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月光仮面 その復讐に手を出すな篇

月光仮面 その復讐に手を出すな篇事典
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書籍
第1部 どくろ仮面篇
第2部 バラダイ王国の秘宝篇
第3部 マンモス・コング篇
第4部 幽霊党の逆襲篇
スタッフ
川内康範 原作・全話脚本
船床定男 全話監督

1959'4'5〜7'5 

 特撮版月光仮面シリーズ最終作。敵となるのはどくろ仮面だが、当然ながら一作目とは正体が異なっている。
 内容としては真っ向から戦犯について描こうとしており、意識の高さは伺える。物語にしても、これまでと較べて随分地に足が付いたものとなった。
 一方、その分話がやや重くなりすぎたきらいはあるし、月光仮面の活躍よりも仲間内が争ってる内に話が終わってしまったのも、最終シリーズにしては少々寂しい。

話数 タイトル コメント DVD
第1話 狙われた男  大阪へとやってきた祝探偵事務所の面々。岡本家にやっかいになりつつ、祝は助手の五郎八とカボ子に黙って何事かを調査していた。そんな時、岡本家に突然やってきた一人の男。怯えるその男から事情を聞く五郎八だが、東条三郎というその男は、自分の命が狙われているとだけ言うばかりだった…
 今回の舞台は大阪。基本的に登場人物の大半が大阪弁を喋っているので、間が面白いものになっている。この時代描写で関西弁は妙に和むな。ついでに大阪の街の紹介もあり、一種の観光スポットガイドっぽくもある。
 何の変哲もない一般人が殺人者に狙いを付けられたと言う所から話が始まり、その理由を探る話となっている。
 ここではまだ祝は登場せず、五郎八ばかりが活躍してるが、これは第一部「どくろ仮面篇」と構成が同じ。一応月光仮面は登場するが、やったことは警察を呼んで謎の男を追いかけてるだけ。まあ顔見せってことだな。
<大阪にいる五郎八はいつの間にか大阪弁が上手くなってる。むしろ地のような?
 月光仮面の自己紹介は「愛と正義の味方月光仮面だ」…今更言うのも何だが、初登場でそれ恥ずかしくないか?>

第2話 正義の旗  通報を受けた警察は凶漢を追って寺の中へ。だがそこにいたのは祝十郎だけだった。身の軽い犯人はあっという間に逃げてしまうが、祝の手元には「正義の味方ならこの事件から手を引け」とメッセージが残された。
 これまで犯人だと思われた人間がいきなり毒が盛られてるという衝撃の展開から物語は始まる。いきなりで謎は深まっていく。
 月光仮面がいたはずの寺の中には祝十郎だけがいた。一応これが祝の初登場なのだが、ここまであからさまにやるか?それと祝もとても身が軽い。まるで月光仮面のようだ。
<警察無線の通信では通信途中で言葉がつかえているシーンがある。リアリティとも言えるが、単に取り直しが面倒なのでそのまま流した?
 初対面の寺の住人がすぐに祝のことを見破る。それで何の疑問もなく家に上がる。あからさまに怪しいんだけど。
 毒を盛られて死にかけていた犯人が起き上がった途端元気になってる。どんな毒だ?
 どんな悪人であっても殺してはいけない。と断言する祝。あれ?これまで何人か殺してるんじゃないのか?>
第3話 大阪駅の対決  白神と名乗る博士によって復讐に手を貸すよう言われた祝は断固それを拒否し、白神邸は警察によって包囲される。だが何故か家にいたのは五郎八だった。更に行方をくらました東条を追い、祝、白神博士は大阪駅へ…
 謎そのものは全然解けていないのだが、意外なところに意外な人物が出たり、理由も分からず死人が出たりと、これまでと較べると随分物語が複雑になってる。
 祝は度々白神による脅迫を受ける事になるが、どこに行っても白神がいるってのはなかなか面白く、知恵比べの様相を呈している。
 今回はタイトル通り大阪駅でのロケのため、駅の裏側をたっぷりと見せる。マニアには喜ばれることだろう。
<大阪駅内での乱闘を遠巻きに眺めている駅員さんが妙にのどか。完全ロケならではの光景だな。
 密室で祝が白神博士に言ったことを全部覚えている月光仮面。これで正体を察しない人がいることが不思議だ。>
第4話 どくろ仮面出現す  命を狙われている東条から真相を聞き出そうとする祝。だが脅える東条は頑なに何も喋ろうとはせず更にその間にも謎の死体が次々と出てきた。その一人のダイイングメッセージは、なんと「どくろ仮面」…
 意外なところで意外な人物が登場。第一部で登場したどくろ仮面だが、あれはもう死んでいるので、これは別人で、本人も「新しいどくろ仮面」と名乗っていた。それで白神博士とどくろ仮面とは何らかの関係を持つ頃が分かるが、今のところその辺も謎。東条も何も言わないまま謎の死を遂げ、事件はますます混迷の度合いを深めていく。
<コートを羽織っているとは言え、町中を黒ずくめどくろの仮面姿で闊歩するどくろ仮面。どんな感覚してるんだ?>
第5話 第一の告白  どくろ仮面の電波ジャックにより、白神博士の告白は中断されてしまう。博士の身の危険を察知した祝は変装して白神を連れ一路東京へと向かう。白神の口から語られる復讐の理由とは…
 舞台は大阪から離れ、いよいよ東京へ。どくろ仮面と祝の頭脳戦が中心となる。互いに相手を出し抜こうと奇抜な方法を使い、優位に立とうとしている。ただどくろ仮面の正体が分からないため、祝側はどうしても後手に回される感じ。
 そして語られる白神の秘密だが、これは戦争の記憶と深く結びついている。この時代だからこそ描ける話だ。
 話は東京に戻り、茂と木の実も久々に登場。一方大阪に残された五郎八とカボ子の二人は祝の残した謎の手紙の謎解きに頭を悩ませることになる。
<ところで祝探偵事務所の面々は何故大阪にいたのか語られることはなかったな。>
第6話 不幸な男  白神博士が語る戦争時代の恐怖体験。それは自分一人だけを孤島に残し、逃げた戦友達に対する復讐だった。祝に諭され、復讐の無意味さを悟る白神だが…
 謎の一部が明らかに。まず8人の兵士が南方の孤島に迷い込み、そこで毒蜘蛛によって次々に仲間が倒れていく。更に食物不足で反目し合い、殺し合いまで始めるようになる。あくまで回想ではあるものの重い話だ。ただ、それとどくろ仮面とは何が関係しているのかは現時点では謎。
 結構話が複雑になっているため、最後に月光仮面によって物語の整理が語られていた。今回の月光仮面の登場はこれと白神と話をしただけで去ってしまった。
<孤島を彷徨う8人の兵士。漂流してるって割にはこざっぱりしてる。>
第7話 どくろの反撃  東京に潜伏中の白神博士の下にやってきた男は笹本と言った。早速家に招き入れる白神だが、彼から自分が売国奴とされていること、妻子が殺されていることを聞かされる。
 戦争の爪痕が生々しく残る話で、必死の思いで日本に帰ってきた白神は、裏切り者によって自分が売国奴とされ、妻子も死んでしまったことを告げられる。戦後、こういう事って結構あったんじゃなかろうか?と思えるところがリアルで怖い。それを聞かされた白神は、一旦あきらめた復讐の念を燃え立たせてしまう。更にそれを利用され…と言うことで、とにかく悲惨な目に遭わされてる。
 そして白神の復讐とは、かつて研究していたことに関わっているらしい。どうやらこの研究がどくろ仮面が狙っていることのようだ。
 当時のタクシーは業者によって随分値段が違っているらしい。初乗りが60円から80円まであり、がめつい五郎八は60円のタクシーを待って乗ったが、それでどくろ仮面に罠にかけられてしまう。
白神が東京に行ったことをどくろ仮面は知らないはずなのだが、あっけなくばれ、更に潜伏先の祝探偵事務所にまで罠がかけられた。内通者がどこかにいるんだろうか?
<白神の後をこっそり尾けるどくろ仮面。こっそりと言っても仮面はそのままなので、目立つことおびただしい。
 久々に月光仮面の唄が流れた。唄が流れてから月光仮面の登場まで随分時間が経ってるけど、町中にその唄が流れてるんだろうか?>
第8話 毒ぐもの秘密  どくろ仮面を追いつめたものの、白神博士を人質に取られてしまった月光仮面はどくろ仮面を取り逃がしてしまう。幸い白神は助け出したものの、既に白神は重要な秘密を笹本に明かしていた…
 白神博士の秘密とは、戦前研究していた毒ぐもの毒素についてだった。別段秘密って程じゃないけど、その研究成果である神秘の毒薬が残されており、それこそが秘密だったという。
 その秘密もどくろ仮面によって奪われてしまった。どうやらどくろ仮面は月光仮面より一歩先に進んでいるようだ。
 前にもちらっと語っていたが、今回のどくろ仮面にはバックが付いている。外国の組織らしいが、関連は今のところ不明。
<長く使われてなかったという白神博士の研究室だが、こざっぱりしてる上に電話線まで通じている。
 浄水場に毒薬を混入させたどくろ仮面の配下だが、これを脅迫に使うのではなく、本当に都内を全滅させるために使ったと言うのが凄い。
 白神博士が開発した毒は南海の孤島で発見したものだったそうだが、時間的におかしくないか?>
第9話 見事なる計略  毒薬の科学式を手に入れるため、白神博士を襲うどくろ仮面一味。そんな窮地を救ったのはどくろ仮面に捕らわれていたはずの五郎八だった。だが肝心な科学式のノートはどくろ仮面に奪われてしまう…
 今回は五郎八が大活躍。窮地をものともせず、縄抜けの技術を活かしてどくろ仮面に一矢報いる。でも詰めが甘いので、やっぱり最後は月光仮面に助けてもらうんだが。
 今回も月光仮面とどくろ仮面の戦いは丁々発止の頭脳戦で、「こんなこともあろうかと」(と台詞は出てないが)が連続して出てくる。お互いに敵の上を行こうと知力を尽くしての攻防。
 ラジオから月光仮面の歌が流れており、今回は全編聴くことが出来る。なかなか全部は聴けないので、結構貴重。
 武田薬品のプラッシーの宣伝を五郎八がやってるシーンあり。「栄養たっぷりでお米屋さんで買えるんだよ」とか、サービス満点。スポンサーに気を遣ってるんだね。ちなみにプラッシーとは、「プラスビタミンC」の略だとか。
<今回はアクションシーンが満載で、役者の方も大変そうだが、殴り合いのシーンで全然殴ってないのがモロ分かりってのは何とかして欲しい。
 どくろ仮面の車をこっそり追うパトカー。後ろにある車が一台だけで、更に乗っているのが制服警官ばかりなのに、なかなかどくろ仮面は気付かず、更にどくろ仮面の車がスピードを上げると、パトカーに乗っていた祝が「しまった。気付かれてしまった」とか言ってる。>
第10話 生きていた妻子  すんでの所でどくろ仮面に逃げられてしまい、更に警視庁で保護しているはずの白神博士が失踪してしまう。失敗続きの祝だが、なんとか白神博士だけは確保しようとする。一方、秘密の電報を受け取り、警視庁を抜け出した白神は…
 死んだと言われていた白神博士の妻子が生きていたこと、そして黒幕としてのスナイダーの登場と、見所が多い。元白神の助手だった笹本も、実はスナイダーの配下であった。
 祝とどくろ仮面の知恵比べはまだまだ続いている。ただ、そこに白神博士とスナイダーと言う不確定要素があるため、互いに決定打を打てないまま。この話だけで物語は二転三転。かなり見所が多い。
 あくまで白神博士の復讐を思い留めようとする月光仮面の姿あり。このキャラはぶれない。
<「ここにあなたが来たのは誰も知らない」と勝ち誇るスナイダーだが、肝心の電報は警視庁に置きっぱなし。暗号とは言っても、分かる人間はいるだろうに。
 悪漢に当て身を食わせる月光仮面。腕の角度から見て、当たってるのは股間なんだが…これは痛い。
 「未だ血を流したことのない月光仮面の拳銃」と月光仮面本人が言っていたが、別に命を取ってない。と言う意味では何度も血を流してたぞ。>
第11話 死刑台の月光仮面  白神博士を救うためスナイダーのアジトに押し入った松田刑事と警視庁の面々。そこで彼らが見たのは痺れガスによって意識朦朧としている白神博士を助ける祝だった。
 白神博士の毒薬をめぐり、警視庁と月光仮面、どくろ仮面、スナイダーの三つ巴の戦いが展開。どくろ仮面にとってはスナイダーは雇い主だったが、裏切りは許せないというスタンスらしい。悪人っぽくて良いね。結局どくろ仮面の方が一枚上手で、ついにスナイダーも殺されてしまう。
<痺れガスが充満してるはずの部屋で平気で動き回ってる祝と松田刑事。ガスにやられた警官達も次の瞬間には全員ピンピンして再登場。
 月光仮面の追跡をまくため、車からスナイダーを突き落とすどくろ仮面。それに目もくれずにどくろ仮面の車に飛び移る月光仮面の姿あり。随分思い切ったことを。ところで月光仮面のバイクはどうなった?
 月光仮面が死んだと思いこんだ五郎八は、泣きながら「もうこのテレビ映画もお終いだ」と呟く。えらいメタなネタを使うな。
 車のルーフの上にしがみつく月光仮面と、それに気付かない車中のどくろ仮面達。この当時の車は安普請なので、上に乗ってたら、まず気付く。と言うか、これだけ乗ってると車の走行自体が阻害される。>
第12話 アジト襲撃  どくろ仮面によって罠にかけられ、処刑されようとしている月光仮面。なんとか脱出に成功し、逆にどくろ仮面を追いつめるが、追いつめられたどくろ仮面は人質に取っている白神博士の妻子を殺そうとしていた。
 警視庁がどくろ仮面のアジトに踏み込んだとき、そこには祝がただ一人佇んでいる。これでどくろ仮面との関連を考えないとは、なかなかおめでたい。
 錯乱した白神博士の描写は、録音をくぐもった音で行っている。ちょっとした実験だな。
<仁王立ちしている月光仮面のタイツだが、股間になんか変な突起が付いてる。妙に気になるな。
 気絶している女性を助け起こした途端、「これは白神博士の奥さんだ」と叫ぶ松田刑事。そんなことがよく分かったな。
 偽医者によって注射を打たれそうになった白神は「この紫の色は睡眠薬!」とか気付いたけど、分かるものなのか?
 それより偽医者との格闘であれだけ大騒ぎしてるのに、周りの人が誰も気付かないもんか?>
第13話 警視庁対悪の巣くつ  厳重な警備にもかかわらず、病院から白神博士は連れ去られてしまった。一人それを察知した月光仮面は犯人の車を追うが、そこで彼が見たのは
 月光仮面、どくろ仮面、スナイダーによる三つ巴の白神博士争奪戦は佳境へ。
 警察病院から白神博士を連れ去られてしまった松田は珍しく激昂してる。五郎八が来て色々余計なことを言っているのも、普通は笑ってるけど、今回はうんざりした顔を見せていた。
 今回も五郎八はプラッシーの宣伝をしているが、同時にここまでの話をちゃんとまとめて子供達に教えている。結構複雑な物語展開になってるので、これは結構ありがたい。
<祝探偵事務所に流れている月光仮面の唄。しかし月光仮面は現れず、祝が現れた。>
第14話 天の裁き  薬を打たれ朦朧状態の白神博士を連れスナイダーのアジトに入ったどくろ仮面配下の面々。だが既に国外逃亡を決めていたスナイダーは彼らを尻目に脱出しようとする。一方、そのアジトの前でどくろ仮面と銃撃戦となった警視庁の面々だが…
 シリーズを通しての最終回となった作品。いよいよどくろ仮面の謎が明らかにされる。その正体は白神博士のかつての上官西川だった。ほとんど出てなかったので、「これ誰?」だけど。スナイダーの前に突然どくろ仮面が現れ、その直後、突然今度は月光仮面が現れると言った感じで、何がなにやら。と言う感じで物語が終わってしまった。
<どくろ仮面と銃撃戦となる警視庁の面々。しかし、その服装は明らかに軍服…自衛隊に応援でも頼んだか?
 それでマシンガンを乱射するどくろ仮面だが、そのマシンガンの先からほんの申し訳程度に火が付いてるだけ。体を揺らして撃ってるように見せてる。
 朦朧状態となった白神博士を「頭おかしい」と称する五郎八。もうちょっと違う言い方しても良いと思うんだけど。
 どくろ仮面のアジトにやってきた面々の前に現れたのは祝。先ほどスナイダーのアジトで別れたばかりなのに?しかも祝の背後には月光仮面によるメッセージが。これで月光仮面の正体を疑わない面々の方がおかしい。
 初代のどくろ仮面と二代目の関係は最後まで明らかにされなかった。その辺もうちょっと言及が欲しかったところだ。>

 

書籍
「月光仮面」を創った男たち(2008) <A> <楽>