美女ありき
That Hamilton Woman |
1941米アカデミー録音賞、撮影賞、室内装置賞、特殊効果賞 |
|
アレクサンダー・コルダ(製)
ウォルター・ライシュ
R・C・シェリフ(脚)
ローレンス・オリヴィエ
ヴィヴィアン・リー
アラン・モーブレイ
サラ・オールグッド
グラディス・クーパー
ヘンリー・ウィルコクソン
ヘザー・エンジェル
ハリウェル・ホッブス
ギルバート・エメリー
マイルズ・マンダー
ロナルド・シンクレア
ルイス・アルバーニ |
|
★★★★ |
物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
3 |
4 |
4 |
5 |
4 |
|
ナポレオン率いるフランスがヨーロッパ中を席巻している18世紀末。エジプトから帰国途中のフランス軍を撃破するため派遣され、補給のためにナポリにやってきた英海軍提督のネルソン(オリヴィエ)だが、フランスを怖れるナポリ王の煮え切らない態度に補給もままならなかった。だが、イギリス大使ハミルトン卿(モーブレイ)の妻エマ(リー)が王妃に働きかけ、無事補給を受けることが出来た。そしてナポレオン相手に大勝利を収めたものの、深手を負ったネルソンを、エマは献身的に看病する。やがて二人に芽生える恋心…お互い妻も夫もいる身ながら、愛さずにいられない二人を、激動の時代を背景に描く。
ハミルトン夫人とネルソン提督の恋物語を基本的に忠実に描いた作品。こういうラブ・ロマンスは基本的に好きじゃないけど、歴史物は好き。なんだか複雑な気分にさせてくれる作品だ。
本作の場合、ストーリーは兎も角キャラクターが非常に立っているので、見栄えは非常に良い。何せ前年『風と共に去りぬ』(1939)の大ヒットを記録したヴィヴィアン=リーと、彼女の夫ローレンス=オリヴィエの夫婦共作作品。キャラが立たないはずはない。やや演出はチープな気もあり、大作という雰囲気ではないが、目玉のトラファルガー海戦は手作り特撮風で、それはそれでなかなか味がある。
私なりに言わせてもらうと、本作の最大の魅力は名台詞の数々にあると思う。「自然には勝てませんよ。内も外も」(自分の妻が不倫していることを知りつつ夫のハミルトンがぽつりと言った台詞)。「今の道は私が職を得た道よ」(ネルソンとの不倫が公然となって、周り中から責められた時のエマの台詞)。「それからはないの。それで終わり」(落ちぶれて、ネルソンの死んだところまで話したエマが締めくくった最後の台詞)。見事に私のツボにはまる台詞たちだ。
本作はリーとオリヴィエの夫婦競演作だが、実はこの結婚はお互いに不倫の果て(『無敵艦隊』(1937)で競演した際、二人は不倫関係となり、アメリカに帰国したオリヴィエをリーが追いかけていき、そこで『風と共に去りぬ』の主演に抜擢されたというのは有名な話)。この年互いに離婚が成立し、晴れて結婚した二人の作品だけに、映画本体よりもゴシップで売れた作品。それにしても結婚後、最初の競演作品が不倫の恋を描いた作品とは皮肉なものだ。『無敵艦隊』の続編にあたる作品として捉えることも出来る。 |
|