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2009 | 9<ナイン> 〜9番目の奇妙な人形〜 監督・原案 | |
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9<ナイン> 〜9番目の奇妙な人形〜 2009 | |||||||||||||||||||||||||||||||
2009アメリカ製作者組合長編アニメ作品賞 | |||||||||||||||||||||||||||||||
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古びた研究室で一体の人形が目を覚ました。言葉を喋ることも出来ず、自分が何のために生まれたのかも全く分からないまま、研究室を出るが、そこは一面の廃墟だった。そこに彼と同じ人形が近づき、彼のことを「9」と呼びかける… 最初にこれを観たのはトレーラーで。 このトレーラー自体がかなり面白かった。妙にレトロチックなデザインと、背後に映る古くさいアイテム。これをSFアニメでやるのか。と感心させてくれたし、このこだわりの画面でいかなる映画を作ってくれるのか? 妙な楽しみを覚えつつ劇場に足を運んだ。 なるほど。これは面白い。ただ、これを素直に”面白い”と言えるのは、かなり変な性格した人間だろう。とも同時に思う。 正直な話、物語と設定において言うなら、本作はとても月並みな作品だし、設定上のアラも多い。 確かに劇中いろいろと説明はされるものの、主人公たちや敵のロボットたちが持っている行動原理やモチベーションについては分かりづらい。やってること、目に見える目的もはっきりしてるのだが、彼らはそれぞれなにをしたいのか?ぼやけてよく分からない。 強いて言うなら本作の作りは日本の90年代のオリジナルアニメーションとどっこいどっこいだと言う事。とりあえずアクション面で質は高いけど、ただアクションさせるのが目的なので、物語を置き去りにする。ある意味本末転倒の物語としか思えない。 …けど、それを差し引いても面白いと思えるのは、結局主人公たちロボットの造形によるところが大きかった。まるで布と機械で作られた、子供がデザインしたようなとにかく彼らが可愛いのだ。なんかすっかり彼らに参ってしまった。あんな人形みたいなロボットが生き生きと動き回ってる。その姿を観てるだけで楽しい。 キャラのかわいさと殺伐とした物語のギャップこそが本作の魅力。 …と、ここまで書いてきて思ったが、それだけではやはり足りない。 敢えてこの作品のもう一つの魅力を挙げてみよう。 この作品の世界観たるや、とにかく凄いレベルの描写だ。 これはドイツ。しかも1920年代と言う限定された時代の物語。その年代特定のマニアックさが気に入った。結局私がこの作品を本当に“楽しい”と思えたのは、設定マニアの性だったりして(微量の軍オタの面もあるし)… 色々駄目なところがあっても、このマニア心をくすぐる設定とアイテム。画面を通して背後が見えるからこそ、本気で楽しいと思えるのだ。単なるレトロ風味で終わるのではなく、その情報量たるや凄いもので、明らかにこれは相当のマニアが楽しんで作ってる。それが直撃してしまった。 ロボットの造形にしても、外側のパーツは全て当時存在した材料を用いて作られてるし、それであれだけ表情豊かに出来てる。こんな所にも細かい配慮が感じられる。 詰まるところ、本作のマニアックな部分にはまれる人間にとっては、とても楽しい作品になる。この部分が本作の評価の分かれ目になるのか? |