゅう怪我しながら山道を進む姿が実に健気。ちなみに元となったパゴス版にもストーリーに子供達が絡むが、舞台となるのは少年団のバンガローではなく幼稚園で、避難命令が急すぎたために取り残された園児達が出てくる予定だったとか。 荒馬大介
VOL.3
<A> <楽>
第10話 謎の恐竜基地

  監督:満田かずほ
  脚本:金城哲夫
  特技監督:高野宏一
 北山湖で、魚の異常繁殖が発生した。科特隊は調査のため特殊潜航艇を潜航させるが、その時に映った影をアラシは見逃してしまう。繰り出す。しかし、特に異常は見られなかった。ただ、調査したアラシは気一方休暇をもらったイデは趣味も兼ね、少年グラフの久保記者と共にモンスター博士の異名を取る中村博士の元に取材にでかけるが、突然中村博士は二人に銃をつきつけ、自分の実験の成果を見せる。実は湖の魚の異常繁殖は中村博士によるもので、彼の育てている巨大な怪獣に育ったジラースが現れる。
 この回はかなり見所が多い。
 イデが中心になる回はコミカルなものが多いが、本作もそうで、彼のドジっぷりとか、シャワーシーンとか(別段これは構わないか)が用意されているし、ジラースとウルトラマンとの戦いもなかなかもって凄い演出だった。
 このエリ巻恐竜ジラースだが文字通りエリ巻をしているのが特徴。それでそのエリマキを取ってみると…あら不思議。これは『ゴジラ対ウルトラマン』ではないか。ファン感涙もののタッグマッチだ。
 ただ、それでジラースとウルトラマンの戦いだが…
 ちょっとコミカルが過ぎたかな?最初はお互いのパフォーマンスで、岩を放り投げ、口から出す放射能火炎光線で見事砕いてみせたジラースに対し、ウルトラマンはスペシウム光線を小出しにして飛ばした岩だけを破壊する(スペシウム光線って最終的な攻撃じゃなかったか?)。その後、まるで挑発するかのような態度を取ったり、ジラースのエリマキを奪い、まるで闘牛士のようにジラースの突進をいなしたりと、なんかいつものウルトラマンとは随分性格が違っているようにも思える。
 そうそう。今回ゲスト出演したのは「ウルトラQ」の戸川一平役の西條康彦。コミカルさに輪をかけてくれている。ちなみにこの回ではウルトラマンの中の人古谷敏もホテルの従業員としてちらっと登場。
 そう言うことで、かなりコミカルな演出がなされた作品であるが、実際のストーリーは決して明るくはない。むしろ人間のエゴや産み出されてしまった怪獣の哀しさなど、そう言った意味での面白さもある。なんだかんだ言っても名作の一本に数えて良かろう。
 ちなみにこのジラース、東宝からモスゴジを借り受けたのだが、その条件として「本体を傷つけずにゴジラ以外の怪獣にして、そのまま返却せよ」という注文を付けられたための苦肉の策だったという。 甘崎
 ジラース登場。っていうかゴジラ。どんな人でも、何の着ぐるみを改造したものだかが一発で分かる。「こち亀」で両さんがクイズ番組に出た際“この怪獣は?”とシルエットを見せられ「モスゴジ!」と答えたら×で、正解は「エリマキを取られたジラース」……とネタにされるくらい有名。夢の決戦「ウルトラマン対ゴジラ」が図らずも実現しているが、どう考えてもスタッフが狙って作っている。しかし、戦いそのものはコミカルだがドラマ部分は相反するくらいに暗く、OPからして不気味。モンスター教授の正体が実は!という展開もなかなか楽しませてくれる。エンディングも劇的で悲壮感溢れるBGMがよりムードを高めているが、実はコレ『ガス人間第一号』(1960)の流用。しかし任務が終了するやいなや「特別休暇だ」とあっさりバカンスをさせるあたり、ムラマツキャップも大盤振る舞いだ。で、派遣された3人が何をするかと思ったら、ハヤタは仕事、イデはシャワー、アラシはご馳走。性格差が出まくってますね。 荒馬大介
第11話 宇宙から来た暴れん坊

  監督:満田かずほ
  脚本:宮田達男
  特技監督:高野宏一
 ホシノ少年を始めとする子供達が発見した空から落ちてきた光る物体。これに向かって念じれば、思った通りのものになるという不思議な物体だった。生物の特質を持った鉱物で人間のテレパシーを受けて、自由に姿を変えることができるものと判明するが、それを知ったある男がその石を使った悪戯を思い立ち、隠しトランシーバーを使ってその石を盗み出すと、石を人間大の怪獣ギャンゴに変えるのだった…
 敵は脳波怪獣ギャンゴ。かなりカラフルなデザインで、見た目そんなに強そうに見えないのだが、実際にはさにあらずで、えらく強い。ただ、その強さというのは単純な力ではなく、悪知恵のお陰だったりするが。
 客演が青島幸男で、決して悪い人間じゃないのに、ずれたことばかりしてる(折角奪った石を何に使うかと思ったら、最初は花嫁に変えて抱きつこうとしたり、単に人がびっくりするのが楽しいと言うだけの理由で怪獣を作ってみたり)ので、それが楽しい作品だが、それだけではない。前回のジラース戦に続き、今回もハイテンションで笑える行いをやってくれる(監督の特徴かな?)。変身してギャンゴの前に立ったウルトラマンはシュワッシュワッとかけ声(?)をかけながらギャンゴを手招きするし、ギャンゴにのしかかられた時は下からギャンゴの脇腹をくすぐったりする。更にはかがんだギャンゴに向かって馬跳びをかます。遊んでるとしか思えないような戦いの風景だが、それでカラータイマーが点滅して危機に陥ってしまうのがなんか哀しいというか微笑ましいというか…
 ところで、この石は人間のテレパシーによって変形するのだそうだが、トランシーバーを使って命令するだけで変形してしまう。これはちょっと変じゃないか? 甘崎
 ギャンゴ登場。着ぐるみはベムラーの改造だそうな。冒頭で馬乗りをして遊ぶ子供達に何とも時代を感じるが、今こんなことして遊ぶ子供なんていないよなぁ。というか、ああいうことが出来る空き地が少ないのか。前期エピソードの中でもギャグ満載の回であり、「念ずればどんなものにも変わる石」という能力を生かしたネタが頻繁に登場するが、何ともコテコテ。ゲスト出演の青島幸男の欲しいものが“お嫁さん”というのもね(笑)。石がギャンゴになってからもギャグは止まらず、ギャンゴが飛ぼうとしてこけるわ地団駄を踏むわ、負けじとウルトラマンも「ヘイ、カモーン」とするわ、怪獣のわきをくすぐるわ馬飛びをするわ。とりわけギャンゴの背中をポンポンと叩き、振り返ったところで顔面パンチという秘境極まりない攻撃は、正義の味方としてどうかと思うが……。 荒馬大介
第12話 ミイラの叫び

  監督:円谷 一
  脚本:藤川桂介
  特技監督:円谷一
 新たに発見された洞窟。その壁には巨大な生物の壁画が描かれており、そこに7千年前のミイラが安置されていた。そのミイラは科学センターで調査することとなったのだが、その晩蘇生して動き出し、警備員を殺して逃走するのだった…
 登場するのはミイラ怪人ミイラ人間ミイラ怪獣ドドンゴ。7千年の眠りから覚めたミイラは怪力で、目からは怪光線まで発する。顔は到底人類とは思えない故、あるいは宇宙人なのかも知れない。下半身に包帯をぐるぐる巻きにした姿で暴れ回る姿は夢に出そうな姿だった。一方のドドンゴは四本足の馬のような姿にとても飛べそうに見えない羽根を持った怪獣。中国の麒麟にも似ている。ミイラの死によって復活する。この着ぐるみは二人が中に入るもののため、四本足が別々に動くのは結構見物。スパイダーにより両目を潰された上に、ウルトラマンのスペシウム光線を食って死亡。
 この話はかなりお気に入りの作品。物語のバランスが実によい。発掘されたミイラが暴れ出すと言うのは結構ベタな話ではあるのだが、人間の勝手な都合によって掘り出され、蘇生した途端、人間どもに追われ、怯えて暴れ回ったら殺されてしまうと言う具合に見ることも出来、人間の勝手な行動の所産を見る思いにもなる。しかもひょっとして、あのミイラがドドンゴの復活を抑えていたとも考えられる。そうすると、身を挺して地球を守ろうとした彼を人間が勝手に殺したと見ることも可能。
 ドドンゴとの戦いはなんだかウルトラマンが又してもおちゃらけてる。ドドンゴの背中に乗ったウルトラマンが手でドドンゴの尻をぺちぺちと叩く。「ハイヨー、シルバー」(笑)
 このドドンゴ、スペシウム光線を受けても爆発しない。最後、倒れたドドンゴを俯瞰でカメラが引いていく。これが又、虚しさを強調したかのような演出で、哀しげな余韻が大変心地よし。 甘崎
 ミイラ人間ドドンゴ登場。実はこの回、子供心にかなりビビッたエピソードでもある。とりわけ念力で電気のスイッチを入れ、ムックリと起き上がるミイラ人間がやたら怖かった記憶があるのだ。改めて観てやっぱり気味が悪いと感じたが、後にミイラ人間に襲われる警備員の台詞「これじゃこの王将、ミイラになっても死に切れませんや。……おっと、今夜これは言わない約束でしたね」といって不気味に笑うという演出がいい。
 結局ミイラ人間は、岩本博士の希望も虚しく生け捕りには出来ず、スパイダーショットの攻撃で殺された訳だが、スパイダーで生け捕りするならリング状の光線(目標にショックを与える。ゴモラに対しても使用)を使うという手は無かったのか?という疑問も沸く。どうせなら、これも使ったけどダメで「やむをえん、生け捕りは諦めよう」てな展開でもよかったかも。ドドンゴは2人で着ぐるみに入って演じているわけだが、この回といい、次の回のペスター、そしてブルトンは、“着ぐるみでどこまで演じられるのか?”という挑戦をしているようで興味深い。演じる方は大変だろうが、今までとは違うタイプの怪獣を出そう、というスタッフの意気込みが伝わってくる。
 しかしこの2体、フジ隊員の言う通り「掘り起こされなければ、このままずっと1万年でも2万年でも眠っていられたのに……」という、現代に蘇ったがために永遠に死ぬ羽目になるとは皮肉だ。眠りについた場所が悪かったのか、掘り起こされた時期が悪かったか。「こんなはずじゃなかったのになぁ……」死ぬ間際、ミイラ人間は案外こう思っていたのかも。 荒馬大介
第13話 オイルSOS

  監督:円谷 一
  脚本:金城哲夫
  特技監督:円谷 一
 中近東で油田やタンカーが炎上する事故が続発していた。そして日本。不思議な光が海の中を移動し、そこから現れた怪獣がタンクローリーを炎上させてしまう。岩本博士の説によれば、怪獣は油を食べて生きているという。そして怪獣の腹には油が詰まっている。怪獣自体が爆弾のようなものだと言うのだ。
 怪獣は油獣ペスター。前回のドドンゴ同様、二人で操作する怪獣だが、このデザインセンスは秀逸で、ミニチュア撮影の力の入り方も凄い。その割りに弱い(笑)。申し訳程度にウルトラマンはスペシウム光線を当ててるとは言え、実質的にこいつを倒したのは科学特捜隊のビートルによるミサイル攻撃。
 今回、イデ隊員の苦労話。ペスターを撃ってしまったため、周囲に大災害を引き起こしてしまい、必死に消火に当たる姿はひたすら健気。
 前にトリビアでもウルトラ水流の事が語られていたけど、初めて水を出したのはジャミラの時よりこっちの方が早いんだよね。
 ペスターを倒したのが人間である。と言うことで画期的な話となったが、その分ウルトラマンは単にタンカーの火を消すためと言う地味な役に回る。それでも実際に火の中を駆け回らねばならないので、相当大変だったと思われる(着ぐるみ特撮では水と火は天敵だが、本作ではこれでもか!と言うくらい使われてるし)。
 本作の脚本は元々「ウルトラQ」のために上原正三が書いたもの(実質デビュー作になるはずだった)だったそうだが、ストレートに公害問題を取り上げたために最終的にボツとなり、その脚本を金城が手直ししてウルトラマン向けにリファインされたものだとか。
 ちなみにゴワゴワの顔で親しまれていたウルトラマンのマスク(Aタイプ)は本作で見納め。 甘崎
 ペスター登場。この着ぐるみについてはもはや多くを語るまい。ヒトデを二つ繋げてその真ん中に顔を据えるという斬新なデザインはそうそう考え付かないし、それ以前に立体にしようと誰が思い付くだろうか。もっともペスターの強さについては不明で、ウルトラマンが登場する前に死んでいるから比べようが無い。とはいえ、取っ組み合いをするには両者戦いづらいとは思うけど。
 今回の話でいくと責任感が強いアラシが主役になってもよかったはずだが、ここではコメディリリーフのイデが勤めたことで、普段は見せないイデの意外な一面を見せている。ボケ役ではあるが、任務には人一倍熱くなるのがイデという男なのだ。話とは関係ないのだが、企画当初撮影されたスチール写真ではイデ役は二瓶氏ではなく石川進氏になっていた。「ウルトラQ」の「地底超特急西へ」で、運行統制官をしていたあの方である。
 なお「トリビアの泉」で紹介されて有名になった“ウルトラ水流”だが、実戦で使用したのは全39話中の今回と対ジャミラ戦の2回だけしかなく、他のウルトラ戦士全員が披露しているわけではないレア技。撮る方としては、炎と水という難しい素材でさぞ苦労したことだろう……。 荒馬大介
VOL.4
<A> <楽>
第14話 真珠貝防衛指令

  監督:実相寺昭雄
  脚本:佐々木守
  特技監督:高野宏一
 給料日にイデ隊員を連れてショッピングを楽しむフジ隊員は自分の誕生石である真珠の値段が極端に上がっていることに驚く。実は真珠を食べる怪獣ガマクジラの出現によるものだった。ガマクジラの発見の報を受け、早速現場に急行する科特隊は、目の前で真珠をむさぼり食うガマクジラになすすべも無かった。真珠の光に引き寄せられるガマクジラの特性を知り、真珠爆弾作戦を敢行するが…
 敵は汐吹き怪獣ガマクジラ。真珠を食べる、カエルとクジラを合成したような怪獣で(事実脚本の佐々木氏が適当に脚本に「ガマ+クジラ」と書いてあったのがそのままネーミングとなったそうな)。はいずり回る怪獣だが、これもなかなか強く、科特隊とウルトラマンの連係攻撃によってようやく倒すことが出来た。
 監督実相寺昭雄&脚本佐々木守のコンビが贈る最初の作品。このコンビは本作品のなかでも特異な話を多く手がけているが、その特徴として科特隊の面々の作戦を、時に真面目に、時にコミカルに描くところにある。今回も、ガマクジラを前にし、一晩中焚き火を囲んでどうやったら退治出来るかを相談するシーンがあったりする(後の34話でその方向性は明確化)。この物語はかつて実相寺&佐々木コンビの結成となったTVドラマ「でっかく生きろ」での宝石を食べる女性を幻想的に描いた話が元になっている。
 最初の作戦は普通にビートルで攻撃をかけるが、ガマクジラの潮吹きで失敗。次に電子網でガマクジラを釣り上げようとする。しかしガマクジラが暴れただけで綱が切れてしまう(この際ハヤタのビートルが墜落するが、次のシーンでは何事もなく登場してる)。次がガマクジラが真珠の光を目当てにしてることが分かり、真珠爆弾を投下する作戦。首尾良くガマクジラの腹の中で爆発させることが出来たが、その爆発に耐え抜き、かえって頑丈な身体となってしまう(ここでガマクジラが本当に苦しそうにのたうち回っているが、これは演技ではなく、着ぐるみの中に花火が入ってしまい、繰演者が本気で暴れたためだとか)。最後はガマクジラに小型ジェット噴出器を撃ち込み、空の果てに吹っ飛ばそうとする。
 ウルトラマンのマスクがBタイプとなる。こっちの方がデザイン的にはすっきりして、これが一番受けが良い。
<ガマクジラを倒すのにウルトラマンが使った方法はなんと頭突き。ウルトラマンの頭の硬さは無茶苦茶なレベルなんだな。
 今回はフジ隊員がメインの話となったが、実相寺&佐々木コンビの特徴として、彼女に色々な格好をさせる。最初、ウィンドウに鼻を押しつけたりとか、魚眼で顔のアップを取ったりとか、最後に真珠を見ながらうっとりした顔をフォーカスで撮ったりとか(ちなみにそれをラッシュで見た桜井浩子が「何故こんな顔に撮った?」と監督に詰め寄ったところ、「だって一度、女優の顔を魚眼レンズで撮ってみたかったんだもん」と答えたとか…
 しかも最後のナレーションは
「真珠は科学特捜隊の給料でも買えるようになった」…えらい切実なナレーションだな。
 裏話だが、今回の剣崎ロケでは、撮影の合間を縫って科特隊の面々はこっそり売店でビールを飲んでいたそうだが、それを察した実相寺監督は即興でわざと台詞を長くして、とちるのを眺めては嫌味を言ったのだとか。当時の雰囲気がよく分かる。>
 甘崎
 ガマクジラ登場。実相寺&佐々木コンビの第1回作品だが、それに臆することなくいきなり飛ばしている。
 そもそも皆のサポート役に回ることが多かったフジ隊員を主人公にしている点からしてそうだが、さすが実相寺監督やることが極端だ。彼女の言う「女の執念」は凄まじく、今までに無いくらい強気なうえに、怪獣に対して「やめてちょうだい!!」と叫んでしまう。こうなってしまうともはや男性陣は形無しで、ラストシーンのように荷物を抱えてヨロヨロと彼女の後を付いていくイデ状態にしかならない。ウルトラマンも本当におまけ状態だ。とはいえ実相寺作品としてはまだまだ初級編なので、この後の回は覚悟して観るように。
 そういえば、真珠を積んだトラックの運転手の顔にどこか見覚えがあると思ったら、なんと寺田農氏。『肉弾』の前にこんなところに出ていたとは気付きませんでした。 荒馬大介
第15話 恐怖の宇宙線

  監督:実相寺昭雄
  脚本:佐々木守
  特技監督:高野宏一
 教室一杯に貼られたこども達が描いた怪獣の絵の中にひとつだけ変な絵が混じっていた。それを描いたムシバ少年はこれはガヴァドンという怪獣だと主張するが、誰にも取り合ってもらえない。しかし、その後ムシバ少年が土管に描いたガヴァドンが突如巨大怪獣として実体化する。
 怪獣は二次元怪獣ガヴァドンガバドンとも)。小学生シバ少年が描いた落書きのような絵が宇宙放射線と太陽光線が融合した光線を浴びて実体化したもの。こども達がおもしろがって色々付け足したら、凶悪な顔つきの怪獣となってしまう…なんと危機感のない小学生達だ。ただ、実体化してもやってることはただ寝てるだけという。なんと危機感のない怪獣だ。攻撃されない限り寝ているだけなので、「こんな怠け者の怪獣は初めてだわ」と言われるほど。しかし、ガヴァドンを応援する子供の声は結構鬱陶しいなあ。戦ってるウルトラマンの方に同情してしまう。
 なんとウルトラマンが完全に子供の悪役になってしまう話。価値観を完全に逆転した話で、最後は何と「ウルトラマンのバカヤロー」とまで言わせている。こんな物語を作ってしまったのも、本作の特異性と言えるが、それを造り上げた実相寺&佐々木コンビに拍手を送りたい。
 宇宙放射線と太陽光線が融合すると絵に描いたものが三次元になるのだそうだ…しかし、そうすると、命は誰が与えた?ガバドンは鳴き声が結構可愛い。小学生達によって書き換えられたガバドンの顔はえらく凶悪になってる。何もしないとは言え、いびきが影響する。でかいと言うだけで脅威なんだな。
<ベートーヴェンを「怪獣」という小学生…せめて怪人と言ってくれ(そっちも酷いか)
 ラストは空に浮かぶガバドンの星座。ウルトラマンの粋な計らいだが、
「雨が降ったら、どうすんだよ」と言う冷静なツッコミが入ってた。> 甘崎
 ガヴァドン登場。しかしムシバ少年がネーミングしたのになぜ「ヴァ」表記なんだろう?普通に「ガバドン」で良くないか?
 そのガヴァドン、落書きがそのまんま怪獣になったわけだが、下手くそな絵が実体化してしまうタイプAは、ユーモラスだがよく観ると結構可愛い。なので、そんなガヴァドンがビートルに尻尾をちょん切られてしまうのが、ちょっと可哀想に見えてしまう。しかしビートルのミサイルで怪獣の身体を切断するなんて、あの兵器にそんな威力が……いや、これはガヴァドン自身が弱かったのだろう。
 それにしても、話の冒頭で子供達がこぞって怪獣の絵を披露するシーンがあるが、よくよく考えてみるとあることに気付く。「これは視聴者側の立場では?」こんな話どこかで……そうだ、「怪獣殿下(前・後編)」そっくりだ!“現実に存在する怪獣好きの少年”と“ウルトラマンと科特隊”がいる世界を合致させたあの回だが、実は今回もそれと同じだと言っていい。そして物語中盤、怪獣がムシバの落書きから産まれたことに気付いた子供達は、寝てばっかりで全然強そうに見えないガヴァドン・タイプAを改造することに。この辺にも、怪獣に対する当時の子供達の心理が見て取れる。
 こんな資料がある。怪獣ブームの最中に、ある学校で先生が生徒達に「怪獣」に対する質問をしたことがあるという。「どんな怪獣と友達になりたいか?」という問いに対する答えとして、ダントツの1位だったのが「思いっきり悪い奴」だったそうな。そう、子供達は怪獣に対しそういうイメージを持ち、かつ憧れていたのだ。なぜかははっきりしないが「強さ」に憧れる心理は子供でも大人でも変わらないのだろう。それではウルトラマンに対してもそうだったのかというと、さにあらず。「怪獣が本当にいいか悪いかを確かめずにやっつけてしまう悪い奴」「正義を押し付ける」と散々なのである。そう、子供達がウルトラマンに対し「殺さないで!」「帰れーッ!!」と叫ぶのは単にガヴァドン可愛さで言っているのではなかったのだ。その辺の子供達の心理を汲み取って話を作ってしまった、実相寺&佐々木コンビは恐るべし。
 ラスト、ウルトラマンがガヴァドンを宇宙へ連れて行ってしまった様子は、まるで丹精込めて描いた絵が消されたように、大切にしていたおもちゃや漫画本が「大人達の都合で」勝手に捨てられたのと似たような感じがする。それを慰める大人の声でも、子供達の悔しさと虚しさは晴れない。「雨が降ったらどうするんだよぅ……」というムシバ少年のつぶやきは、そんな大人達に対するちょっとした反論なのかもしれない。 荒馬大介
第16話 科特隊宇宙へ

  監督:飯島敏宏
  脚本:千束北男
  特技監督:高野宏一
 人類初の金星ロケットおおとりが発射された。無事金星に到着し、金星の映像を送ってくるおおとりだったが、突如謎の電波が入り込み、電波が遮断されてしまう。そして一瞬だけ挿入されるバルタン星人の映像を映し出すのだった。おおとりに残された科学者毛利博士の安否は?そしてバルタン星人の狙いとは?
 敵は2代目宇宙忍者バルタン星人。いかにもセミ人間っぽかった初代と較べ、二代目バルタンはデザイン的にはかなり洗練される。
 2話で宇宙船は爆破され、その上にスペシウム光線を浴びせられてしまい、ミクロ化して乗っていたバルタン星人の大部分は死亡と語られてる。これじゃウルトラマンって、もの凄い虐殺者になってしまうんだが…
 それだけに復讐に燃え、あきらめの悪いバルタン星人。今回は弱点であるスペシウム光線をスペルゲン反射板ではねかえす…でも、ウルトラスラッシュであっけなくまっぷたつに…それでもバルタンの挑戦は続く。だからこそ最強の敵になりえるんだが。
 新しいメカや設定など見所が大変多い話なのだが、バルタン星人の存在感で全てかき消されてしまった感がある。
<今回はバルタンの大群が…なんかゴキブリが飛んでるみたいでえらく気味悪いけど、飛びながら演技するなど、芸が細かい。> 甘崎
 バルタン星人2代目登場。前作とは若干面が違うが、バルタンにもいろいろ人種(?)がいるのだろうか。まあ20億3千万も人口がいればそういうこともある(というか、着ぐるみを新造したのだが)。
 今回はそのバルタンが、ウルトラマンに復讐を遂げるために再飛来し、地球を自分のものにしようと大作戦を展開する。科特隊を宇宙へおびき出して地球が手薄になった隙に、本隊が地球を総攻撃……って、科特隊は世界中に支部があるんじゃなかったっけ? と思ったが、バルタンの狙いはウルトラマンだから、作戦の狙いは正しい。ところがここでウルトラマンが必殺のテレポーテーション(この合成がまだいいんだ)を披露したため、あえなく野望は潰え去ってしまう。技を披露した後、ハヤタが死んだように眠ってしまうという演出もいい。
 人気怪獣の再登場だから、というわけではないが、特撮は見所満載。冒頭から緊迫感溢れるロケット発射シーンが展開され、バルタン星人によるコンビナート破壊や最後の羽田空港での戦闘といろいろ見せてくれる。そしてついに宇宙ビートルが初登場し、科特隊の活動範囲が一気に広がった。それにしても「成功率99%のロケットに自分で乗り込んで宇宙へ飛び出した毛利博士と、例え競争に負けたといわれても100%完璧なロケットになるまでじっと我慢している岩本博士と、科学者としてどちらが勇気ある正しいやり方が考えてみようじゃないか」とはムラマツの名言だが、岩本博士のチューリップ型ロケットのデザインセンスは凄いぞ!ちなみに岩本博士のロケット研究所には、小道具として『怪獣大戦争』のP−1号が置いてある。
 しかしバルタン星人よ、苦手とするスペシウムを克服するためにスペルゲン反射光を身に付けたはいいが、使用したのが1回だけとは寂しくないか。おまけに最後はやっぱりスペシウム光線で倒されているじゃないか。まあ、真っ二つにされた後じゃ反射光は使えないか……。 荒馬大介
第17話 無限へのパスポート

  監督:飯島敏宏
  脚本:藤川桂介
  特技監督:高野宏一
 バローン砂漠から戻った探検家のイエスタデイ氏が、砂漠から持ち帰った隕石と共に姿を消した。地震が起き、自宅の庭に現れたイエスタデイだったが、親友の福井博士が危ないと言う。福井博士は一緒に採取したもうひとつの隕石を所有していたのだ。二つの隕石は川口研究所に引き取られたが、その隕石が合わさったとき、研究所の空間がねじ曲がってしまった。そしてその空間から不気味な怪物が現れるのだった。
 敵は四次元怪獣ブルトン。四次元怪獣とのことで、その姿は手も足もない。巨大隕石というか、何かの心臓のようにも見える特異なフォルムを持つ。時空を操る能力を持つため、ウルトラマンの攻撃をことごとく無効化するが、四次元空間に封じ込められたウルトラマンは何とか脱出。ブルトンの触覚を破壊することで元の隕石に戻す。
 今ではもはや死語になったが、なんつーかサイケデリック感覚にあふれた話で、空間がねじ曲がった世界は観てるこっちの感覚まで狂わせてしまいそう。ブルトンの特異なフォルムと合わせて、なかなか凄い話となっている。
 そうそう。ホシノ君がこの回でハヤタを助けた功績により、晴れて科特隊の少年隊員となれた回でもある。 甘崎
 ブルトン登場。ペスターの回でも書いたが、これでも一応人が入っていることをお忘れなく。何でも3人で動かしているそうだが、どこをどうやったら3人入るのか……というか、どこから入るんだ?となると、光線を発していた触覚みたいなのは中からニョキッと手動で出していたのかな。
 とにかくそのブルトンのせいで、不可思議極まりない現象が様々な映像表現を駆使して次から次へと起こるが、この辺は結構コミカルだ。階段を上がっていったら果てしなく続いていたとか、崖から飛び降りたらゴミ箱に突っ込んでた(この現象はどちらもイデがらみでしたね)とかいろいろあるが、個人的に好きなのは、扉を開けたら変な空間だったシーン。あのクルクル回っていたモビールを、誰か立体化してくれませんかねぇ。おそらく、元ネタが分かる人は相当限定されると思うが、何も知らなくても普通に買っていく人はいるはず。その辺のデザイン感覚が古びてないのも魅力の一つ、と言っていいのかな。
 これじゃウルトラマンも戦いづらかろう……。最後は小さくなったブルトンを手のひらでゴリッと砕いて止めを刺していたが、よほどフラストレーションの溜まる戦いだったのだろうか。 荒馬大介
VOL.5
<A> <楽>
第18話 遊星から来た兄弟

  監督:野長瀬三摩地
  脚本:南川 竜
      金城哲夫
  特技監督:高野宏一
 突如宇宙から飛来し、東京を覆う猛毒の霧。濃霧の中を調査する科特隊はそこで謎の怪人を目撃する。一旦は科特待に撃たれるものの、彼は自分が友好のために地球にやってきたザラブ星人であると名乗り、その証として土星をさまよっていたロケットを回収し、霧を消し去るのだった。人類の味方として受け入れられるザラブ星人だったが、科特隊だけはザラブ星人に胡散臭いものを感じ、追跡を開始する。そしてハヤタは知る。ザラブ星人の本当の目的が何であるのかを。
 敵は凶悪宇宙人ザラブ星人。この名前はアナグラムとなっていて、逆読みするとブラザーとなおり、友好的な宇宙人として命名されている。名前の通り、友好的に地球人に近づくのだが、実際の狙いは地球征服であり、そのために邪魔なウルトラマンを封じてしまうこと。そのためにハヤタをおびき寄せ、ベータカプセルを奪おうとするが、何とハヤタはその時、ベータカプセルを「忘れて」しまい、窮地を脱することになる…おいおい。そしてこれも有名な偽ウルトラマンが登場。勿論これはザラブ星人の変装で、目が尖って、少々デザインも異なっている。それで偽物だと何で人間は気づかないのか?と言うツッコミもあるが、実際40メートルもある巨人を目の前にして、それが本物か偽物か分かるはずは無かろう。しかも夜だし。
 基本的にこの作品は円谷プロの若手の訓練を兼ねているため、社長である円谷英二は監修に徹していたが、この話と次回の話は、相当に時間がタイトになってしまい、自ら乗り出したのだとか。そのため特撮シーンにも妙なこだわりが見られる(有り体に言えば金がかかってる)。
 尚、ザラブ星人の声は声優の青野武氏だが、人間と交渉してる時のザラブ星人の中には本人が入っていたとか。
 しかし、物語の都合とはいえ、ハヤタが宇宙人追いかけるのに、一番肝心なベータカプセルを忘れるなど、とうていあり得ないような気がするんだが…そう言えば『ウルトラセブン』では何回もウルトラアイが盗まれるシーンがあるのに、このシリーズでベータカプセルを奪おうとしたのはこのザラブ星人一人だけだな。
 ちなみににせウルトラマンを殴ったウルトラマンが手を押さえるシーンは、打ち所が悪く、本当に痛かったのだとか(てっきりあのシーンはカットされていると思ってたとは古谷敏の言)。 甘崎
 ザラブ星人登場。「ウルトラマン」に宇宙人が登場するのはバルタン星人以来これで2度目になるが、全39話中宇宙人は都合5人しか出てこない。もっと多いかと思ったらそうでもなかったな。
 口では友好を語りながら実は地球征服を企んでいた……というのがザラブ星人の手段。このパターンは東宝『怪獣大戦争』の]星人、さらにさかのぼって『地球防衛軍』のミステリアンあたりが原点か。しかし今回はどちらかというと『怪獣大戦争』に近い。地球をはるかに上回る超科学を人類にも提供したいという]星人、それを大歓迎する人達が多数を占める中で、その話にどこか胡散臭さを感じた富士とグレンは独自に調査を開始する。ホラ、話の筋からしてそっくりでしょ?そういえばザラブ星人の身体は]星人のように黒かったし、P−1号の宇宙服と科特隊の服がオレンジ色だ。まあこれは単なる偶然だが。
 そして、ヒーローものでは後に仮面ライダーやゴレンジャーでも必ずある定番「ニセ者」が初お目見えする。ちょっとデザインを変えただけだが、眼を吊り上げて模様に黒筋を入れるだけでこんなに違うように見えるのか。逆を言えば、それだけウルトラマンのデザインがシンプルかつ美しいということになるわけだ。それにしてもハヤタは凄い男だ。今回に限ってベーターカプセルを忘れてきたおかげで、ザラブ星人によって自らの正義を汚されることを防いだのだ。なんて悪運の強い奴……。
 最後におまけ。ザラブ星人の声はベテラン声優・青野武氏。で、後に青野氏が「ウルトラ怪獣大図鑑」という帯番組でナレーションを担当した際に、ザラブ星人のところだけどう聴いても一人称だった記憶があったんだが、放映されてから約10年後にようやくそれに気付いてえらく納得した覚えがある。 荒馬大介
第19話 悪魔はふたたび

  監督:野長瀬三摩地
  脚本:山田正弘
      南川 竜
  特技監督:高野宏一
 東京のビル工事現場から不思議な金属の筒が発見された。中には金属板と青い液体の入ったカプセルが収納されていた。それを分析した福山博士は、これは3億5千年前のタイムカプセルではないかと推測し、金属板の解読を始める。一方、工事現場から運ばれた土砂の中から赤い液体の入った容器が転がり落ちた。落雷を受けた赤い液体のカプセルから、赤い怪獣が出現するのだった。一方、青い液体のカプセルを調査していた鉱物試験所で、放電実験を行ったところ、そこから青い怪獣が出現する。金属板に書かれていた文字を解読した福山博士は、それがバニラとアボラスという怪獣であり、古代人が苦戦してカプセルに封じ込めていたと言う事実を発見する…しかし、時遅く、オリンピック競技場を舞台にバニラとアボラスは戦いを始めていた。
 敵は赤い液体として封じ込められていた赤色火焔怪獣バニラと青い液体として封じ込められていた青色発泡怪獣アボラス。3億5千年前の戦いの続きを現代で始めるが、アボラスの溶解液によってバニラは溶け去ってしまう。残ったアボラスもえらく強く、ウルトラマンのスペシウム光線を三連発でぶち当てなければ倒すことが出来なかった。
 二大怪獣の戦いという、素晴らしいイベントを見せつけてくれた回。バニラ、アボラス共にデザインが非常にアンバランスで、よくこんな顔を考えついたな。と言うレベル。
 ところで、今回やたらと3億5千年という言葉が出てくるが、3億5千万年ならともかく、そんなに細かい年代が分かるもんなんだろうか? 甘崎
 バニラアボラス登場。それぞれの肩書きが赤色火炎怪獣、青色発砲怪獣となっていて、これだけでもうどういう怪獣だか予想が付く。カラーリングもそうだが体系も見事に痩せ型とマッチョ型に分けてあり、きちんとライバル怪獣であることを明確にしている点はよし。ちなみにアボラスはレッドキングの改造。
 さて今回はというと、古代文明が残したカプセルは一体何?という謎解きが前半のメインで、中盤から後半にかけては怪獣の破壊とバトルが繰り広げられる。もっともカプセルの中身が何かは、既に視聴者側には分かってしまっているが、そこがこの話のミソ。人類の手によって発掘されたのはアボラスだけで、バニラは科特隊等に気付かれないまま雷という自然現象によって復活したのだ。「それじゃあ、アボラスのカプセルを空けたら大変なことになるじゃないか」と観ている人分からせたところで、このシーンになる。「よし、電圧を加えてみよう。10万ボルトだ」そんなことしたら中身が……というところで福山博士が解読に成功する。「ハヤタ君、君の予感が当たった!この板には恐ろしいことが書かれてある!」だが時既に遅し、アボラスは復活してしまったのだ……。という感じで、登場人物が気付かないうちに事態が最悪の方向に進んでいくことで、視聴者側をどんどん引き付けていく。それでクライマックスのアボラス対バニラ、最後の対ウルトラマンへと繋がっていくわけだ。上手いね。福山博士も、怪獣を蘇らせてしまった責任を感じて力になりたいと同行を願い出るあたり、岩本博士とはまた違う学者像が見えていい(岩本博士は結構サバサバしてる感があるんだよね)。
 久々の都市破壊シーンが楽しい一本で、国立競技場での激闘も見もの。 荒馬大介
第20話 恐怖のルート87

  監督:樋口祐三
  脚本:金城哲夫
  特技監督:高野宏一
 伊豆の大室公園で怪光が目撃されたとの報告を受け、早速出撃した科特隊。一方、彼らが調査している間に科特隊本部に見知らぬ少年が現れ、留守番役のフジ隊員に、大室公園の高原竜ヒドラが暴れると言って消えてしまう。少年の言った高原竜ヒドラとは、大室公園に作られた怪獣の像の名前で、半年前に国道87号の交通事故で死んだムトウアキラという少年のデザインによる像だった。そして少年の遺影を見たフジ隊員はそれが本部に現れた少年であることを知り、驚愕する。その晩、大室山に地震が発生。山の中からヒドラが姿を現し、科特隊の攻撃を退け飛び去っていく…
 敵は高原竜ヒドラ。元々は全国から公募されたデザインの入選作のデザインをモティーフとした像のことで、それをデザインした少年が交通事故で死んだため、少年の魂が乗り移り、実体化したらしい(明確な結論は出ていない)。猛禽類の顔を持った羽を持つ怪獣で、少年の命を奪った国道87号線の車を攻撃する。最後、スペシウム光線を放とうとしたウルトラマンはヒドラの背に少年が乗っていることを知り、空の彼方へ飛び去るのを見送ることになる。
 科学とオカルトと少年の思いが混じり合った結果、妙にファンタジックなお話になった本作。最後まで敵を倒すことなく終わった(なんでもこれはウルトラマンの中に入ってる古谷敏が、時に怪獣を殺さない作品を作って欲しいと言ったのがきっかけらしい)。
 ところで第1話で話が出た「ウルトラ作戦第2号」という作戦はここで登場する。よく分からないけど、2機のビートルによる上下攻撃らしい。
 ちなみにヒドラの像は元々グリフォンの像で現在も伊豆シャボテン公園に鎮座している(いわゆる聖地巡礼でここを訪れる特撮ファンも数多い)。
第21話 噴煙突破せよ

  監督:樋口祐三
  脚本:海堂太郎
  特技監督:高野宏一
 死火山であるはずの大武山で多数の鳥の死体が発見された。更に大武山に登山中のハイカーから霧の中に巨大な目を見たとの報告を受け、調査のため科特隊はフジ隊員を派遣する。ビートルに乗り込んでいたホシノ少年と共に調査を開始したが、火口から生じたガスを吸ってしまい、二人は気絶してしまう。連絡の途絶えたフジ隊員を救うため、今度は全員出動した科特隊の前に巨大な怪獣ケムラーが現れるのだった。
 敵は毒ガス怪獣ケムラー。のそのそとはい回るその姿は決して強そうに見えないのだが、スペシウム光線が全く通じないなど、ウルトラマンに対してえらい強さを見せつけた。イデ隊員のマッドバズーカによって倒されている。
 今回はホシノ少年大活躍の回で、フジ隊員のビートルに潜り込んで、結果的にフジ隊員の命を助ける役を果たす。ただ、この話が実質的にホシノ少年の活躍する最後の回となってしまった。
 ウルトラマンが単独で怪獣と戦えなくなった時、化学特捜隊のサポートが重要になることが端的に示された話となった。
<ここでの舞台は大武山。これで毒ガスとは、なかなか先見性のある作品だった(違うって)>
VOL.6
<A> <楽>
第22話 地上破壊工作

  監督:実相寺昭雄
  脚本:佐々木守
  特技監督:高野宏一
 国際宇宙開発軍の技術指導のため選ばれたハヤタは科特隊パリ本部から派遣されたアンヌ隊員と共に本部に向かうことになった。だが、何故かその日から科特隊では一切の通信が出来なくなってしまった。福山博士は、電波妨害の源は科特隊内部にある事を突き止め、早速調査を開始したイデは電波を妨害する、ケリチウム磁力光波発生装置を発見し、破壊する。だが電波が直ってもハヤタとの連絡は途絶えたまま。ハヤタの安否が知れないまま、パトロール中のイデはアンヌ隊員を町で見かけるのだった。
 敵は地底人が操る地底怪獣テレスドン。パワータイプの怪獣で、科特隊のナパーム攻撃をものともせず(って言うか、ナパームで町を焼いてるじゃん)、怪力でウルトラマンを苦しめるが、最後は投げ飛ばされて絶命。それとハヤタをさらった凶悪地底怪人地底人。高度な科学力を誇る地底で生き続けてきた民族だが目が退化し、フラッシュビームの強力な光を浴びて倒れてしまった。
 地底が舞台と言うこともあってか、全編暗い雰囲気で構成された話で、昼間でさえすぐに画面が暗くなる。演出が面白い…と思ったら、なるほど実相寺監督か。そう考えてみると、カメラ・アングルも物陰から撮られてるのが多いような気がする。これこそが実相寺昭雄監督のカラーだな。
 ハヤタが地底人に捕まり、誰も助けのない中、催眠術をかけられた時は、本当に絶体絶命と言うやつで、一体どうなるのか?と思ったら、何のことはない。ウルトラマンとハヤタは別人格だから。と言うオチが付いてしまった。
 ところで地底人だが、ハヤタの持ってるベータカプセルをいじってる内にフラッシュビームがたかれて、そのあまりのまぶしさに絶命…って、馬鹿じゃないのか?いやそれ以前に目がないのにフラッシュビームをまぶしいと感じるのだろうか?
 ちなみに本作から、これまで舞台裏を支えていたカメラマンが内海正治から福沢康道に交代。これは映画畑出身でオーソドックスな画面作りを好む内海が実相寺監督のアングル取りに嫌気がさしたからとも言われている。
第23話 故郷は地球

  監督:実相寺昭雄
  脚本:佐々木守
  特技監督:高野宏一
 東京で国際平和会議が開かれることになり、パリ本部から応援に来たアラン隊員と共に警備のため科特隊も忙しい日々を送っていた。そんな時、見えない宇宙船からの攻撃により、船舶や飛行機が次々に炎上する。この見えない宇宙船はひかりの屈折によるものだと看破したイデにより3種類のスペクトル線発射により、目に見えるようになった宇宙船をビートルが攻撃。撃墜に成功する。そして破壊された宇宙船から現れる怪獣。それを見たアラン隊員は「ジャミラ」と呼ぶ。そしてアランは語り出す。ジャミラとは何であるのか。そして自分自身の任務を…
 敵は棲星怪獣ジャミラ。元々は怪獣の名前ではなく、人間の名前。世界各国で宇宙競争が行われていた頃の犠牲者で、人工衛星に乗せられたまま宇宙の彼方へ飛んでいってしまった人間の名前。漂流した星で姿が変わり、地球に対する復讐のために宇宙船をこさえてやってくる。その事実を隠匿しようとする科特隊パリ本部の命令で、人間ではなく怪獣として殺すことが命じられる。水が弱点で、ウルトラ水流を浴びせられ、最後に国際平和会議の開催されたビルに手を伸ばしつつ絶命。不憫な存在である。
 本シリーズは多くの良質物語を作り、更に多くの名台詞が登場していたが、本作はその中でも屈指の名台詞の数々を残している。ジャミラが自分たちの偉大なる先達であることを知り、更にそれを闇に葬り去ろうとしている人類のエゴに対し、イデの叫びが響く。しかもその脇で行われていたのが「国際平和会議」という皮肉さ。脚本家佐々木守氏の主張が遺憾なく発揮された回であった。通常コメディリリーフとして登場するイデ隊員が持つ熱い心を見事に描ききっていた。
 又、本作におけるカメラ・ワークも素晴らしい。特に最後のジャミラ絶命の瞬間。本当に泥だらけになりながら、何者かに向かって手を伸ばすジャミラ。そしてその手の先には国際平和会議のビルにある万国旗が…それをウルトラマンを敢えて写さず、あくまでジャミラを追い続けたのは凄い。
<アランはあの怪獣を観た途端「ジャミラ」と叫んでいた。よくあんなのをかつての同僚と分かったものだ…ひょっとしたらジャミラって本当にああいう姿だったとか?
 ジャミラの墓碑銘にはジャミラの生没年が「1960〜1993」と書かれているのに注目。どう考えても年代が合わない。大体何十年も前に宇宙に放り出されたはずのジャミラが30歳ってのはなかろう…これはあるいは宇宙に出た歳なのか?そうすると、やっぱり人類は怪獣化したジャミラを怪獣としてしか見てなかったことになる。それはそれで悲しい。>
第24話 海底科学基地

  監督:飯島敏宏
  脚本:藤川桂介
  特技監督:高野宏一
 海底資源の開発のため設立された海底センターに招かれたムラマツキャップとホシノ少年とジェニーという少女が海底センターに向かうが、何者かにパイプラインを破壊され、海底センターの総裁の4人が閉じこめられてしまう。刻一刻と酸素が少なくなっていく中、ムラマツは最後の決断を行う。
 敵は深海怪獣グビラ。イルカの目を凶悪にして、鼻にドリルをくっつけたような姿をしている。海底怪獣だが、地上でも(見かけによらず)敏捷に動き、ウルトラスラッシュをも簡単に防ぐ。主要武器で弱点のドリルを折られた途端情けないくらいあっけなくスペシウム光線で殺される。
 閉じこめられ、極限状態にある人間模様を描いた作品で、自分が助かるために醜くなってしまうオトナと、逆にそれを冷ややかに見つめる子供の対比が大変素晴らしい。そしてその中で、あくまでみんなの命を守ろうとするムラマツの決断はとにかく格好良い。正直、この作品に怪獣は必要なかったのでは?と思わせるほどだった。この短い間に極限状態の人間を描き、更に怪獣とウルトラマンの戦いまで描いたんだ。たいしたもんだ。
<今回のハヤタ、トータス号の中でウルトラマンに変身したんだが、一体どうやって外に出たんだ?しかも事が済むとちゃっかりトータス号の中に戻ってたし。>
第25話 怪彗星ツイフォン

  監督:飯島敏宏
  脚本:若槻文三
  特技監督:高野宏一
 未知の宇宙線を放射し、地球と僅かな差でとすれ違った彗星ツィフォンの危険性を憂慮した世界各国は核兵器の安全を図ることにしたが、かつてオホーツク海で紛失した水爆が6個あり、しかも丁度日本アルプスに極端な放射線が検出されていた…水爆探知機を持って日本アルプスに向かった科特隊の面々だったが、水爆を発見する前に、ツイフォンが地球に最大接近する時間がやって来た。水爆の爆発もなく安心するが、そこに怪獣ギガスが出現する。更に空からは水性ツィフォンから怪獣ドラコが飛来する。戦い始めた二体の怪獣だったが、更にそこには水爆を飲み込んだレッドキングが現れるのだった。
 敵は彗星怪獣ドラコ冷凍怪獣ギガス。そして再登場となるどくろ怪獣レッドキング。ドラコは惑星ツィフォンから飛来した宇宙怪獣。一方のギガスは上半身白色、下半身茶色の雪男みたいな怪獣。ハヤタの機転でこの二体は戦うことになるが、終始ドラコがギガスを圧倒。しかし後から登場したレッドキングのお陰でギガスは逃げ、レッドキングとドラコが戦う事になる。結局ドラコはレッドキングに羽根をもがれて敗れ去る。ギガスは結局乾燥ミサイルによって破壊され、レッドキングはウルトラマンのウルトラスラッシュにより輪切りに。
 オリジナルの放映はなんと1月1日。こんな日まで放映できた本作。なんと羨ましい。そしてやはり正月だけあってスペシャル版的な内容で、三体もの怪獣が登場している。
 色々見所が多い話で、最初に岩本博士が惑星ツィフォンを分析し、83%の確率で地球に激突すると計算する。その際、全然慌てることなく「最悪の場合、地球は消滅するだろうな」とか、無茶苦茶格好良いこと言ってくれる。さすがに芹沢(笑)。しかも次にツィフォンが地球に来る計算式を筆算で行ってる。とことん凄いな。一方、イデはイデで「こういう事もあろうかと」水爆探知機をあらかじめ作っておくは、乾燥ミサイルなるもんを作っておくはで、大活躍。又イデはドラコとギガスを戦わせている最中、「人間ってずるい生物だ。太古の昔から、こうやって我々人間だけが生き残ってきた秘密が分かったよ」と言う名言も残している。
 更にラスト。ムラマツキャップがフジ隊員に「コーヒーを淹れてくれ。いや、俺が淹れよう。おいしいやつをな」この台詞は仮面ライダーファンには結構嬉しいリップサービス…って、まだ放映してないけど
 怪獣が三体も出てきた割に、むしろ人間の方を見る方が楽しい話だった。
VOL.7
<A> <楽>
第26話 怪獣殿下(前)

  監督:円谷 一
  脚本:金城哲矢
      若槻文三
  特技監督:高野宏一
 中谷教授率いる学術調査隊は不思議な生態系を持つジョンスン島の調査を開始した。そこで幻の古代生物ゴモラザウルスを発見した。その生態系を調べたいと言う中谷教授の依頼で早速ジョンスン島にやってきた科特隊はUNG麻酔弾を用いてゴモラを眠らせる事に成功。折しも万国博覧会が開催されている日本まで空輸する事となった。しかし、6時間保つはずのUNG麻酔が5時間で効果を失ってしまい、神戸上空で暴れ始めるゴモラ。やむを得ずビートルは二千メートル上空でゴモラを切り離すが、六甲山に激突したゴモラは、まだ生きていた。しかも地底に潜り、科特隊の前から姿を消してしまった。たまたま六甲山に遊びに来ていた怪獣殿下とあだ名を受けるほどの怪獣大好きな治少年が友達を連れてきていたのだった。
 敵は古代怪獣ゴモラ。正式にはゴモラザウルスで、古代の恐竜の種族。文明と隔絶したジョンスン島で生息していたが、中谷調査隊により発見。学術調査のために日本に連れてこられるが、戒めを解いて大暴れする。更に尻尾が強力で、ウルトラマンをも撃退してしまう。
 このシリーズは様々な試みがなされているが、本作は凄い挑戦がなされている。なにせこの話、冒頭のこども達の台詞で、「怪獣がいるなんて信じてる奴いもんか」などと言わせているのだ。つまりこの話に関しては、これまでのウルトラマンの世界とは違った世界であり、実はテレビで番組を見ている現実の世界の話となっているのだ(怪獣殿下がなんとウルトラマンのお面をして遊んでいたり、ハヤタをウルトラマンと看破しているのが何よりの証)。時間が現実世界にリンクしているため、現実の大阪万国博覧会が登場したりする(と言っても開催は放映から4年後だが)。4年後に公開される『ガメラ対大魔獣ジャイガー』を先行した物語となっている。
 又、本作はシリーズを通し、ウルトラマンの最大のドジ。つまり変身中にベータカプセルを落としてしまうと言う事をやらかしてしまう。しかし、一体変身中のウルトラマンのどこにベータカプセルが収納されてるんだろうか?
第27話 怪獣殿下(後)

  監督:円谷 一
  脚本:金城哲矢
      若槻文三
  特技監督:高野宏一
 地中に消えたゴモラを警戒し、科特隊は大阪一帯に緊急避難命令を出す。やがてゴーストタウンと化した大阪に現れたゴモラに向かって科特隊の総攻撃が始まり、ついにゴモラの尻尾を切断することに成功した。しかし再び地中に逃れたゴモラは今度は大阪城に現れ、城を破壊し始めるのだった。だが、ウルトラマンに変身しようとしたハヤタは、ベータカプセルが無くなっていることに気づく…
 敵は前回に続いて古代海獣ゴモラ。前回ウルトラマンを圧倒するほどの攻撃力を見せたが、尻尾を科特隊に切られてしまい、攻撃力は激減。
 前後編の後編作だが、これは最早テレビとは思えないほどに凄まじい特撮シーンの連続で、まさに眼福と言ったところ。炎上する街と、暴れるゴモラ(切り離された尻尾まで暴れてる)。そしてなんと言ってもすさまじい大阪城の破壊。凄いぞこれは。前後編と言うこともあって、これを編集し直せば、劇場公開だって出来そうな出来の良さだ。
 それだけでなく、大阪の下町に住む人達の生活の描写も細かく、怪獣殿下の家庭もしっかり描いている。避難勧告を受けた怪獣殿下の父親が「どこへ出るか分からないもの、どこへ逃げたって無駄でしょ」などと言う台詞を言っている。
 監督の円谷は、この時点で最終回を予見し、フジとハヤタを絡ませようとしていた節があったらしいが、それはどうやら失敗。その話は「ウルトラセブン」に持ち越されることになる。
第28話 人間標本5・6

  監督:野長瀬三摩地
  脚本:山田正弘
  特技監督:高野宏一
 奥多摩の日向峠でバスの転落事故が続発していた。警視庁の依頼を受け、科特隊のムラマツとイデは事故が起こる正午に峠を通るバスに乗り込む。そして案の定事故が起こり、ムラマツとイデ、そして謎の女性だけが生き残った。不審な行動を取るその女性の尾行を開始したムラマツは、その女性が山頂にある宇宙線研究所で女性を見失ってしまう。一方、怪我のために入院しているイデの元に、その宇宙線研究所の所員秋山が助けを求めてきた…
 敵は三面怪人ダダ。地球人の標本を得るため、奥多摩にある宇宙線研究所を制圧。そこで6体の人間標本を持ち去ろうとするが、正体がばれてウルトラマンと戦う。その特徴は顔。三種類の顔を使い分けるのだが、問題はこの三種類の顔が何の役に立っているのか、全く分からないという点にある。
 ダダの大きさは変幻自在で、それに合わせてウルトラマンも等身大になる。「ウルトラセブン」でこそ等身大で戦うことは多いのだが、ウルトラマンではこの話のみ。これはダダのミクロ化機によるものとも、自分自身で小さくなったとも、どちらとも取られる。
<ところで、ここで登場したダダは一々上司に伺いを立てているのだが、なんとウルトラマンと戦っている最中にもわざわざ通信施設まで行って伺いを立てている。その間、ウルトラマンは一体何をしていたんだろう?変身したまま探し回っていたとすれば、かなり間抜けな姿だったと思うが。>
第29話 地底への挑戦

  監督:野長瀬三摩地
  脚本:南川 竜
      金城哲夫
  特技監督:高野宏一
 日本一の埋蔵量を誇る金山から、全く金が取れなくなった。そして廃坑から現れる金色の怪獣。科特隊は早速イデの設計した地底戦車ベルシダーと空中のビートルからの二面攻撃をその怪獣ゴルドンに加えるが、廃坑の中に逃げ遅れた人間がいることが分かり、その救出にベルシダーを用いることになった。そこで彼らが見たのは、ゴルドンが金を食べている姿だった。
 敵は黄金怪獣ゴルドン。地底怪獣で、科特隊もドリルの付いた地底戦車ベルシダーを用いて迎撃する。科特隊の攻撃だけで割合あっさりと撃退したかのように見えたが、実は地下にもう一体いた。この展開は結構意外で、効果的に用いられていた。『空の大怪獣 ラドン』では二体目のラドン登場がちょっと勿体なかったので、その反省が活かされていたのかも知れない。
 今回は怪獣が二体出たり、初の地中戦が展開したりと、色々変わった話だったが、その分ウルトラマンの活躍の場は少々少なかった。
VOL.8
<A> <楽>
第30話 まぼろしの雪山

  監督:樋口祐三
  脚本:金城哲夫
  特技監督:高野宏一
 怪獣ウーの伝説がある飯田山でいつも猟の邪魔をする雪ん子を追いかけた猟師は、雪ん子が伝説のウーを呼び出すのを見た。通報を受けた科特隊はハヤタ、アラシ、イデの三人を飯田山に派遣する。スキーで探索を開始した三人だったが、何者かによって掘られた落とし穴にハヤタがはまり、捻挫してしまった。犯人は雪ん子で、彼らの前に現れた彼女はウーは怪獣ではないと言い張る。
 敵は伝説怪獣ウー。この名称は元々「ウルトラQ」の前身である「WoO」で用いられるはずのタイトル。ここにそれを持ってきたか。雪ん子の言うとおり、これは怪獣ではなく、第20話のヒドラに続いて実体のない存在で、幽霊、あるいは山の神に近く、結局倒されずに消えてしまう。
 なんともファンタジックな話で、本シリーズが一話毎に色々な挑戦をしていたことが伺える。特にこの雪ん子の設定が泣ける。彼女は村の入り口で行き倒れになっていた女性が連れてきた赤ん坊で、雪の中、生き延びたが、そのために雪女の子と呼ばれ、村では疎ましがられる。更に雪に関しての事故があると全部彼女のせいにされてしまう悲しい存在。それを端的に現しているのが、後半、猟師が落とし穴にはまり、凍死して発見される描写があるが、これは前半でこども達が雪ん子を落とそうとして掘った落とし穴だと思われるのだが、なんとその罪がなすりつけられてしまったのが当の雪ん子。残酷な話である。
 最後、ウーが消えた後、雪の上に横たわっているのだが、彼女こそがウーそのものなのか、それとも、疎まれ続けた彼女を可哀想に思い、ウーが現れたのか、色々解釈できる。最後のシーンだって、気絶していたのか、それとも死んでいたのかも分からない。いずれにせよ悲しい存在だ。「ウーよ。ウーよぉ」という言葉がとても物悲しい。
 又、母親を早くになくしてしまったと言うイデがここでもおいしい役をもらっている。雪ん子に同情し、それをアラシに叱られるし、最後にこれは全て雪山の見せた幻ではなかったか?と綺麗にまとめている。
 ここでウルトラマンの顔がCタイプと呼ばれるマスクに変わる。前の二つと較べ、丸まりを帯びて穏和な顔つきになったが、それが今回の話と良く合っていた。
<ところで、ここでハヤタ、イデ、アラシのスキー風景が見られるが、この三人、スキーやったことが無いことがバレバレ。遠目であれだけ華麗にスキーを乗りこなしていながら、アップになった時の危なっかしいこと。>
第31話 来たのは誰だ

  監督:樋口祐三
  脚本:海堂太郎
  特技監督:高野宏一
 科特隊南米支部から帰還したゴトウ隊員を出迎える日本支部の面々。しかし彼の前ではライターやマッチの火がつかなくなったりと、些細ながら不思議な事件が起こっていた。一方、都内に急速に成長する不気味な植物が発生するという事件が起きていた。専門家の二宮博士によると、自力移動が可能で、動物の血を吸って生きる植物ケロニアらしいことが分かる。しかも、それを発見したのはゴトウ隊員の父だという。
 敵は吸血植物ケロニア。植物怪獣だが、高い知性を持ち、飛行機まで作って人間を征服しようとする。ん?だったら何でこんな時まで待ってたんだ?しかも南米原産なのにわざわざウルトラマンがいる日本まで来る必要は?あ、スペシウム光線を完全に防御できるから、ウルトラマンに挑戦しに来たのかも知れない…ただ、アタック光線によってあっけなく倒されるんだけど。
 結局ゴトウ隊員がケロニアの本体だったというオチで終わるのだが、そうすると、本物のゴトウ隊員はどうなったのだろう?ケロニアによって殺されたか?いやむしろ、父のゴトウ博士によって発見されたケロニアそのものが人間に擬態していたとするなら…この侵略は20年越しのケロニアの作戦だったのかも知れない。あっさりと蹴散らされたわけだが(笑)
第32話 果てしなき逆襲

  監督:鈴木俊継
  脚本:藤川桂介
  特技監督:高野宏一
 科特隊インド支部から休暇でパティ隊員がやってきた。そのエスコート権を得たハヤタは早速パティを刊行に連れ出すが、宮の森で突如大火災が発生。科特隊もかり出され、ハヤタも呼び出されてしまった。この火災の調査を行うことになったハヤタだったが、パティもそれに同行。そして二人は高熱を発するザンボラーを発見する…
 敵は灼熱怪獣ザンボラー。地を這う怪獣で、背中のヒレ状の突起から高熱を発する。伏せた状態で熱を発するため、ウルトラマンもなかなか近づくことが出来なかったが、うまいことひっくり返したら、あとはスペシウム光線で焼かれるだけだった。
 割とコミカルな話で、珍しいハヤタの女好きな面が明らかになる話。冒頭、パティ隊員を誰がエスコートするかでくじを引くシーンがあるが、ハヤタが作ったくじというのがインチキで、ちゃっかりエスコート権をハヤタが取ってしまう。そんなお茶目なところがあったんだね。
 物語としては、やや変化球だけど、変身したくても出来ないという変身ヒーローの苦しみも描かれている。
 この作品が本作品中最も火薬を使った話で、ザンボラーの中に入った鈴木邦夫はとても苦労したらしい。
<それと、休暇が散々なものとなってしまったパティ隊員が日本を去る際に日本で観たという三大名物。それは「地震、怪獣、ウルトラマン」なのだそうだ。インド人が見た日本の姿とはこれなのか?(絶対違う)>
第33話 禁じられた言葉

  監督:鈴木俊継
  脚本:金城哲夫
  特技監督:高野宏一
 ハヤタとフジ航空記念日のショーを見に行っていた。が、その時サトルは、「飛行機が空を飛ぶのは当たり前で面白くもなんともない」という不思議な声を聞くのだが、その直後、なんと飛行機もろとも船が空に吸い込まれるように飛んでいるのを目の当たりにする。しかも航空ショーを見に来た人間が次々と空へと舞い上がる。科特隊は、空に吸い上げられた航空機などが宇宙にいる事を察知するのだが、ハヤタ達3人を発見することが出来なかった。そして帰還した彼らの前に現れる巨大フジ隊員…その頃、宇宙船に閉じこめられたサトル少年の前に不思議な声の主、メフィラス星人が現れ、永遠の命を上げる代わり、「地球をあなたにあげましょう」と言ってくれないかと頼むのだった。
 敵は悪質宇宙人メフィラス星人。極めて高い知能とウルトラマンに匹敵する攻撃力を持つが、本人曰く「暴力は嫌い」なのだそうで、フジサトル少年に対し、「地球をあなたにあげましょう」と言って欲しいと頼み込んでくる(実際は地球ではなく、地球の心が欲しかったのだそうだ)
 今回はかなり凄いお話で、出てくる宇宙人もメフィラス星人を始めとして宇宙忍者バルタン星人(3代目)凶悪宇宙人ザラブ星人誘拐怪人ケムール人。更にそれに加え、フジ隊員が巨大化すると言うとんでもない事をやらかしてくれた。ウルトラマンの歴史は長いが、ヒロインが巨大化したのはこの時だけだろう(ウルトラマンカードで唯一「怪獣」として出ている人間でもあった)。
 しかも色々と考えさせてくれる。たった一言で永遠の命をもらえるとなると、一も二もなく言ってしまいそうだが、それを完全と拒否する少年の心!立派だぞ。お前が大人になったら日本も安泰だ…で、今の日本がある訳か
 今回はメフィラス星人とサトル少年の存在感が強すぎて、ウルトラマン(およびハヤタ)が相当に割り喰ってる。ハヤタはウルトラマンに変身しようとした途端メフィラス星人に固められてしまうし(サトル少年の心を高笑いしながら褒めるような真似するから)、ウルトラマンになったらなったで、メフィラス星人に傷一つ負わせることが出来ないし。そう言えばウルトラマンに変身できたのも、ムラマツキャップが固まったハヤタを突き飛ばしたお陰で偶然ベータカプセルのスイッチが入ったためなんだよな…しかし逆にそういう遊び心があるからこそ本作は名作たり得るんだが。
 後、凄くくだらないことなのだが、メフィラス星人の乗ってきた宇宙船って、バルタン星人の宇宙船とそっくり。3代目バルタンも登場してるので、メフィラスはバルタン星人から宇宙船を強奪したのだろうか?いやいや。実はメフィラス星人こそがバルタン星人の親分で、宇宙船を貸し与えていたと言う可能性もあるな。
VOL.9
<A> <楽>
第34話 空の贈り物

  監督:実相寺昭雄
  脚本:佐々木守
  特技監督:高野宏一
 この冬最後の雪が雨に変わった夜、晴海の埋め立て地に赤い火の玉が降ってきた。早速出動する科特隊が見たものは巨大な穴と、そしてそこから突如現れた火を吹く怪獣だった。スカイドンと名付けられた怪獣はビートルの攻撃を全く歯牙にもかけず、更にウルトラマンの攻撃さえも簡単にはねのけてしまう。何とかして地球からスカイドンを追い払おうとする科特隊の努力が始まった…
 敵はメガトン怪獣スカイドン。晴海の埋立地に降ってきた「空からの贈り物」。あまりにも重く頑丈な怪獣で、ウルトラマンが馬乗りになってぶん殴っても、眠そうな顔してるだけだし、投げ飛ばそうとしても逆にウルトラマンが潰されてしまうほどだった。
 この話は知る人ぞ知る、シリーズの中でも最高の異色作。「ウルトラマンをつくった男たち」で描かれてもいたが、その時は実相寺監督の進退問題にまで発展したとのことだった。しかし、どう見てもこれはスタッフが楽しんで作ってるとしか思えない。
 しかしながら言わせてもらおう。「よくやってくれた。流石実相寺監督&佐々木守!」ここまで笑わせてくれた、そしてツッコミどころ満載の作品を作ってくれてありがとう。凄く楽しかった。
 実際後のアニメや特撮番組でよく用いられるネタが満載で、この作品が後々に与えた影響は決して馬鹿に出来ない。
 特に作戦の最初にいきなり作戦名が文字で出てくるのはOVA版『機動警察パトレイバー』「4億5千万年の罠」でもちゃんと使われてた。
 キャップからの連絡受けたフジ隊員が大福を頬張って喉に大福を詰まらせるとか、更にその連絡が「赤坂まで傘を持ってきてくれ」だった。しかも恐るべき事にそんな無茶な命令を受けてハヤタがなんとビートルで傘を持っていき、空中で傘を落としてしまう。ちょっと待て!一体これでどれだけ金かかってるんだよ。しかもあんな上空から傘落としたら大惨事の可能性だってあるぞ。それをしっかりキャッチするのは流石というか何というか。
 それでええ?とか思ってたら、まだまだ
 いろんなものが空から降ってくる描写があったが、自殺者がビルから落っこちると言った、シャレにならないものまでしっかり映してる。「東京には人まで降ってくる」とナレーションが流れたと思ったら、次の場面でお墓になってるなんてシャレにならない描写がなされていたりする。
 それで怪獣がおっこってきたというので、夜中に科特隊が召集。イデとアラシはパジャマ、フジはネグリジェというなまめかしい(?)格好。イデに「枕を返してこい」と怒るムラマツキャップは流石…と思ったら制服が前後ろ逆
 最初の作戦が「ワイヤーロープ作戦」これはスカイドンにワイヤーをかけて3機のビートルで運ぼうというもの。しかし予想以上にスカイドンが重すぎて失敗。
 続いてワイヤーロープ作戦でビートルから放り出されたハヤタが変身したウルトラマンの攻撃になるが、ウルトラマンがどれだけ殴ろうとも、全く動じないスカイドン。なんと殴られながら眠ってしまう。おいおい無茶苦茶強いって事じゃないか!更にスカイドンを投げ飛ばそうとして潰されたところでは、マーチがいきなり間延びしてウルトラマンがつぶされてしまう演出もあり。全然歯が立たないまま活動限界が来て、格好良くポーズを決めて空へ…おいおい、それで良いのか?
 それで次の「オートジャイロ作戦」はスカイドンにプロペラを付けて宇宙に飛ばそうというものだが、最初っからプロペラで宇宙に行けるわけ無いじゃん。と言う無用なツッコミは無しにせよ、エネルギー切れで又落っこちてしまう。作戦成功と思ってビールで乾杯していた面々が絶望の表情を見せるのが又よろしい。
 更に次の「ロケット弾作戦」は、ガマクジラでも使われたもので、ミサイルをスカイドンにぶち込んで、宇宙に吹っ飛ばそうと言うもの。これもスカイドンが重すぎて失敗。後ろ足だけでまるでスキップしながら科特隊員に向かってくるスカイドンとそれから逃げ回る科特隊の面々。「剣の舞い」に似せた軽快な音楽が実に楽しげ。逃げながらアラシが「畜生。軽やかに踊ってやがる」、又イデが「一体僕たちはどこまで走れば良いんだろう」と言う台詞にキャップが「スカイドンに聞いてくれ」と返す言葉が良い。更にアラシを人身御供にしようとする面々の前で麻酔弾を撃たれて踊って寝ころぶスカイドン。こんな事を繰り返してたらアラシが切れるぞ。
 そして次の「怪獣風船化計画」ではスカイドンの尻の穴から(表現失礼)水素をたっぷり注入し、空に浮かべようと言うもの…おいおい。それでも成功するのが凄いところだが、自衛隊に連絡してなかったので、自衛隊機が風船と間違えて撃ち落としてしまう…何という間抜けな。それで空に浮かんだスカイドンを放っておいて、カレーを食べてる面々。ここでかの有名なベータカプセルとカレースプーンを間違えて変身しようとするウルトラマンの姿が出てくる。
 最後は春のうららかな陽射しで野点を楽しむ科特隊の面々にナレーションが被さる。「春になったら、もう嫌なものは絶対空から降って欲しくない。だって春だもん」…ちょっと待てよ。それナレーションじゃないだろ。
 何でもこれは実相寺監督の一種の挑戦で、「特撮のない特撮作品を作る」というコンセプトだったらしいが、流石にこれは多くのクレームが付いたらしく、この形に落ち着いたのだとか。
<本作でハヤタがベータカプセルの代わりにスプーンを持つのは有名な話だが、画面をよく見ると、カレーを食べてるシーンでは、ちゃんとスプーンを皿の脇に置いてから飛び出しているのが分かる。
 最後の野点シーンは14話で桜井の顔を魚眼で撮ってしまって雷を食ってしまった実相寺監督がお詫びのつもりで入れてくれたのだとは、桜井の言。>
第35話 怪獣墓場

  監督:実相寺昭雄
  脚本:佐々木守
  特技監督:高野宏一
 宇宙にあるウルトラゾーンをビートルでパトロールしていたイデとアラシは、その空間に漂っている怪獣達を発見する。それは地球でウルトラマンに倒され、宇宙に放り出された怪獣達。それはまさに怪獣墓場だった。それを知った科特隊は怪獣供養を発案し、仏式で怪獣達の供養が行われるのだが、ロケットセンターから発射された日本初の月ロケットに取り付いて一匹の怪獣が地上に落ちてきたのだ。シーボーズと名付けられたその怪獣に向かって攻撃をかける科特隊だったが、島のシーボーズはビルに登って空に帰ろうとしたり、哀しげな声で空に向かって鳴くばかり。シーボーズは怪獣墓場に帰りたがってるのではないか?と言うフジ隊員の言葉に、シーボーズを宇宙に返す作戦を開始する科特隊だったが…
 亡霊怪獣シーボーズ登場。ウルトラマン全怪獣の中で唯一テーマソングを持つ怪獣。もの悲しげな音楽がシーボーズのペーソスを演出してるよう。
 前回に続いての実相寺&佐々木コンビで、これ又シリーズ中の異色作である。しかし、このような作品を受け入れ、しかも質が高かったのが現在の日本の特撮の屋台骨となっているのは事実。実際本作は面白い。シリーズ中の名作と言っても良い。
 決して破壊行為を行わず(そりゃビルに登って落ちたら破壊行為になるかも知れないが)、哀しげな声で鳴くだけのシーボーズに情け容赦なく攻撃をかける科特隊の方が悪役に見えてしまうのがこの作品のミソだ。しかも全怪獣中唯一自分のテーマソングを持つというシーボーズの哀愁漂う音楽が又良い。一人でいる時のシーボーズが小石(?)蹴ったり、後ろ手に手を組んでうつむいて歩いてたりと、なんかとても寂しそう。顔つきが極めて凶悪であるにもかかわらず(「ウルトラマンをつくった男たち」では悪役として登場させようとしてた)、仕草だけでペーソスを演出するのは小憎らしい巧さだ。
 怪獣墓場だけが本当に怪獣が安らいでいられる場所。と言うフジ隊員。そのバックにはシーボーズのテーマと残酷に殺されていく怪獣達のモノクロの映像。その回観てる分には凄く格好良いシーンなんだけど、こういう演出されると、なんか科特隊が本当に悪者に見えてしまうのが面白い。しかもスチールの連続で見せるウルトラマンとシーボーズの戦いは、殆ど一方的にウルトラマンがシーボーズをどついてるだけで、これ又ウルトラマンが悪役に見えてしまう。二回目の戦いではなんとウルトラマンが手を振り上げただけで頭を抱えて怯える描写まであり。
 ところで最初に怪獣墓場を発見したイデとアラシはそれらの怪獣が「ウルトラマンに宇宙に放り投げられた」と言っていたが、そこに出てきたケムラーであれ、ネロンガであれ、アントラーであれ、ネロンガであれ、地球で殺されてるんだが…いつバラバラになった怪獣を宇宙に運んだんだろう?…あ、いや。そうか。地上に置くと何かとやっかいだから、パーツを分解して宇宙に投棄してたのか!(多分違う)
 日本初の月ロケットが登場するのだが、ブースター無しで宇宙に飛べる科特隊のビートルなら、月にだって行けそうなので、なんだか科学的なギャップが変。
 それに最後、ウルトラマン型のロケットにシーボーズをしがみつかせて宇宙に飛ばすのだが、傍らをウルトラマンが飛んでる。これだったら最初からウルトラマンが運べば?
 …いや、そんなツッコミはこの作品には無用だろう。
第36話 射つな!アラシ

  監督:満田かずほ
  脚本:山田正弘
  特技監督:高野宏一
 新しく出来た児童会館に立ち寄ったキャップたちは、そこの天井が突如崩れて6000万カンデラもの鋭い光が輝くという事件に出くわす。何日か経って例の児童会館の近くで光が観測され、地下から怪獣ザラガスが現れる。アラシはスパイダーで応戦するが、ザラガスの放つ光で目をやられてしまう。ビートルで攻撃をかける科特隊だったが、なんとザラガスは倒されれば倒されるほど強くなると言う特殊な怪獣だったのだ。攻撃を止められた科特隊だったが、街を荒らし回るザラガスに対し、アラシはイデの開発した新兵器QXガンで攻撃をかける。キャップはアラシから隊員の資格を剥奪し、謹慎を命じる…
 敵は変身怪獣ザラガス。背中に発光体を持ち、6000万カンデラという超強力な光を放射することが出来るのみならず、異常な打たれ強さを持ち、瀕死の重傷を負っても、それに耐えられるだけの肉体を改造して進化すると言うやっかいな敵。QXガンとスペシウム光線を同時に浴びてやっと死亡。
 初めてのアラシが主役の作品。そう言えばこれまで無かったんだな。他の隊員と比べて好戦的な性格してるから、主役にしにくかったのか?
 ここでイデの発明QXガンが登場。QXとは"Quickly Extinguish Gun"の略称で(だったらQEガンじゃないのか?)、怪獣の脳細胞を一瞬にして破壊するという物騒な携行用武器。日常任務をこなしながら、四年間もこれを作ってきたイデの傑作なのに、最初の攻撃でザラガスを倒すことが出来なかった。
 ザラガスの光をまともに浴びたため、目が見えなくなったハヤタだったが、ウルトラマンに変身するとちゃんと目が見えているみたい。これはおそらくハヤタとウルトラマンが別人格のためだろう。ウルトラマンになって光が放射されたらその時点でウルトラマンも目が見えなくなってたみたいだし。
 ところで最初にザラガスを倒すため、キャップが立てた作戦の名前は「ウルトラ十文字作戦」なのだが、それがどんな攻撃なのか画面ではよく分からず。名称からすると、怪獣の上で交差する形でビートルが怪獣に攻撃するってパターンなんだろうと思われる。
 最後にアラシにより科特隊員の誓い第4条が復唱される。「科学特捜隊員は命令を守り命令に従って行動し、自分に与えられた責任を果たします」最後に涙が出てくるのが良いんです。
第37話 小さな英雄

  監督:満田かずほ
  脚本:金城哲夫
  特技監督:有川貞昌
 銀座のデパートに突如ピグモンが出現した。早速出動する科特隊のフジ隊員はそれが多々良島で死んだはずのピグモン本人であることを察する。まるで焦ったかのように何かを科特隊に伝えようとしているピグモンに、イルカの言語分析の権威権田博士とイデが協力して翻訳機を製作する。そしてピグモンが語った事は、恐るべき事実だった。怪獣の酋長ジェロニモンが今まで倒された怪獣を復活させ、総勢60体以上の怪獣を日本に向かわせようと言うものだった。ピグモンの案内でジェロニモンの住処へと向かった科特隊が見たものは、再生されて暴れ回るテレスドンとドラコの姿だった…
 登場怪獣は友好珍獣ピグモン地底怪獣テレスドン彗星怪獣ドラコ。そして彼らを復活させた怪獣酋長ジェロニモン。テレスドンとドラコはマイナーチェンジしており、特にドラコは羽根が無くなり、頭には三本の角が生えている…なんかペンギンみたい。テレスドンはキャップ・アラシ・フジのトリプルショットで倒され、ドラコはピグモンの尊い犠牲によりイデのスパーク8で倒される。そして最後のジェロニモンはウルトラマンによって空中に浮かされた上でイデのスパーク8により倒される。ジェロニモンは念動力によって鶏冠状の羽根を次々と飛ばし、羽根をスペシウム光線で落とされてからは反重力光線により、ウルトラマンを翻弄する。尊い犠牲となったピグモンは科学特捜隊特別隊員の称号が与えられる。
 今回の主役はイデ隊員で、何を作っても怪獣を倒すのはウルトラマンだ。と言うことで、兵器担当の自分の存在意義が見いだせずに落ち込むイデ隊員が描かれる。これは誰しも思う疑問であり、そこに真っ向から突っ込んだ内容となっている。それでちゃんと科特隊に花を持たせる脚本は見事だった。
 他の作品と比べても、本作は人間側の努力に大きくスポットが当てられているが、それでも主役はウルトラマン。これを「こんなもんだ」とするのではなく、真剣に捉えたところがこの作品の偉大なところだった。
 イデの作り出したスパーク8の威力はすさまじく、ドラコとジェロニモンを完璧に粉砕する。これだけのものを作っても、やっぱりウルトラマンに対するコンプレックスがあるんだな。それに対し、一々怪獣の名前を挙げて科特隊がしたことを説明するハヤタの記憶は凄い。ここまでしっかり行ったことを把握してるなんて、感動もの。
 今回ウルトラマンは空を飛びながら長々とスペシウム光線を撃ったり、ウルトラバリアを張ったりと、大活躍するが、それらは全て科特隊に花を持たせるために行っているのが良いところ。最後、「やったぞ。ジェロニモンは俺がやったぞ」と喜ぶイデにひとつ頷いて空に飛び立つ。実に格好良いシーンだ。
VOL.10
<A> <楽>
第38話 宇宙船救助命令

  監督:円谷 一
  脚本:上原正三
  特技監督:有川貞昌
 謎の惑星Q星を探査するため、宇宙ステーションV2からプロスペクターが派遣された。だが、プロスペクターから送られてきた映像に映った謎の物体が凄まじい光を放ち、V2は交信不能に陥る。調査に向かった科特隊の前に、凄まじい光で目が見えなくなってしまった職員の姿が。しかも、強烈な光によってステーションが故障してしまっていた。20時間以内にBMヒューズを取り替えないとステーションは爆発してしまう。地球からここまで30時間はかかるが、Q星にあるプロスペクターにはBMヒューズが積んであることが分かり、早速科特隊はQ星へと向かうが、彼らの前に、戦う二体の怪獣が現れた。
 敵は砂地獄怪獣サイゴ光熱怪獣キーラ。サイゴは四本足の怪獣で、最初キーラと戦っていたが、キーラの光線によって地下に逃げ、その後科特隊の宇宙タンクの前に現れると、あっけなく宇宙タンクの攻撃で倒されてしまうのだが、このキーラが又強い。その攻撃は目から発せられる強烈な光のみなのだが、一発で人間の網膜を焼くのみならず、宇宙ステーションを機能停止に陥らせ、ウルトラマンさえも二発も食らえば動けなくなってしまう…そんな強烈な光線だったら、網膜どころか目そのものが破壊されてもおかしくないな。更にスペシウム光線は効かないわ、ウルトラスラッシュを後ろ向きで尻尾ではじき返すわ。もの凄い強さだ。結局最後はウルトラサイコキネシスという新技で倒される。キーラの造型も見事なものだ。どう攻撃しようかとウルトラマンが首を捻り、キーラの尻尾を持ってぐるぐる回り、目を回そうとするシーンがあり。しかし、ウルトラマンの方が疲れてしまい、肩で息してたりする。又、二度目の光線を照射しようと目を瞑ったキーラを前に、おろおろ慌てるとか。なかなか見所が多い。演技のみでコミカルさを演出出来ているのは凄いもんだ。
 宇宙を舞台とした科特隊の活躍が描かれる話で、今回は特にメカがてんこ盛り。宇宙船白鳥、宇宙タンク、プロスペクター、イデによる新兵器ニードルS80。そして宇宙ステーションV2(あれ?そう言えば「ウルトラセブン」で登場する宇宙ステーションはV3だぞ。その前のステーションだったのだろうか?)。他にも宇宙での戦いだからか、科特隊が銀色の宇宙服を着てるのも特徴か。
 そう言えばハヤタがウルトラマンに変身するのに、宇宙服からベータカプセルを取り出してるけど、こういう事態を想定いたんだろうか?なかなか用意周到だ。ウルトラマンはカラータイマーが点滅してるけど、ウルトラマンが活動限界を迎えるのは地上のみじゃなかったっけ?
 更に関係ないが、35話で初めて月ロケットが開発されたそうなのだが、いつの間に外惑星に行くようなプロスペクターが出来たんだろう?
第39話 さらばウルトラマン

  監督:円谷 一
  脚本:金城哲夫
  特技監督:高野宏一
 世界各地に無数の円盤が現れ、迎撃部隊を全滅させつつ日本へと向かっていた。科特隊のビートルと防衛軍の航空隊は次々と円盤を撃破していく。だが、その頃本部に残っていたフジ隊員を岩本博士が襲い、本部の設備を破壊してしまった。実はこの岩本博士、ゼットン星人の変装した姿だったのだ。指令を与えていた一機の巨大円盤を除き、全ての円盤を破壊した科特隊の面々が見たものは、破壊された本部の姿だった。科特隊は岩本博士に変装したゼットン星人を倒したものの、彼は最後に「ゼットン」と言い残す。そして生き残った巨大円盤から現れたのは、強大な敵、ゼットンだった。
 いよいよ最終回。その盛り上げ方は尋常でなく、ストレートな侵略ものに、ウルトラマン最大の危機。そしてあまりにも強力な怪獣ゼットンの出現。と、ストーリーで言っても、ヴィジュアル的にも素晴らしいものに仕上がっている。
 見所が多い本作だが、先ずこれまでサポートに徹していた岩本博士がとても目立った回となった。この怪演は、流石平田昭彦!無表情でフジ隊員の首を絞め、基地を破壊していく…しかし、正体を現した変身怪人ゼットン星人ってケムール人では?
 そして現れる宇宙恐竜ゼットン。科特隊本部を狙うが、ウルトラマンのリング光線で足止めされるものの、そのままウルトラマンを攻撃。テレポーテーションを使うわ、ウルトラスラッシュはあっけなく弾かれるわ、スペシウム光線さえ吸収して、ウルトラマンに向かって撃ち返し、カラータイマーに命中させてウルトラマンを殺してしまう。無敵のはずのヒーローが本当に死んでしまう!まさに最終回にふさわしい最大の演出だった。そこで流される回想シーン
 そして本物の岩本博士からアラシが手渡されたペンシル爆弾。なんとこれ一発でゼットンは爆発。
 そしてその後に現れるゾフィ。
 最後はこども達の声で「ウルトラマーン」と呼びかけ、ナレーションで「ウルトラマン、さようなら」…いやあ、ぐっとくるねえ。

 名言も多い。フジ隊員の「ウルトラマーン、死んじゃ駄目。立つのよ。起きあがって。ウルトラマーン。あなたが死んでしまったら地球はどうなるの。ウルトラマーン」。アラシの「頑張れよ。立つんだ」。ゼットンを倒したイデの「やった。我々の勝利だ」。ナレーションで「ウルトラマン、立て」と叫ぶのにエコーがかかってるのも良し。ゾフィが現れた時、「光の国の使いだよ」と言う岩本博士(あんた、そんな事情通なのか?)「さあ、光の国へ帰ろう」とウルトラマンを誘うゾフィに対し、「私の身体は私だけのものではない」というウルトラマン。そしてゾフィは名言「地球の平和は人間の手でつかみ取ることに価値がある」と返す。そして2万年も生きたのだから、私の命をハヤタにやろう。と言うウルトラマンに対し、これ又名言。ゾフィの「私は命を二つ持っている」。そしてムラマツキャップの「地球の平和は我々科学特捜隊の手で守り抜いていこう」…最終回だけに名言の目白押し。

 ゾフィの語る「地球の平和は人間の手でつかみ取ることに意味がある」という言葉は重い。ウルトラマンはあくまで平和の手助けをしただけなのだ、という脚本の金城哲夫氏、監督の円谷一氏両氏のメッセージだったのだと思える。

 ただ、ちょっと皮肉な事も考えてしまう。
 ゼットンの攻撃を受け、前のめりにぶっ倒れたウルトラマンが、ゾフィの来た時は仰向けになっていたのは何故?とか。
 ゾフィは最初登場した時、ウルトラマンに対し、「ウルトラマン」と呼びかけるが、あれ?これってハヤタが勝手に名付けた名前じゃなかったか?更にそのまま光の国に帰ることを提案してるが、彼にとってはハヤタはどうでも良かったのか?
 それに、あんなにあっけなくゼットンを倒したペンシル爆弾。岩本博士がドジ踏んでなければ、ウルトラマンは死なないで済んだはず。しかも「しまった。昨日完成した新兵器を持っていってもらおう」とは…これさえ渡していれば…渡さなかったからこそ、この作品は成り立つんだが。
 ムラマツの最後の台詞「地球の平和は我々科学特捜隊の手で守り抜いていこう」…この台詞は格好良いけど、次のシリーズではウルトラ警備隊になってしまってるのはどういう事だ?
 最後にハヤタは龍神湖で赤い玉にぶつかった時から全ての記憶を失った事が分かる。と、すると、ウルトラマンは見事に無実の人間を殺したことを隠し仰せたというわけだ。完全犯罪だな。