故郷で老師匠の元で功夫を学んでいたチーハオ(ロー・リエ)は、その腕前を見込まれ、尚武国術館のスン師匠(ファン・ミエン)のもとで学ぶことになり、一年後には師匠から秘技・鉄掌を伝授されるまでに至った。そんな折、尚武国術館のライバル百勝武館のモン館長(ティエン・ファン)は、次の武術大会で優勝するため、尚武国術館のメンバーに次々罠を仕掛ける…
アメリカにおいてカンフーブームはブルース・リーによってもたらされた。その最大のヒットとなった『燃えよドラゴン』(1973)のほんの少し前に公開された作品で、『燃えよドラゴン』が公開されていなければ、本作こそがアメリカでの最大ヒット作になっていただろうと言われている作品。タランティーノ監督は本作の大ファンだそうで、『キル・ビル』でも劇中曲が使われているほど(正確に言うと、「鬼警部アイアンサンド」のオープニングソングを本作で使用しているため、孫引きになるのだが)。
作品そのものは典型的な功夫もので、地道な訓練風景、強すぎる主人公に対して精神的に揺さぶりをかける悪人や、師匠と弟子との絆などをそれなりに上手くあしらっていいるが、その辺のストーリー運びはテンポ良くて飽きさせることなく見せてくれるし、善悪のはっきりした物語なのでとても安心できる(何箇所か残酷シーンがあるので、その点はご注意を)。卑劣漢として日本人描写がちょっと引くけど、これも当時の香港映画では致し方ないところなのかもしれん。
本作の最大の売りは必殺技の派手さである。無茶苦茶とは言わんが、ここぞという所でワイヤーアクションを用いた必殺技を、雄叫びを上げながら放つシーンはまさにアニメ的必殺技を彷彿とさせ、「すげえ!」と思わせてくれるには充分。
ブルース・リーのリアルな拳法とは又違った魅力が本作にはあり、香港映画を語る上では必須の作品とも言えるだろう。
今川泰宏監督のテレビアニメ「機動武闘伝Gガンダム」を観ていたら、本作をなんだか思い出してしまった。おそらく本作も元ネタの一つなんだろうな。 |