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河童の三平 妖怪大作戦

河童の三平 妖怪大作戦事典
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 1968'10'4〜1969'3'28

 水木しげる原作のマンガ「河童の三平」をベースにした作品。漫画版はいくつかのバージョンがあるが、三平が河童達と共に妖怪と戦うと言う設定は本作放映当時に連載されていた「少年サンデー」版から。連載と同時並行だったため、途中から話は変わっていく。
 最初は活劇作品で、三平も河童妖術なる特殊な術を使えたが、途中から術が使えなくなって、妖怪から逃れながら母をひたすら探すウェットな話になっていく。力よりも持ち前の知恵で解決していくので、よりドラマ性は高まった。てこ入れで派手になるのは多いけど、地味になるのは珍しい。

主な登場人物
河原三平 (役)金子吉延。当時東映の名子役。「仮面の忍者赤影」では青影を演じていた。
 過去先祖が河童を封じたとされる少年。河童によって88手の妖力を授けられた。もののけ様によってさらわれた母を探すため、妖怪達と戦い続ける旅に出る。途中で妖力は消えてしまうが、頭の良さは相変わらずで、知恵で幾多の困難を越えていく。
甲羅の六兵衛 (役)牧冬吉。東映特撮では度々登場。「仮面の忍者赤影」では白影を演じていた。
 河童の長老の娘カン子の従者。三平にくっついていくカン子に引きずられる形で三平に付き合うことになるが、やがて大切なパートナーとして旅の最後まで付き合うことになる。
カン子 (役)松井八知栄。子役出身で後にプロボウラーとなる。
 河童の長老の娘。水鬼によってさらわれてしまったが、助けてくれた三平を気に入り、その旅につきあうことになる。
河原好江 (役)山辺潤子。
 三平の母。三平が妖力を授かった代わりに記憶を封じられ、放浪させられる。何度もニアミスはするが、なかなか出会えない。母を見つけることが三平の旅の目的となった。
いたち男 (役)潮健児。東映特撮では数多くの役を演じた名優。
 本人曰く「至って気の良いいたち男」。河童から頼まれ、三平のお目付役として行動を共にする。がめつい上に調子がいいキャラで、三平一行のトラブルメーカーにしてトリックスター。後半はレギュラー化していく。
話数 タイトル コメント DVD
第1話 妖怪水鬼

  脚本:伊上 勝
  監督:田口勝彦
 河原三平少年は、家にある開かずの間から64代前の先祖が河童を封じたという封印の地へと落ちてしまう。先祖の仇と河童達に捕らわれ、尻子玉を抜かれそうになった三平だが…
 敵は水鬼。樹木のような巨大な妖怪。河童の体の水分を好む。河童王国に単身攻め込み、カン子をさらう。火に弱い。
 水木しげるの世界観そのままに、ヒーローものというよりも怪奇性を前面に押し出した作品となっている。
 主人公の三平が口ばかり達者で、いつも被害者面をしてる辺り、いかにもクソガキって感じだが、それがこのキャラの良さだろう。地上では死んだ事にされているけど、それを気にする様子もないとか、よく分からない性格でもある。
 物語はテンポ良く進んでいて、罪人からヒーローへと変化していく三平の姿がなかなかよろしい…パターンとしては『キャプテンスーパーマーケット』だけど。
<河童は64代まで祟るという。それひょっとしてハッパ六十四…と思ったら、劇中でもツッコミ入ってる。
 干物になった河童は水に放り込んだだけで復活してる。フリーズドライか?
 人間が持つことの許されない妖力を授かったと言う事で、呪いをかけられてしまう三平。でも呪いをかけられるのは三平じゃなくて河童の長老の方じゃ無かろうか?>
DVD1
<A> <楽>
第2話 人喰いマンション

  脚本:伊上 勝
  監督:田口勝彦
 河童の妖力を授かった三平だが、それが妖怪世界の掟に触れてしまい、母良江の記憶が奪われてしまう。放浪する母を探す三平と、三平が気になって地上に出てきたカン子。良江を捜す二人はいたち男に唆され、妖怪マンションと噂されるマンションに入り込んでしまうが…
 敵は死なず娘ぬれ髑髏。妖怪マンションに誘い込んだ人間を食ってしまう。攻撃されると分裂してしまう。
 河童の妖力を授かった三平の放浪の旅が描かれる。なんだかんだで妖怪と接触してはその妖怪を退治するというパターンはここから始まる。相当なお転婆なカン子に、同調する三平。結局お目付役の六兵衛が貧乏籤を引く結果となる。
 六兵衛と三平の戦いは、現時点では白影と青影の関係そのものっぽい。
 良江はレストランで働いており、いたち男と接触はしてるが、三平とは会えず仕舞いだった。
 登場する妖怪死なず娘役は曽我町子。まだまだ若い。
<母に会えないと知ってもあんまり落ち込んだ様子のない三平。あきらめが早すぎるぞ。>
第3話 吸血自動車

  脚本:伊上 勝
  監督:北村秀敏
 三平とカン子は妖怪の生き字引砂かけお婆を訪ね、そこから母が東南の方角にいると聞かされる。そんな彼らが出会ったのは自動車セールスマンをしていたいたち男。更にいたち男が運転する車は崖下に転落してしまい…
 敵は血なめ。心ないドライバーによって封印が解かれて復活した巨大な妖怪。触手を操って人間の血を吸い、人間を骸骨にしてしまう。車に乗り移り、その車に乗った人を取り込んでしまう。ちなみにその車のナンバーは「しー4242」
 母を探す三平とカン子六兵衛の三人に、水木漫画の定番砂かけお婆が登場。
 今回も三平は母とニアミス。やっぱりすれ違いのまま。何故かいたち男には縁があるらしいが。
<ところで砂かけお婆は「妖怪の生き字引」と呼ばれているそうだが、妖怪って生きているのかな?
 ヒッチハイクでカン子がやってるのはチラ見せ…『或る夜の出来事』を真似たんだろうけど、子ども番組でこれやって良いのかよ?>
第4話 黒髪魔女

  脚本:中島信昭
      掛札昌裕
  監督:山田 稔
 母が働いているという旅館を訪ねる三平。母が既に辞めてしまったことを聞かされるが、旅館の娘ヨーコはこの町に伝わるという黒髪の呪いにかけられてしまったことを知る。
 敵は濡れ女。鐘に閉じ込められて湖の底におり、恨みで髪の長い女を湖に引きずり込もうとする。そして妖女。濡れ女の娘で、母を湖から引き揚げて村を水没させようとする。
 怪奇色の濃い話で、長い髪の女性が夜中に夢遊病者のように歩き回り、妖怪にとっつかまるとか、陰鬱な音楽とか、とても不気味な雰囲気が醸し出されている。
 今回も砂かけお婆が登場。妖怪のヒントを与えている。それを聞いた三平はその霊を慰めようと説得を試みたりもしてる。問答無用で妖怪を殺す訳じゃないのね。
 今回の妖怪は母思いの健気さもあるが、同時に人に対して激しい怒りも発している。こういう妖怪を退治するのは、なんかやるせない思いにもさせられるものだ。それが本作の大切な部分だろう。
第5話 恐怖城

  脚本:伊上 勝
  監督:北村秀敏
 ヨーロッパを支配する大魔王サタンと娘の魔女パンドラが日本にやってきた。世界から人間を駆逐し、妖怪だけの世界を作ろうという目的で、手始めに河童の国を支配しようとするサタンは、山奥に恐怖城を作り上げる。
 敵は大魔王サタン魔女パンドラ。世界から人間を駆逐し、妖怪だけの世界を作ろうと、手始めに日本に乗り込んできた。
 突然西洋妖怪が登場。原作者によれば、西洋妖怪は日本妖怪にやっつけられるためだけに出てくることが多いが、ここでも同じパターン。存在感が低いのね。とても強い力を持っていても、三平の口には勝てなかったようだ。
 突然がま令嬢なる女性が登場。これまで出てこなかったはずだが、親しげに六兵衛と話しているので、話の合間に接触があったものと思われる。
 意外に六兵衛は女好きで、人間の娘に化けたパンドラの色香に迷っている。良いアクセントかな?
 一方三平もパンドラの術中には待って六兵衛を殺そうとするとか、なかなかの強敵らしい。そんなサタンを下したのは妖力ではなく、三平の口八丁。これがこの作品の醍醐味かな?悪い見方をすれば、三平の口車に乗ってパンドラはサタンに殺され、サタンもそれで殺されてしまった訳だから。原作に忠実なのかな?
<父親がサタンで、娘がパンドラ…神話の整合性無茶苦茶。
 サタンがいたのはヨーロッパ。でもどこの国かは全く語られてないのね。
 サタンの妖力であっという間に出来上がった恐怖城だが、その中は蜘蛛の巣が張る古いもの。新築じゃないの?>
第6話 蜘蛛女

  脚本:安部 寿
      松田寛夫
  監督:北村秀敏
 道に迷った人を次々に殺害する山おやじ。三平達も道に迷って山おやじの家に迷い込んでしまう。隙を見て山おやじを殺す事に成功するのだが…
 敵は山おやじ。人間を道に迷わせ、毒を盛って殺した後でその肉を食って生き延びてきた妖怪。そしてただれ。山おやじの娘で、三平によって殺された山おやじの肉を食って急激に成長して蜘蛛女となり、三平を付け狙う。
 心優しい娘が父の死を超えて復讐を果たそうとする、なんだか哀しい話となった。人間に母親を殺され、人を食って生きていく一家という重い設定と、母を思う三平の心に打たれて自ら死んでいく姿がなんとも後味の悪さを思わせる。
 殺した人間の肉を娘に食わせる父。凄まじい描写だ。
 三平の機転はここでも健在。毒を盛られたと知った三平はその毒を山おやじに飲ませてしまう。相手が普通の人間に近いので、とてもきつい描写でもある。
 ついに三平が母良江と再会?というところもあったが、全ては策略。それにいたち男が一枚噛んでいるあたり、「ゲゲゲの鬼太郎」におけるねずみ男と同じ立ち位置であることが印象づけられている。
 前回もそうだが、三平を陥れるために蜘蛛が用いられているところで、蜘蛛が河童の天敵という立ち位置にあるっぽい。
第7話 死神小僧

  脚本:伊上 勝
  監督:山田 稔
 ビルの工事現場で落ちた鉄骨の下敷きになりかけた社長を妖力で救った三平。だがそれによって死に神の怒りを買ってしまう。カン子に取り憑いた死神を祓おうとする三平と六兵衛だが…
 敵は死神小僧。死神の見習いだが、殺すはずの会社社長の命を三平に助けられてしまったため、今度は三平の命を狙う。そして生霊。死神の上司。妖力を授かった三平を殺すように死神小僧に命じる。
 定められた人の寿命を延ばしてしまったことで、今度は三平が狙われてしまうという話。人助けが仇になるとはなんともやりきれない話でもある。そんな不条理を描くのが原作の味ではあったが。
 死神にも寿命があるらしい。年老いた死神が寿命を迎え、死に怯えるとか、普通の人間ドラマになってしまってる。死神の法則によれば、寿命が来た人間を殺すのを失敗すると、自分若しくは近親者の寿命が短くなるらしい。
 そんな死神の技に対抗出来る河童妖力。死をも自由に出来る妖力って凄いな。
 今回も絶体絶命の危機を三平の口八丁と機転で回避。これが本作の味だ。死神の法則さえも無視する三平って、やっぱり凄い。
<三平を殺すはずが、目的をカン子と六兵衛にしてしまう死神小僧。それにしても死神が人を殺す基準って、かなりいい加減だな。
 最後に死神親子と仲良く手を振り合う三平一行。死神と仲良くなるって無茶苦茶違和感あるんだけど。>
第8話 呪いの泥人形

  脚本:中島信昭
  監督:北村秀敏
 母を訪ねお屋敷町へとやってきた三平一行は道に迷ったヒロ子という少女に出会う。一緒に兄がいると言う紫雲荘へとやってきたが、そこで三平は蛇に襲われる。
 敵は蛇老婆。紫雲荘という下宿を経営し、そこに住む学生を取り殺して、過去死んだ息子に捧げていた。
 呪いの館に迷い込むってパターンはこの作品には多い。今回もそれで、酷い目に遭わされてしまう。今回は不意打ちを食って、得意の口八丁を使う間もなく殺されそうになってしまっている。たまたまカン子と六兵衛が来たお陰で長らえたが。
 遊んでばかりの大学生を揶揄する台詞がある。これも一応社会派的な意味合いなのかな?
 カン子と六兵衛は街中で砂かけお婆と出会う。妖怪のくせに人混みは平気なんだな。
<迷子のヒロ子に話しかける三平は随分と大人びた物言いしている。一見ナンパに見えるぞ。
 今更ながら、三平の母は本名を名乗って仕事をしているらしい。だったら自分の身元くらい分かりそうなもんだが。
 呪いの人形に釘を打ち込んで人を殺すってパターンは前回と全く同じ。
 蛇老女が死んだら、これまで殺された人間がみんな生き返っていた。白骨化してたはずなんだがなあ。>
第9話 最後の吸血鬼

  脚本:安部 寿
  監督:山田 稔
 山野という男がいたち男を乗せてドライブ中、墓地の近くで女性を轢いてしまう。慌てて病院に彼女を連れて行くのだが、病院から忽然と姿を消してしまう。その女性の事を聞いた三平は、それが母ではないかと、彼女を捜すのだが…
 敵は吸血鬼吸血女
 純潔を守ろうとする吸血鬼の親子と三平の対決。今まで一度も人の生き血を吸った事のない吸血女が初めて血を吸ってしまった男性に恋に落ちた事で生じた悲劇を描いた、切ない話でもある。
 吸血族の掟は、仲間を増やさない事。誰かを噛んでしまった場合、その人物を殺害しなければならないとの事。いかにも悲恋風にまとめられる設定だ。
 ただ、今回は全く三平達は蚊帳の外で、最後に事件を解決するためだけに登場する。
 山野役は「仮面ライダー」でゾル大佐を演じた宮口二朗。オープニングカットは地獄大使とゾル大佐のツーショットと言う事になる。
<ニュースでキャスターが「事故の女性は河原好江さんに似ており…」とか言っていた。なんでわざわざそんな事を言う?
 荒れ寺の住職だが、なんで蓬髪なんだろう?>
第10話 地獄の写真家

  脚本:掛札昌裕
  監督:北村秀敏
 雪絵という女性が妖怪に襲われているのを助ける三平。そんな折、いたち男から母の手がかりは村上写真館にあると聞き、そこを訪ねるのだが…
 敵は写真鬼。ナマズの化身村上が公害病に罹ってしまった妻の命を救うために若い女性の命を狙うために召喚したカメラのような姿をした妖怪。カメラのフラッシュで何でも燃やしてしまう。
 公害問題をまっすぐに見据えた物語で、当時はイタイイタイ病なんてのもあったが、ここではオソレ病などと言われている。
 話は割とオーソドックスだが、妹を助けるために幽霊になった姉が出てくるという、叙情的で不気味な雰囲気がなかなかよろしい。
 今回は結局妖怪も含めて全員生き残るという、なんかとってつけたような終わり方になってしまったのが残念。
第11話 鬼女の子守歌

  脚本: 辻 真先
  監督:北村秀敏
 三平は占い師に母の居場所を占ってもらい、そこで告げられた家を訪ねる。だが、そこに住んでいた少年信吉は三平の目の前で消えてしまう。2月29日生まれの男の子ばかりが消えるという事実を知った三平だが…
 敵は鬼女。2月29日生まれの子の生き血を奪い、我が子に飲ませる妖怪。
 今回は三平がちゃんと中心になって妖怪と関わる話になってる。積極的に妖怪退治をする話も実は最近は少なくなっていたな。やっぱり三平の口八丁が発揮されていた。今回はカン子が囮になって妖怪と対峙するシーンもあり。
 雰囲気も不気味そのもので、いかにも妖怪っぽい話になってるのが好感度高い。話の継ぎ目に出てくるトイレの消臭器が風車のようで、不気味な雰囲気を醸している。
 子を思う母の思いを主題にしてはいるが、物語がまんま鬼子母神になってるのは愛嬌か?
<いたち男によれば、三平の特徴は「丸顔小太り」だそうだ。確かにその通りかも知れないけど、悪口にしか聞こえないぞ。>
第12話 悪魔病院

  脚本:伊上 勝
  監督:田口勝彦
 母を探す三平一行だが、ついに路銀が尽き、三人は仕事を探す事に。だがたまたま仕事を探そうと新聞を広げた三平の目に「三平、母が待つ」という記事が入る。
 敵は心ぬすみ。阿久間病院の院長の正体で、体をバラバラにして人を病院に呼び込み、そこで記憶を改竄させてしまう。両手にある目から人間を吸い込む。
 三平達の苦労が描かれる話だが、なんかもっと前にあって然りの話だったと思う。特にがま令嬢と会ったのはこれが最初となるのだが、5話で既に出ている。これはその前の話ってことかな?体の水分が抜けた河童は干からびてしまうって設定も初期の頃のもの。
 不気味さはそんなにないんだが、巻き込まれて困ってしまった三平が口八丁で難事をすり抜けるってのは、物語の定番だな。
 がま令嬢は金持ちのようでいて、かなりせこいキャラ。
第13話 山うばの呪い

  脚本:伊上 勝
  監督:北村秀敏
 猟に出たハンターが誤って山うばを撃ってしまった。山うばはハンターに呪いをかけ、三平を殺した時に呪いを解いてやると約束する。
 敵は山うば。もののけの命令で三平を殺そうと、呪いをかけたハンターを差し向けるが、失敗した上に命を助けられてしまう。そしてもののけ。妖怪の大将で、霊魂の存在。三平の母を記憶喪失にさせた張本人。三平の母に新たな呪いをかけてしまう。
 三平を殺すために人間を利用する妖怪の姿がある。ハンターに撃たれたふりをして、呪いをかけた上、失敗したら沼に沈めるとか、かなりの悪質な妖怪のように思えるのだが、結構気が良い妖怪だったりする。水木キャラっぽい複雑さがあるな。
 そして妖怪の大将もののけと三平の対決となる。母の記憶を取り戻したら自分の命も捧げるという三平に対し、もののけの答えは、母の記憶を取り戻す代わりに、決して三平とは出会う事が出来ないという呪いに切り換えた。
<山うばの術によってボートごと空に飛ばされた三平は「もう駄目だ」と言っている。水を使った妖力は得意だろうに。
 その後六兵衛が妖力を使うが、全く通用せず。なるほど妖力を防ぐ力を持ってた訳ね…って、それって一介の妖怪が使うには凄い能力じゃね?>
第14話 あやつり坊主の怪

  脚本:伊上 勝
  監督:北村秀敏
 ようやく記憶を取り戻した母と再会する三平だが、もののけの呪いによって三平はどことも知られぬ場所に飛ばされてしまう。三平が飛ばされた村では、巫女が何者かに取り憑かれて殺されるという事件が起きていたのだが…
 敵はあやつり坊主。村人を呪い殺し、死体を操る妖怪。
 今度は村ぐるみの妖怪騒ぎに巻き込まれる三平。たまたまやって来た村で、三平が呪いを持ってきたと勘違いされてしまう。これまでは個人的な事が多かったけど、今度は社会的な面に目を向けるようになったか。
 今回三平は妖力が消えてしまっている。それで大ピンチに陥るのだが、機転でピンチを脱するのはいつものパターン。結構簡単にカン子と六兵衛とは合流出来ている。異世界って訳じゃないらしい。
 そしてカン子はここで降板。演じる松井八知栄の事情だそうだ。代わりの子役はいなかったのかな?
<時代とは言え、不快用語が山ほど出てくるな。
 もののけは三平の妖力を封じる事も出来た。だったら、なんで最初からやっておかないんだ?>
DVD2
<A> <楽>
第15話 妖怪猫道人

  脚本:伊上 勝
  監督:北村秀敏
 猫道人によって呪いをかけられてしまった三平は、徐々におかしくなっていく。そこに現れた猫同人は六兵衛に襲いかかるのだが…
 敵は猫道人。人に呪いをかけ、狂い死にさせてしまう。多数の黒猫を放って呪いを強化する。
 カン子が消え、三平と六兵衛二人の旅の開始。紅一点が消えてしまったため、やや寂しくなってるが、その分二人の凸凹コンビぶりが映える感じはする。いたち小僧もそこに入ってくると、かなりカオスな雰囲気になっていく。まだ三平の妖力は戻っていないので、妖力絡みでは六兵衛を頼るしかないのだが、憎まれ口を叩いているのは甘えかな?
 記憶が戻った三平の母好江も三平の居所を探しているが、やっぱり様々な妨害にあってなかなかうまくはいっていないようだ。
<好江の記憶が戻っているので、好江は実家にいるはず。さっさと帰ればそれで済むんだが、それをやらないことが本作の醍醐味か?
 呪いが進行していくと、突然ケタケタと笑い出したり、幻影に悩まされたりする描写があるが、これも今は自粛だな。>
第16話 妖怪血ぞめの蝙蝠

  脚本:松田寛夫
      さわきとおる
  監督:加島 昭
 毎年何人もの記憶喪失が起こるという街で、記憶を失ったという老人が大切にしていた人形が盗まれた。老人に頼まれた三平はその人形を取り戻すため、怪しい教会へと足を踏み入れた
 敵は魂ぬすみ。子どもの魂を奪って食べ物にしてしまう妖怪。自分自身の魂を奪われて記憶喪失になっていたが、腹話術人形に込められた魂を取り戻した。本人は子ども達を襲った事はなかった。太郎と二郎という二人の兄弟が登場する。
 愛憎入り交じる兄弟の妖怪の確執が描かれる話。誇りを保ったまま死ぬか、誇りを捨てて仲間も含めて命を長らえるか。その狭間で苦しむ二人に巻き込まれる三平という、かなり複雑な話になってる。
 人形が人間を襲うという部分はまるで「怪奇大作戦」の「青い血の女」みたいな演出も見られる。
 母を探すよりも不幸な人間を見捨てる事が出来ないと言う三平。なんか初期の頃とは性格が変わってきてるな。
 今回もいたち男が金儲けをしようと三平にちょっかいを出しているが、やっぱりねずみ男だよな。
<普通に妖怪にちょっかいを出している三平だが、妖力を持ってないので、単に無茶をやってるとしか見えないのが難点だ。
 20数年前に西洋妖怪が日本に攻めてきて、そこで日本の妖怪が全滅の危機に陥ったとされているが、これまでそんな事は一切言ってなかったぞ。サタンが出た時も日本の妖怪は普通に戦ってたし。>
第17話 妖怪顔なし

  脚本:伊上 勝
  監督:北村秀敏
 三平と六兵衛が宿泊していた旅館に怪しい影が現れた。影を探しに行った六兵衛だが、丁度起こったカップル殺人犯として捕まってしまう。仕方なく一度旅館に帰った三平だが、何故かそこには捕まっているはずの六兵衛の姿が…
 敵は顔なし。本来顔のない妖怪で、潜んでいる水に顔を写した人間の顔を盗む。人間の味方をする六兵衛を狙う。
 六兵衛の受難が描かれる話。三平とつきあっている以上、酷い目に遭うのはいつものことだが、今回は珍しく六兵衛本人を狙った犯行が展開していく。
 そんな六兵衛を助けるために三平が活躍する。その際いたち男を仲間に引き入れるため、久々の口八丁でいたち男を口説いたり、偽物六兵衛を罠にはめたりとなかなか小狡いことをしてくれる。それが三平の魅力だな。それで自分の頭の良さをひけらかしてもいるんだが。
<六兵衛の身内だと警察に訴えているのに、「さっさと帰りなさい」と言われる三平。なんで殺人犯の身内を帰すんだ?>
第18話 妖怪こだまがえし

  脚本:安部 寿
  監督:加島 昭
 旅の途中三平は清吉という男と知り合う。実は清吉の妻こだまは妖怪であり、そのお腹には子どもが宿っていた。
 敵はこだまがえし。人の感情をそのまま返すという女の妖怪。自分を愛してくれた清吉には愛を返し、子までなした。そしてその子のこずえ。こだまと清吉の間の娘。赤ん坊から一気に成長して、母の復讐をしようとする。
 妖怪の純情と親子の愛情を描いた話で、作品の初期にはこういう話が多かった。妖怪の方が純情で、人間の方が悪者になるって構造がなかなかよろしい。一応ハッピーエンドになってるところは初期とは異なるか。
 憎む人間に呪いをかけるこだまがえしに、「憎まない」と宣言する三平。やっぱりこれも口の巧さかな?
 今回人の弱みにつけ込んで金をせびるいたち男のゲスっぷりがなかなかの見所。シャレにならないことまでやってしまうのはネズミ男に通じてなかなかよろしい。潮健児が良い役やってる。
<たまたま夜に白い服を着た人間を見ただけなのに、それを妖怪と見破る清吉。随分勘がいい。
 好江は東京で待っているはずなのだが、なんでか旅を続けていて、放浪してるって形になってる。初期の設定に戻ったのか?
 一気にせいちょうした赤ん坊のこずえだが、なんだかえらい事情通。どうやって母のことを知ったんだ?
 今回の妖怪が妖力を使う効果音がキングギドラの光線と同じ。なんかなごむな。>
第19話 妖怪村の復讐鬼

  脚本:伊上 勝
  監督:北村秀敏
 妖怪達が平和に暮らしている妖怪村に足を踏み入れた三平と六兵衛。平和なはずのその村は、妖怪牢から放免された鬼の三兄弟によって襲われてしまった。村に住む念力が一人、三兄弟に立ち向かうのだが…
 敵は一眼鬼、二眼鬼、三眼鬼の三兄弟。かつて妖怪村を混乱に陥れた三兄弟で、牢から出て村に復讐にやってくる。
 平和な妖怪村の混乱を描く話で、なんかテレビ西部劇を観ている気分にさせられる。というか、物語そのものが『真昼の決闘』そのものっぽいんだが。
 そんな危険なところに飛び込んでしまう三平だが、いつの間にか三平が悪い事を見過ごすことが出来ないって設定が当たり前になってる。人助けの旅も悪くはないけど、それは本作でやる必要無い気もする。
 一方、村人を口八丁で扇動したり、子どもを人質に取ったりと小者感がたっぷり詰まったいたち男もちゃんとキャラが立ってていい具合。
第20話 怪妖盲魔

  脚本:伊上 勝
  監督:北村秀敏
 死体から目を盗むことを強いられていた妖怪盲魔。自らの宿命を娘には継がせられないと、妖怪組織から抜けようとするのだが、妖怪たちに追われる身となってしまう。そんな盲魔を守ろうとする三平と六兵衛だが…
 敵は妖怪組織の殺し屋。
 今回も妖怪助けの旅。目が見えず、死体の目を盗まねばならないという悲しい運命を持つ妖怪を助けることになる。元ネタは『座頭市』と『子連れ狼』かな?西部劇とかも入ってるっぽいが。
 今回はいたち男が結構活躍している。小悪人のため、人殺しをするのはやっぱり気が引けるらしい。
 でもやっぱり三平が妖力を使えないため、物語は今ひとつ。
<盲魔に河童の国で平和に暮らすよう薦める三平。河童の国も随分襲われてる気がするんだが。>
第21話 妖怪獄卒

  脚本:中島信昭
  監督:田口勝彦
 母を訪ね、黒村という村にやってきた三平と六兵衛。そこで化け物が出ると言う噂を聞き、二人はこの村に宿泊することにする。実はこの旅館には死んだはずの一人息子がおり、その息子が妖怪の僕となっていたのだ。
 敵は獄卒。地獄からやって来た鬼の一種で、人間の魂を引き抜いて肉体を強制労働させる。
 今回も村ぐるみの化け物騒動に巻き込まれる話で、パターンとして、三平が積極的に関わることになる。普通のヒーローものっぽい話になると、本作の特徴が薄れるんだよな。
 又してもいたち男が三平を陥れるような言動を取っているが、このキャラの場合、金だけがモチベーションなので、悪にはなりきれないのが良い位置づけだ。
 今回妖怪に取り憑かれた人物が登場するが、とても現代では描写出来ないようなものだった。まだこの時代だから描写出来るってこともあるんだよな。
<母の記憶が戻っていることは三平も知っている訳だから、東京に戻るだけだと思うんだが、なんでわざわざ遠くの村に母の安否を問うんだろう?>
第22話 妖怪逆怨鬼

  脚本:小沢 洋
      田口勝彦
  監督:田口勝彦
 旅の途中荒屋で寝ていた三平と六兵衛だが、その前の家では藁人形に花嫁衣装を着せていた母の姿を見る。この家では三年ごとに神隠しが起こっており、それを防ぐためだと説明されるのだが…
 敵は逆恨鬼。逆さに埋められた大黒柱に住み着いた妖怪。顔が逆さまになっている。
 確か逆さにされた大黒柱は妖怪になるって言われてるけど、それを広めたのは、水木しげるによるものだとか…
 今回も積極的に人助けをする三平の姿がある。ただ、今回は怪奇シーンが盛りだくさんで、初期の頃に戻ったような感じはする。三平の勘が良すぎるのはいつものことか。
 今回いたち男は胡散臭げな祈祷師になって登場。逆さ柱に生えたキノコを食べたら、全身コケまみれになった。
<ミヨが消えた時、たまたまそこに家族の写真が落ちていたのを、「きっとお父さんがミヨさんがここにいるって教えてくれてるんだ」と察する三平。なんでそうなるのか具体的に説明して欲しい。
 何年も前に逆恨鬼に連れ去られたはずの家族が普通に戻っているのはおかしくないか?>
第23話 妖怪雪女

  脚本:中島信昭
  監督:山田 稔
 雪女と出会ってしまったいたち男は、殺さない代わりに自分の娘を捜すように強いられてしまう。そして民家二刀流中の三平の前に姿を現した雪女は、その家の息子太郎と三平を自分の子どもにしようとする。
 敵は雪女。子どもを捜しており、村の少年太郎と三平を自分の子どもにしようとする。
 観た人間を全て殺してしまうと言う雪女の話だが、微妙に鬼子母神の話も入ってる感じ。怪奇調はかなり高い。
 久しぶりに三平をターゲットにして妖怪が攻めてくるため、初期の雰囲気に多少戻ってきた感じだな。今回は妖力全く関係なく、雪女に火を付けたらあっという間に消えてしまった。
<雪山に入るのに半ズボン姿の三平。いくらなんでもそれはないだろ。
 母のいる場所は分かっているらしいが、なんで三平はそちらに行かずに子ども達と遊んで暮らしているんだろう?>
第24話 怪異半獣仙人

  脚本:伊上 勝
      山田 稔
  監督:山田 稔
 半獣仙人への供え物を食べてしまったいたち男は、現れた半獣仙人に、身代わりの生け贄を捧げるよう強要される。手近にいた三平を生け贄にしようとするいたち男だが…
 敵は半獣仙人。村人の守り神であると共に怒りの神で、自分を崇め奉る人間には恵みを与えるが、ないがしろにする人間を殺す。
 相変わらずいたち男によって変な事件に巻き込まれる三平の姿があり。妖力を持たない三平が命の危機に陥るのもいつも通りか。
 半獣仙人役は安藤三男。この頃から悪人役ははまってる。
<警官の格好をしたいたち男にすっかり騙されてしまう三平。分からないもんなの?
 今回は六兵衛の女装姿が拝めるが、出来れば観たくない姿でもある。
 殺されそうになったという理由付けはあるにせよ、村人の信仰の対象を退治してしまうと言うのは、なんか理不尽な話だ。>
第25話 地獄ころがし 前編

  脚本:伊上 勝
  監督:冨田義治
 とある山中で不思議な老人に招かれ、その家に宿泊することになった三平と六兵衛。だが、その話を聞いていたいたち男は、ここには財宝が眠っていると勘違いし、地獄ころがしという妖怪を復活させてしまう。
 敵は地獄ころがし。500年前に国一つを支配した妖怪。
 最終話の前編。三平の帰還が描かれるかと思いきや、いつも通りの妖怪話。いたち男がシャレにならない真似をするのもいつも通り。たっぷりと時間を取って妖怪の復活を描くのは良かった。
 三平がバスに乗ろうとしたら、どうしても乗れないというシーンがあった。妖怪の力で三平と母を引き離そうとするらしいが、これはもっと早くにやってくれてればこの旅の説得力もあったんだけどね。
<妖怪がいる可能性があると夜中に人の家に勝手に押し入る三平と六兵衛。明らかに犯罪だろうに。>
第26話 地獄ころがし 後編

  脚本:伊上 勝
  監督:冨田義治
 地獄ころがしによって洞窟に閉じ込められてしまった三平と六兵衛。なんとか脱出した二人はかつて地獄ころがしを封印したという土蔵坊に会いに行くが…
 敵は地獄ころがし。それに従う鬼女もいる。
 最終回。でも結果としていつものように妖怪を退治したら、いつの間にか呪いが消えていたというので、盛り上がりには欠ける。なんか正義感が鼻につくんだよな。
 相変わらずのおっちょこちょいぶりを見せるいたち男もいつもと変わらず。ここも盛り上がらない。
<前回いたち男から封印の箱を借り受けた女性が実は地獄ころがしだったということなのだが、封印が解かれてない状態で箱を借りたって事はどうなる?取り憑かれたのかな?
 地獄ころがしを倒したら、そこに母がやってくる。さっき土蔵坊が見せたビジョンでは家の中にいたはずだが。土蔵坊の法力で呼んだの?
 前に三平が家に帰ったらたんまりお礼すると言われ、それをあてにしていたはずのいたち男だが、三平が母と会ったら、祝福して去って行ってしまった。>