MOVIETOP

ヴァーツラフ・マルホウル
Václav Marhoul

<amazon>
<楽天>

評価 年代 レビュー 書籍
allcinema Walker ぴあ IMDb CinemaScape
wiki キネ旬 eiga.com wiki(E) みんシネ
年代
2021
2020
2019 異端の鳥 監督・製作・脚本
2018
2017
2016
2015
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008 戦場の黙示録 監督・製作・脚本
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
1987
1986
1985
1984
1983
1982
1981
1980
1979
1978
1977
1976
1975
1974
1973
1972
1971
1970
1969
1968
1967
1966
1965
1964
1963
1962
1961
1960 1'30 プラハで誕生

ページトップへ
 
レビュー

 

異端の鳥
The Painted Bird
<A> <楽>
ヴァーツラフ・マルホウル(製)
ヴァーツラフ・マルホウル(脚)
ペトル・コトラール
ウド・キア
レフ・ディブリク
イトゥカ・ツヴァンツァロヴァー
ステラン・スカルスガルド
ハーヴェイ・カイテル
ジュリアン・サンズ
バリー・ペッパー
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 第二次世界大戦下東欧。ナチス政権下でホロコーストに怯えるあるユダヤ人家族は、生き延びるために家族をバラバラにし、息子を遠くの村の老人に預けることにした。体の不自由な老人のために働くことになった少年だが、ほどなくして老人が亡くなってしまう。少年の存在を嫌がっていた村人達だが、仕方なく一つの家族が労働力として少年を預かることにする。しかしそこでの生活は想像を絶するものだった。

 イェジー・コシンスキによる同名小説の映画化作品。原作は小説という形を取っていたが、著者の経験が色濃く出ていたようで、戦時中に起こった生々しい描写によって発禁処分を受けた作品でもある
 実際、これが小説だとしても、きつい描写が目白押しで、あらかじめそれが分かっていたから精神的にダメージ受けたくないから劇場には行かなかったくらい。
 それは正解だったようだ。ビデオで観てさえかなり精神に来てた。劇場で観てたら半端な精神的ダメージ受けただろう。
 この作品を称するに一番良い言葉は「痛み」だろう。例えばビデオパッケージには首だけ残して埋められた主人公の少年と、それを見つめる鳥が見られるが、これが実際に出てくるととんでもない痛みを与えられるシーンになってる。
 本作の描写はかなりの部分が「痛み」の描写となっている。大部分は少年が受けている精神的肉体的な痛みなのは確かで、行く先々で厄介者扱いされて無体な労働を押しつけられたり殴られたりと言った描写も多数。
 ただそれだけでなく、少年の方も時に応じて反撃したりもするが、それもえげつない方法で、時に主人を死に至らしめる事まであって、全般的に真っ黒な話になってる。
 これが少年の方が耐えるだけってなら感情移入も出来るが、そうでもないあたりが本作が一筋縄にはいかないところだろう。精神的に逃げ場がないお陰で最初から最後までとにかくきつい。

 そしてもう一点が、人が人を差別する構造。
 少年はユダヤ人だから差別されて然るべき存在とされる。ポリティカルコレクトネスが進んできた今の目からすれば奇異な構造だが、これはヨーロッパでは普通である。ユダヤ人が自分たちのコロニーから出たとき、彼らはまともな人間として認められない。人間としての命だけは助けるが、それ以外はどんな差別をされても文句を言えない。しかもこれが極限状態になると命の危険まであるし、いつナチスに売られるかもしれないという恐怖もある。少年にとっては全方面から命が脅かされている状況なのだ。こんな状態だからこそ、生き延びるためにはどんなこともする。誰も信用しないし、ちょっとでも危ないと判断したら逃げる。場合によっては自分を殺そうとしている人間に対して先回りして殺す。こんな極限状態の中生きていかねばならない。

 これを映画にするならば、幾重にもオブラートがかけられるのが普通だが、ここでは相当にオブラートが薄い。なるほどこの作品だったら、国によっては発禁になりかねない。下手すればこれ殺人の告白書なので、殺人者を野放しにしてることになりかねないから。

 とにかく集中して観ると精神がごっそり持って行かれるため、本作は充分精神的余裕のあるときに観ることをお勧めする。精神的にきついからこそ評価される作品というのもあるのだ。
製作年 2019
製作会社
ジャンル
売り上げ
原作
ペインティッド・バード <A> <楽>
イェジー・コシンスキ (検索) <A> <楽>
歴史地域
関連
allcinema Walker ぴあ IMDb CinemaScape
wiki キネ旬 eiga.com wiki(E) みんシネ

 

ページトップへ
 
書籍
著作 評伝
 
ページトップへ