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_(書籍) _(書籍) |
タイトル | |||||||||||||||||||||||
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電車男 2005 | |||||||||||||||||||||||||||
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実家に暮らす22歳のシステムエンジニアでオタク生活にどっぷりと漬かっている彼(山田孝之)はある日、電車の中で中年のオヤジにからまれてい
た若い女性(仲谷美紀)を助ける。彼女に心奪われた彼の元に後日彼女からお礼にとエルメスのティーカップが送られてくるのだった。恋愛経験のない彼はどうして
いいか分からず途方に暮れた末、インターネットの掲示板に助けを求める。いつしか“電車男”と呼ばれるようになった彼の告白は掲示板の名物となっていく。 2004年に起こった某巨大掲示板…要は2ちゃんねるの掲示板に出現し、瞬く間に人気となり、書籍化まで果たした「電車男」の話は、様々に展開。競うように複数誌で漫画化された後、舞台にもなり、ついには映画化の運びとなる。 さて、それで出来だが非常にそつなくまとめられているのだが、そつが無さ過ぎて、とてもシンプルな話になってしまった。数多くの者たちの手助けやアドバイスに従い、ついに恋人を手に入れるというのは、男女逆にすればそのまま『シンデレラ』(1950)であり、構造自体はとても古くそこから一歩も出ていない。ストレートなものの言い方をすれば、構造そのものは退屈なだけの恋愛劇だ。 本作で新しい部分があるとすれば、それは主人公がオタクである素をどこかで出さねばならないという義務感に駆られている事くらい。その辺の痛々しさが本作の肝だったのだろう。 ただ、その最大の売りをスポイルしたのが主人公の山田孝之。はっきり言えば、彼は格好良すぎるのだ。特に中盤で髪型を変えてからは痛々しさなど微塵もなくなり、これでは特にこの作品の対象となってるオタク達には反発を覚えさせはせよ、同感を得る事は出来なかったんじゃ無かろうか? そしてもう一つ問題は、この物語の本当の主人公は誰だったのか?と言うところなのだが、見事に全部山田孝之にかっさらわれてしまってたおかげで全てシンプルに終わってしまったという点。新味を出すんだったら、むしろ掲示板住民の一人を主人公にするか、二重構造にすれば面白かったんじゃないかな? 少なくとも良い意味でぶっ飛びすぎていたTV版を観た後でこれを観ると、本作はあまりにもおとなしすぎて物足りない。簡単に言えば消化不良。 この物語の最大の問題は何かと言えば、「何かを得るために何を犠牲にするか」が実は全然描けていなかったという点にあり。全てを得たまま終わってしまう物語展開には、不自然どころか、物語の後に強烈なオチが待っていそうでなんか怖い(TV版では少なくともその部分は抑えてたし、その痛々しさが楽しかったんだが)。 |