ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー |
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クリス・メレダンドリ
宮本茂(製)
マシュー・フォーゲル(脚)
マリオ
クリス・プラット
ピーチ姫
アニャ・テイラー=ジョイ
ルイージ
チャーリー・デイ
クッパ
ジャック・ブラック
キノピオ
キーガン=マイケル・キー
ドンキーコング
セス・ローゲン
クランキーコング
フレッド・アーミセン
カメック
ケヴィン・マイケル・リチャードソン
ブラッキー
セバスティアン・マニスカルコ
マリオの父/ジュゼッペ
チャールズ・マルティネット |
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★★★★ |
物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
3 |
4 |
4 |
5 |
3 |
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ブルックリンに住む配管工兄弟のマリオ(プラット)とルイージ(デイ)は、配管事故のニュースを見て名を売るチャンスだと勝手に地下に潜るが、水に流されて気がついたら全く別な世界に放り込まれていた。ルイージと離れてしまったマリオはキノコばかりのこの世界で出会った住民のキノピオ(キー)の案内でこの国の王女様ピーチ姫(テイラー=ジョイ)に会うことが出来た。彼女によれば、今この国はクッパ(ブラック)という亀の怪物が治める国の侵攻を受け、危機にある事、そして弟のルイージはおそらくクッパに捕らえられていることなどを告げられ、クッパと戦う協力をして欲しいと頼まれるのだった。ルイージを救うためにピーチ姫に協力することを決めたマリオだが…
1985年に発売され、世界で最も売れたゲームとしてギネスブックにも載っている他、オールタイムベストではほぼ確実にトップを取る化け物のようなゲームソフトである「スーパーマリオブラザーズ」。当時ファミコンを持っている人はほぼ確実に持っていたため、その世代の人には確実に思い出すし、続編やシリーズは今も展開中で、その度ごとに大ヒットするので、どの年代の人でもマリオの顔を知らない人はいないとも言える。任天堂のゲーム機を持ってる人だったら、ほぼ100%プレイしたことがあるシリーズである。
私に限って言っても、発売当時に友人の家に入り浸ってプレイしていたし、今でもswitchのアーカイブで時折遊んだりもしてるので、今でもお世話になってるゲームではある(新作は全くプレイしていないが)。
ただ、この作品、これまでなかなか映画化には至らなかった。なんか消防の教育用ビデオでマリオが出たアニメを観た記憶はあるが、一般用の作品としては実写で一回あったきりだろう。『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』(1993)というこの作品は、いわば映画における汚点の一つとまで言われるほどの出来で、大概のゲーム原作映画は『スーパーマリオ』よりはまし。という基準点を付けられるほど。ただ、これについて書くのは本稿の本意ではないので、本作のみについて書かせていただこう。
まず本作は実に見事な平均的な作品であると言うことは言える。基本的に観ている人が誰も傷つかないし、文句も言えない。これほど文句の言いづらい作品を作れたというその事実だけで本作は最高の作品と言っても良いくらいだ。
ゲーム原作の映画は漫画のアニメ化以上に難しい。漫画ほど明確なストーリーが無い上にプレイヤーが自分自身として操作する以上、自己同化が激しいため、思い入れが大変強いものになるから。同じゲームでも一人一人が違う印象を抱く。だからこそ主人公の個性を作るのは大変難しくなる。その中で最も無難な性格を選べたことは、それ自体がトピックとなる。これが出来たのは、何度も何度も大人数で推敲を重ねたためだろう。個性がないと言うのは全く文句に当たらない。平均的な個性を作り出せただけで成功なのだから。
それはマリオだけでなく、他のキャラにも言える。兄の陰に隠れがちで小心者の弟ルイージ。一見おしとやかに見えるが実は芯が強くお転婆なピーチ姫。極悪キャラに見えながら詰めが甘くて憎めないクッパというこの構図は長年のゲームの中で培われた平均的な性格で、これらを矛盾させることなくまとめてくれている。
その意味では物語も実に単純明快だが、盛り上げるところはしっかり盛り上げ、努力と友情と家族愛で乗り切る平均的な物語は本作にぴったり。単純だからこそ演出に力を入れて細かいところまで目が配られた話になってるし、精神的に盛り上がるのも良し。ピーチ姫を主人公側のアタッカーにし、ルイージを捕らわれ役にしたのも、キャラの性格を考えたらぴったり(私は初期のマリオしかやってないので、ピーチ姫は囚われの姫という印象があったが、今はむしろお転婆キャラで定着してるようだし)。個人的に言えば、必要以上のダレ場が無かったことと、精神的にきついシーンをいれなかったのが良い具合だったと思う。物語を深める要素はなくていいし、僅かでも落ち込みたくないという心情をしっかり受け止めてくれているのも良し。
全般的に平均点。しかしそれ故評価されるべき作品だ。
私は本作を字幕で観たが、これは吹き替えで観るのに適した作品ではある。画面の端々まで目を配って観たかった作品だな。 |
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