| 整形水 |
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イ・ハンビン(脚)
ムン・ナムスク
チャン・ミンヒョク
チョ・ヒョンジョン
キム・ボヨン |
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| ★★★★ |
| 物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
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5 |
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華やかな芸能界で人気タレントのミリのメイクを担当しているイェジは、小さい頃から外見を理由に理不尽ないじめを受けいた。ある日偶然テレビに映ってしまい、ネットで悪意ある書き込みが多数書き込まれてしまう。自分を変えたいと願うイェジは大金を払い、巷で噂になっている顔を浸せば、自らの手で自由自在に思い通りの容姿へと変えることができてしまう奇跡の水“整形水”に手を出してしまう。そのお陰でイェジは理想の姿になることができたのだが…
韓国産の劇場アニメ。テレビアニメの方は日本に遅れてはいるものの、韓国も良い感じの作品が結構作られていて、韓国は韓国で独自の良作を作ってくれるが、テレビよりも劇場映画の方が質の高さを感じさせてくれる。充分に時間をかけた分、日本の劇場アニメよりも質の高い作品が出たりもする。
特に本作は日本では作られそうもないかなり攻めた作品になってる。
日本のアニメの幅は相当に広く、中にはホラーと呼べる作品もいくつかあったが、何故かエロと結びつくことが多く、ゲテモノ扱いされることがほとんどだった。アニメーションはなんでも描写が出来るため、ホラーとは相性は悪くないはずであるが、逆になんでも描写が出来る分、いくらでもグロテスクにもできる。それを抑える法的な規制がないため、とりあえず18禁のカテゴリーに押し込めるしかなかった。どうせ18禁だからということで、エロ要素を入れてしまったのかとも思っている。
敢えて激しい描写を抑え、見た目よりも心理的な恐怖心に訴えるような作品もなくはないが、少なくとも私が観た限り、ホラー作品としては今ひとつなものばかり。ホラーのはずが途中からアクション作品になるとか、余計な恋愛要素を入れたことでホラーからずれてしまうとかばかりで、概ね今ひとつだった。それこそ80年代のアニメブームから今に至るまでそれが続き、ある意味未開拓の分野だったとも言える。
ここで重要なのは、全年齢版である事から、グロ描写は普通に観られるレベルのギリギリを攻めつつ、直接的な描写よりも精神的な恐怖を演出し、恐怖を感じさせる重要なファクターとして、身近な素材を用いること。そしてちゃんと社会風刺を混ぜ込むこと。
ここまでやれたら本気ですごいと思うのだが、それを軽々と越えてくれたのが本作だった。
本作はタイトルの整形水というのが中心になる。これは人の肉を柔らかくし、それを取り除くことでダイエットを、逆に取り付けることで通常人が持ち得ない器官を体のあちこちに形成することが可能となる。
この設定はかなり優秀で、痩せるために自分の肉をこそぎ落としたり、逆に失った肉体を取り戻すために他人の肉を奪ったりするが、その際に肉体に引き起こされる異変描写はかなり気持ち悪い。肉体が変質し崩れていくなど、特撮でもやることはあるが、アニメでやると作り物じみてない分、とても生々しい。
そして重要なのがこの整形水は誰しも持っている、「理想的な自分」に近づくために使う夢のアイテムと言うことでもある。その意味で普遍的なテーマとなるのだが、世界で最も進んだ美容整形の国と呼ばれる韓国で作られたからこそ、これが単なる普遍的な問題ではなく、本物の恐怖にまでなってしまうというのが面白い。
自分が美しくなるためにはどこまで他人を犠牲にできるのか?それが他人ではなく、身近な人間だったら?そして美しさを手に入れるために人間を捨てられるか?これらが見事に合わさり、異様なホラー映画に仕上がった。この出来の良さは驚くばかり。
できればより多くの人、特にアニメファンには観て欲しい作品だ。 |
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