優駿 ORACION 1988 |
1988日本アカデミー新人俳優賞(緒形直人)
1988ブルーリボン新人賞(緒形直人) |
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池端俊策(脚) |
斉藤由貴 |
緒形直人 |
吉岡秀隆 |
加賀まりこ |
吉行和子 |
林美智子 |
平幹二朗 |
石坂浩二 |
掛田誠 |
水野なつみ |
松野健一 |
早川純一 |
石橋凌 |
下絛正巳 |
田中邦衛 |
三木のり平 |
緒形拳 |
仲代達矢 |
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★★ |
物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
2 |
2 |
3 |
2 |
2 |
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北海道・静内の牧場で伝説の名馬ゴドルフィンの血をひく仔馬オラシオンが誕生した。ダービー制覇の夢のために金をつぎ込んだ牧場主渡海千造(緒形拳)と息子博正(緒形直人)だったが、このお陰で牧場は経営難に陥ってしまう。そんな時、この仔馬を引き取りたいという人物が現れ、しかもこれまで通りこの牧場で世話して欲しいという。馬主となったのは、なんと和具久美子(斉藤由貴)という女性だった。和具工業の娘である久美子には腹違いの弟誠(吉岡秀隆)がおり、腎不全で入院中の誠を励ますためにも、オラシオンニはダービーを制覇して欲しいと願いが込められていた。
フジテレビ開局30周年記念として製作した作品で1988年邦画興行成績2位という好成績を残した。
宮本輝の同名小説の映画化作品。作者は自他共に認める競馬好きで、趣味が高じて色々調べているうちに小説にしてしまったという、一種の趣味的作品とも言えるのだが、流石に原作の方はかなりしっかりしていて、単なる情だけでなく、業界の裏側のドロドロした部分、伝統という名で縛られている不条理な手続きのことや、結局金が最も重要という、その辺まで書かれている。
それと、丁度80年代の後半は競馬ブーム。まさしくバブル期に合わせ、競馬はオシャレなレジャーへと変貌していった。それに目を付けないフジテレビではなかったと言うわけだ。だから公開時それなりに期待度は高かった。
…ただ、結果として出来たのは、流石にフジテレビ後援だけのことはある。まさしくバブリーな物語。願いが込められた馬は綺麗なだけで自意識のカケラもなく、人間の都合に振り回されるだけの存在で、バブルの煽りを食って人間味を失ったオトナの小汚い夢を、あたかも幻想的なファンタジーのように描いてくれた。馬を扱っているにもかかわらず、生きものを扱っているという臭いが全くしない。脚を怪我してる馬に向かって、全部人間の都合なのに「オラシオンも走りたがってる」なんて、恐ろしいセリフをばしばし吐いてるし…だったら本音だけ言えよ。「私の夢を叶えさせて」って。
輪をかけて人間ドラマがあまりにもステロタイプで、一体何をしたかったのかが全然分からないと言うおまけ付き。特に仲代達矢の扱いは酷く、汚いオトナは全部一人にかぶせられてしまい、後の人間は全員ドリーマーで、ファンタジーの世界にどっぷり足を踏み込んで、最初から最後まで夢を観続けて終わっていた。
なんぼなんでももうちょっと作りようがあっただろ?本気で腹立ってくるぞ。
思ったほどに酷くないキャラ陣営だけど、斉藤由貴はなんでいきなりこんな素人じみた演技になってたんだろう?それなりにキャリアもあったはずなんだけど。 |