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夏への扉 ―キミのいる未来へ― | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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1995年。天才的な青年技術者高倉宗一郎(山崎賢人)は亡き養父の松下の会社でロボット開発の研究に没頭していた。自分を慕ってくれる松下の娘璃子(清原果耶)や愛猫のピートに囲まれて充実した日々を送る宗一郎。ところがある日、婚約者に裏切られ、会社も研究成果もすべて失った上、冷凍睡眠で未来へ送られてしまう。30年後の2025年に目を覚ました彼は、この30年間に起こったことを調べ始める。 かつて日本でも(一部)海外SFブームが起きたことがあった。丁度私もこの時期に読みまくったのだが、その際タイトルは忘れたが、早川書房から出ている「SF入門」みたいな本を最初に読んで、そこに書かれているものを読んでいった。その筆頭に挙げられていたものこそ、ハインラインの「夏への扉」であり、最高作品という評価の作品だった。 そしてこれを最初に読めたことは私にとっても幸いだった。 理由は簡単で、「とにかく読みやすい」のである。以降読んだSF小説の読みにくさたるや。最初にこれを読んで足がかりに出来たお陰で、飽きずにSF見捨てずに済んだようなものである。ある意味ではこれと「アルジャーノンに花束を」は読みやすさという意味では恩人のようなものだ。 原作の良さはバランスの良さとなるだろう。読みやすい割に内容はしっかりSFしているし、起伏のあるストーリーもあって、初心者にも優しいし、読み込める。更に言うなら「私はちゃんとSF好きです」アピールが出来るw。 ただ、日本人向きと言うことからか、あまり海外ではさほど評価は高くないらしく、これまで一回も映像化されていない。 なんとこれが初映画化である。日本でこれが作られたと言うだけで、もうそれで良い。出来れば実写でなくアニメの方が良かったんじゃないか?という気もするが、とにかく出来た以上、観に行かねばならん。 出来としては、「こんなもんだな」というところか。小説の内容をちゃんと捉えて、その通り作っているし、必要な部分はちゃんと入っている。SF的小道具も、これくらいなら許容範囲というところに抑えている。全般的な水準は良い。 ただ、残念なのが何点か。 まず原作リスペクトは良いのだが、これくらいに時間が経ってるし、任せられたのだから、これくらいは改編すべきだろうというのが、タイムマシンのところ。原作でもそうなのだが、登場が唐突すぎる上にたいして伏線も張られてないので、あれがとても違和感に感じられてしまうところ。ここを納得いくように見せられたら評価を上げたいのだが、原作に準じたというか、余計唐突感が増したというか、違和感までそのまんま。ここをもうちょっと丁寧に考えて欲しい。 もう一点がキャラ描写。他は悪くないんだが、主人公に山崎賢人は間違っていたと思うぞ。いや、山崎賢人でも良いけど、もっとエキセントリックな性格で、ほとんどの人から嫌われるようなキャラであって欲しかったんだよな。天才性だけが突出しているために、本当に限られた人にしか愛されないような人物像であって欲しかった。むしろこの役やるなら染谷将太クラスがぴったりなんだがなあ。 他の人の評価はいざ知らず、私にはそこそこ楽しめた。それで充分だろう。 |
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