さがす |
|
|
佐野真之
玉井雄大
ナム・ギホ
豊島雅郎
仲田桂祐
土川勉
井手陽子
山野晃
原田耕治
和田大輔(製)
片山慎三(脚)
佐藤二朗
伊東蒼
清水尋也
森田望智
石井正太朗
松岡依都美
成嶋瞳子
品川徹
松浦祐也
北山雅康
希志真ロイ
康すおん
勝矢
鈴木かつき
内田春菊
紅壱子
泉拓磨
西本竜樹
杉本安生
和田光沙
橋本つむぎ
内藤正記
黒川大輔
中丸シオン |
|
★★★ |
物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
4 |
3 |
3 |
3 |
3 |
|
最愛の妻を失ってから全てに無気力になってしまった原田智(佐藤二朗)は、妻が残した卓球センターも潰してしまい、日雇いの仕事に出るか家で何もしないかの日々を送っていた。そんな父を何とかしようと奮闘する娘の楓(伊東蒼)だったが、ある日智は楓に一攫千金のチャンスが来たと告げる。実は300万の懸賞金の掛かった山内照巳という連続殺人犯の居場所を知っているというのだ。そんなのは妄想だと一笑に付す楓だったが、その翌日智は失踪してしまう。調べ回っていると日雇い労働の現場に出勤していることが判明し、現場に向かうのだが、そこにいたのは父とは全く似てない若い男(清水尋也)だった。
テレビや映画では重宝されるバイプレイヤー佐藤二朗が初めての主演作と言うことで話題になっていて結構気になっていたが、なんか非常に重そうな雰囲気があって、ちょっと劇場では良いかと思った次第。それでもこう言う作品がちゃんと配信されることはありがたい。
映画観る先にあらすじが目に入ってしまったのだが、オープニングの展開から予想されるのは、連続殺人犯を追い詰めようとした父親が返り討ちに遭って殺され、その犯人が父の名前を騙って娘に凶行に及ぶといったサスペンスとなるのだろうと思っていた。ありがちなパターンでほぼ最初から最後までわかりきった物語と展開が待ってる者と思い込んでいた。
ところがそんな一筋縄の物語ではなかった。予想を超えて話がどんどんずれていく。変なキャラが次々に登場し、話がカオス化していく。話が広がっていってどうなんのよと思ってたら、見事に風呂敷がたたまれていく。最終的には素直に巧く作ったものだと感心出来る出来だった。
本作の最大の強みは、誰一人同情すべき人物がいなかったという所だろう。殺人犯とその助手が中心に、ばれないように人を殺しては金を受け取ることを淡々とこなしていく中で、二人が互いを疑心暗鬼で見るようになるというパターンだし、純粋な被害者であるはずの娘も性格の悪さで同情に向かない。
結果として、全体的に本当に殺伐とした人間関係のみが描かれるようになる。
しかし本作の面白いところは、そんなドロドロでグダグダな人間関係を描いていながら、視聴後にかなりすっきりした気分になることだろう。こんな物語でありながら、落ち着くべき所に落ち着いて、「これで良いんだ」と思わせてくれる。
こう言う作品って結構珍しいが、それは場の空気をちゃんと読む監督の実力なのだろう。グダグダに見えつつきちんと画面をコントロール出来ているからこその満足感を与えてくれる。
善と悪の混じり合った世界の中での葛藤に、一応社会派的な意味合いもあるし。
意外な好作と言って良いんじゃないかな? |
|