岡崎幸男

　湾岸戦争が終わり、各国はこれまでの出費に目を向け始めた。その経済復興に必要な莫大な金を補うため、かつてルパン一世が築き上げたルパン帝国の財宝であてようとする。その財宝のありかが書かれているのは、なんとナポレオンの辞書…
　相変わらず荒唐無稽な物語と、強引な展開のお話。ただし、本作はこれで結構テンポは良い。この辺は流石に出崎監督の仕事で、余計な部分をばっさりと切って、重要な部分をピンポイントでスピーディーに演出するあたりは流石ヴェテラン。
　湾岸戦争以後という時事ネタを多用したのはどうか？とも思わないでもないが、当時の日本首相やアメリカ大統領のそっくりさんの登場や、当時問題となっていた官僚の接待なども取り入れ、なかなかエスプリが効いてる（エスプリって言えばラストがルパン帝国の巨万の富が実は真空管の特許だったというオチはその最たるもんだな）。少なくとも国際会議があんな風に行われていたら、凄く嫌だ。
　それに今回は銭形のとっつぁんにもかなりの枚数が当てられており（半分はルパンの変装だが）、普段機械的な反応ばかりの銭形の奥をのぞき込ませる感じに仕上がっているのは結構良かったんじゃないかな？
　ただストーリーの先が読めてしまうのと、できすぎた恋心の演出が妙に鼻についてしまったため、点数はちょっと低めに。

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