道 〜白磁の人〜 |
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紀伊宗之
小川勝広
長坂紘司
若林雄介
與田尚志
的場明日香(製)
林民夫(脚)
吉沢悠
ペ・スビン
酒井若菜
石垣佑磨
塩谷瞬
黒川智花
近野成美
チョン・ダヌ
チョン・スジ
市川亀治郎
堀部圭亮
田中要次
大杉漣
手塚理美 |
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★★★ |
物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
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日韓併合後の1914年。林業技術者として訪朝した浅川巧(吉沢悠)。朝鮮の山を緑に戻すという使命感を抱いていたが、そこで見たのは朝鮮人に向かって尊大な日本人と、それに従う振りで、恨みを高めている朝鮮人達の姿だった。そんな中、日朝の架け橋になろうと積極的に朝鮮語を学び、同僚の朝鮮人青年チョンリム(ペ・スビン)と友情を育んでいく。そんな中、白磁の美しさに魅せられた巧は、その収集と研究も始めていく…
日韓併合の時代に朝鮮に渡り、朝鮮の文化を広く世界に紹介するきっかけとなった浅川巧について描いた作品。当時最も朝鮮人に愛された人物とも言われ、太平洋戦争が終わった時、この人の家だけは略奪されなかったとも言われている。
現在色々とややこしいことになってる日韓関係。それについては色々意見はあるが、ここでは言うつもりはない。ただ、日本と韓国ではお互いの歴史観の違いがあるのは確か。
日本は過去の戦争のことをできるだけ速やかに忘れようとしているように見えるが、一方の韓国は過去を鮮烈に思う、というか、絶対に忘れずに子孫に残そうとしているのが大きな違い。
学校で習った歴史を思ってほしい。日本の社会科の授業では大概明治維新までしか習ってないという人がほとんどだろう。これは大学受験でここが出題されることが少ないからと説明されているが、実際はここを丁寧に教えると、色々問題があるからとも言われてる。この辺、知り合いの高校の歴史の先生から面白いことをたくさん聞かされた。もし知り合いに歴史の先生がいたら、その辺りを聞いたら面白いだろう(あくまでここでは書く気はないが)。
一方韓国での歴史の教えは近代が中心。そして韓国の近代史と言えば、日本との関わりをはずして考えることができないものである。
日本人にとって韓国とは、聖徳太子の時代、元冠の時代、そして秀吉の時代の三つでの関わりしか教えられてないが、韓国では、日本支配の時代を徹底的に教えている。
この違いが日韓の人間の互いの理解を阻害しているのは確かだろう。
映画においても、少なくとも日本で作られた作品の中でこの時代を描いた作品はとても少ない。
日本映画においては、いわばミッシングリンクとなったこの時代に、日本と韓国の架け橋となろうとした人物を描いた本作は、確かに重要な位置づけにあろうかと思われる。設定の上ではとても大切だ。
それで内容も“とても良い”作品ともなってる。含みのある文章なのは、このレベルの“良い”人物の描写はテレビレベルだということから。歴史の勉強を今し直してると思えばそれでもいいんだが、道徳的な性格の人間が、周りの無理解と戦いつつ、両国間の架け橋となる…これがたとえばNHKあたりで放映されたら頷けるが、映画だと、ちょっときついものがある。
こうしか作れない作品だろうし、それを受けてきちんと映画にしたことは評価する。だけどどうにも道徳的すぎて映画としては面白味に欠けるってのは事実。 |
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