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_(書籍) _(書籍) |
タイトル | |||||||||||||||||||||||||||
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ドラムライン 2002 | |||||||||||||||||||||||||||
2003MTVムービー・アワード キス・シーン賞(キャノン&サルダナ) | |||||||||||||||||||||||||||
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NYハーレムに住むデヴォン(キャノン)は、父の教育を受けてマーチング・ドラムの天才的な才能を開花していた。そんな彼の才能に目を留めたアトランタのA&T大学のマーチング・バンド部監督のリー(ジョーンズ)から音楽特待生としてスカウトされる。だが、天才的なドラムの腕を過信するあまり、彼は協調性がなく、やがてそれはメンバーとの間に軋轢を生じさせていく… 典型的なスポーツ根性作品を、マーチング・ドラムに置き換えて描いた作品。天才的プレイヤーだが、協調性がないためにスタンドプレーに走る主人公が、挫折の中で友情やチームプレイを学んでいく。最終的に栄光と恋人との愛を得る…このパターンはハリウッド製映画では数多く作られ、パターンも確立しているし、本作はそのパターンから全く外れることなく描ききっている。 このパターンは手を変え品を変え、様々な作品で用いられているが(例えばこれを戦闘機に置き換えたら『トップガン』(1986)になる)、だからといってそれが悪いか?と言われたら全く逆。とても安心して観ていられるし、ちゃんと感動できる話に持って行ける。この辺は黄金パターンと言っても良いだろう。 本作の特徴はそれがスポーツではなくマーチング・ドラムという点にあるのだが、これはかなり面白い着眼点だった。なんせ音楽の競技だ。視覚のみならず聴覚にも響いてくる。マーチング・ドラムは一人だけが突出すればいいという訳でないので、この素材にはぴったりだ。ラストにちゃんと見せ場もあるし。 それで大変楽しい作品になっているのだが、改めて本作のオリジナルの魅力というものを考えてみよう。 ここでの主人公であるデヴォンだが、彼の過剰とも言える天才意識は、単に若者特有の自意識過剰とは多少異なっているのだと思われる。彼の出身はNYのハーレムでかなりの貧乏生活を強いられていたものと思われる(楽譜が読めなかったということから覗える)。ドラムは父の薫陶を受けて育ったのだが、彼には他に誇れるものが何もないからこそ、自分が天才であることのみが彼のアイデンティティを示していたのだろう。しかし一方、彼の最も得意とするドラムはチーム・プレイが必要とされる。その皮肉に彼が気付いてなかった事が前提で、彼のドラムを愛する心とプライドのすりあわせこそが本作の肝だったと言えよう。 結果的に彼はその二つをすりあわせる事を学んでいくのだが、それはつまり、学ぶことと友人を大切にする心を持つ事の大切さを学ぶと言うことに他ならず。それを爽やかに持っていったのが本作の良さだろう。 実際パターンであるのが分かっていながら感動させられたしね。 |