|
|
||||||||||||||||||
年代 | ||
2024 | ||
2023 | 哀れなるものたち 監督・製作 | |
2022 | ||
2021 | ||
2020 | ||
2019 | ||
2018 | 女王陛下のお気に入り 監督・製作 | |
2017 | 聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア 監督・製作・脚本 | |
2016 | ||
2015 | ロブスター 監督・製作・脚本 | |
2014 | ||
2013 | ||
2012 | ||
2011 | アルプス 監督・脚本 | |
2010 | ||
2009 | 籠の中の乙女 監督・脚本 | |
2008 | ||
2007 | ||
2006 | ||
2005 | ||
2004 | ||
2003 | ||
2002 | ||
2001 | ||
2000 | ||
1999 | ||
1998 | ||
1997 | ||
1996 | ||
1995 | ||
1994 | ||
1993 | ||
1992 | ||
1991 | ||
1990 | ||
1989 | ||
1988 | ||
1987 | ||
1986 | ||
1985 | ||
1984 | ||
1983 | ||
1982 | ||
1981 | ||
1980 | ||
1979 | ||
1978 | ||
1977 | ||
1976 | ||
1975 | ||
1974 | ||
1973 | 5'27 誕生 |
哀れなるものたち Poor Things |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
イギリスの医学生のマックス・マッキャンドレス(ユセフ)は、敬愛する外科医のゴドウィン・バクスター(デフォー)の指名で住み込みの助手に選ばれる。そこでマックスが見たものは、ゴドウィンの手術で母親の頭に胎児の脳を入れたベラ・バクスター(ストーン)という女性だった。彼女の精神発達の記録を取るよう命じられたが、急成長を遂げるベラの精神に手を焼き始める。そんなベラを愛おしく感じるマックスは求婚し、受け入れられるのだが、その直後、ベラはダンカン(ラファロ)というプレイボーイの誘惑に屈し、家を出ると宣言する。その後、ダンカンと共に船旅に出かけ、見聞を広げ、同時に性行為に対する興味を深めていくベラ。 アラスター・グレイ原作小説の映画化。なんでもエマ・ストーンがこの作品に惚れ込んで、自ら主演で製作をしたということ。 俳優の思い入れで作られた作品と言うのは、概ねとんでもない熱演が伴う。その結果として主演だけが突出して良いのだが、、それ以外には見所がなくなるというパターンが多い。本作も多少それに陥りかけてる部分があって、エマ・ストーンの熱演ぶりは正直観ていて引くほどの熱演だった。がそれに近い熱演ぶりを見せた。 それに対して他のキャラの立ち位置が微妙だが、周囲のキャラもギリギリその演技についていった崩れ気味のバランスをギリギリクォリティを保たせることが出来た。本作の最も評価出来るところがエマ以外のキャラのバランスということになるだろう。 それでエマがこの原作を気に入ったのははっきり理解出来る。本作の主題は絶対に実現したいと思うもののはずだから。 その主題は、女性の性について。人文主義から人の自我についての哲学は進んできたが、魂の自由について語り始めたのは性のタブーを越えた時からだと言える。ヴォーヴォワールの「第二の性」が刊行されたのは戦後すぐだったが、その後アルフレッド・キンゼイにより「人間における男性の性行為」および「人間における女性の性行為」の刊行によって、男女ともに性に対する欲望を持つことが周知された。 本作はその女性の性欲がどこで発するかの実験というのをSF的に描いたものとなる。ベラは大人の肉体に赤ん坊の脳を入れたキマイラで、そんな彼女はある日、快感というものがあることを知る。全く知識が無いにもかかわらず、肉体は快楽を欲していたため、それが何かも分からないまま、気持ちいいことをしたいだけで快楽を求めるようになる。そこから物語は始まる。 性の悦びを知ったベラは、快楽を追求していく内に快楽というのは性的なものだけではないことに気づいていく。そして快楽を旨くコントロールすれば、人を操ることも出来るし、人を助けることが性以上に純粋な喜びであることに気づいていく。その理解のスピードは尋常ではなく、ほんの僅かな間にそこまでの高みに登っている。 それは世俗にまみれた欲を持たない純粋な生き物としての人間がどう成長していくことの社会実験でもあったし、その社会実験が見事にはまった例となった。“父”であるゴドウィンの実験は大成功となるだろう。 もちろんこれはSFなので、本当に純粋な人間がこのような反応を示すわけではないけど、このような純粋な性善説で人間が生きていると思えるなら、人には希望を感じさせてくれる。 本当にヴォーヴォワールの「第二の性」を下敷きに書かれた小説のようで、このような不思議な感触を与えてくれるこの作品はとても気分が良い。 ただ、ストーリーのラスト部分がちょっと思ったよりすっきりしなかったこともあって、点数はちょっとだけ落ちた。オチ部分が自分なりに納得できるものだったら最高点に達していただろうから、正直そこがもったいない。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア The Killing of a Sacred Deer |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2017カンヌ国際映画祭脚本賞、パルム・ドール | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|