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仮面ライダー龍騎

仮面ライダー龍騎事典
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 2002'2'3〜2003'1'19

 平成仮面ライダー3作目。これまでの2話が比較的オーソドックスなヒーロー作品の体裁をしていたのに対し、ここで大きく路線変更。なんと13体も登場する仮面ライダー同士が戦い会うというバトルロイヤル方式へと設定を変えた(テレビ本編では10体のみ登場)。これまでのフォーマットから離れた作風は賛否両論だったが、若い特撮ファンの大きな支持を受け、以降のシリーズ存続は本作あってのこと。その意味では相当エポックメイキングな作品だったことは確か。実は私も本放送の時は否定的な思いしか持ってなかったのだが、改めて観直してみたら、相当に面白い事を発見した口。
 意外なことだが、平成シリーズでは初めて劇中で「仮面ライダー」という呼称が使われた作品でもある。
 海外でもかなり評価が高く、後にアメリカで「ドラゴンナイト」としてリメイクまでされた。
 全部とは言わないが、各話タイトルの多くは映画のタイトルから取られている。

主な登場人物
城戸真司
仮面ライダー龍騎
(役)須賀貴匡。代表作は本作だが、多くのテレビドラマに出演中。
 仮面ライダー龍騎に変身する青年。人が争うのを観るのが嫌いなため、ライダーバトルを止めようと躍起になる。
秋山蓮
仮面ライダーナイト
(役)松田悟志。テレビ、映画等に出演中。「龍馬伝」では土方歳三役で出演している。リメイクの「仮面ライダードラゴンナイト」ではレン役として声の吹き替えもしている。
 仮面ライダーナイトに変身する青年。恋人の命を救うため比較的早い内に仮面ライダーとなり、全てのライダーを倒す気概には溢れていたが、心の奥では戦いを忌避している部分もある。真司の良き相棒…と言うより、真司の方が相棒なのか?
神崎優衣 (役)杉山彩乃。代表作は本作。夫は漫画家の藤沢とおる。
 神崎士郎の妹。行方不明の士郎を捜し、兄が開いてしまったミラーワールドを封印する運命を背負った女性。真司と蓮を現実世界でサポートしている。こどもの頃からミラーワールドを覗く能力を持っていたが、実はそのミラーワールドを作った張本人だったこと、そして今の自分がミラーワールドから来た存在である事を知ることになる。
神崎士郎 (役)菊地謙三郎。本作がデビュー作。その後2007年に俳優引退。
 優衣の兄。優衣が見られるミラーワールドを開くためにカードデッキを開発する。ライダーバトル最終戦となる仮面ライダーオーディンのマスター(本人にあらず)であり、ライダーバトルに勝利することによって優衣をこの世界にとどめることを願っている。
仮面ライダーゾルダ
北岡秀一
(役)小田井涼平。本作がデビュー作で、現在は舞台俳優として活動中。「ULTRASEVEN X」ではディー役を演じている。
 仮面ライダーゾルダに変身する弁護士。どんな困難な物件でも依頼通りにこなすというスーパー弁護士だが、その分胡散臭い噂も絶えない。実は死期が近づいており、生き延びるためにライダーバトルに参戦する。自分勝手な性格ながら、基本的には善人。
仮面ライダー王蛇
浅倉威
(役)萩野崇。舞台を中心に活躍しているが、テレビでも出演作多数。特撮では何といっても「超光戦士シャンゼリオン」主人公の涼村暁役が印象に残る。
 元凶悪犯で、刑務所に収監されたところをライダーにスカウトされた。とにかく好戦的で、戦っていないと苛ついて仕方がないらしい。このライダーバトルで最も多くのライダーを倒した存在でもある。
大久保大介 (役)津田寛治。主にテレビで活躍中だが、映画では2002年にブルーリボン助演男優賞も得ている(『Dolls』『模倣犯』そして『劇場版 仮面ライダー龍騎 EPISODE FINAL』の演技が認められ)。「牙狼-GARO- 〜闇を照らす者〜」では金城滔星役を演じる。
 OREジャーナル社長兼編集長。真司の大学の先輩であり、口は悪いが面倒見は良い。いくつもの問題を抱えつつも、雑誌を続けていく。
桃井令子 (役)久遠さやか。代表作は本作。
 OREジャーナルの敏腕記者。鼻が利き、事件現場に一番乗りすることも多いが、その分危険な目にも遭っている。何故か北岡秀一に気に入られ、デートのお誘いを幾たびも受ける事になる。
島田奈々子 (役)栗原瞳。本作が本格デビュー作。
 OREジャーナルに勤めている女性で天才的なコンピュータ技術を持つ。不思議な存在感があり、無表情に真司をからかったりする。趣味は遊園地通い。
神崎佐奈子 (役)角替和枝。舞台俳優だが、テレビ・映画の出演作も多数。
 優衣の叔母で育ての親。カフェ花鶏のオーナーだがいつも冒険を求めて世界中を渡り歩いており、その間の店は優衣に任せっきり。
話数 タイトル コメント DVD
第1話 誕生秘話

  脚本:小林靖子
  監督:田崎竜太
  アクション監督:宮崎 剛
 半年ほど前から頻発する行方不明事件。今日も一人の女性が忽然と姿を消した。実はこの世界には鏡の中にもう一つの世界“ミラーワールド”が存在し、そこから現れたモンスターが人を捕食していたのだ。この事件を追っていたOREジャーナルの見習記者城戸真司は、失踪現場で不思議なカードを拾うのだが…それが全ての始まりだった。
 敵はディスパイダー。ミラーワールドのモンスターで、完全にCGによる巨大モンスター。仮面ライダーナイトによって倒される。
 仮面ライダー同士のバトルというこれまでにない設定で始まった本作。今回は顔見せ程度とはいえ、仮面ライダーナイトと、主人公の真司が変身する龍騎のブランク体が登場。
 謎のモンスターに襲われると言う事で、この話はちょっとホラー風味に仕上げられており、この世界に違和感を持ち始めた真司がその恐れを超えて戦いに赴くまでが描かれることになる。真司が変身した仮面ライダーも全然弱いまま。
 とりあえず第一回と言うことで風呂敷を広げた。と言った風情。話は全然見えてこない。
<ミラーワールドに“落ちる”描写があるが、単に腕を振り回すだけで落ちてるようには見えないのがなんとも。>
VOL.1
<A> <楽>
第2話 新しい命

  脚本:小林靖子
  監督:田崎竜太
  アクション監督:宮崎 剛
 ミラーワールドに入ってしまい、訳の分からない真司に容赦なく襲いかかるドラグレッダー。幸いナイトと行動を共にすることで現実世界に戻ることが出来た真司。そんな真司に語りかける一組の男女。男の名は蓮。先にミラーワールドで仮面ライダーナイトとなった青年であり、女の名は優衣と言い、士郎という人物を捜しているという。
 敵はディスパイダーリ・ボーン。先にナイトに倒されたディスパイダーが復活した姿。ドラグレッダーと契約した龍騎に倒される。
 本当の意味で龍騎が誕生した話。一話目から執拗に真司を狙っていた龍型のモンスター、ドラグレッダーと契約することで、これまでの黒いブランク体が赤い姿へと変わった。
 この世界にミラーワールドという鏡の中の世界が存在し、そこでモンスターが人間を襲うという事実は明らかになったものの、今のところ謎はまだまだ明かされてない。OPに意味ありげに登場する優衣にしても、本当に味方なのかどうかも不明だし、蓮に至っては、とらえどころがなさ過ぎる。そもそもミラーワールドなる世界は今まであったのか、突然存在したのかもよく分からない。
<1話目を観る限り、ドラグレッダーは一人食い殺してるように思えるんだが、正義の味方がそんなのを仲間にしてしまって良いんだろうか?
 自らミラーワールドに深く関わらねばならない運命を持ちながら、仲間を必要とし、しかし他人を引き込むことに躊躇を覚える優衣。とても複雑な役回りなのだが、それを演じるには、杉山彩乃はまだちょっと実力不足かな?単にぶっきらぼうにしか見えない。>
第3話 学校の怪談

  脚本:小林靖子
  監督:石田秀範
  アクション監督:宮崎 剛
 龍騎に変身は出来たものの、まだ不慣れな真司は突然襲いかかってきたナイトの攻撃をいなすことが出来なかった。優衣の介入のため、とどめは刺されずに済んだ真司は現実世界で蓮に詰め寄る。その夜、何者かに呼ばれるように移動する真司だが…
 敵はギガゼール。レイヨウ型のモンスターで、スピードを活かしてハサミ状の刀で攻撃する。
 仲間だと思っていたナイトに突然襲われ、ライダーは共存できないという事実を知らされる。真司自身は単純にモンスターから人を助けたかっただけなのに、そんな戦いに巻き込まれてしまったことを悔やむ真司の姿もあるが、それでもライダーを倒すのではなく、人を救うためにライダーに変身すると言い切っている。
 そして優衣にはお兄さんがいると言うこと。そのお兄さんがライダーと何らかの関わりがあることが発覚した。この辺で大体の構造が見えてきた感じ。
<真司を救うためにガラスを割った優衣は3万円を弁償しなければならなくなる。それで蓮は「お前を救うためだったんだから、お前が払え」と宣言。論点が無茶苦茶おかしい。
 「OREの行くところについてくるな」と真司に言う。どっちかというとストーキングしてるのはこいつじゃないのか?
 狭い学校の中庭でソードベントを使ったところ、背景は高層ビル街だった。>
第4話 学校の怪談2

  脚本:小林靖子
  監督:石田秀範
  アクション監督:宮崎 剛
 度々事件現場に現れる蓮のことがどうにも信じられなくなってきた真司。それでも敵は複数いるという蓮の言葉を信じ、学校を見張るのだが…
 敵はギガゼール。極端にスピードが速く、ライダー単体では捕捉することも困難。
 前回の話の続きだが、実際それ以上の何者でなし。強いて言えば、真司がアパートを追い出されて、会社で寝泊まりする羽目になったことくらい?
 モンスターは契約してもやっぱり隙あらば人間を襲おうとしているかも知れない?と疑問に思う真司だが、実際はそんな事はなかったし、蓮も色々言ってるけど、やっぱり人を守ってると言う事が分かった。どうも蓮と真司の関係がぎくしゃくしっぱなしなので、爽快感が全然ないのが残念。最後の最後でなんか妙に仲良くなってるという事実はあるものの…
 物語として悪い訳じゃないんだが、今ひとつ入り込めないのは、やっぱり真司と蓮の関係の問題かな?
<あれだけ通り魔だとか言われてながら、問題なく学校が開校してるのもなんだが、平気で第三者が学校に入れる小学校ってのも問題あるぞ。>
第5話 骨董屋の怪人

  脚本:小林靖子
  監督:長石多可男
  アクション監督:宮崎 剛
 行方不明者が続発しているというアンティークショップへと取材に行った令子が何者かに襲われ、入院した。その令子を救ったという須藤刑事に、少々違和感を感じる真司。
 敵はボルキャンサー。仮面ライダーシザースの契約モンスターで、須藤が不必要と感じた人間を次々にミラーワールドに引きずり込んでいた。
 蓮との話が一段落し、新展開で新しいライダー仮面ライダーシザースが登場する話。シザースは明らかに好戦的でライダーをつぶそうとしているが、一方では策士でもあり、真司からライダーの事を聞き出す。
 冒頭でカードデッキを作ったのが結の兄であること。現在行方不明となっている事などが分かったが、何故ライダー同士が戦わねばならないのかは真司には不明。
 そんな隙がシザースに付け入れられてしまった話となる。現時点では主人公の真司は蓮の足を引っ張ることしかできておらず、主人公としてはもどかしい限り。戦うつもりが無いだけに龍騎も弱い。
<須藤刑事役の木村剛はほぼ素人のようで、台詞がほとんど棒読み。
 最後にミラーワールド内で加賀の死体を見て愕然とする蓮。顔知ってたの?>
VOL.2
<A> <楽>
第6話 謎のライダー

  脚本:小林靖子
  監督:長石多可男
  アクション監督:宮崎 剛
 突如龍騎に襲いかかる謎のライダー。先に襲われた蓮はそれが仮面ライダーシザースによるものと知り、その正体に考えを巡らせていた。そんな時、優衣の元には須藤刑事が聞き込みに来ていた…
 敵は仮面ライダーシザースとその契約モンスターのボルキャンサー
 初登場した悪のライダーの正体が発覚。それは刑事の須藤だったわけだが、前回の時点であとこの人しか残った候補がいないため、それ自体は何ら不思議はない。ただ、ベルトが破壊されたライダーは契約モンスターに喰われてしまうということが分かった。もとより死人が多数でる作品ではあるが、ライダーがモンスターに喰われて殺される描写など、朝のテレビでやる内容ではないな。
 ミラーワールドの戦いに迷いっぱなしの真司だったが、ここで改めて「モンスターと戦うためにライダーになる」と決意を表した。今回もシザースではなくボルキャンサーを倒す。
 ラストで銃器を扱う新しいライダーが登場。思わせぶりにモンスターを倒していた。
<優衣をさらった須藤を追う蓮は、あっという間に須藤の車を発見。それどころか真司まで合流している。この町にはほかに人がいないのか?>
第7話 新種誕生?

  脚本:井上敏樹
  監督:田崎竜太
  アクション監督:宮崎 剛
 真司は仕事中に事故に遭いそうになり、その際北岡秀一という弁護士と出会う。一方、育て親でカフェ花鶏オーナーの叔母の神崎紗奈子と再会する優衣。だが、ずれた感覚を持つ紗奈子をもてあまし気味。
 敵はゼブラスカル・ブロンズ。シマウマ型のモンスターで、前回ラストでゾルダと戦っていた。ミラーワールド内では体をいったんバラバラに分解させて神出鬼没で現れる。そして仮面ライダーゾルダ。今回で弁護士の北岡秀一が変身することが発覚した。
 新しいライダー、仮面ライダーゾルダ登場の話。前半部分はシザース撃退後の真司と蓮の日常生活が描かれ、その合間合間に北岡秀一の話が挿入されていく。映像技術的にはいろいろ凝った挑戦がなされてもいる。妙に気の抜けた牧歌的な風景と、戦いの対比がうまく取られている。
 新登場のゾルダに関しても、この一話だけで「いったい誰が?」と思わせて、きちんと回収してる。話のバランスも結構良し。どうも演出的にはっきりしない本作で、初めて見応えのある話だった気もするな。
<優衣に笑え。と言う紗奈子。それ自体は間違ってないが、この人の笑みってとても不自然。それを売ってるんだろうけど。
 いかにも新しいライダーっぽく登場した吾郎ちゃん。口笛が下手なんだから、吹かさない方が良いのに。
 ところでタイトルの「新種誕生」って何の意味があるんだろう?>
第8話 4人目ゾルダ

  脚本:井上敏樹
  監督:田崎竜太
  アクション監督:宮崎 剛
 新しいライダー、ゾルダの登場に警戒を強める真司と蓮。一方、真司は令子に連れられ、排水を垂れ流している疑いのある工場の取材を始めたのだが、そこで仮面ライダーゾルダに変身する北岡秀一と出会うのだった。
 敵はゼブラスカル・アイアン。今度は龍騎によって倒された。
 四人目のライダー、ゾルダとの折衝が描かれる話なのだが、北岡秀一がライダーバトルに参戦するのは、自分の欲望である「永遠の命」を叶えるためだと語る。その素直さになんか憎めない真司。結局この二人はかなり長いことつきあうことになる。
 OREジャーナルとして、スクープを狙う令子だが、それは空振り。なんか真司だけは一方的に盛り上がっているのが妙にかわいそうだが。
 いつの間にかカフェ花鶏に居候を決め込む真司だが、蓮までが転がり込んできて、結局三人で同じ家に住むことになってしまった。それで不器用な真司となんでも起用にこなせる蓮の差が表れるようになる。
 結果的に、この時点で主人公格が三人になったという事になるが、既に出過ぎって感じはあり。だんだんお祭り状態になっていく…
 北岡秀一の妙にバブリーな言動と言い、ラストシーンで突然ライダーの襲撃を受けて次回に続く。まさしくこれは井上脚本だ。ただ、物語自体が悪い訳ではない。
<製薬会社の工場が垂れ流す煙は七色に輝いている。これって『天国と地獄』だよね?しかし今時煙突使う製薬会社なんてどこにあるんだろう?
 変わった写真をOREジャーナルに送っていた大森は単なる愉快犯であることが分かったが、製薬会社に恨みがあったとか、そっちの方に持っていくと思ってたが、これもスルー。やっぱり脚本家のせいか?>
第9話 真司が逮捕?!

  脚本:井上敏樹
  監督:石田秀範
  アクション監督:宮崎 剛
 ゼブラスカルを倒した龍騎を突然襲うゾルダ。銃に追われつつ、なんとかリアルワールドに戻ることが出来た真司は怪我を負ってしまう。仲間たちにそれを知られないよう努める真司だが、翌日OREジャーナルの島田が突然誘拐されたと告げられ…
 敵はワイルドボーダー。イノシシ型のモンスターで、突撃力に優れる。
 今回も北岡秀一がらみ。間違いで逮捕されてしまった真司が龍騎であることに気づいた秀一は、そのまま牢に入れてしまおうとする。
 今回はモロにライダー同士の戦いがメインとなり、龍騎とゾルダ、ナイトとゾルダが次々に戦っている。モンスターも出てくるものの、
 なんか独特の存在感を放っていたOREジャーナルの島田奈々子が話の中心になっている。人間に対してはそっけないが、遊園地好きでぬいぐるみにキスをするなど、やっぱり不思議な人物だ。
 しかし、物語展開のいい加減さと良い、簡単に主人公が逮捕されたり次々と面会者が現れたりするとか、実にこの脚本家がやりたいことが詰まってる話だ。手っ取り早く言えばつまらない訳だが。笑わそうとしている部分が全然笑えず、単純に一人の人間をいたぶってるだけにしか見えない。ま、井上だから仕方ない。
<弁護士と呼ばれる職業の人はとてもたくさんいるのに、何でもかんでも秀一に依頼が来るのは変じゃね?>
VOL.3
<A> <楽>
第10話 ナイトの危機

  脚本:井上敏樹
  監督:石田秀範
  アクション監督:宮崎 剛
 ミラーワールドでゾルダと遭遇し、ボロボロに傷ついた蓮。その前に平然と秀一が現れ、真司を助けたことにたいしてなじる言葉をかける。そして秀一は刑務所にいる真司の不利になるような証言を次々としていく…
 敵はワイルドボーダー。ゆかりを連れ去ろうとしたが、ミラーワールドで龍騎とナイトにいたぶられ、最後はゾルダのエンド・オブ・ザ・ワールドで吹き飛ばされた。
 北岡秀一編が続く。二面性を持ち、蓮や真司に対してはとことん嫌味な奴になる秀一だが、実はかなり重いものを抱え、自分の命を長らえるために必死になっていることが分かる。
 一方、刑務所に入れられた真司を救うため蓮や優衣が一生懸命働いてる。蓮はかなり嫌味なことばかり言っているし、秀一からは「青臭い」とか言われながら、それでもしっかり心配してるところが面白い。
 それで島田を誘拐したのが誰か。と言うと、秀一の事務所に度々訪れていたゆかりという少女の父親だった。それで簡単に真司は釈放されるわけだが、この世界の司法はすごく単純らしい。きっと話の都合で簡単に死刑にもできるはずだ。
 普通のOLを誘拐して、しかも会社に身代金を要求する誘拐犯人の不自然さがあったが、それはOREジャーナルに恨みを持つから。と説明される。でもやっぱり不自然だよな。 
第11話 謎の無人電車

  脚本:小林靖子
  監督:長石多可男
  アクション監督:宮崎 剛
 ゾルダのファイナルベントエンド・オブ・ザ・ワールドの乱射を受けた龍騎とナイト。現実世界に戻ることができたものの、蓮はこれまでの記憶を失っていた…
 敵はゼノバイダー。カミキリムシ型のモンスターで、背中に背負ったブーメランを攻撃と防御どちらにも使ってくる。
 蓮の記憶喪失ネタ。今の時代にこんなベタなネタやるとは…性格は変わってないので、誰にも噛みつくのは相変わらず。実生活でも喧嘩を買いやすい人物のようだ。そんな中で記憶を取り戻そうとする蓮の苦悩が描かれていく。結果として蓮という人物がどんな生活をしていたかが描かれることになった。
 一方、OREジャーナルでは令子が無人電車の取材に出かけてまたしてもミラーモンスターがらみの事件に巻き込まれてしまう。この人も何かとこの手の事件に遭遇しやすく、都合よく使われてる。
 そんな蓮を心配する真司の姿が健気。善人だからどうしても放っておけない性格をよく示しているが、不器用なために、周囲に迷惑をかけっぱなしになってしまう。
 とりあえず今回で龍騎のドラグレッダーに餌をやることができて、まずは一安心といったところか?
<特撮だから。というのが最大の理由とは言え、前回までの誘拐および殺人事件の事は完全スルー。特にこの作品はそれが顕著だ。メインライター二人が自分独自の世界を展開してるから、話が分裂してるし。
 電車に人がいなくなったのは、浮浪者風の人物が乗っていたからとあたりを付ける令子。でも普通に話しかけるあたりはやっぱりジャーナリスト魂?それとも単なるご都合主義?>
第12話 秋山蓮の恋人

  脚本:小林靖子
  監督:長石多可男
  アクション監督:宮崎 剛
 徐々に過去を思い出しつつあった蓮は「清明院大学」と言葉を残して出て行く。その頃当の清明院大学では優衣が兄の神崎士郎が属していた江島研究室について調べていた。一方、OREジャーナルでは電車から人がいなくなるという怪現象を追っていたが…
 敵はテラバイター。カミキリ型のモンスターで、背中のブーメランで攻撃する。龍騎とナイトのファイナルベントを連続で食らって爆死。女性型。
 蓮が何のために戦っているのか、蓮と神崎士郎が過去どこで接触したかが描かれる。これまでぶっきらぼうで何を考えてるのか分からない蓮がどんな過去を持っていたのかが分かる。
 蓮には恵里という恋人がいたが、彼女が神崎士郎の研究室にいたことが分かる。江島研究所は一年前に壊滅状態になり、その事故に巻き込まれて意識不明になってしまった。その際士郎より、恵里を助け出すためには戦い続けるしかないことを告げられたらしい。
 話自体は良いのだが、肝心の主人公が邪険にされ、ボコられ、倒した敵のエナジーを横から奪われてしまうという展開はいかがだろうか?
 真司が新たに蓮に付けたあだ名。「どんな時にも敵を作れる男」だそうだ。
<蓮の思い出の中の恵里はソフトフォーカスと星が散ってる…ハードなふりをしてる蓮も、実は結構乙女趣味があったりして?
 電車乗客消滅がテラバイターによるものだとすれば、謎は全く分からないまま終わってしまったことになる。>
第13話 その男、ゾルダ

  脚本:小林靖子
  監督:石田秀範
  アクション監督:宮崎 剛
 いったい兄が何をしたのか。恨みの言葉を残し死んだ江島の言葉が優衣はどうしても気になっていた。一方記憶を取り戻した蓮は真司や優衣と距離を置きたがる。突然家を出てしまった蓮が出会ったのは手塚海之という占い師だった。
 敵はデッドリマー。猿型のモンスターで、額にある三つ目の目でターゲットを捕らえ、素早い動きでミラーワールドに引きずり込む。銃に似た飛び道具まで使用する。
 一応蓮の記憶喪失の話が終わり、物語は新展開へと向かう。新しく仮面ライダーライアとなる手塚の登場と、ゾルダの再登場。もはや秀一は主人公の一人として確定した感がある。
 そういえば真司はゾルダが誰だったかまだ知らなかったらしい。勘違いして吾郎に突っかかっていったり、痛々しいばかり。多分この主人公の情けなさが本作の味で、それが全然面白く思えない部分なのだろう。
 盛り上がるようで盛り上がらないのは本作の特徴とも言えるが、せっかく新しいライダーが出ても、燃える展開にならないのは、設定上の難点じゃなかろうか。
<ゾルダが出てきたときから、なんかそんな気がしたんだが、本当にタイトルでこれ使うか?>
VOL.4
<A> <楽>
第14話 復活の日

  脚本:小林靖子
  監督:田崎竜太
  アクション監督:宮崎 剛
 ミラーワールドで図らずもゾルダを撃破した龍騎。そしてリアルワールドに戻ってきた真司が見たものは、重傷を負う吾郎を介抱する秀一の姿だった。一方、ライアと痛み分けに終わった蓮は、敗北感に打ちのめされていた…
 敵は前回に続きデッドリマー。前回とは別個体らしい。
 人を殺したと思いこみ、龍騎に変身できなくなってしまった真司の姿が描かれる。もちろんそれは秀一の罠だったのだが、人の良い真司にとってはちょっとした言葉の遊びも致命打になりかねない。それでしばらく餌をやってないと、契約モンスターに喰い殺されるのがライダーの定め。
 それに対し、新たなライダー手塚と戦った蓮も少し性格が変わってきたようだ。秀一が許せなかったというのが一番の理由だとしても、結果として真司を助ける側に回ってる。
 卑怯な真似ばかりする秀一も、なんか憎めないキャラに仕上げられてる。
 そして真司も人の良さは変わらないまま一皮剥け、戦いの意志を新たに。一話単体で考えれば綺麗にまとまった話だ。
<11話で龍騎はドラグレッダーに餌やったばかりなんだが、そんなに早く腹が減るものなんだろうか?
 前回龍騎の放った火球はマグナギガの砲弾によって中和されていた。しかし、その場所にいたゾルダに全くダメージが与えられないって無理だろ?
 話も一段落したところで都合良く現れるモンスター。物語をすっきりさせるためとは言え、都合良すぎ。>
第15話 鉄仮面伝説

  脚本:井上敏樹
  監督:石田秀範
  アクション監督:宮崎 剛
 仮面ライダーナイトの死を予言した手塚。そこには新しいライダーが映されていた。一方、優衣をアルバイトとして雇ったOREジャーナルは、大学で仮面の男が現れるという噂の取材を開始していた。真司と優衣はそこで確かに仮面を付けて戦っている男たちを見るのだが…
 敵はバクラーケン
 秀一と手塚の話が終わってないのに、早速新しいライダーが登場。既に一体のライダーで一つのストーリーという形式は崩れている訳で、話が迷走を始めた。
 そのライダーの名前はガイ。大学のコンピュータ研究部の部長、芝浦淳がその正体だった。まるでゲーム感覚で人同士を戦わせるという、ある意味ゆがんだ形での天才タイプの人間だった。モンスターを龍騎と共同で倒すも、龍騎の隙をついて攻撃し、アドベントカードを抜き取ってしまう。
 一応社会的な意味ではゲーム感覚で人を殺すことも躊躇しないという当時に現代感覚にあふれた話ではある。
 一方、蓮の方にはまるでストーカーのようにべったり手塚がくっついており、蓮が迷惑してる…というか、一方的に精神的になじられてる。手塚自身もライダー同士の戦いを止めなければならないと思っているため、その意味では真司と波長は合ってるが、どうも底が見えないキャラだ。
 ところで、本作から脚本が井上敏樹に交代している。オープニングカットの食事シーンだけでそれが分かる辺り、やっぱりパターン化しているのが分かる。
<淳は自分のことを「天才」と悪びれもなく言ってる。いかにもやられ役っぽい安っぽい台詞だ。>
第16話 運命のカード

  脚本:井上敏樹
  監督:石田秀範
  アクション監督:宮崎 剛
 龍騎が新しいライダーと戦っていることを知ったナイトとライアはミラーワールドに向かった。だがそこで見たのはカードを奪われ、ブランク対となった龍騎だった。現実界に戻ったものの、かつて自分のモンスターに喰われたシザーズのことが頭から離れず、恐怖を感じる真司。一方、真司がOREジャーナルの記者であることを突き止めた淳は、コンピュータをハッキングし、編集長に収まっていた…
 敵はウィスクラーケン。青色のタコのようなモンスター。ライダー同士の戦いに割って入ろうとするほかのライダーを妨害するためだけに登場。
 契約カードを奪われ、ドラグレッダーに命を狙われる真司のピンチと、手塚の登場によって心を見透かされ、苛立ちを押さえられない蓮という二人が中心となって話が展開する。
 傍若無人な敦の性格の悪さが出ているが、喧嘩してはいけない人間に喧嘩を売った結果、すべてを失ってしまう。人を呪えば穴二つとは言うが、そのまんま。話が単純すぎるのも脚本家の味。
 まるでビデオクリップのような淳のプロモーションビデオが出てくる。この浮ついた雰囲気は、やっぱり脚本家の味だな。
 四人のライダーが戦いをしてるのが本話の一番の売りかな?ライアがとても弱いのがなんだが、憎まれ口をきいてばかりの蓮が真司のために契約カードを取ってきてみせるなど、いろいろ変わってもきてる。
<この当時のPCはセキュリティがまだ万全じゃないのでちょっとしたウィルスが脅迫の材料になってしまう。そんな時代だったんだな。
 島田のすばらしいキータッチが見られるのだが、手で打ってる時間よりもモニタに出てくる文字列がえらく遅いのだが?>
第17話 嘆きのナイト

  脚本:小林靖子
  監督:長石多可男
  アクション監督:宮崎 剛
 追いつめたガイにとどめを刺すことが出来なかった蓮。自分の覚悟がまだ足りないことを痛感する。一方、ライダー同士の戦いを止めることではお互い一致しているものの、考えの異なる真司と手塚の間にもぎくしゃくした空気が流れ始めていた。
 敵はゲルニュート。イモリ型のモンスター。壁にへばりつき、口からロープ状の粘液を射出する。
 前回ラストがクライマックスと思われたのだが、それが回避されてしまい、なんか調整のための話になってしまった感じ。ただ、ここで新しいキャラとしてついに浅倉が登場。五人のライダーと一人のライダー候補が勢揃いした。
 話自体は蓮を中心に展開。ほかのライダーを殺すことが出来ないため、進むことも退くことも出来ない蓮の悩み。どっちかというと、蓮の方が主人公っぽいぞ。
 浅倉役は萩野崇。「超光騎士シャンゼリオン」の鈴村役…到底同一人物には見えない。
<蓮の悩みばかりが強調されるこの作り、90年代のテレビドラマで多用された心理描写。ナルシストを演出するつもりか?>
VOL.5
<A> <楽>
第18話 脱獄ライダー

  脚本:小林靖子
  監督:長石多可男
  アクション監督:宮崎 剛
 秀一が接見した相手は浅倉と言う凶悪犯だった。秀一の尽力で懲役10年にまで落とすことは出来たが、浅倉はそれを不服に思い、刑務所で暴れ回る。そんな浅倉の前に現れたのは神崎士郎だった。一方、かつて日本中を戦いに巻き込もうとして失敗した淳も新しい陰謀を張り巡らせ始めていた…
 敵は前回に続きゲルニュート。戦いを早く再開したいガイの協力もあって龍騎が撃破した。
 新しいライダーの王蛇の誕生が描かれる話。あくまでここでは顔見せ程度だが、変身する浅倉がシャレにならない凶悪犯のため、相当やばい相手が誕生したと思って良いらしい。いきなり雰囲気が重くなるのは、浅倉役の人徳ってやつか?
 話としてはインターバルっぽくなってる。ライダーが多すぎるため、こういう話が多い感じ。
 今回の変身では龍騎以外にはガイのみが登場。そういえば蓮は全く登場しなかった。
<淳がライダーだと知って「もっとましな奴はいなかったのかね」とぼやく秀一。確かにそのとおりだ。>
第19話 ライダー集結

  脚本:小林靖子
  監督:長石多可男
  アクション監督:宮崎剛
 浅倉が人質をとって立てこもった喫茶店に出てしまった真司。人質救出の機会を窺いつつ、隠れ見ていたが、当の浅倉は逆恨みしている秀一を呼び出すように警察に要求していた。そしてそんな状況を楽しんでる淳は、ライダー全員に喫茶店に集まるよう呼びかけていた。
 モンスターは登場せず、ひたすらライダー同士の戦いが描かれる。
 とりあえず現時点で登場したライダーがこの話で全員集結。その中で新たなるライダー王蛇によってガイが倒されてしまう。
 大変緊張感のある話だし、ライダー同士の戦いも見栄えがする…のに、なんか乗り切れないのは、やっぱりライダーが戦うのには心のどこかに拒否感があるからか?
 これが初めての戦いとなる王蛇だが、他の誰よりも戦い慣れしているように見えるのは、素材の性能か?
 いろいろ鬱陶しいキャラだった淳があっけなく消えてしまった。いかにも早く消えそうなキャラではあったけど。これで残るライダーは11人となった。
<初めて会った浅倉から「珍しい馬鹿」と言われてしまう真司。この人完全に馬鹿キャラとして認識されてるよな。>
第20話 裏切りの蓮

  脚本:小林靖子
  監督:佐藤健光
  アクション監督:宮崎剛
  特撮監督:佛田洋
 あっという間にガイを倒してしまった王蛇の姿を見て、最悪のライダーが生まれてしまったことに衝撃を受ける残りのライダーたち。現実世界に戻った真司たちだが、警察の報道で、浅倉に蓮が同行していることを知ってしまう。
 モンスターは登場せず。ライダー同士の戦いに終始。敢えて言えば王蛇のベノスネイカーがそれか?あとガイの契約モンスターであるメタルゲラスは生息中。
 新しいライダーが誕生し、そのため人間関係は再びぐちゃぐちゃに。あくまでストレートにライダーたちの命を救おうとする真司と手塚、自分に足りない覚悟を浅倉に求める蓮。時間の足りなさを指摘され、焦る秀一。それぞれの立場で浅倉を見ている。
 浅倉の登場によってますますバトルロイヤルっぽさを増してきた。それが本作の主題だが、ストレスがたまり、特に蓮が再び心を閉ざしてるから、観ていて爽快感はない。
 一方、優衣は過去の思い出に捕らわれ、一瞬フラッシュバックが起きている。そこで見えたのは一軒の家と、子供の泣き声、そして割れた窓ガラス。
<浅倉と一緒に逃げているはずの蓮のバイクが何故浅倉の故郷にあったのか?一旦バイクを手に入れ、車とバイクで一緒に行動したってことだろうけど、よく行動を一緒に出来たな。>
第21話 優衣の過去

  脚本:小林靖子
  監督:佐藤健光
  アクション監督:宮崎剛
  特撮監督:佛田洋
 龍騎、王蛇、ナイト、ライアが一堂に会した。だがその時突然ガイから分離されたメタルゲラスが襲いかかってくる。あくまで戦い続けることを選択する蓮に対し、問いつめる真司は、単に戦いを止めるだけでは解決しないことを心に刻みつける。
 敵はメタルゲラス。ガイの契約モンスターだったが、ガイを倒した王蛇を狙う。最終的に王蛇に契約され、二体目の契約モンスターとされた。
 何故蓮が戦い続けるのかがようやくはっきりと分かった話。自分のせいで意識不明になった小川恵里の命を救うためにライダーになったのだという。それを知ってしまった真司は、それぞれのライダーが背負っているものを思い、その上で選択しなければならなくなる。現れた神崎志士郎とも会話するが、苦悩は増すばかり。そして苦悩した真司は蓮とまっすぐにぶつかることで答えを見つけ出そうとする。それを正面から受けたナイトは、龍騎を最後の敵に認め、それまでは共闘することを選び取る。何もやらないよりはましだ…というか、それがこの作品の主題なのだろう。
 一方、優衣と志郎の過去についても言及あり。前回謎の家の写真を見つけた優衣だが、本人はその記憶が全くなし。手塚のサポートでその家自体は発見されるのだが、何故か中に入ることが出来なかった。
<戦ってる時以外はいつもいらいらしてる浅倉。アブナイ奴っぷりがますます増してる。時折壁に頭までぶっつけてるけど、こんなこと続けてたら、すぐに死ぬぞ。>
VOL.6
<A> <楽>
第22話 ライアの復讐

  脚本:小林靖子
  監督:石田秀範
  アクション監督:宮崎剛
  特撮監督:佛田洋
 優衣のビジョンに従い、かつての神崎邸を訪れた手塚はそこで神崎士郎と出会う。「戦わなければ次に脱落するのはお前だ」とのメッセージと一枚のカードを残し、士郎は消えてしまう。一方ミラーワールドでの戦いを経て、奇妙に晴れ晴れした蓮は、真司と共に帰宅する。そして神崎士郎の行方を改めて捜そうとする手塚、真司、蓮の三人だが…
 敵はガルドサンダー。鳳凰のモンスターで、神崎士郎に仕えている。羽を鞭のように使い攻撃し、空を飛ぶことも出来る。
 前回、まっすぐな思いでナイトに向かっていった龍騎の思いを受け、蓮は憑き物が落ちたように晴れ晴れとした表情となる。だが戦いは全く終わっておらず、ライダー全員にそれぞれ決意を促し続けている。
 神崎士郎から次に消えるライダーはライアと言われるが、当の手塚の占いでもやっぱり自分が消えることを知る。他のライダーたちもそれぞれ戦う理由に正面から向き合っていこうとしているようだ。吾郎を人質に取られ、涙ぐんでる秀一の姿もある。
 久々にモンスターが登場。ここではライアの見せ場のため、直接戦ってるのはライアになるが。
<そういえばライダーは定期的にモンスターに餌をやらねばならないのだが、ライアが餌をやってるシーンはこれまで無かった。どこかでモンスター倒してたのか?>
第23話 変わる運命

  脚本:小林靖子
  監督:石田秀範
  アクション監督:宮崎剛
  特撮監督:佛田洋
 ミラーワールドから帰還した手塚は、真司に自分が何故ライダーになったのかを語り、その後真司たちの前から姿を消す。あくまでライダー同士の戦いを止めたいという手塚は、その際かつて士郎から与えられたという風のカードを自分で使うことなく、蓮に与える。
 敵はガルドサンダー。手塚の親友斉藤雄一を殺したモンスターだった。ライアのファイナルベントで倒される。
 仮面ライダーライアの退場と、手塚の死が描かれる。真司とは別の意味でライダー同士の戦いを止めようとした手塚だったが、最後は次に犠牲となるはずだった真司の身代わりとなって浅倉に倒される。自らの身を挺して運命は変えられることを伝えたのだが、この作品は優しい人間は長生きできないように出来ているようだ。これで残りのライダーは10人。物語の展開上、時間が足りなくなるのは間違いなさそうだが。
 そして手塚が使うはずだった風のカードは蓮の元に。ナイトサバイブが登場する。主人公である龍騎よりも先にパワーアップするってのも珍しい話。そういえば吹っ切れたのか、蓮の行動も大分優しくなってるようだ。
 優衣の秘密も、ますます深刻化。死ぬ前に手塚は気づいたようだが、観ている側は全然分からない状態。
 戦いはナイトVSゾルダ。王蛇VSライア&龍騎。ナイトVS王蛇と盛りだくさん。それにしても龍騎が弱すぎるので結構ストレスたまるぞ。
<河原のアジト(?)でカップ焼きそばなんぞ食ってる浅倉。ヤカンとかちゃんと用意してるのかな?>
第24話 王蛇の秘密

  脚本:井上敏樹
  監督:長石多可男
  アクション監督:宮崎剛
  特撮監督:佛田洋
 手塚からもらった風のカードによりサバイブモードとなったナイトは王蛇を圧倒する。だがミラーモンスターのネガゼールの登場により勝負はうやむやに。怪我を負って現実世界に戻ってきた浅倉を、真司の先輩令子が発見する…
 敵はネガゼール。レイヨウ型のモンスター。動きが素早く、両腕と頭に着いた刃で攻撃する。そしてその仲間であるメガゼールとギガゼールと共に現れる。ナイトサバイブのファイナルベントで倒される。
 浅倉の過去が描かれる話。しかし、いきなりしおらしくなった浅倉って気持ち悪い。どうもその告白も嘘くさい。
 手塚を失い、真司や優衣の間にも亀裂が入る。柄にもなく真司を慰める蓮の姿があるが、その慰め方ってのが、完全に突き放した口調でライダーバトルの現実を思い起こさせるといったもの。相変わらずぶっきらぼうな奴だ。でも、それを変化として受け止めている真司の姿もあり。だんだん二人の共闘が様になってきた感じだ。
 一方、自らの過去と向き合おうとする優衣だが、見つけたのは海が書かれた絵だけだった。これが何を意味するのかは現時点では不明だが、その絵を見た優衣の頭には海のイメージがわき出す。
<毎度果敢に令子にアタックして、見事玉砕する秀一。この人は上がっているときと落ちているときの落差が激しいな。>
第25話 合体する王蛇

  脚本:井上敏樹
  監督:長石多可男
  アクション監督:宮崎剛
  特撮監督:佛田洋
 ミラーワールドから閉め出された真司と蓮の前に神崎士郎が現れ、再び変身したければ優衣を捜せと命じられる。ミラーワールドのモンスターのみならず、契約モンスターにも狙われながら優衣を捜す二人。一方、浅倉は令子に対し子供の頃、弟の暁を助けるために大火傷を負ったことを話し、生きているなら暁に会わせて欲しいと頼んでいた…
 敵はオメガゼール。前回のネガゼールと同じレイヨウ型のモンスターで、変身できなくなった真司や蓮を襲う。龍騎のファイナルベントで倒された。
 一方的に神崎士郎によってライダーに変身できなくなった面々の苦闘が描かれる話。このゲームは全て士郎によって支配されており、不公平極まりないことが分かる。
 この際、いきなり人間的になり、令子に告白する浅倉。いかにも嘘くさいのだが、悪人がちょっと良いことをすると、ころっと騙される人間がいる。
 一方、秀一に対し、吾郎が自分のせいで秀一の病気が重くなったことを告白してるシーンもあり。
 後半部分は浅倉が中心となった話で、もはやこいつには人間性のかけらも残っていないことが示される。令子に弟を連れてきてもらったのは良いが、あっという間に弟をミラーワールドに引き込んでしまう(当然殺したってことだが)。子供も観てる番組でこの描写はやりすぎじゃないのか?
 浅倉を信じていた真司にとってもこれはショッキングな話で、今までやってきたことが無駄だったことを思い知らされることになった。かわいそうなキャラだな。
<ベノスネイカーによってミラーワールドに引き込まれる暁。それを助けようと言うアクションを全く取ってない真司はどうなんだろう?
 珍しく吊り橋で戦ってるシーンがあるが、その直前までトンネルの中にいたはず。いつの間に移動した?>
VOL.7
<A> <楽>
第26話 ゾルダの攻撃

  脚本:井上敏樹
  監督:長石多可男
  アクション監督:宮崎剛
  特撮監督:佛田洋
 王蛇が繰り出した3体のモンスターの合体であるジェノサイダーに、サバイブモードで対抗するナイト。大爆発の中、辛うじて現実に戻った真司達。浅倉を理解しようとしたことを蓮からなじられた真司だが、まだ人間を信じていたい真司はこんどは秀一のもとへ…
 敵はアビスハンマー。シュモクザメ型のモンスター。胸に機関銃を装備しており、突進しつつ銃を乱射する。龍騎とゾルダの両面攻撃によって倒される。
 前回で浅倉の非人間性を徹底的に描いたが、今度は北岡に対する真司のアプローチが描かれる。ここまでくると、お人好しと言うよりは単なる馬鹿だが、頭で考えるよりは体を動かした方が良いという真司なりの思いによるもの。それで自分が何故戦うのかを再確認する。結局真司にとってライダーになるとは、モンスターから人を助けること。まさしくヒーローそのものの姿だ。
 でも、そんなことだから秀一に良いように扱われてしまう。秀一の自己中心ぶりがたっぷりと味わえる。その分妙にコミカルなのだが、物語の重さの中ではあんまり笑えない。
 人間なんて変わらない。と断言してる蓮だが、言葉の端々に人を思い遣る言動も混ぜ込んでる。やっぱり少し変わってるな。
 戦いではやっぱりゾルダに良いように扱われる龍騎。最後はちゃっかりそれを逆利用してるあたり、真司も少しは狡さを覚えたか?
<腕に傷を負い、ギプスで釣ってる秀一だが、変身の時は全く問題なく両腕が動いていた。>
第27話 13号ライダー

  脚本:小林靖子
  監督:佐藤健光
  アクション監督:宮崎剛
  特撮監督:佛田洋
 ライダー同士の戦いは全て兄の仕業であることをはっきりと思い知らされ落ち込む優衣。そんな優衣に「俺がライダーとなったのは優衣のためだ」と語り、モンスターとの戦いに挑む蓮。そんな蓮がモンスターから命を救った小学生に姿を見られてしまい…
 敵はアビスラッシャー。サメ型のモンスターで、サメの歯を模した剣を振り回すほか、口から多量の水を吐いて攪乱する。ナイトサバイブのファイナルベントで倒された。
 このところライダー同士の戦いが続いていたが、今回は普通にモンスターとライダーの戦いが展開している。今回は蓮が中心となり、変身を目撃した小学生との交流が展開していく。ライダー同士の戦いも付け加え程度には展開していくが。
 子供にとって、ライダーはヒーローであり、自分もなってみたいと考えるのは自然。それに対し、どう対処するかはそれぞれの作品次第。この作品の場合、ライダーになるのは苦痛そのものなので、子供には絶対ライダーと関わってもらいたくないらしい。
 一方、冷徹な存在としか見えなかった神崎士郎が優衣の後ろ姿に見せる表情は妙に優しげ。この人の目的は、優衣に関わるものであることが推測される。
 全然良いところ無い真司は、料理関係で吾郎ちゃんと妙に意気投合中。今回の真司の役割はそれだけ。
 そして士郎も又、ライダーだということが分かった。シルエットのみラストに登場し、自らを「13番目のライダー」と語る。
<他の番組の場合、子供を生意気に描くのが面白いのだが、この作品の場合子供を生意気に描いても、ライダー連中の方が性格悪いので、大して生意気に見えないのが凄い。>
第28話 タイムベント

  脚本:小林靖子
  監督:鈴村展弘
  アクション監督:宮崎剛
  特撮監督:佛田洋
 ライダー達の戦いに割って入った「13人目のライダー」は、「戦いに修正が必要になった」と言うと、突然時間を逆行させる。記憶を保ったまま過去にとばされた真司は、救えなかった命を救えるのでは?と考えるが…
 敵はライダー達。特に仮面ライダーオーディン。未だ謎に包まれたライダー。
 前回ラストで登場した黄金のライダー、仮面ライダーオーディン(現時点では名前は不明)に真司が翻弄される話。オーディンによれば、ライダーバトルは12体のライダー同士のバトルロイヤル方式で行われ、最後に残ったライダーがオーディンと戦うこととなっているらしい。
 結局どれだけ真司が努力しようとも運命は変えられずに終わった。特にライダーの戦いはバンクばかりなので、ある意味前半部分の総集編として観ることができる。随分な駆け足だけど。
 ところで、この話は以外に深いところに通じるものもある。つまり、これまでの戦いが、実は始めてではなく、何度と無く行われていたという可能性もあり。そこまで話を広げると、作品自体が崩れかねないので、ここだけで終わってるけど。
 この物語は2月に始まり、現在は8月。放映日が8月11日なので、劇中時間と実時間は連動しているらしい。
 オチとしては、子供の頃に優衣が描いた絵が破損してしまったため、それを戻すためだけに時を巻き直したということらしい。ひどいオチだ。
<士郎は絵を守るために時を巻き戻したのだが、だったら絵が破れる1分前とかに戻しても問題なかったんじゃないのか?>
第29話 見合い合戦

  脚本:井上敏樹
  監督:石田秀範
  アクション監督:宮崎剛
  特撮監督:佛田洋
 大久保が持ち込んだ見合い写真に興味を持った令子は相手に会いに行くが、その日以来、令子はストーカーらしき気配に悩まされるようになり、ついには姿を消してしまう。その相談を受けた真司や、偶然そこに居合わせた蓮、ストーカーに間違えられた秀一は、休戦して令子を捜すことにするのだった。
 敵はソノラブーマ。セミ型のモンスターで、超音波を出して獲物の動きを止め、口吻から獲物の体液をすする。三人のライダーの連携によって倒された。そしてシールドボーダー。イノシシ型のモンスターで、堅い装甲と突進力を持つ。
 前回までのシリアス展開からいきなりの急展開で、本作から始まった夏のコメディシリーズの前編。令子の見合いと、それにまつわるトラブルをコミカル色たっぷりに描く。ライダー同士が協力しているのは良いのだが、この三人は仲が悪いので、何をやってもうまくいかない。囮役やってる優衣もノリノリで猫かぶり役を演じている。
 この三人が一緒にいると、戦わなくても必ず言い合いになる。口喧嘩しながら変身してるシーンあり。なかなか楽しい。
 一応神崎士郎が一年前にアメリカで死んでいるという情報はあるのだが、情報としてはそれくらい。
<ツッコんでください。と言ってるような話にも関わらず、逆にそうだからツッコミどころがない。>
VOL.8
<A> <楽>
第30話 ゾルダの恋人

  脚本:井上敏樹
  監督:石田秀範
  アクション監督:宮崎剛
  特撮監督:佛田洋
 いきなり秀一が訴えられた。訴えたのは秀一の元秘書の浅野めぐみで、その訴状は「婚約不履行」。偶然その場に居合わせた真司は、その真実を確かめるためにめぐみのところへと向かう。そしてすっかりめぐみに同情してしまった真司は、今度は蓮やoreジャーナルを使って秀一を糾弾することに。
 敵は前回に続きシールドボーダー。基本どじっ子のめぐみを狙ったため、色々酷い目に遭わされる。龍騎のファイナルベントで倒された。
 夏のコメディ編後編。北岡秀一がひどい目に遭う話で、この人もある意味では主人公として立ってるってことだろう。反発しながらもなんだかんだ言ってそう言うことには協力する真司の姿も健気。さりげなく蓮もそれには協力してるので、やっぱり色々性格が変わってきていることを感じさせてくれる。
 今回の見所としては、吾郎ちゃんとめぐみの対決シーンだろう。お互いにどれだけ秀一を知っているかを言い合ってるのだが、全部秀一をこき下ろしてるだけだったりする。
 デートしながらモンスターと戦ってるゾルダの姿あり。一昔前のヒーローアニメとかでは結構あったりした。
<秀一がめぐみに渡した指輪はたこ焼きとか、煮卵とか…流石井上脚本。
 めぐみに話を聞いてる真司と蓮は意味もなく上半身裸。なんで?
 ワイルドボーダーにたたき落とされたマグナバイザーを拾ったゾルダは、それで何をするのかというと、殴りかかってる。それって使い方間違ってないか?>
第31話 少女と王蛇

  脚本:小林 靖子
  監督:長石 多可男
  アクション監督:宮崎 剛
  特撮監督:佛田 洋
 めぐみが入ったことにより、急に活気づいてきたOREジャーナル。航行中のフェリーから少女一人を残し全員が姿を消したという事件を調べ始める真司だが、フェリーに三体のモンスターが現れたという少女の証言に、真司は浅倉の関与を疑う。
 敵はバズスティンガー。スズメバチ型のモンスターで、スティンガー(針)、ワスプ(剣)、ビー(弓)の三体が登場する。フェリーの乗客を全員ミラーワールドに引き込んでしまった。三体が固まって防御形態を取ることで王蛇のベノクラッシュの攻撃を防ぐ。
 コミカル編2編を挟み、今度は急に話が重くなった。ここで中心になったのは浅倉で、なんと一人の少女を助けるという、これまでにはなかった姿が見られる。
 一方、浅倉は自分の契約モンスター三体に食われそうになってるのだが、あれだけ戦いを求めていながら契約モンスターに何も食わせてなかったという。いままで何をやってたんだろう?
 OREジャーナルもめぐみが参入することで活気が出てきた。やる気はあってもドジなめぐみと、コンピュータおたくの島田は犬猿の仲らしい。
<実加を救うため、「ここから動くな」と実加を船室に閉じこめる真司。そこに鏡があったらあっという間に連れ去られただろうけど、それを確認もせずにやってしまうのが真司らしい。>
第32話 秘密の取材

  脚本:小林 靖子
  監督:長石 多可男
  アクション監督:宮崎 剛
  特撮監督:佛田 洋
 三体のモンスターに狙われ怯える実加の前に現れた浅倉。彼の目的は自分のモンスターに餌をやるためだと嘯く。一方神崎士郎の死亡について調べる令子は、士郎の恩師ポトラッツ教授に会いに行っていた。
 敵はバズスティンガー達。
 話としてはまとまっているのだが、この作品で「まとまっている」というのは決して褒め言葉にはならないのが不思議なところ。
 浅倉の話がまだ続いている。何故か一人の少女を守っている浅倉だが、本人に言わせると、契約モンスターに餌をやるため。ただ、契約モンスターの中でもエビルダイバーとメタルゲラスは浅倉に反発しているため、むしろ積極的に浅倉を食らおうとしていることが分かる。
 それで、たとえ浅倉が悪でもモンスターに食わせるわけにはいかない。と、モンスターの餌やりを手伝ってしまう真司。お人好しだが、やっぱり主人公はこうでなくてはならない。
 浅倉を助けたいという真司に対し、言葉では馬鹿呼ばわりしているが、なんだかんだ言って付き合いの良い蓮。一方わざわざ嫌味を言うためだけに浅倉に会いに行く秀一の姿もあり。それぞれのキャラの個性が見える。
<契約モンスターに他のモンスターを食わせられなければ、人間を襲わせればいいと言う話もあるのだが、かつて弟まで食わせた浅倉が何故それをしなかったのかは完全に不明。>
第33話 鏡のマジック

  脚本:小林 靖子
  監督:佐藤 健光
  アクション監督:宮崎 剛
  特撮監督:佛田 洋
 ミラーワールドからの帰還をめぐみに見られてしまった真司。なんとかごまかしたものの、いつめぐみが誰かに言うかと真司は気が気ではなかった。一方、神崎士郎を追っていた令子は、その手がかりのあまりの少なさに考えあぐねていた。
 敵はプロパジェル。クラゲ型のモンスターで電撃を放つ。あっけなく龍騎のファイナルベントで倒された。
 今回は話が進んでるようで進んでない。令子が「鏡」と事件との関連に気づいたくらいか?そして新たなライダーの姿がほんの少し現れた。概ねはミラーワールドからの帰還をめぐみに見られた真司が追いつめられる、ちょっとコミカルな話と、それぞれのライダーが、戦わねばならないと士郎に現実を突きつけられるという、本当に幕間のような話。
 最後にほんのちらっと新しいライダーが登場し、ライダーの数はこれでようやく9人目となった。かなりのんびり進んでる。士郎も焦るわけだ。
<ミラーワールドには入ったところと同じところから出ないといけない理由があるのだろうか?それともめぐみが待ってるのが分かってるのに、わざわざ同じところから出てくる真司が単に考えなしなのか。
 プリンセステンコーの真似をするめぐみだが、メイクまでわざわざ似せてる。スタッフのノリかな?
 めぐみのせいで酷い目に遭ったばかりなのに、人通りのある場所で変身してしまう真司。こいつには学習能力がないのか?>
VOL.9
<A> <楽>
第34話 友情のバトル

  脚本:小林 靖子
  監督:佐藤 健光
  アクション監督:宮崎 剛
  特撮監督:佛田 洋
 神崎士郎に促されるように戦いを始める王蛇とベルダ。一方真司の前にも士郎は現れ、炎のカードを手渡す。その直後現れた連は、突然真司に「俺と戦え」と戦いを強いるのだった。
 敵は登場せず。ただしライダー同士の戦いはいよいよ本格化し、更に新しいライダーの影も登場している。
 いよいよ後半になり、主題のライダーバトルが激化しつつあり。その中でいよいよ龍騎もサバイブへとパワーアップ。なんら危機がある訳でなく、突然現れた士郎にカードを渡されるってのが少々物語的には弱いが、それが本作の味ってものかも知れない。
 一応話としては転機になるはずなのだが、書くべき事がほとんどない。
 前回の話で連の恋人恵里の命はあと数日とか言われていたけど、こう言うのも神崎士郎の差し金で操作できるものなのだろうか?
第35話 タイガ登場

  脚本:小林 靖子
  監督:石田 秀範
  アクション監督:宮崎 剛
  特撮監督:佛田 洋
 お互いサバイブとなった龍騎とナイトは戦い続ける。なんとしても恵里を助けたい蓮は戦いをやめようとはせず、蓮に人を殺させたくない真司はそれを阻止しようと防戦一方。一方、秀一の罠にはまった浅倉は再び警察の元へ…
 敵はガルドミラージュ。鳳凰型のモンスターで神崎士郎に仕えている。背中の羽を投げつけて攻撃する。サバイブモードの龍騎に倒される。そしてガルドストーム。鳳凰型のモンスターで神崎士郎に仕えている。頭部の羽根飾りを手裏剣のように用い、手にした斧で攻撃する。新しく登場したタイガに倒される。
 前回最後の決戦のつもりで挑むナイトと王蛇だが、そのどちらも尻切れトンボに終わる。まあそれが本作の持ち味なんだけど。それで全員急いで戦う必要が無くなってしまったので、本当に前回の引きは何だったの?って感じ。
 龍騎サバイブになってからの初めての戦いだが、ナイト相手では圧倒的な強さ。と言う訳にはいかず。それにしては手慣れた戦い方をしてる。ナイト同様分身まで作ってる。慣れてないため出方がおかしいが。
 前々回ちらっと出てきたライダーの名前はタイガ。何かと前々から出ていた清明院大学の研究室の学生が正体らしいが、どの学生なのかは今のところ不明。
 そしてオーディンに戦いを挑むナイトの姿があり。この戦いでは機転を用いてオーディンを倒すことには成功したが、このライダーはやはり13番目に倒さなければならないらしく、姿を消しただけ。
<ナイトとの間で死闘を繰り広げた直後、ミラーワールドのモンスターと戦いを始める真司。タフすぎる。>
第36話 戦いは終わる

  脚本:小林 靖子
  監督:石田 秀範
  アクション監督:宮崎 剛
  特撮監督:佛田 洋
 ミラーワールドでナイトがオーディンを倒したその時、病院の恵里は峠を越していた。一方、秀一の計略にかかり警察に護送されようとしていた浅倉は、又しても護送車から脱走してしまう。
 敵は出てこず、ライダー達の戦いのみ。
 話がどんどん動き始める、その始まりとなる。蓮、浅倉、真司がそれぞれ戦いを続けており、新しい仮面ライダータイガが登場し、更に優衣がミラーワールドに引き込まれる。それぞれが謎をはらみつつ話が展開中。
 その中で中心となっているのは、やはりミラーワールドそのものを封鎖してしまうということだろう。どう見ても悪人顔の香川だけに、いくら真司が信用していても、オチは絶対ろくなものにならないことは想像つくが、香川とタイガの関わりの謎も見所にはなってる。
 ただ、多くの謎が出てくる分、なかなか評しがたい話でもあり。
<起きたばかりの恵里に向かって「俺は変わったか?」と聞く蓮。もっと他に言うことはありそうだが、それが蓮の不器用さの証明か?>
第37話 眠りが覚めて

  脚本:小林 靖子
  監督:長石多可男
  アクション監督:宮崎 剛
  特撮監督:佛田 洋
 突然ミラーワールドに引き込まれてしまった優衣を救うべく龍騎に変身してミラーワールドに入る真司だが、その前に現れたのは見たことのないライダーだった。
 敵はバズスティンガー・ブルームフロスト。どちらもクマバチ型のモンスターで、ブルームは矢を使った攻撃を得意とし、フロストは手にした2本の短剣で戦う。そしてオルタナティブ。一見ライダーのようだが、真っ黒な姿と、ベルトの形状が違う。
 これまで単に神崎士郎の妹。と言う意味合いしかなかったはずの優衣が突然重要人物へと変化していく。生身の姿ではいることが出来ないはずのミラーワールドに難なく入っていくことが出来るし、
 更に謎のライダーであるタイガが登場。ただし、これも不可解な行動を取っている。
 これらは全て清明院大学の香川が関わっていることだけが分かっているが、なんとかその方法を知ろうと一生懸命の真司と、はぐらかす香川。この構図が続いている。
 一方、恋人の恵里を救うためだけにライダーになった蓮だが、その恵里の意識が戻ってしまった以上、戦う意味が無くなってしまった。それでもライダーになった以上、戦い続けねばならない。しかも蓮のダークレイダーはかつて恵里を襲ったモンスターで、今も蓮が見ていないところで恵里を襲おうとしている。辛い運命に放り込まれることになる。
VOL.10
<A> <楽>
第38話 狙われた優衣

  脚本:小林 靖子
  監督:長石多可男
  アクション監督:宮崎 剛
  特撮監督:佛田 洋
 花鶏のアルバイト面接に現れたのは、なんと香川の研究室の学生東條悟だった。偶然にしては出来すぎの事実に真司は警戒を強めるが、当の悟は優衣を見張っているかのよう。
 敵はオルタナティブ。モンスターでもライダーでもなく、香川研究室で作られた疑似ライダーで、仲村が変身していた。ライダーとほぼ同様の武器を使うことが出来る。香川研究室の中村が変身するのだが、同じ研究室の東條悟が変身する仮面ライダータイガによって殺されてしまった。
 香川の本当の狙いと疑似ライダー、仮面ライダータイガの関連が描かれる話。優衣こそがミラーワールドの鍵であり、彼女が存在する限りミラーワールドも存在し続けるとのこと。この理由は分かってないが、あるいはミラーワールドとは優衣が作り出したものと考えることも出来るだろう。いずれにせよ優衣が鍵を握っていることは確か。
 ここまでで随分吹っ切れた感じの真司だったが、優衣が犠牲にならないと戦いが終わらないと聞かされ、更なる苦悩を背負い込むこととなる。苦悩する主人公が大分板に付いてきたな。
 それより今回ようやく個性を見せた悟の凄まじい性格の方が今回の見所だろう。「英雄になる」と言うキーワードのみで動いているため、自分の行く道を妨げる者はどんな奴も許さずに排除する。ある意味で浅倉以上にとんでもない性格してる。
 それと折角目覚めた恵里が再び眠りの中へ。蓮も又悩みつつ戦い続ける。
<物語は良いんだけど、劇中歌が下手すぎるのがネックだな。>
第39話 危険のサイン

  脚本:小林 靖子
  監督:鈴村展弘
  アクション監督:宮崎 剛
  特撮監督:佛田 洋
 ミラーワールドの仕組みに優衣が関わっていることを知った真司は旧神崎邸に向かうが、そこに悟もついてきた。一方香川の研究室に向かった蓮は、そこに佇む香川との交渉は決裂。戦いにはいる。
 敵はオメガゼールマガゼール。龍騎とタイガによって倒される。
 蓮の前に突然又しても士郎が現れ、オーディンは13番目に戦わない限り消えることがないことを告げる。特別なライダーと言うことか。
 ライダーバトルを終わらせたい真司。しかしそれが優衣を犠牲にすると言うことであれば、当然そんなことは出来ない。一方の蓮は、自分の勝利が恵里と優衣を救うことになると、逆に闘志を燃やすことになる。
 新登場の悟はとにかく訳の分からない人間で、平気で人間を殺しておいて、その人のために涙を流したりする。一応香川に従っているらしいが、こいつに言うことを聞かせるのは至難の業だろう。
 一方の香川が変身したオルタナティブ・ゼロは、見たものを全部覚えているという香川の能力と相まってかなり強い。口数が多い分、今ひとつ決め手に欠けるのが難点だが。
<このところ出てくるモンスターは全部前に出たのばっかりだな。金がないのか、後はライダーバトルが中心だから、モンスターは何でも良いのか。あるいは他に理由があるのか…無さそうだけど。>
第40話 兄と妹の記憶

  脚本:小林 靖子
  監督:鈴村 展弘
  アクション監督:宮崎 剛
  特撮監督:佛田 洋
 サイコローグによってミラーワールドに引き込まれた優衣を助けたのはなんとモンスターのガルドストームだった。そして優衣の前に現れる士郎。一方タイガの不意打ちを食らい、命の危機にあった真司は、現れた香川によって助けられる。自分のやってきたことは無駄だったと、肩を落とす真司だが…
 敵はガルドストーム。神崎士郎の意を受けて香川の家族を襲うが、龍騎サバイブによって退けられた。それと多数のオメガゼールたち。
 話は少しずつ加速中。ミラーワールドに干渉しようとする香川と、それに従いつつ独自の価値観を持つ東條。そして優衣を守ろうとする士郎の影。更にOREジャーナルの面々が少しずつミラーワールドの事が見え始めてきた。色々動いている。
 これまでライダーバトルを止めようと一生懸命で、その分アップダウンが激しかった真司だが、自分を襲った東條のことが全く理解できず、ライダーバトルは止められない事を痛感させられる。そんな姿を見た優衣は、「お兄ちゃんのために戦いを止めたい」と告げ、それが真司を立ち直らせるきっかけとなる。
 一方、浅倉も刑務所を脱出し、王蛇になって暴れ回ってるし、新しいライダーの影までが登場。はてさてこれから話がどう転がっていくやら。
 今回の戦いは大変見所が多い。何せライダー5体とオルタナティブ・ゼロ、サイコローグまで加わってるし、ナイトはトリックベント使って分身攻撃も使う。バトルロワイヤルも良いところだ。最後は多数のモンスターが登場して有耶無耶になってしまうのは本作らしいけど。
 ところで最後に出てきたライダーは、多数のレイヨウ型モンスターを引き連れてるように見える。やたらたくさん出てきたのは、このため?
第41話 インペラー

  脚本:井上 敏樹
  監督:田崎 竜太
  アクション監督:宮崎 剛
  特撮監督:佛田 洋
 戦いが終わり、リアルワールドに戻った面々。だが、東條を巡り、数々の思惑が交錯する。香川のことを「英雄」に値しないとみなし始めた東條と、かつての痛みを忘れない浅倉が東條をつけねらう。
 敵はシアゴースト。ヤゴ型のモンスター。2体登場するが、2体ともあっけなくインペラーに倒されてしまう。
 とりあえずは東條を中心に話が回る。自分なりに「英雄」の定義を持つ東條は、人間として根本的な部分が抜け落ちてるので、周囲に混乱を引き起こし続ける。そんな東條を浅倉がつけ狙い、どんどん四面楚歌に。
 それで突然登場したのが仮面ライダーインペラー。とにかく調子の良い奴で、金のためならどんなに卑屈にもなる奴。東條と香川の話が終わってないのに、またややこしいキャラが増えたようだ。なんでこのタイミングで登場するんだ?
 自分の意志で香川の妻子を助けた真司。悩みながらもそれでも目の前の人間を助けずにはいられない真司はぶれてない。辛い道を選び続けてるんだけどね。
 それで相変わらず憎まれ口は叩いてるものの、実際にやってることは他者に優しくなってる蓮の姿もある。
 シーフードスパゲティを貝の殻ごと食ってる浅倉の姿がある。これだけでこの脚本が井上敏樹だと言うことが丸わかり。わかりやすい脚本家だ。
 金のためにならどんなにも卑屈になるキャラってのも、やっぱり井上脚本らしさかな。
 話が進んでるのか停滞してるのかよく分からない、まとまりのない話なのだが、不思議と面白い。ここまで話が進んでいながら、まだ序章っぽい雰囲気があるからかもしれない。
VOL.11
<A> <楽>
第42話 401号室

  脚本:井上 敏樹
  監督:田崎 竜太
  アクション監督:宮崎 剛
  特撮監督:佛田 洋
 自分を売り込む満は、真司と香川の間を行ったり来たりして自分を売り込もうとする。その調子の良さにあきれながらも、花鶏の無料飲食を条件に満を雇うことにした。そして様々な思いを秘め、ライダー達は香川の研究室へと向かう…
 敵はインペラーの使役する多数のレイヨウ型のモンスターになるか。
 前回登場した満=インペラーの話が続いている。変人という意味では悟も人後に落ちないが(むしろ変人じゃないライダーはいないか)、どっちもおかしさを強調した話になっている。調子の良すぎる満と、完全に思考が読めない悟。こんな二人が出てくると、食い合わせが悪く、ややちぐはぐな印象を受ける。
 この話の肝は、尊敬する恩師をその手にかけてしまう悟の姿だろう。本人曰く「英雄になるため」だそうだが、彼にとって“英雄”というものが何であるのかが分かってないのだろう。
 かと思うと、残り四人のライダーは人民裁判じみた事やってる…これだけで脚本家が分かる辺り、好きだねえ。
 一方、優衣もますます秘密めいた存在に。インペラーの使役モンスターをも自在に操る能力がここで顕現している。
<満に対し「何考えてんの?」とか聞く悟。あんたに言われる筋合いだけはない。少なくともこっちの方が欲望に忠実な分、分かりやすい。>
第43話 英雄は戦う

  脚本:井上 敏樹
  監督:田崎 竜太
  アクション監督:宮崎 剛
  特撮監督:佛田 洋
 突如モンスターを従わせた優衣はライダーたちをモンスターに襲わせ始め、そのままミラーワールドの奥へと姿を消す。一方、雇い主を求める満はライダーたちの間を駆けめぐっていた。
 敵はサイコローグ。香川という主を失い、完全モンスター化してしまった。後はひたすらライダーバトルが続く。
 前回香川を自らの手にかけた悟は、英雄になるためライダーバトルを勝ち抜こうとするが、香川というサポートを失ったため、他のライダーにも全然敵わないという事実を思い知らされる。一方雇い主を求める満は、ついには浅倉のところにまで出没する。結局今回も中心はこの二人になってしまった。まあ、勝手ばかりやってるとしっぺ返しが来る。という教訓じみた話ではあるが、この辺は井上脚本の良心部分かも。
 性懲りもなく真司の前に現れた満の厚顔さに、流石に切れた真司が怒りも露わに殴りかかるシーンあり。珍しいシーンだが、流石に優衣の命の問題だからね。
<狙ってのことだろうが、秀一に「近頃の若い者は」と言わせるシーンあり。
 秀一にもそんなことを言われてしまう満だが、あくまで他のライダーに雇ってもらおうとすることで、手っ取り早い金儲けのために犯罪に走らないだけまともなキャラなのかも?>
第44話 ガラスの幸福

  脚本:井上 敏樹
  監督:石田 秀範
  アクション監督:宮崎 剛
  特撮監督:佛田 洋
 優衣を捜し何度もミラーワールドを訪れる真司は、ついに優衣が倒れているのを発見し、リアルワールドへと連れ帰る。だがミラーワールドでの記憶を優衣は失っていた。一方、大会社の社長である父親が死んで、その遺産がいきなり入って大金持ちになった満は、最早ライダーバトルに興味を失ってしまう…
 敵は多くのモンスターたち。主にインペラーの使役するレイヨウ型のモンスターたち。
 満の退場が描かれる。満の正体は大会社の社長の息子で、その遺産でいきなり大金ががっぽり入ってくる。そもそも満がライダーになったのは、良い暮らしをしたかったのだが、そんなことをすることなく、大金持ちになってしまった。そうなると、今度はライダーであることが苦痛そのものになってしまう。それで今度は他のライダーたちに助力を願うのだが、誰にも相手にされず、更に助けたはずの悟に倒されてしまう。考えてみれば、最も悲惨なライダーなのかも知れない。まあ、軽い気持ちで麻薬に手を出してしまった結果、全てを失ったジャンキーに近い存在といえるような?
 悟の言葉「君は大事な人だから、君を倒せば僕はもっと強くなれるかもしれない」。最早こいつは理解不能。
 そう言えば最初に「金にせこい」という前提があった蓮だが、満の持ってきた大金を前にちょっと心揺るがせるシーンがある。やたら金の話を持っていくのも井上脚本の特徴。
<満と契約したが、その契約書はいつ書けるか分からない。と嘯く秀一に対し、「素敵です」と返す吾郎。こいつも相当な肝してるな。>
第45話 20歳の誕生日

  脚本:小林 靖子
  監督:長石 多可男
  アクション監督:宮崎 剛
  特撮監督:佛田 洋
 OREジャーナルが差し押さえを受けてしまった。ジャーナルをつぶしたくない大久保はカフェ花鶏に機材一切を持ち込んでここを仮事務所にしてしまうのだった。そんな中、突然身体が粒子化し始めた優衣。
 敵はシアゴースト。ヤゴ型のモンスターでとにかく多数登場する。
 前回でインペラーが退場。その波紋が残っているが、今回の中心はむしろ優衣の方で、20歳の誕生日を迎えた時、消えてしまうと言う事実が発覚する。
 大切なものを手にかければかけるほど強くなると信じる悟は、当たり前の話だが誰からも理解されない。更にインペラーを倒したのが自分でないと言うことを知らされ、自分に自信を持てなくなってしまう。青年期の思いこみと自意識過剰と一口には言えない病理だとは思うけど、変なキャラだ。
 そして優衣と士郎の過去も断片的に現れてくる。ミラーワールドのモンスターたちは子どもの頃に優衣が描いた絵が元になっており、ミラーワールド自体が優衣によって作られたという事が暗示されている。
 前話の激しさから一転、全般的に話が落ち着いた感じで、これだけで脚本が小林靖子に変わったことが分かる。
<悟を見て秀一が呟いた台詞。「この戦いに勝った奴って、最強かも知れないけど、最悪って気がする」これは確かにそのとおりだけど、それは自分自身にも当てはまる。>
第46話 タイガは英雄

  脚本:小林 靖子
  監督:長石 多可男
  アクション監督:宮崎 剛
  特撮監督:佛田 洋
 優衣が消滅の危機にあり、士郎がいままで行ってきたことは優衣を救うためであったという事実を前に、これまでの戦いは何だったのかと悩む真司。一方蓮は戦い続けることで優衣を救うことが出来ると信じ、戦い続けるという。一方、戦いに嫌気がさした秀一により「英雄になろうとした瞬間英雄にはなれない」と言われ、ショックを受けた悟は…
 敵はシアゴースト。とにかく多数出てきてライダーバトルを邪魔している。
 ミラーワールドの真実がはっきりと見えてきた。ミラーワールドの存在理由とは、ただ優衣の消滅を防ぐためだけにあり、ライダーバトルも優衣の消滅の日までに全てを終わらせる必要があったということ。それが分かっていても、人を傷つける事は出来ないと悩む真司。最初から最後まで真司はそれで悩み続けているが、ついに優衣を守るために戦うことを心に決める。蓮の場合はもっと単純で、戦い続けることによって優衣か恵里のどちらかが助かる。と言う結論で戦うことに決めた。
 ただ、この話の場合、中心はむしろ悟の方にある。英雄になりたくてもなれない悟が、英雄になるためにとった方法は何か。そして最後にあれだけ切望していた「英雄」になれたと言う姿があった。ただ、ここまで無茶苦茶やってきておいて、この程度で「英雄」なんて言われても、おかしくないか?まあ、新聞に書かれただけで終わってるのだけど。
<「ライダーなんて最低の奴らばっかりだよ」と叫ぶ悟。全くだ。
 車のスターターを入れた途端爆発炎上。と言うのはハリウッドではよくある描写なんだけど、ガソリン撒いただけでは、そうはならんだろう?それ以前にガソリン臭さに気づかないか?>
VOL.12
<A> <楽>
第47話 戦いの決断

  脚本:小林 靖子
  監督:長石 多可男
  アクション監督:宮崎 剛
  特撮監督:佛田 洋
 優衣の消失は間近に迫り、ライダーバトルの終焉も近づいていた。そんな中、蓮の挑戦を受けた真司は、バトルには勝利を収めるものの、ナイトにとどめを刺すことが出来なかった。優衣を守るために戦うことを誓ったはずの自分を不甲斐なく思う真司は…
 敵はデストワイルダー。パートナーのタイガを失って暴走しているが、龍騎のドラグランザーに撃破される。そして相変わらず多量に出てくるシアゴースト。最後に脱皮を始めた。
 前回ラストで優衣のために戦うことを心に決めた真司だが、最後の一線が越えられないまま。戦うことが出来ない以上、死んでもかまわないとまで思い詰めていながら、かと言って優衣を放っておくことは出来ない。切実な思いばかりが空回りしている。結局最初から最後まで真司は迷ってばかりで、情けないと言えば情けないヒーローの姿ではあるが、結局それが真司という存在であることを明らかにした話となった。
 優衣は少しずつ子供の頃の記憶を取り戻しているが、それは過去のトラウマを掘り起こすことになる。
 一方秀一の方も、病の進行がますます進んでおり、死を前にやはり決断を迫られている姿もあり。
 一応最終ストーリーに入っているのだが、戦いではなくそれぞれのキャラの心情に入り込んでいるのが特徴と言えるか。
 ラスト。士郎が「タイムリミットだ」と呟くと、多量のシアゴーストが脱皮する姿があり。こいつらがミラーワールドを閉じる役割を担ってるのか?
<サバイブモードの龍騎がソードベントで呼び出したのはノーマルのドラグセイバーだった。サバイブで強化されたドラグブレードとどっちでも呼べるのかな?>
第48話 最後の3日間

  脚本:小林 靖子
  監督:石田 秀範
  アクション監督:宮崎 剛
  特撮監督:佛田 洋
 優衣を救うためにライダーバトルを勝ち抜くことを決めた真司だが、何度やってもどうしてもとどめを刺すことが出来なかった。そして自らの身体のことを知った優衣は旧神崎邸に向かい、士郎にミラーワールドを閉じるよう願うが…
 敵はシアゴースト。その羽化後のトンボ型モンスターたちだが、むしろ今回は仮面ライダーオーディンとの戦いがメイン。
 いよいよ話はのっぴきらないものになり、それぞれのキャラが迷いつつも、最後の戦いに向かって突進していく姿が描かれる。蓮と浅倉はともかくとして、優衣を救うためには戦わねばならないことを知ってしまった真司と、ついに病の進行により倒れてしまった秀一は、半分脱落状態ながら、それでも自分に何かできないかと努力している。
 はっきり言って物語がにっちもさっちもいかないので、大きな展開は無理。出来ることはオーディンに突進して戦いを続けることくらい。ライダーバトルが終わってない状態で勝っても意味がないことは実証済みなんだけど。
 真司達の周囲でも、ようやく真司が何をしていたのかが分かって来始めている。感づくのが遅すぎる感じもあるが、最後の戦いに際し、決断を促すためには重要な要素。
第49話 叶えたい願い

  脚本:小林 靖子
  監督:石田 秀範
  アクション監督:宮崎 剛
  特撮監督:佛田 洋
 ミラーワールドでオーディンと戦い続ける龍騎とナイト。一方、現実世界では優衣がとうとう真実に気づく。実は本当の優衣は死んでしまい、今ここにいるのはミラーワールドから出てきた鏡像だという事実に。そしてその真実に気づいた時、優衣の体は消滅する…
 敵はシアゴーストレイドラグーン
 最終回直前となり、色々な意味で決別が描かれていく。特に最終回を前に主人公が死んでしまうと言う、普通考えられない物語が展開する。
 優衣の真実が今度こそ本当に明らかにされた。実は本当の優衣は既に死んでしまっており、今いる優衣は期間限定で鏡から現れた鏡像であること。そしてその事実を知り、ミラーワールドへと帰っていく。一方、なんとしても優衣を生き残らせたい士郎はライダーたちに後二日間でバトルを終わらせるよう指令する。
 真司はOREジャーナルで全てを明かし、無数に現れるシアゴーストと延々と戦う道を選ぶ。その際、致命傷を負い、ついに力尽きてしまう。
 そして最初からずっとライバルであった浅倉と秀一の決着も近づいている。
第50話 新しい命

  脚本:小林 靖子
  監督:石田 秀範
  アクション監督: 宮崎 剛
  特撮監督:佛田 洋
 ナイトの前に現れたオーディンはファイナルバトルを申し出る。一方、消えゆく命を前に、浅倉との最終決戦に向かう北岡。最後の戦いの行方は?そして得られた「新しい命」を誰がどう使うのか…
 最後にモンスターは登場せず。ひたすらライダーバトルが描かれていく。実際は全てのライダーがいなくなったわけではないが、オーディン自身が最後の戦いと認定したものがそうなってしまうのかも知れない。
 とうとう最終回。はっきり言って迷走を続けた作品と言った感じだったが、ラストも又、迷走のままだった。
 ゾルダとなって最後の戦いに臨んだのは北岡ではなく吾郎だった。おそらく北岡が死んだ直後にマグナギガと契約したのだろうが、その描写が全く無かったので、混乱を覚える。当の北岡は令子とのデートを前に事務所で静かに死に、それで結局北岡と戦えなかった浅倉は警察の群れにつっこんでいき、半分自らの命を絶つように死んでいった。
 そしてオーディンとの最終決戦に勝利した蓮は、恵里の命を救う代わりに、自らも力尽きる。結局誰も生き残らぬまま話は終了。
 ただ、どうやら世界そのものが士郎によって作り替えられたらしく、全てがなかった事になって、全員が日常生活に戻って終わる…って、そりゃないんじゃないか?無茶苦茶な終わり方だな。
 オーディンが何故何体も出てくるのかというと、オーディンは士郎そのものではなく、操り人形のようなものなので、何度倒されても構わないらしい。ただ、それは士郎の精神状態に依存するため、士郎自身が絶望を覚えた時、勝手に消滅してしまう。
 そう言えば王蛇のユナイトベント状態でのファイナルベントは始めての描写。蹴り上げた敵をジェノサイダーに吸い込ませてしまう能力で、初めて参戦した吾郎のゾルダがこれで倒されてしまった。
SP 13RIDERS

  脚本:井上 敏樹
  監督:田崎 竜太
  アクション監督: 宮崎 剛
  特撮監督:佛田 洋
 サブカル誌OREジャーナルの見習記者城戸真司は、ある日突然鏡の中から人が現れるのを見てしまう。瀕死のその人物からあるものを託される真司だが、それが彼にとって新しい戦いの歴史の始まりとなる…
 本編のパラレルワールドでの話をTVSPとして放映した作品。視聴者投票によってラストを変えたり、まだ登場していない残りのライダーが全員登場したり(結局テレビ本編、劇場版共に登場しなかった仮面ライダーベルデも出ている)と、話題になっていた。
 物語としては初期の設定から違っているのだが、これはおそらくTV本編が始まる前の時点で歴史が変わったからと思われる。真司よりも先に榊原耕一(TV版では一話時点で死んでおり、その部屋で真司はカードデッキを拾う)が既に龍騎に変身しており、その死をもって真司に龍騎が継承されたことになってる。ただこれだけのことで歴史が変わったと言うことなのか、それとも完全なパラレルワールドと言う事なのかは説明がなかった。更に視聴者投票でラストを変えるという大胆な試みもされていて、かなり挑戦的な作りの作品だったのは確か。
 いくつもの話題を振りまいたスペシャルだったが、時間的な問題もあり、かなり駆け足状態になっていた。特に登場するライダーの数が多い上に、人間関係を一から描写し直したため、後半のライダーはほぼ登場しただけで終わってしまったのは少々残念。
 一応本作の放映ではラストで真司は戦いを続けることを選択しているが、戦いをやめることを選択するパターンもあり。DVDにはどちらも入っている。ちなみにこの選択肢はTV版、映画版のラストとも異なるため、結果本作には4つのラストシーンが存在することとなった。

 並行世界についての考察。
 本作は非常にユニークな構造を取っており、エンディングがなんと本作、劇場版、SP版二種を合わせると四つも存在する(実は本作のエンディングも、最後に生き残るのが真司だったバージョンが用意されていたという)。これが何故可能かというと、オーディンという一体の仮面ライダーの存在のお陰。彼の能力は時を操るもので、その力を行使できる神崎士郎というキャラがこの作品の真なる主人公となっているからに他ならない。
 しかしこの作品群を観ても、全ての物語で神崎士郎の優衣の命を救うという目的は果たされていない。本編版のラストで再び時間が戻され、真司達が新しい日常生活を送っていることから、新しいゲームが始まっていることが推測される。ひょっとしたらエンドレスで今も尚ゲームは続けられているのかも知れない。
 あるいは神崎は完全なる救済は諦め、優衣との夢の生活に入る事を選択し、このまま全員が一般人として生きるという解釈もある。その場合、この物語で全ては終了したことになる。