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ケヴィン・マクドナルド
Kevin Macdonald

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鑑賞本数 2 合計点 7 平均点 3.50
書籍
2009 消されたヘッドライン 監督
2008
2007 敵こそ、我が友 〜戦犯クラウス・バルビーの3つの人生〜 監督
2006 ラストキング・オブ・スコットランド 監督
2005
2004
2003 運命を分けたザイル 監督
2002
2001
2000
1999 ブラック・セプテンバー 五輪テロの真実 監督
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
1987
1986
1985
1984
1983
1982
1981
1980
1979
1978
1977
1976
1975
1974
1973
1972
1971
1970
1969
1968
1967 10'28 グラスゴーで誕生

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ラストキング・オブ・スコットランド 2006
2006米アカデミー主演男優賞(ウィテッカー)
2006英アカデミー主演男優賞(ウィテッカー)、脚色賞、英国作品賞、
作品賞、助演男優賞(マカヴォイ)
2006全米批評家協会主演男優賞(ウィテッカー)
2006NY批評家協会男優賞(ウィテッカー)
2006LA批評家協会男優賞(ウィテッカー)
2006ワシントンDC映画批評家協会主演男優賞(ウィテッカー)
2006ボストン映画批評家協会主演男優賞(ウィテッカー)
2006ゴールデン・グローブ男優賞(ウィテッカー)
2006放送映画批評家協会主演男優賞(ウィテッカー)
2006ナショナル・ボード・オブ・レビュー主演男優賞(ウィテッカー)
2006アメリカ俳優組合主演男優賞(ウィテッカー)

2006ロンドン映画批評家協会主演男優賞(ウィテッカー)
2006オンライン映画批評家協会主演男優賞(ウィテッカー)

2007
ヨーロッパ映画作品賞、監督賞、主演男優賞(マカヴォイ)、撮影賞、音楽賞

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ジェレミー・ブロック
ピーター・モーガン(脚)
フォレスト・ウィッテカー
ジェームズ・マカヴォイ
ケリー・ワシントン
ジリアン・アンダーソン
サイモン・マクバーニー
デヴィッド・オイェロウォ
アダム・コッツ
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
スコットランドの黒い王様(書籍)ジャイルズ・フォーデン
 スコットランドの医学校を卒業したニコラス・ギャリガン(マカヴォイ)は、ウガンダにある診療所で働くこととなった。そこでニコラスは偶然軍人のアミン(ウィテカー)と親しくなる。軍隊の中でどんどん出世していったアミンは、ニコラスを主治医に抜擢。政治相談もするようになっていく。ニコラスも魅力あるアミンの力になろうと努力するのだが、やがて自分の発言があまりにも大きくなりすぎている事実を知らされる。怖くなったニコラスは国に帰りたいと願うようになっていく。
 主治医の視点から見たウガンダの独裁大統領アミンの半生を描いた作品。
 アミンと言えば、その昔、
『食人大統領アミン』という、おどろおどろしいタイトルの映画があって、いかにもホラー映画っぽい売られ方をしていたのを思い出すが、これは未見なので何とも言えず(話によると単なる独裁者の行状を描いただけだとか)
 本作の場合は歴史上に現れた一人の人間としてのイディ・アミンという人物を描いた伝記映画として作られている。
 その分アミンという人物をしっかり描いているわけだが、残念ながら物語上「これ」というものは感じられなかった。独裁者を描く場合、表ではあんな残酷なことをやっていながら、実生活は愛情にあふれた人物として描かれたり、その孤独な魂を描こうとするものだが、作りがまさしくそれで、キャラを変えればヒトラーでもムッソリーニでも通用してしまう。結果、残念ながら個性のない物語になってしまった。
 ちょうど韓国でも全斗煥をモデルにした
『大統領の理髪師』というほとんど設定がおなじ作品が作られているが、こちらの方はドラマ性も歴史的な描かれ方もきちんとしていておもしろかったのだが、本作にはそう言った工夫の跡がほとんど見られない。実際本作はアミンと言う人物を描いているのにもかかわらず、ステロタイプな描かれ方しかされておらず、しかも彼を慕う国民の動向とか、歴史的な意味合いとかも全然練り足りず。ドキュメンタリー作家としては大変優れた実力を持つマクドナルド監督も、フィクションになると今ひとつって感じ。ドキュメンタリーで培ったものを生かして欲しかった(ラストに登場するハイジャック事件はPLOによる有名な事件で、エンテベの勝利」(1976年)「特攻サンダーボルト作戦」(1976年)「サンダーボルト救出作戦」(1977年)と三度も映画化されている)。

 ただ、だからと言って本作が駄作と言うわけではない。こう言ったキャラを演じるのには、相当な実力をもった俳優が必要なのだが、ウィテカーはまさしくはまり役。どっちかと言うと善人顔してる分、笑顔の良さと、冷徹な大統領の顔の切り替えが見事で、そのギャップをきちんと演じ切ってくれた。
 結局歴史上の人物云々ではなく、本作はウィテカーの演技のうまさを観るためだけにあると言っても良い。ウィテカーの役者魂ってやつを見ることができるだろう。
ブラック・セプテンバー 五輪テロの真実 1999
1999米アカデミードキュメンタリー長編賞

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★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 1972年。ドイツで行われたミュンヘンオリンピックの選手村で起こったイスラエル宿舎での襲撃事件。“ブラック・セプテンバー”によるテロを、当時のメディアや、ドイツ警察、そして唯一生き残り、現在南米に潜伏中のブラック・セプテンバーのメンバーの一人のインタビューを通して、当時の模様を検証するドキュメンタリー作品。
 ブラック・セプテンバーと言えば、映画
『ブラック・サンデー』(1977)でも言及されていたが、実在の国際テロ組織。これはとても興味深い作品だった。
 ミュンヘンオリンピックと言えば、
ヒトラーの宣伝ともなった忌まわしい記憶を持つ1936年の“ベルリンオリンピック”のネガティヴなイメージを覆すべく(リーフェンシュタイン監督による『オリンピア』はこの模様を映像化したもの)、満を持して西ドイツ(当時)が招致したオリンピックだった
 この映画を観て分かったのは、当時の西ドイツというのは、まだ戦争の痛手を引きずっていたと言うこと。具体的に言えば、
国内での武装は著しく制限されており、カウンター・テロ対策が全くなされていなかった。ブラック・セプテンバーがそれを熟知していたからこそ、可能だった襲撃事件だった。
 彼らはイスラエルという国が建国されて以来、国際社会からも忘れ去られていたパレスティナ人からなる組織であり、
“俺たちがここにいる”と言うことを国際社会にアピールするために行われたものらしい。事実として、これ以降、パレスティナを単なるテロ団体としてではなく、一つの国、一つの民族として見る風潮が強まったのは事実だから、更にこの事件は西ドイツの若者の意識を高め、ドイツ赤軍などという極左組織も生み出していった。負の歴史とはいえ、彼らの目的は充分すぎるほどに達せられたとも言える。
 テロによって同情を惹くと言うのは、
多分20世紀後半の最も忌まわしい歴史の一つだろうが、それが一番効果的に用いられたのがこの出来事だった訳だ。
 
“テロはいけない”と言うのは簡単だ。だが、そうすることによってしか自分たちの存在をアピールすることが出来ない者達もいた。そこまで、ギリギリまで追い込まれた人間がいたと言うこと。いや、2001'9'11のアメリカで起きた連続爆破テロを見ても分かる通り、それは今でも起こり続けている。
 
これに対する答えは国際的には未だ出ていない
 21世紀となった今だからこそ、その事を検証するのは大切ではなかろうか。
 これは、自分自身に突きつけられた問題として、考えて行かねばならないはず。

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