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約束の旅路(書籍) |
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2009 | オーケストラ! 監督・脚本 | |
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1958 | 4'23 ブカレストで誕生 |
タイトル | |||||||||||||||||||||||
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オーケストラ! 2009 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
2009セザール音楽賞、音響賞、作品賞、監督賞、脚本賞、編集賞 2010ゴールデン・グローブ外国語映画賞 2010ヨーロッパ映画脚本賞 |
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ロシアのボリショイ交響楽団で劇場清掃員として働く中年男アンドレイ(グシュコフ)。実は彼は天才と言われた名指揮者だったのだが30年前のある事件によって音楽家としての道を閉ざされてしまったのだ。鬱々としながら、それでもいつか再び指揮棒を振る日を思いつつ日々を送っていたのだが、そんなある日、パリの劇場から届いた出演依頼のファックスを目にしたアンドレイは、ある考えを思いつく。それは、彼同様落ちぶれてしまったかつての仲間を集めて偽のオーケストラを結成し、ボリショイ代表として夢のパリ公演を実現させようという突拍子もない計画だった… いやー、これは良かった。大いに笑い、色々考え、そして最後は感動。本当に大きく感情を揺り動かしてくれた。文句なしの★★★★★作品(今年は劇場では外れが多く、半年経過した今でまだ2本目)。 一応本作は基本的にはコメディなのだが、本作で笑える部分って、ソ連時代に何が起こったのか。と言う想像力がないと素直には笑えず、色々考えながらでないと笑えないので、相当にコメディとしてはハードルが高い。 ソ連時代には、イデオロギー、宗教、民族に対する迫害は厳しかった。そのためその時代をくぐり抜けた世代にとっては、ソ連時代に相当鬱屈した思いがあり、そんな彼らが共産党時代の終わりとともに極貧生活に甘んじなければならなくなった。そのため相当低い位置から権力や金持ちを笑おうとするため、鬱屈した笑いが本作の持ち味。それをフランス映画らしいエスプリを利かして味付けする。そのために相当に客を選ぶが、その部分をクリア出来れば相当に笑える。 前半部は彼らの行動と言動で笑わせてくれる。ソ連時代、言いたくても言えない事を長く経験した世代の彼らは、基本的に会話は腹芸ばかりになる。そんな中、突然今は自由であることに気付き、いきなりキレてみせたりと、そのギャップが面白い。 出てくるキャラも様々。主人公のアンドレイにしても30年前で時計は止まってしまい、栄光よもう一度!とそればかりを考えているし(ラスト近くで分かるが、本当の願いは別なところにあるのだが)、貧乏であることに我慢出来ない者達は、ロシアから逃げることが出来れば何とかなる。とそればかり考えてるし、ユダヤ人のアイデンティティを頑なに守る人は、自分の商才に存在意義をかけている。かつての仲間と言っても、随分考えが離れてしまってる。一方マネージャーを買って出たイヴァンも、かつて共産党政権を樹立したことがあるフランス(ちなみにこの時代を扱った作品にはベルトルッチの『ドリーマーズ』がある)に行き、再び共産党時代を到来させるという使命を持っている。完全に全員の思いは行き違い、ただパリに行きたいという思いだけで一致しているため、パリに出た後のはちゃめちゃぶりも笑える。 …と言ったコミカルシーンを尻目に、アンドレイとアンヌ=マリーとの二人の物語は相当に深刻。全くつながりのないはずのこの二人にどんなつながりがあるのか。アンドレイの本当の目的とは一体何であるのか。そこが明らかになっていく下りはぐぐっとさせる。 そして何よりラストのコンサート!ここまですれ違っていたメンバー全員の心が一致し、とんでもない演奏を完成させるシーンに至っては、ただ涙。 『のだめカンタービレ』で書いたけど、オーケストラの演奏をクライマックスに持って行くのは大正解。観てる側の高揚感がもの凄く上がる。ラストシーンに至る約10分はまさしく「観て良かった」と思わせてくれる出来。 私がもし本当のクラシックファンだったら、きっと本物のコンサートに行っても、時折こう言う感動に出会い、だからこそはまってしまうのだろう。とは思わせてくれた。クラシックマニアってのも結構羨ましい。 ただ、少々不満を言わせていただけるなら、設定にかなりの甘さがあったことと(アンヌ=マリーの年齢が29歳って合わないよね?だからてっきり最初アンドレの隠し子だと思ってたし)、ラストのコンサートシーンにコメディを挿入するのは蛇足だったんじゃないか? |