巨人ゴーレム Der Golem, wie er in die Welt kam |
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パウル・ヴェゲナー
ヘンリック・ガレーン(脚)
パウル・ヴェゲナー
アルベルト・スタインリュック
エルンスト・ドイッチュ
リディア・サルモノワ |
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★★★ |
物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
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ボヘミアのプラーグ(現在のチェコのプラハ)ではユダヤ人の迫害が行われていた。そんな中でユダヤ寺院の中で発見された巨人像があった。ユダヤ人の博士レーウ(ドイッチュ)の秘術により、ゴーレムとして命を与えられた像(ヴェゲナー)。博士はこれを用いてプラーグの王に力を誇示し、何とかユダヤ人の虐殺を防ぐことに成功するが、やがて自我が目覚めたゴーレムは、博士の娘に恋心を抱くようになり…
ドイツ表現主義(代表作は『カリガリ博士』(1919)で、カリガリズムとも呼ばれる)と呼ばれる映画の一本。主演のゴーレムに扮するのは監督のヴェゲナー自身で、大変このテーマが気に入ったらしく、既に1914年と1917年に2度映画化している。
で、この作品(当然サイレント)だが、監督が意図したとは思わないんだけど、大変滑稽な内容になっているのが特徴。だって、秘術で命を与えたゴーレムに何をさせるのかと言うと、家事をさせたり、お使いさせたりするんだから(家政婦ロボットかいな)。しかもそれを(当然)無言で行うゴーレムが苦虫を噛み潰したような、ぶすーっとした表情を崩さないから、なんか哀愁が漂うと言うか、凄いミスマッチ。更に言うと、ドイツ人であるはずのヴェゲナーがなんか東洋人っぽいから、端から見てると、モンゴル人の相撲取りみたいに見えてしまう。そのお陰でどれほど真面目な作品だったとしても、なんだか笑えてしまう。
やがて心を持ち、博士の娘に迫るシーンは後年の『フランケンシュタイン』(1931)によく似てる。感情を持っているにもかかわらず、やっぱりぶすっとした表情のままってのもポイントだ。
そして最後に暴走したゴーレムを封印することに成功したのは無邪気な子供ってのは、この作品のテーマでもあるんだろうな。
内容がユダヤ人迫害なのだが、変に社会的な方向には持っていかず、エンターテイメントとして仕上げたのは良かったかな?
余計なお世話だけど、この監督の下で映画作るってのは緊張するだろうな。あんな顔で睨み付けられたらスタッフは絶対萎縮するよ(笑)
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