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キム・ドヨン
Kim Do-Young

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評価 年代 レビュー 書籍
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年代
2021
2020
2019 82年生まれ、キム・ジヨン 監督
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レビュー

 

82年生まれ、キム・ジヨン
<A> <楽>
ユ・ヨンア(脚)
チョン・ユミ
コン・ユ
キム・ミギョン
コン・ミンチョン
キム・ソンチョル
イ・オル
イ・ボンリョン
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 一流企業に勤める愛する夫デヒョンと、娘に恵まれる専業主婦のジヨン。一見幸せに見える彼女だが、苦労して得たキャリアを夫の実家から否定されたことや、育児疲れなどから、ストレスが溜まっていた。時折記憶が飛ぶことがあり、それは疲れによるものだと思っていたが、デヒョンから精神科を受診するよう勧められる。実は本人も気づいていないのだが、ジヨンはストレスが溜まると他人が憑依してしまうのだった。愛する妻にそれが言い出せないデヒョンだが…

 チョ・ナムジュによるベストセラー小説の映画化作品。
 男女格差の是正が叫ばれてかなり経つ。世界中でその取り組みは進んでいるが、未だそれは不十分で、その事をテーマに映画も多数作られているが、真面目でお堅くなりがちなこのテーマをきちんとエンターテインメント化できるた作品はそう多くない。
 そんな難しいテーマを正面からエンターテインメント化しようとしたのが本作。これは原作が良かったからなのだが、映像化したことによってぐっと切実度が増した。更に変わった精神病理と向き合うことを足がかりにして社会制度を描くことで、ドラマ性を相当派手なものに出来た。
 まず本作で前提となるのは社会による性差別である。韓国は儒教の古い構造が伝統として今も残っており、男性に対して女性の地位があまりに低いことが言われている。
 基本的な通念として、一家を支えるのは家長の男であり、家族は家長を支えることが務めとされる。特にパートナーとなる女性は夫に家事をやらせないように、家のことは全て行わねばならないし、家のために跡継ぎを生まねばならない。子どもが出来たら今度は家を支える母として家に留まって家族全体を支えることになる。
 国が違うと多少通念も変わるが、日本でもかなり似たような状況である。

 これを「当たり前」としているのが韓国の社会だった。男性の目からして、これを当たり前と考える人も多いと思うが、女性の目でこれを見た場合、明らかにこれは不平等である。
 ただこれも時代が下るにつれ徐々に変化している。世界的な流れとして男女は同じように働き、同じに働けない部分はフォロー体制を築いて働き方を改革していった。
 未だそれは途上にあり、これからもどんどん改革していくことになるだろう。
 そして途上だからこその軋轢のドラマが生じる。それを正面から描いたのが本作だと言える。

 本作で重要なのは社会システムではない。意識の問題である。ジヨンの家も家長である父の勝手さが見えるが、むしろ夫のデヒョンの家が問題となる。デヒョンは一流企業で働く長男なので、家制度が強い韓国の常識からすれば、家族はデヒョンのために尽くす存在でなければならない。妻となったジヨンは子どもを何人か作り、仕事で大変な夫のために家庭を守らねばならなくなる。
 ジヨンはそんな社会状況を分かっていたが、そんな社会の中でも結婚前まではバリバリに働いていたし、出来れば仕事を続けていきたいと思っている。彼女も夫の実家相手に引くつもりは無かったはずである。しかし夫の懇願に負けて娘を作ったときから立場が一気に悪くなってしまった。戦おうにも娘を人質に取られてしまったら引かざるを得ない。
 これが今の女性の立場である。
 このままでも充分ドラマになるが、ジヨンはこの中で精神に異常を来してしまった。それは普通の精神病でなく、憑依という、ある種超自然的現象である。
 見方によってはこれは重度の精神障害で治療可能かもしれないが、それは専門家が必要だし、更に本人に自覚症状が無いので、治療はかなり厄介である。
 夫のデヒョンも又、新しい時代に対応しており、その上でジヨンの病気をどう治療しようかと悩んでいることが分かってくる。「家長はこうあらねばならない」という過去の常識を本人は鬱陶しくも思っている。ここに来て、実は本作は一方的に女性の立場の弱さを描くものではないことが分かってくるのだ。
 結局本作は家制度の強い韓国にあって、それに立ち向かう一つの家族を描いたものと観る事も出来る。ただその家庭自体に温度差があるので、共に立ち向かえてないもどかしさも含め、伝統と社会と個人の軋轢がきちんとドラマになってるところが見事である。それに、結局これは日本でも同じであるということで、まだまだだと思わせられてしまう。
製作年 2019
製作会社
ジャンル
売り上げ
原作
82年生まれ、キム・ジヨン <A> <楽>
チョ・ナムジュ (検索) <A> <楽>
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